2023.12.28
2024年に箱根駅伝は第100回大会を迎える。記念すべき100回に向けて、これまでの歴史を改めて振り返る『Playback箱根駅伝』を企画。第1回大会から第99回大会まで、大会の様子を刻んでいく。(所属などは当時のもの)
第87回(2011年/平成23年)
早大が18年ぶり頂点!出雲、全日本と3冠達成
3連覇を狙う東洋大と、出雲・全日本の両駅伝を制して3冠を狙う早大が“2強”とされ、それを駒大、日体大、明大らが追う構図。10月の予選会では前回出場校の大東大、法大、亜細亜大が敗退した一方で、國學院大が4年ぶり、拓大と神奈川大が2年ぶりに本戦に返り咲いた。
1区は1km過ぎに早大・大迫傑(1年)が抜け出し、日大・堂本尚寛(3年)だけが追走する展開。3位以下はスローペースで牽制し合い、みるみるうちに差が開いていった。大迫は11.5kmで堂本を引き離すと完全に独走状態となり、2位の堂本に54秒差をつけて区間賞を獲得。堂本から約1分遅れで駒大、日体大、中央学大と続いた。
各校のエースたちが快走を見せた2区。特に光ったのが東海大・村澤明伸(2年)だ。最下位(20位)でタスキを受け取ると、中間地点までに16人を抜いて4位に浮上。そこからは拓大のジョン・マイナ(1年)としばらく併走したものの、振り切って17人抜きを達成した。明大の鎧坂哲也も15位から11人抜き、青学大の出岐雄大(2年)も16位から5位まで順位を上げ、マイナは終盤に失速したものの、17位から7位まで順位を上げる力走を見せた。
続く3区では山梨学大のオンディバ・コスマス(3年)が区間トップの快走で15位から4位に浮上。4区では帝京大の西村知修(4年)が区間新記録の走りで15位から8位に押し上げた。その一方で、上位争いは早大が2区以降も首位を独走し、4区終了時で東海大が2位、東洋大が3位、明大が4位、駒大が5位、日体大が6位と実力校が順位を上げていった。
早大の5区・猪俣英希(4年)は悠々と山を駆け上がっていったが、この年も東洋大・柏原竜二(3年)が「山の神」の異名にふさわしい走りを見せた。タスキを受け取った時点で先頭とは2分54秒差があったが、7km手前で2位の東海大を、16km過ぎに首位の早大・猪俣をかわし、そのまま3年連続となる往路優勝のフィニッシュを飾った。しかし、猪俣も粘ってその差を27秒で抑え、復路での逆転劇をお膳立て。東洋大と早大は2003年に山梨学大がマークした往路記録を8年ぶりに更新した。
6区では東洋大と早大による一騎打ちとなり、途中で転倒のアクシデントがあった早大の高野寛基(4年)が意地の走りで東洋大を突き放し、首位を奪還。なお、この区間では駒大の千葉健太(2年)が従来の記録を10秒上回る区間新記録(58分11秒)をマークして5位から3位に上がっている。
続く7区では早大の三田裕介(3年)が区間2位の好走で東洋大に1分24秒差をつけ、勝負あったかと思われたが、そこから東洋大が粘りを見せた。8区の千葉優(4年)、9区の田中貴章(3年)、10区の山本憲二(3年)が3連続区間賞の走りで早大を猛追。一時は100m差まで迫ったものの、早大も復路全員が区間3位以内と意地を見せ、18年ぶり13度目の総合優勝を手にした。2位・東洋大との差「21秒」は史上最小だった。
3位以下は駒大、東海大、明大と続き、明大が48年ぶりのトップ5。拓大が過去最高の7位に食い込み、熾烈を極めたシード権争いは8位集団に4チームが固まり、1チームがシード権を逃す展開に。混戦模様が続いたものの、残り150mで國學院大の寺田夏生(1年)がコースを間違えるハプニングが発生。寺田は一時完全に集団から後れたものの、最後の最後で城西大をかわして10位を確保。城西大はわずか3秒差でシード権を逃した。
大会MVPにあたる金栗四三杯は2区で17人抜きを見せた村澤が受賞。早大は1990年度の大東大、2000年度の順大に続く史上3校目の「3冠」を達成し、東洋大は区間賞を4つも獲得しながら、3連覇を逃した。
参考文献:箱根駅伝90回記念誌(関東学生連盟)
第87回(2011年/平成23年) 早大が18年ぶり頂点!出雲、全日本と3冠達成
3連覇を狙う東洋大と、出雲・全日本の両駅伝を制して3冠を狙う早大が“2強”とされ、それを駒大、日体大、明大らが追う構図。10月の予選会では前回出場校の大東大、法大、亜細亜大が敗退した一方で、國學院大が4年ぶり、拓大と神奈川大が2年ぶりに本戦に返り咲いた。 1区は1km過ぎに早大・大迫傑(1年)が抜け出し、日大・堂本尚寛(3年)だけが追走する展開。3位以下はスローペースで牽制し合い、みるみるうちに差が開いていった。大迫は11.5kmで堂本を引き離すと完全に独走状態となり、2位の堂本に54秒差をつけて区間賞を獲得。堂本から約1分遅れで駒大、日体大、中央学大と続いた。 各校のエースたちが快走を見せた2区。特に光ったのが東海大・村澤明伸(2年)だ。最下位(20位)でタスキを受け取ると、中間地点までに16人を抜いて4位に浮上。そこからは拓大のジョン・マイナ(1年)としばらく併走したものの、振り切って17人抜きを達成した。明大の鎧坂哲也も15位から11人抜き、青学大の出岐雄大(2年)も16位から5位まで順位を上げ、マイナは終盤に失速したものの、17位から7位まで順位を上げる力走を見せた。 続く3区では山梨学大のオンディバ・コスマス(3年)が区間トップの快走で15位から4位に浮上。4区では帝京大の西村知修(4年)が区間新記録の走りで15位から8位に押し上げた。その一方で、上位争いは早大が2区以降も首位を独走し、4区終了時で東海大が2位、東洋大が3位、明大が4位、駒大が5位、日体大が6位と実力校が順位を上げていった。 早大の5区・猪俣英希(4年)は悠々と山を駆け上がっていったが、この年も東洋大・柏原竜二(3年)が「山の神」の異名にふさわしい走りを見せた。タスキを受け取った時点で先頭とは2分54秒差があったが、7km手前で2位の東海大を、16km過ぎに首位の早大・猪俣をかわし、そのまま3年連続となる往路優勝のフィニッシュを飾った。しかし、猪俣も粘ってその差を27秒で抑え、復路での逆転劇をお膳立て。東洋大と早大は2003年に山梨学大がマークした往路記録を8年ぶりに更新した。 6区では東洋大と早大による一騎打ちとなり、途中で転倒のアクシデントがあった早大の高野寛基(4年)が意地の走りで東洋大を突き放し、首位を奪還。なお、この区間では駒大の千葉健太(2年)が従来の記録を10秒上回る区間新記録(58分11秒)をマークして5位から3位に上がっている。 続く7区では早大の三田裕介(3年)が区間2位の好走で東洋大に1分24秒差をつけ、勝負あったかと思われたが、そこから東洋大が粘りを見せた。8区の千葉優(4年)、9区の田中貴章(3年)、10区の山本憲二(3年)が3連続区間賞の走りで早大を猛追。一時は100m差まで迫ったものの、早大も復路全員が区間3位以内と意地を見せ、18年ぶり13度目の総合優勝を手にした。2位・東洋大との差「21秒」は史上最小だった。 3位以下は駒大、東海大、明大と続き、明大が48年ぶりのトップ5。拓大が過去最高の7位に食い込み、熾烈を極めたシード権争いは8位集団に4チームが固まり、1チームがシード権を逃す展開に。混戦模様が続いたものの、残り150mで國學院大の寺田夏生(1年)がコースを間違えるハプニングが発生。寺田は一時完全に集団から後れたものの、最後の最後で城西大をかわして10位を確保。城西大はわずか3秒差でシード権を逃した。 大会MVPにあたる金栗四三杯は2区で17人抜きを見せた村澤が受賞。早大は1990年度の大東大、2000年度の順大に続く史上3校目の「3冠」を達成し、東洋大は区間賞を4つも獲得しながら、3連覇を逃した。 参考文献:箱根駅伝90回記念誌(関東学生連盟)第87回箱根駅伝総合成績をチェック
●総合成績 1位 早大 10時間59分51秒 2位 東洋大 11時間00分12秒 3位 駒大 11時間03分53秒 4位 東海大 11時間08分12秒 5位 明大 11時間08分24秒 6位 中大 11時間11分24秒 7位 拓大 11時間11分28秒 8位 日体大 11時間13分19秒 9位 青学大 11時間13分20秒 10位 國學院大 11時間13分23秒 11位 城西大 11時間13分26秒 12位 山梨学大 11時間13分50秒 13位 帝京大 11時間14分21秒 14位 東農大 11時間15分43秒 15位 神奈川大 11時間16分37秒 16位 中央学大 11時間19分00秒 17位 専大 11時間21分05秒 18位 関東学連選抜 11時間21分17秒 19位 上武大 11時間25分11秒 20位 日大 11時間28分00秒 ●区間賞 1区 大迫傑(早大) 1時間02分22秒 2区 村澤明伸(東海大) 1時間06分52秒 3区 O.コスマス(山梨学大) 1時間02分19秒 4区 西村知修(帝京大) 54分34秒 5区 柏原竜二(東洋大) 1時間17分53秒 6区 千葉健太(駒大) 58分11秒 7区 窪田忍(駒大) 1時間03分43秒 8区 千葉優(東洋大) 1時間06分13秒 9区 田中貴章(東洋大) 1時間09分46秒 10区 山本憲二(東洋大) 1時間09分36秒
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