2023.12.29
2024年に箱根駅伝は第100回大会を迎える。記念すべき100回に向けて、これまでの歴史を改めて振り返る『Playback箱根駅伝』を企画。第1回大会から第99回大会まで、大会の様子を刻んでいく。(所属などは当時のもの)
第91回(2015年/平成27年)
5区・神野大地が“柏原超え” 創価大が初出場
10月の出雲駅伝が台風で中止となり、11月の全日本大学駅伝は駒大が史上2校目の4連覇を達成。駒大は10000m27分台のエース・村山謙太(4年)や同28分05秒79の主将・中村匠吾(4年)らを擁し、優勝候補筆頭に挙げられていた。
記念大会だった前年と異なり、出場校は21チーム。2003年から13年まで出場していた選抜チームが、2年ぶりに「関東学生連合」という名称で復活した。また、箱根山中にある函嶺洞門が通行禁止となったことにより、5区と6区の距離が20mずつ延長(実際には再計測により5区は200m短縮)。それぞれ区間記録がリセットされた。
10月の予選会では前回出場校の法大、東農大、専大、国士大が姿を消した一方で、本格強化26年目の創価大が10位で本戦初出場を決めた。
1区は13人の集団のまま15kmを43分51秒で通過。直後に青学大の久保田和真(3年)が一気のギアチェンジで仕掛けると、駒大・中村、東洋大・田口雅也(4年)、明大・横手健(3年)だけが対応して4人に絞り込まれた。18.7kmで田口が仕掛けたものの、3人を振り切れず、19.6kmで今度は一時集団から離れかけていた中村がスパート。ここで田口と横手はついていけず、久保田だけが粘りを見せたが、残り1kmを切って中村が再度抜け出した。優勝候補筆頭の駒大が12年ぶりに1区区間賞を獲得し、1秒差で久保田、7秒差で横手が続いた。
2区では駒大の村山謙太(4年)、東洋大の服部勇馬(3年)、青学大の一色恭志(2年)と各世代を代表する選手が先頭争いを繰り広げる。序盤は村山がほぼ同時にスタートした一色を突き放して独走態勢を築いたが、後方から迫りくる服部が5.4kmで村山に追いつき、しばらく並走が続く。19.1kmでスパートを放った服部がリードを広げ、トップで中継。中継所手前では一色が村山に追いつき、先頭から2秒差でほぼ同時に中継所に飛び込んだ。区間賞は服部が獲得し、16位から8人抜きを見せた城西大の村山紘太(4年)が区間2位で双子の兄・謙太に3秒差で“勝利”した。
3区では駒大の中谷圭佑(2年)が先頭に立ち、首位を独走。一時、後方から迫りくる明大の有村優樹(4年)に8秒差まで迫られるも、ラストで鋭いスパートを炸裂させてトップを死守した。区間賞は中谷が前年の4区に続いて獲得し、有村はわずか1秒差の区間2位に涙を流した。先頭から49秒差の3位で青学大、その3秒差で東洋大が続き、そこから5位の早大までは1分28秒もの差がついた。
4区では駒大の工藤有生(1年)が首位を独走する一方で、青学大の田村和希(1年)が明大の松井智靖(4年)に追いついて2位争いを展開。工藤と田村は区間記録(54分35秒)を上回るペースで推移し、先に中継所に着いた工藤が54分31秒で区間新を達成。しかし、2位争いを1秒差で制した田村が54分28秒で工藤を上回り、区間賞と“区間記録保持者”の称号を手にした。前回王者の東洋大は先頭から1分36秒差の4位とやや出遅れた。
そして5区では新たなる山のヒーローが誕生した。青学大の神野大地(3年)が46秒前でスタートした駒大の馬場翔大(3年)に10.2km過ぎで追いつくと、200mほど並走したのち突き放していく。神野はそのまま2012年に柏原竜二(東洋大)が樹立した“参考記録”の1時間16分39秒を上回るペースで山を駆け上がり、リードを大きく広げて芦ノ湖のフィニッシュへ。
そのタイムは衝撃の「1時間16分15秒」。区間2位に2分30秒の差をつけ、青学大に初の往路優勝をもたらした。
往路2位は4分59秒差で明大が入り、さらに1分50秒差で東洋大が3位。駒大の馬場は22km手前からふらつき始め、最後は地面に何度も手を着きながら歩くように4位でフィニッシュへたどり着いた。また、8位以下のチームが先頭から10分以上の大差がついたことで、13チームが復路一斉スタートとなる事態となった。
迎えた復路。青学大は約5分のセーフティーリードを守るどころか、さらに大きく広げていく。
氷点下5.6度という厳しい寒さに見舞われた中でスタートした6区では村井駿(3年)が区間2位と好走。2位の明大との差を5分42秒に広げると、7区の小椋裕介(3年)、8区の高橋宗司(4年)、9区の藤川拓也(4年)と3連続区間賞でライバル校につけ入る隙を与えない。10区の安藤悠哉(2年)も区間2位と盤石の走りで締め、青学大が圧巻の継走で初の総合優勝を達成した。総合タイムの「10時間49分27秒」は、参考記録ながらも2012年に東洋大がマークした10時間51分36秒を2分以上も上回る“史上最速”だった。
7区の小椋裕介(左)から8区の高橋宗司へのタスキリレー。高橋は2年時の8区に続く2度目の区間賞獲得だった
2位争いも激戦となり、6区と7区で1つずつ順位を上げた駒大が2年連続の準V。往路3位の東洋大は6区と9区で一時4位まで落としたものの、トップ3を確保した。大六野秀畝、有村、松井、文元慧、山田速人ら“最強世代”の4年生を擁した明大は4位にとどまった。
5位に早大が入り、6位の東海大は2011年に両角速駅伝監督が就任して以降では初のシード権獲得。7位は10区で寺田博英(4年)が区間賞の快走を見せた城西大で、前回19位、予選会9位通過から大躍進を遂げた。
9位の山梨学大はケニア人留学生のエノック・オムワンバ(3年)をケガで欠き、2区終了時で最下位(20位)と大幅に出遅れたが、3区の井上大仁(4年)から徐々に追い上げを見せて総合9位で3年ぶりシード権をつかんだ。
大会最優秀選手に贈られる金栗四三杯は青学大の神野が受賞。青学大は出走10人中8人が3年生以下で、来たる“黄金時代”の幕開けを告げる大会となった。
第91回(2015年/平成27年) 5区・神野大地が“柏原超え” 創価大が初出場
10月の出雲駅伝が台風で中止となり、11月の全日本大学駅伝は駒大が史上2校目の4連覇を達成。駒大は10000m27分台のエース・村山謙太(4年)や同28分05秒79の主将・中村匠吾(4年)らを擁し、優勝候補筆頭に挙げられていた。 記念大会だった前年と異なり、出場校は21チーム。2003年から13年まで出場していた選抜チームが、2年ぶりに「関東学生連合」という名称で復活した。また、箱根山中にある函嶺洞門が通行禁止となったことにより、5区と6区の距離が20mずつ延長(実際には再計測により5区は200m短縮)。それぞれ区間記録がリセットされた。 10月の予選会では前回出場校の法大、東農大、専大、国士大が姿を消した一方で、本格強化26年目の創価大が10位で本戦初出場を決めた。 1区は13人の集団のまま15kmを43分51秒で通過。直後に青学大の久保田和真(3年)が一気のギアチェンジで仕掛けると、駒大・中村、東洋大・田口雅也(4年)、明大・横手健(3年)だけが対応して4人に絞り込まれた。18.7kmで田口が仕掛けたものの、3人を振り切れず、19.6kmで今度は一時集団から離れかけていた中村がスパート。ここで田口と横手はついていけず、久保田だけが粘りを見せたが、残り1kmを切って中村が再度抜け出した。優勝候補筆頭の駒大が12年ぶりに1区区間賞を獲得し、1秒差で久保田、7秒差で横手が続いた。 2区では駒大の村山謙太(4年)、東洋大の服部勇馬(3年)、青学大の一色恭志(2年)と各世代を代表する選手が先頭争いを繰り広げる。序盤は村山がほぼ同時にスタートした一色を突き放して独走態勢を築いたが、後方から迫りくる服部が5.4kmで村山に追いつき、しばらく並走が続く。19.1kmでスパートを放った服部がリードを広げ、トップで中継。中継所手前では一色が村山に追いつき、先頭から2秒差でほぼ同時に中継所に飛び込んだ。区間賞は服部が獲得し、16位から8人抜きを見せた城西大の村山紘太(4年)が区間2位で双子の兄・謙太に3秒差で“勝利”した。 3区では駒大の中谷圭佑(2年)が先頭に立ち、首位を独走。一時、後方から迫りくる明大の有村優樹(4年)に8秒差まで迫られるも、ラストで鋭いスパートを炸裂させてトップを死守した。区間賞は中谷が前年の4区に続いて獲得し、有村はわずか1秒差の区間2位に涙を流した。先頭から49秒差の3位で青学大、その3秒差で東洋大が続き、そこから5位の早大までは1分28秒もの差がついた。 4区では駒大の工藤有生(1年)が首位を独走する一方で、青学大の田村和希(1年)が明大の松井智靖(4年)に追いついて2位争いを展開。工藤と田村は区間記録(54分35秒)を上回るペースで推移し、先に中継所に着いた工藤が54分31秒で区間新を達成。しかし、2位争いを1秒差で制した田村が54分28秒で工藤を上回り、区間賞と“区間記録保持者”の称号を手にした。前回王者の東洋大は先頭から1分36秒差の4位とやや出遅れた。 そして5区では新たなる山のヒーローが誕生した。青学大の神野大地(3年)が46秒前でスタートした駒大の馬場翔大(3年)に10.2km過ぎで追いつくと、200mほど並走したのち突き放していく。神野はそのまま2012年に柏原竜二(東洋大)が樹立した“参考記録”の1時間16分39秒を上回るペースで山を駆け上がり、リードを大きく広げて芦ノ湖のフィニッシュへ。 そのタイムは衝撃の「1時間16分15秒」。区間2位に2分30秒の差をつけ、青学大に初の往路優勝をもたらした。 往路2位は4分59秒差で明大が入り、さらに1分50秒差で東洋大が3位。駒大の馬場は22km手前からふらつき始め、最後は地面に何度も手を着きながら歩くように4位でフィニッシュへたどり着いた。また、8位以下のチームが先頭から10分以上の大差がついたことで、13チームが復路一斉スタートとなる事態となった。 迎えた復路。青学大は約5分のセーフティーリードを守るどころか、さらに大きく広げていく。 氷点下5.6度という厳しい寒さに見舞われた中でスタートした6区では村井駿(3年)が区間2位と好走。2位の明大との差を5分42秒に広げると、7区の小椋裕介(3年)、8区の高橋宗司(4年)、9区の藤川拓也(4年)と3連続区間賞でライバル校につけ入る隙を与えない。10区の安藤悠哉(2年)も区間2位と盤石の走りで締め、青学大が圧巻の継走で初の総合優勝を達成した。総合タイムの「10時間49分27秒」は、参考記録ながらも2012年に東洋大がマークした10時間51分36秒を2分以上も上回る“史上最速”だった。 7区の小椋裕介(左)から8区の高橋宗司へのタスキリレー。高橋は2年時の8区に続く2度目の区間賞獲得だった 2位争いも激戦となり、6区と7区で1つずつ順位を上げた駒大が2年連続の準V。往路3位の東洋大は6区と9区で一時4位まで落としたものの、トップ3を確保した。大六野秀畝、有村、松井、文元慧、山田速人ら“最強世代”の4年生を擁した明大は4位にとどまった。 5位に早大が入り、6位の東海大は2011年に両角速駅伝監督が就任して以降では初のシード権獲得。7位は10区で寺田博英(4年)が区間賞の快走を見せた城西大で、前回19位、予選会9位通過から大躍進を遂げた。 9位の山梨学大はケニア人留学生のエノック・オムワンバ(3年)をケガで欠き、2区終了時で最下位(20位)と大幅に出遅れたが、3区の井上大仁(4年)から徐々に追い上げを見せて総合9位で3年ぶりシード権をつかんだ。 大会最優秀選手に贈られる金栗四三杯は青学大の神野が受賞。青学大は出走10人中8人が3年生以下で、来たる“黄金時代”の幕開けを告げる大会となった。第91回箱根駅伝総合成績をチェック
●総合成績 1位 青学大 10時間49分27秒 2位 駒大 11時間00分17秒 3位 東洋大 11時間01分22秒 4位 明大 11時間01分57秒 5位 早大 11時間02分15秒 6位 東海大 11時間07分08秒 7位 城西大 11時間08分15秒 8位 中央学大11時間09分18秒 9位 山梨学大11時間10分43秒 10位 大東大 11時間11分15秒 11位 順大 11時間13分30秒 12位 順大 11時間13分32秒 13位 日大 11時間17分59秒 14位 國學院大11時間18分12秒 15位 日体大 11時間18分24秒 16位 拓大 11時間18分24秒 17位 神奈川大11時間18分47秒 18位 上武大 11時間18分53秒 19位 中大 11時間20分51秒 20位 創価大 11時間31分40秒 - 関東学生連合 11時間19分12秒 ●区間賞 1区 中村匠吾(駒大) 1時間02分00秒 2区 服部勇馬(東洋大) 1時間07分32秒 3区 中谷圭佑(駒大) 1時間02分40秒 4区 田村和希(青学大) 54分28秒 5区 神野大地(青学大) 1時間16分15秒 6区 三浦雅裕(早大) 58分31秒 7区 小椋裕介(青学大) 1時間02分40秒 8区 高橋宗司(青学大) 1時間05分31秒 9区 藤川拓也(青学大) 1時間08分04秒 10区 寺田博英(城西大) 1時間10分01秒RECOMMENDED おすすめの記事
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