2023.12.26
2024年に箱根駅伝は第100回大会を迎える。記念すべき100回に向けて、これまでの歴史を改めて振り返る『Playback箱根駅伝』を企画。第1回大会から第99回大会まで、大会の様子を刻んでいく。(所属などは当時のもの)
第81回(2005年/平成17年)
東海大が初の往路優勝 明大が14年ぶりの箱根路
11月の全日本大学駅伝を制し、4連覇へ向けて順風満帆だった駒大に対し、出雲駅伝優勝、全日本2位と1974年以来となる箱根制覇へ戦力が整っていた日大、そしてスーパールーキーの上野裕一郎を加えて出雲・全日本で3位につけた中大による優勝争いが予想された第81回大会。
大会前のコース再計測によって総距離217.9kmと従来よりも1.5kmも長くなったが、コース自体の変更はなかった。
予選会を経て、明大が14年ぶりに、拓大と専大が2年ぶりに本戦復帰を果たした一方で、前回出場校では東農大、国士大、関東学院大が予選会敗退を喫した。
1区では前回区間賞の日体大・鷲見知彦(2年)がレースを引っ張り、中大の上野裕一郎(1年)が何度も仕掛ける展開へ。上野は8km付近で早くも遅れだし、先頭集団は終盤にある六郷橋の下りで亜細亜大・木許史博(4年)がスパートし、そこにただ一人反応できた東海大・丸山敬三(3年)が区間賞を獲得。木許は8秒差で区間2位、鷲見がさらに6秒差で3位と続き、中大は先頭から3分31秒差の19位スタートと苦しい幕開けとなった。
2区では先頭でタスキをもらった東海大のルーキー・伊達秀晃がすばらしい走りを見せた。この区間における1年生最高タイムである1時間8分04秒(区間2位)で走り抜け、後続との差を突き放した。区間賞は14位から12人抜きで2位に浮上した山梨学大のオンベチェ・モカンバ(4年)。1区で上位につけた亜細亜大と日体大が3位、4位で続き、2度目の出場となった城西大がこの時点で5位と健闘した。
東海大は3区の北沢賢悟(4年)、4区の一井裕介(3年)も区間3位と好走し、首位を独走。この間、3区のディラング・サイモン(1年)が区間賞を獲得した日大が2位につけ、駒大が徐々に順位を上げて3位まで押し上げた。
5区では駒大の村上和春(3年)が日大を抜き、先頭の東海大・越川秀宣(4年)の背中を射程圏内に捕らえる。しかし、越川はそこから粘りの走りを見せ、チーム初となる往路優勝を手にした。
往路2位は30秒差で駒大が入り、3位は日大。4位には15位から衝撃の11人抜きを見せた順大・今井正人(2年)が入り、史上初の“1時間10分切り”となる1時間09分12秒という破格の区間記録を打ち立てた。
6区では中大の野村俊輔(4年)が3年連続の区間賞を獲得。先頭争いは駒大がじわじわと東海大との差を詰め、その差を14秒とした。
そして7区では駒大の糟谷悟(3年)が東海大・角田貴則(4年)を捕らえ、ついに逆転。糟谷は区間賞の活躍で一気に1分06秒もの差をつけた。
駒大は8区の藤井輝(1年)が区間14位と苦戦して27秒差まで詰め寄られたが、9区の塩川雄也(4年)が区間記録を22秒上回る圧巻の走りで突き放し、勝負あり。10区の柴田尚輝(4年)が悠々と逃げ切り、圧巻の4連勝を成し遂げた。4区で区間賞を獲得した主将の田中宏樹(4年)と塩川は史上12人目、13人目となる“4連覇戦士”となった。
後続は接戦となり、最終10区で山田紘之(4年)が区間記録を49秒も更新する爆走を見せた日体大が16年ぶりの好成績となる2位。日大が3位を確保、1区19位から猛烈な追い上げを見せた中大が4位に入った。
シード権争いは神奈川大と早大の争いとなり、早大の高岡弘(3年)が従来の区間記録を14秒上回る快走で追い上げたが、神奈川大も主将の内野雅貴(4年)が区間5位と粘りの走りでシード権を死守し、10位でフィニッシュ。早大はわずか22秒差の11位と涙をのんだ。
前年から最優秀選手に与えられることになった金栗四三杯は5区で11人抜きの区間新記録を樹立した今井が受賞。のちに「山の神」と呼ばれる男が初めて脚光を浴びる大会となった。
参考文献:箱根駅伝90回記念誌(関東学生連盟)
第81回(2005年/平成17年) 東海大が初の往路優勝 明大が14年ぶりの箱根路
11月の全日本大学駅伝を制し、4連覇へ向けて順風満帆だった駒大に対し、出雲駅伝優勝、全日本2位と1974年以来となる箱根制覇へ戦力が整っていた日大、そしてスーパールーキーの上野裕一郎を加えて出雲・全日本で3位につけた中大による優勝争いが予想された第81回大会。 大会前のコース再計測によって総距離217.9kmと従来よりも1.5kmも長くなったが、コース自体の変更はなかった。 予選会を経て、明大が14年ぶりに、拓大と専大が2年ぶりに本戦復帰を果たした一方で、前回出場校では東農大、国士大、関東学院大が予選会敗退を喫した。 1区では前回区間賞の日体大・鷲見知彦(2年)がレースを引っ張り、中大の上野裕一郎(1年)が何度も仕掛ける展開へ。上野は8km付近で早くも遅れだし、先頭集団は終盤にある六郷橋の下りで亜細亜大・木許史博(4年)がスパートし、そこにただ一人反応できた東海大・丸山敬三(3年)が区間賞を獲得。木許は8秒差で区間2位、鷲見がさらに6秒差で3位と続き、中大は先頭から3分31秒差の19位スタートと苦しい幕開けとなった。 2区では先頭でタスキをもらった東海大のルーキー・伊達秀晃がすばらしい走りを見せた。この区間における1年生最高タイムである1時間8分04秒(区間2位)で走り抜け、後続との差を突き放した。区間賞は14位から12人抜きで2位に浮上した山梨学大のオンベチェ・モカンバ(4年)。1区で上位につけた亜細亜大と日体大が3位、4位で続き、2度目の出場となった城西大がこの時点で5位と健闘した。 東海大は3区の北沢賢悟(4年)、4区の一井裕介(3年)も区間3位と好走し、首位を独走。この間、3区のディラング・サイモン(1年)が区間賞を獲得した日大が2位につけ、駒大が徐々に順位を上げて3位まで押し上げた。 5区では駒大の村上和春(3年)が日大を抜き、先頭の東海大・越川秀宣(4年)の背中を射程圏内に捕らえる。しかし、越川はそこから粘りの走りを見せ、チーム初となる往路優勝を手にした。 往路2位は30秒差で駒大が入り、3位は日大。4位には15位から衝撃の11人抜きを見せた順大・今井正人(2年)が入り、史上初の“1時間10分切り”となる1時間09分12秒という破格の区間記録を打ち立てた。 6区では中大の野村俊輔(4年)が3年連続の区間賞を獲得。先頭争いは駒大がじわじわと東海大との差を詰め、その差を14秒とした。 そして7区では駒大の糟谷悟(3年)が東海大・角田貴則(4年)を捕らえ、ついに逆転。糟谷は区間賞の活躍で一気に1分06秒もの差をつけた。 駒大は8区の藤井輝(1年)が区間14位と苦戦して27秒差まで詰め寄られたが、9区の塩川雄也(4年)が区間記録を22秒上回る圧巻の走りで突き放し、勝負あり。10区の柴田尚輝(4年)が悠々と逃げ切り、圧巻の4連勝を成し遂げた。4区で区間賞を獲得した主将の田中宏樹(4年)と塩川は史上12人目、13人目となる“4連覇戦士”となった。 後続は接戦となり、最終10区で山田紘之(4年)が区間記録を49秒も更新する爆走を見せた日体大が16年ぶりの好成績となる2位。日大が3位を確保、1区19位から猛烈な追い上げを見せた中大が4位に入った。 シード権争いは神奈川大と早大の争いとなり、早大の高岡弘(3年)が従来の区間記録を14秒上回る快走で追い上げたが、神奈川大も主将の内野雅貴(4年)が区間5位と粘りの走りでシード権を死守し、10位でフィニッシュ。早大はわずか22秒差の11位と涙をのんだ。 前年から最優秀選手に与えられることになった金栗四三杯は5区で11人抜きの区間新記録を樹立した今井が受賞。のちに「山の神」と呼ばれる男が初めて脚光を浴びる大会となった。 参考文献:箱根駅伝90回記念誌(関東学生連盟)第81回箱根駅伝総合成績をチェック
●総合成績 1位 駒大 11時間03分48秒 2位 日体大 11時間07分23秒 3位 日大 11時間07分48秒 4位 中大 11時間07分49秒 5位 順大 11時間08分47秒 6位 東海大 11時間10分32秒 7位 亜細亜大11時間11分40秒 8位 法大 11時間13分53秒 9位 中央学大 11時間14分35秒 10位 神奈川大11時間14分49秒 11位 早大 11時間15分11秒 12位 大東大 11時間17分23秒 13位 東洋大 11時間18分45秒 14位 山梨学大11時間20分58秒 15位 城西大 11時間22分49秒 16位 帝京大 11時間25分03秒 17位 専大 11時間25分14秒 18位 明大 11時間28分23秒 19位 拓大 11時間35分08秒 OP 関東学連選抜11時間26分38秒 ●区間賞 1区 丸山敬三(東海大) 1時間02分52秒 2区 O.モカンバ(山梨学大)1時間07分47秒 3区 D.サイモン(日大) 1時間03分23秒 4区 田中宏樹(駒大) 1時間02分05秒 5区 今井正人(順大) 1時間09分12秒 6区 野村俊輔(中大) 1時間00分01秒 7区 糟谷悟(駒大) 1時間04分07秒 8区 奥田実(中大) 1時間04分26秒 9区 塩川雄也(駒大) 1時間08分38秒 10区 山田紘之(日体大) 1時間09分05秒
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