2024.02.02
2024年、最後の箱根駅伝を終えた大学4年生ランナーたち。納得のいく走りができた選手や悔いを残した選手、なかにはアクシデントでスタートラインにすら立てなかったエース級もいる。お届けするのは、そんな最上級生たちの物語――。
最終学年で実現したダブルエースのタスキリレー
10年ぶり70回目の出場となった東農大。チームは総合22位に終わったが、往路は“4年生ダブルエース”が気を吐いた。
大学1年時からともにチームを引っ張ってきた1区の高槻芳照と2区の並木寧音。タスキ渡しの瞬間、2人の笑顔が交錯した
先頭から43秒差の11位でつないだ主将の高槻は「テレビ実況で『あきらめなかった4年間、高槻・並木の万感のタスキリレー』と表現してくださったのが、すごくうれしかったです。一生の思い出になります」と言えば、並木も「4年間、2人でチームを引っ張ってきました。いつか高槻とタスキをつなげられたらいいなと思っていたので、それができて良かったです」と喜びを口にした。
チームとして10年ぶりの箱根駅伝出場だが、高槻は1年時に8区で、並木は2年時に2区で関東学生連合チームの一員として箱根路を駆け抜けている。
当時は学生連合の白いタスキをかけたが、今回は母校のタスキが胸に揺れていた。
「これまで苦労してきたぶん、農大のタスキには様々な思いが詰まっていたので、ちょっと違いましたね」と並木はしみじみと振り返る。
最終学年で実現したダブルエースのタスキリレー
10年ぶり70回目の出場となった東農大。チームは総合22位に終わったが、往路は“4年生ダブルエース”が気を吐いた。 大学1年時からともにチームを引っ張ってきた1区の高槻芳照と2区の並木寧音。タスキ渡しの瞬間、2人の笑顔が交錯した 先頭から43秒差の11位でつないだ主将の高槻は「テレビ実況で『あきらめなかった4年間、高槻・並木の万感のタスキリレー』と表現してくださったのが、すごくうれしかったです。一生の思い出になります」と言えば、並木も「4年間、2人でチームを引っ張ってきました。いつか高槻とタスキをつなげられたらいいなと思っていたので、それができて良かったです」と喜びを口にした。 チームとして10年ぶりの箱根駅伝出場だが、高槻は1年時に8区で、並木は2年時に2区で関東学生連合チームの一員として箱根路を駆け抜けている。 当時は学生連合の白いタスキをかけたが、今回は母校のタスキが胸に揺れていた。 「これまで苦労してきたぶん、農大のタスキには様々な思いが詰まっていたので、ちょっと違いましたね」と並木はしみじみと振り返る。卒業後はSUBARUへ「マラソンで世界を目指したい」
並木は横浜市出身。コース近くに自宅がある2区は地元ともいえる場所だ。 6月の全日本大学駅伝選考会で10000m28分03秒、箱根駅伝予選会(ハーフマラソン)で1時間1分42秒と、ともにU20日本歴代2位の好タイムを残したスーパールーキー・前田和摩が2区の候補に挙がるなか、並木もエース区間を熱望してきた。 当初、小指徹監督は「1区・並木、2区・前田」というオーダーを想定。昨年3月の日本学生ハーフマラソンで4位に入った並木で上位につけて、前田のポテンシャルを引き出す作戦だった。 しかし、注目の前田は11月末に膝、12月頭に腰の張りを訴えたため、練習ができない状況が続いていた。 一方の並木も箱根予選会の後、扁桃炎で1週間ほど苦しんだ。そのため全日本は4区に回りながら、区間5位と好走。「2区を希望していますが、どうなるかわかりません。何区を任されてもいいような準備をしていきたい」と最後の箱根に向けて仕上げてきた。 「2区は12月半ばくらい言われました。前田が厳しくなって自分になりましたが、1年間、2区の準備をしてきたので、プレッシャーもなく、むしろ出番が回ってきてありがたいと思いました」 並木は3位・城西大と19秒差の11位でスタートを切ると、堂々とした走りを見せる。前半は区間賞を獲得した青学大・黒田朝日(2年)と互角に渡り合い、3位集団でレースを進めた。 権太坂(15.2km地点)の通過は個人タイムが7位。2年前は「権太坂で失速して、そのままズルズル下がってしまうレース」になったが、今回は後半もペースが落ちなかった。 「権太坂の下りでもうまくスピードに乗れて、終盤も耐える走りができた。きつかったですが、2年前の経験を生かして、良い走りができたかなと思います」 並木は1時間7分03秒(区間7位)の好タイムで駆け抜けて、チーム順位を11位から6位に押し上げた。2年前から1分13秒もタイムを更新したことになる。 「あと4秒詰めていれば(1時間)6分台。そこは少しもったいなかったですね」と反省が口をついたが、「当初の目標が67分台だったので、それは十分に達成できました。4年生として、『前田だけじゃない』というところは見せられたのかなと思っています」と笑顔も見せた。 4年生エースとしての意地、母校の誇り、仲間たちの絆、地元の大声援。そのすべてを力に変えての完全燃焼だった。 大学卒業後は小指監督が以前、監督を務めていたSUBARUに入社予定。3000m障害で世界と戦う順大・三浦龍司、箱根5区で2度も区間新記録を打ち立てた城西大・山本唯翔らとチームメイトになる。 「いろいろな実業団チームの話を聞きましたが、自分でメニューを考えることができるのがいいなと思ったんです。自分は故障をしやすいので、自分に合った練習ができるのではと感じました。今後はマラソンで世界を目指していきたいです」 昨年10月のMGCを制して、パリ五輪の男子マラソン代表に内定した先輩・小山直城(Honda)に続き、箱根から世界に羽ばたくつもりだ。 [caption id="attachment_127481" align="alignnone" width="800"]
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
-
2025.03.28
-
2025.03.28
-
2025.03.28
2025.03.23
女子は長野東が7年ぶりの地元V アンカー・田畑陽菜が薫英女学院を逆転/春の高校伊那駅伝
-
2025.03.25
2025.03.02
初挑戦の青学大・太田蒼生は途中棄権 果敢に先頭集団に挑戦/東京マラソン
2025.03.02
太田蒼生は低体温症と低血糖で途中棄権 「世界のレベルを知れて良い経験」/東京マラソン
-
2025.03.23
-
2025.03.19
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.03.29
久保凛1000mで2分40秒23 U20&U18日本新記録!高校最高記録も更新、日本歴代でも4位
奈良市サーキットが3月29日、奈良市の鴻ノ池陸上競技場で行われ、女子1000mで800m日本記録(1分59秒93)保持者の久保凛(東大阪大敬愛高2)が2分40秒23をマークした。 この記録は日本歴代4位で、U20とU18 […]
2025.03.28
【世界陸上プレイバック】五輪ボイコットきっかけに創設!クラトフヴィロヴァが女子400mと800mで今も大会記録に残る2冠 日本は室伏重信ら出場も入賞ゼロ
今年、陸上の世界選手権(世界陸上)が34年ぶりに東京・国立競技場で開催される。今回で20回目の節目を迎える世界陸上。日本で開催されるのは1991年の東京、2007年の大阪大会を含めて3回目で、これは同一国で最多だ。これま […]
2025.03.28
【高校生FOCUS】女子三段跳・山﨑りりや(鳴門渦潮高)日本高校女子初の13m到達、大学で学生記録挑戦
FOCUS! 高校生INTERVIEW 山﨑りりや Yamasaki Ririya 鳴門渦潮高3徳島 高校アスリートをフォーカスするコーナー。年度末を迎えますが、振り返ってみれば、2024年度は高校生による日本記録樹立を […]
2025.03.28
3泊4日の全国高体連合宿終了! 「高め合える仲間がいっぱいできた」 来年度は宮崎で開催予定
大阪・ヤンマースタジアム長居を主会場に行われた2024年度の日本陸連U-19強化研修合宿・全国高体連陸上競技専門部強化合宿が3月28日、3泊4日の全日程を終えた。全国から集まった選手たちは交流を深め、試合での再会を誓った […]
2025.03.28
資格停止中の競歩・池田向希がCASに不服申し立て「一日も早く競技 を再開」
旭化成は3月28日、所属選手である競歩の池田向希が受けたアンチ・ドーピング規則違反による4年間の資格停止処分について、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に不服申し立てを行ったと発表した。 男子20km競歩で東京五輪銀メダリスト […]
Latest Issue
最新号

2025年4月号 (3月14日発売)
別冊付録 2024記録年鑑
山西 世界新!
大阪、東京、名古屋ウィメンズマラソン詳報