9月26、27日に長野市で行われた日本選手権・混成競技、十種競技は中村明彦(スズキAC)が7739点で3年ぶり3度目の優勝を果たした。初日を2位で終えた中村は、2日目110mハードルで14秒21(+0.7)、棒高跳4m90など得点を稼ぎ、最後は9種目めまででトップにたった右代啓祐(国士舘クラブ)と1500mでおよそ22秒差をつけて勝てば勝てる状況。1500mを得意とする中村は終始先頭を走り、右代に差をつけて逆転勝ちした。
「つらかった」と第一声。1ヵ月前に左ハムストリングスを肉離れして臨んだ今大会。初日を終えた段階で「もう引退も近いのか」と思うほど苦しかったと本音も漏れた。それでも、「順位を考えないというのはこういうことか、と。学生の頃を思い出した」と自分のことに集中。書き出した種目の目標値「14秒20、35m、4m90、53m、4分30秒」を目指してひた走った。「それをだいたいクリアできた。やり投が終わるまで、まったく順位や点差を気にしていなかった」と振り返る。しぶとく巻き返したところに、「ベテランらしい戦い方ができた」と充実の表情を浮かべる。
9月11日に娘の翠杏ちゃんが誕生。「頭がこのメダルくらいの大きさ」と笑い、「今日の優勝の原動力ということにしておきましょう」と“パパの顔”を見せた。10月で30歳を迎える中村。「右代さんはこういう気持ちで戦ってきたのか、と改めて尊敬します。練習ができても回復に時間がかかる。終わりが見えるかもしれないけど、まだまだ終わらないぞ、と」。東京五輪に向けて、「室内シーズンを経て、アジア選手権、日本選手権など見据えていきたい」と次のシーズンを見据えて準備に入る。
2位の右代は7684点。「人生で一番つらい1500mだった」と疲労困憊。棒高跳の練習で左足首を捻挫するなど、厳しい状況の中で「2位でよかった」とホッとした様子。2日間を戦い終え「心の面ですっきりした」とも。大舞台で「大きな失敗をするとこうういうことになる。前進するためにチャレンジして、同じ失敗をしないように」と右代。「連覇が途絶えたので、またイチから。10回優勝に向けてやっていきたい」とあくなき向上心を見せた。
7619点(学生歴代9位)の自己新をマークした田上駿(順大院)が3位。得意の110mハードルや1500mで見せ場を作り、砲丸投でベスト。「インカレからすぐで自己ベストで、持ち味も出せた」と言い、最後はメダルをつかみ取り感極まった。
U20混成の十種競技は、昨年のインターハイ八種競技王者、池田塁(国士大)が6750点で優勝。「全体的に自己ベストに近い記録でこなせたのでよかったです」と、手応えたっぷり。特に砲丸投(6kg)、棒高跳、やり投はベスト。「1500mで最後たれてしまったのが悔しい」と、目標にしていた6800点に届かず。「来年は日本インカレ入賞、4年目に右代さんの記録に近づけるように」と飛躍を誓った。
■日本選手権 十種競技上位成績
1 中村明彦(スズキAC) 7730点
11秒02ー7m08ー12m42ー1m97ー49秒39ー14秒21ー35m99ー4m90ー52m33ー4分27秒06
2 右代啓祐(国士舘クラブ)7684点
3 田上 駿(順大院)7619点t
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
2024.11.22
田中希実が来季『グランドスラム・トラック』参戦決定!マイケル・ジョンソン氏が新設
2024.11.21
早大競走部駅伝部門が麹を活用した食品・飲料を手がける「MURO」とスポンサー契約締結
2024.11.21
立迫志穂が調整不良のため欠場/防府読売マラソン
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
2024.11.17
不破聖衣来が香港で10kmレースに出場 9位でフィニッシュ
2024.11.20
【箱根駅伝2025名鑑】早稲田大学
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
2024.11.01
吉田圭太が住友電工を退部 「充実した陸上人生を歩んでいきたい」競技は継続
2024.11.07
アシックスから軽量で反発性に優れたランニングシューズ「NOVABLAST 5」が登場!
-
2024.10.27
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2024.11.22
田中希実が来季『グランドスラム・トラック』参戦決定!マイケル・ジョンソン氏が新設
来春、開幕する陸上リーグ「グランドスラム・トラック」の“レーサー”として、女子中長距離の田中希実(New Balance)が契約したと発表された。 同大会は1990年代から2000年代に男子短距離で活躍したマイケル・ジョ […]
2024.11.21
早大競走部駅伝部門が麹を活用した食品・飲料を手がける「MURO」とスポンサー契約締結
11月21日、株式会社コラゾンは同社が展開する麹専門ブランド「MURO」を通じて、早大競走部駅伝部とスポンサー契約を結んだことを発表した。 コラゾン社は「MURO」の商品である「KOJI DRINK A」および「KOJI […]
2024.11.21
立迫志穂が調整不良のため欠場/防府読売マラソン
第55回防府読売マラソン大会事務局は、女子招待選手の立迫志穂(天満屋)が欠場すると発表した。調整不良のためとしている。 立迫は今年2月の全日本実業団ハーフマラソンで1時間11分16秒の11位。7月には5000m(15分3 […]
2024.11.20
M&Aベストパートナーズに中大・山平怜生、城西大・栗原直央、國學院大・板垣俊佑が内定!神野「チーム一丸」
神野大地が選手兼監督を務めるM&Aベストパートナーズが来春入社選手として、中大・山平怜生、國學院大・板垣俊佑、城西大・栗原直央の3人が内定した。神野が自身のSNSで内定式の様子を伝えている。 山平は宮城・仙台育英 […]
2024.11.20
第101回(2025年)箱根駅伝 出場チーム選手名鑑
・候補選手は各チームが選出 ・情報は11月20日時点、チーム提供および編集部把握の公認記録を掲載 ・選手名の一部漢字で対応外のものは新字で掲載しています ・過去箱根駅伝成績で関東学生連合での出場選手は相当順位を掲載 ・一 […]
Latest Issue 最新号
2024年12月号 (11月14日発売)
全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
高校駅伝都道府県大会ハイライト
全日本35㎞競歩高畠大会
佐賀国民スポーツ大会