2023.12.30
福士湊 PROFILE
◎ふくし・みなと/2005年6月8生まれ。東京都出身。八王子二中―明星学園高(東京)。小学1年で陸上を始め、あきるのかけっこクラブに在籍していた6年時には、2017年全国小学生交流大会に走高跳で出場している。中学3年時の2020年には、コロナ禍で中止となった全中の代替大会として行われた全国中学生大会を優勝している。高校入学後は1年時こそ、U18大会出場にとどまったが、2年時にはインターハイ、国体少年共通ではいずれも4位入賞を果たし、U18大会は5位入賞。高校ラストシーズンとなった2023年はU20日本選手権、インターハイ、国体少年共通と主要全国大会をいずれも優勝した。主な自己ベストは走高跳2m17(23年)、100m11秒07(23年)

23年インターハイで高校日本一に輝いた福士湊選手
2023年は全国大会3冠
――2023年が終わります。この1年でどんなところが成長したと感じますか。 福士 メンタルに加え、身体が動かない状況でもひと踏ん張りできた体力面ですね。あまり得意ではなかった助走もカーブもうまく走れるようになった技術的な成長もあります。そういう意味では総合的にレベルアップできた気がします。 ――そもそもですが、2023年の目標を教えてください。 福士 昨年(22年)のインターハイで悔しい思い(4位)をしたので、全国大会で全部勝ちたいなと。U20日本選手権、インターハイ、国体の3冠が目標でした。記録面では顧問の比留間修吾先生の高校時代の記録(2m17)より上に行けたらうれしいと思いましたが、記録より勝ちたい気持ちのほうが強かったですね。 ――6月のU20日本選手権では2m14の自己ベストでまず1つ目の全国大会を制しました。 福士 比留間先生が不在で、いつものようにスマホやタブレットで録画してもらった動画を見ながら指示をいただくことがない状態でした。先生には「自分の考えだけでやってみたい」と伝えていたので、1本ずつ丁寧に臨み、少しずつ修正を入れながら進めました。U20日本選手権では助走から踏み切りの流れが良く、そこで勝てたことがインターハイや国体につながったと思います。 ――その後、インターハイ南関東大会で2m17の自己新。さらに、7月中旬にはU20フランス選手権に出場しました。 福士 海外に行くのが初めてで、自己記録に近い結果を出したかったですが、天候も荒れていたのでイメージ通りに行かないだろうとも思っていました。実際は想像以上に跳べませんでしたが、この遠征を経験したことでメンタルが成長できたと思います。 ――インターハイでは2m12で頂点に立ちました。 福士 それぞれの高さを1回目で跳ぶのが、僕の強みというか勝ちです。勝っている試合は、だいたい1回で跳んで次の高さに進めていく感じなので、インターハイでもそれがうまくいきました。優勝した後に記録を出せない所がまだまだ未熟ですが、優勝が決まった時はうれしくて、少し涙が出てしまいそうでした。 ――インターハイの後は日韓中ジュニア交流競技会もありました。 福士 助走を安定させるという課題を修正することがテーマで、とにかく勝ちたいと臨みました。初めてJAPANのユニフォームを着られることがうれしい反面、いろいろなものがのしかかって緊張もしました。なかなか自分の跳躍ができませんでしたが、日本のユニフォームを着ている以上、負けられないという思いでひと踏ん張りできた感じです。 ――10月の国体でも優勝し、ついに3冠を達成しました。 福士 国体は最初の高さで1回目を失敗してしまい、自分の勝ち筋ではなく、先行される展開で「負けてしまうかも」と思っていました。でも、終盤の勝負どころで逆転し、いつもとは違う勝ち方で優勝できたのがうれしかったし、自信になりました。 ――現在は冬季練習の最中ですね。 福士 自分は踏み切りがまだ弱いので、基礎体力を上げることで踏み切りの強さを出そうと考えています。走り込むことで、助走で自分の出したいスピードを気持ちよく出せるようにして、しっかり踏み切れるだけの身体能力や基礎体力をつけようと思って練習しています。 ――24年シーズンの目標を教えてください。 福士 4月から東海大に進む予定です。1年目の関東インカレや日本インカレは経験を積むという感じで、一番の目標はU20世界選手権に出場することです。できれば2m25以上は跳びたいという思いがあります。父の影響で陸上を始める
――陸上を始めたきっかけを教えてください。 福士 父(直樹さん)が走高跳の選手だったこともあって、小学1年生で週1回の陸上クラブに通い始め、6年生の時に走高跳の大会に出たら2位になりました。そこから全国大会に出たら惨敗。それが悔しくて中学校で本格的に陸上をやることになりました。 ――中3の時に2020年全国中学生大会で優勝しました。 福士 楽しくやるのは前提で、中1の頃から全国優勝することを目標にしていました。最初の頃は僕より脚が遅い子に負けたりして、悩んだり泣いたりしたこともあります。負けず嫌いなので、負けたことはずっと覚えています。 ――明星学園高に進んだ経緯は。 福士 勧誘されたことに加え、比留間先生が父と同じ東海大出身で、指導方法も似ている感じがしたので決めました。 ――入学して陸上部の雰囲気や練習はいかがでしたか。 福士 明星学園の校風が自由で、先輩ともフランクな関係だったり、先生との距離が近かったりします。僕自身がそういう雰囲気の方が好きで、自分に合っていましたし、自分の意思をきちんと伝えれば、先生がそれに合った対応してくれる点でもうまく噛み合ったと思います。 ――普段の練習で意識していることを教えてください。 福士 自分は技術や体力の前に、「練習をしたくない」となるのが一番ダメだと思っています。だからみんなと楽しみながらコミュニケーションを取って、やるときはやると、メリハリをしっかりつけることをいつも意識しています。 ――走高跳の魅力は。 福士 トラック種目はみんなで一斉に走りますが、走高跳はスポットライトを浴びるのは1人です。走幅跳や投てき種目も1人ですが、記録が出るまでに時間がかかります。その点、走高跳は跳んだ瞬間に観客から歓声が上がるので気持ち良いです。その瞬間のために試合をやっていると言っても過言ではないと思っています。 ――目標の選手やあこがれの選手は。 福士 外国の選手はカッコいいなとは思いますが、あこがれという意味では、高校時代に2m17を跳んでいた比留間先生や、勉強して大学に進み、自分でメニューを考えながら練習して(1994年の)関東インカレ(1部)で優勝した父にあこがれています。 [caption id="attachment_125304" align="alignnone" width="800"]
福士湊 PROFILE
◎ふくし・みなと/2005年6月8生まれ。東京都出身。八王子二中―明星学園高(東京)。小学1年で陸上を始め、あきるのかけっこクラブに在籍していた6年時には、2017年全国小学生交流大会に走高跳で出場している。中学3年時の2020年には、コロナ禍で中止となった全中の代替大会として行われた全国中学生大会を優勝している。高校入学後は1年時こそ、U18大会出場にとどまったが、2年時にはインターハイ、国体少年共通ではいずれも4位入賞を果たし、U18大会は5位入賞。高校ラストシーズンとなった2023年はU20日本選手権、インターハイ、国体少年共通と主要全国大会をいずれも優勝した。主な自己ベストは走高跳2m17(23年)、100m11秒07(23年) [caption id="attachment_125305" align="alignnone" width="800"]
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