HOME 学生長距離

2023.12.24

箱根駅伝Stories/箱根出場の立役者、山梨学大・北村惇生「前回の記録を1分は縮めたい」
箱根駅伝Stories/箱根出場の立役者、山梨学大・北村惇生「前回の記録を1分は縮めたい」

最後の箱根に懸ける北村惇生(チーム提供)

5000m、ハーフマラソンで自己記録を更新

この1年でさらなる地力を上乗せした。何か特別なことを始めたり、変えたりしてない。就寝前の時間にスマートフォンを見ないこと、摂取するサプリメントを工夫すること、独自に映像を研究して上半身の動きなどを改良すること。以前からの取り組みの継続、上乗せだ。

北村は今季の成果として、ハーフマラソンと5000mの自己記録更新を誇る。ハーフマラソンは予選会という重圧のかかる場面での更新(1時間2分23秒)。これまであまり出場機会がなかった5000mで、高校2年以来となる更新(13分56秒67)が実はうれしい。

前回大会では3つのブレーキがありながらも14位に浮上した山梨学大。当時のエース・木山達哉(現・マツダ)、伊東大暉主将(現・西鉄)の取り組みに心動かされたと話す北村。そんな思いは内に秘め、走りで表現する。

往路の組み立てを重視するチーム事情の中、重要区間を任されるだろう。「4区であれば経験がある。前回を1分くらい縮められたらいい。3区など他の区間の場合は流れ次第で対応します」。

予選会ではハーフマラソンの自己新でチームを牽引した北村惇生

シード権獲得を目指す山梨学大には、“動じない男”北村がいる。

きたむら・すなお/2001年11月12日生まれ。広島県東広島市。広島・松賀中→世羅高。5000m13分56秒67、10000m28分41秒90、ハーフ1時間2分23秒

広告の下にコンテンツが続きます

文/奥村 崇

※記事に一部誤りがあったため修正いたしました。

新春の風物詩・箱根駅伝の100回大会に挑む出場全23校の選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。それぞれが歩んできた1年間の足跡をたどった。

箱根出場に貢献も笑顔はなし

山梨学大のエース格・北村惇生(4年)は、時間を経るごとに力をつけてきた。厳しい状況下でも落ち着いて対処できる選手。シード権獲得へ往路の重要区間を担いそうだ。 北村は箱根駅伝予選会で個人日本人7位。日本人上位争いを展開し、集団の先頭に立つなど積極的な走りが光った。山梨学大の総合結果が通過13校中13位での通過。しかも14位の東京国際大とはわずか3秒差だった。 北村の走りがなかったらどうなっていたか。結果発表で通過枠の最後に大学名が告げられた瞬間、チームメイトたちが喜びや脱力、号泣といった激しい反応を見せる中、北村は顔色を変えなかった。 「不遜な態度に見えてしまったかもしれませんね。3位以内の通過、本戦ではシードを目標にしてきて、これで喜んでいてはシード権は取れないのかなと思いました。隣のテントには東京国際大学もいたので……」。 本戦出場か予選落ちか。大きな分岐点となる瞬間に、北村は冷静に周囲を見ていた。 自身は山梨学大入学後に着実に力をつけてきた。2年時に登録メンバー入り。3年時の箱根駅伝予選会でジェームス・ムトゥクに次ぐチーム2位、日本人エースだった木山達哉を上回る走りを見せて注目された。 本戦では4区に出走。チームは3区で順位を落とし悪い流れでタスキを受けたが、「そこでネガティブな感情を持ってしまったら、自分がつなぐ次の5区に対しても申し訳ない」。前半を抑え、後半にビルドアップするプラン通りに、普段よりピッチを意識した走りで難所を攻略した。 1時間2分46秒で区間10位は、「初出場にしては上出来。62分46秒も好記録です。と同時に、上には上がいるんだなと思い知らされました」と振り返る。

5000m、ハーフマラソンで自己記録を更新

この1年でさらなる地力を上乗せした。何か特別なことを始めたり、変えたりしてない。就寝前の時間にスマートフォンを見ないこと、摂取するサプリメントを工夫すること、独自に映像を研究して上半身の動きなどを改良すること。以前からの取り組みの継続、上乗せだ。 北村は今季の成果として、ハーフマラソンと5000mの自己記録更新を誇る。ハーフマラソンは予選会という重圧のかかる場面での更新(1時間2分23秒)。これまであまり出場機会がなかった5000mで、高校2年以来となる更新(13分56秒67)が実はうれしい。 前回大会では3つのブレーキがありながらも14位に浮上した山梨学大。当時のエース・木山達哉(現・マツダ)、伊東大暉主将(現・西鉄)の取り組みに心動かされたと話す北村。そんな思いは内に秘め、走りで表現する。 往路の組み立てを重視するチーム事情の中、重要区間を任されるだろう。「4区であれば経験がある。前回を1分くらい縮められたらいい。3区など他の区間の場合は流れ次第で対応します」。 [caption id="attachment_124376" align="alignnone" width="900"] 予選会ではハーフマラソンの自己新でチームを牽引した北村惇生[/caption] シード権獲得を目指す山梨学大には、“動じない男”北村がいる。 きたむら・すなお/2001年11月12日生まれ。広島県東広島市。広島・松賀中→世羅高。5000m13分56秒67、10000m28分41秒90、ハーフ1時間2分23秒 文/奥村 崇 ※記事に一部誤りがあったため修正いたしました。

次ページ:

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2024.12.03

100mHパリ五輪代表の福部真子が「菊池病」を公表 高熱などと闘う 練習再開「失ったもんは取り返す」

菊池病を公表した福部真子の思いを綴ったコメント全文 この投稿をInstagramで見る Mako Fukube(@mk_028l)がシェアした投稿

NEWS やり投・北口榛花が今年も「変わり羽子板」に登場!「明るくなってほしい」と願い込め

2024.12.03

やり投・北口榛花が今年も「変わり羽子板」に登場!「明るくなってほしい」と願い込め

【写真】今年も北口榛花が羽子板に!パリ五輪金メダル この投稿をInstagramで見る 【人形の久月】official 雛人形・五月人形・羽子板・破魔弓(@kyugetsu.official)がシェアした投稿

NEWS 来年の東京デフリンピックへ向け熱戦!日本デフ選手権 国体出場歴もある佐々木琢磨が100m、200mで貫禄のV

2024.12.03

来年の東京デフリンピックへ向け熱戦!日本デフ選手権 国体出場歴もある佐々木琢磨が100m、200mで貫禄のV

聴覚障害のアスリートが競う第2回世界デフ国別・地域別対抗選手権(DAT)兼第21回日本デフ選手権が11月30日~12月1日に東京・駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場で行われた(ハンマー投のみ29日に大井で実施)。 […]

NEWS 1万mで塩尻和也が27分36秒37で1着タイ 山谷昌也27分50秒77 伊藤達彦、長嶋幸宝、鈴木健吾らも27分台/日体大長距離競技会

2024.12.02

1万mで塩尻和也が27分36秒37で1着タイ 山谷昌也27分50秒77 伊藤達彦、長嶋幸宝、鈴木健吾らも27分台/日体大長距離競技会

第13回NCG男子10000m成績 27分36秒37 P.キプラガット(愛三工業) 27分36秒37 塩尻和也(富士通) 27分37秒31 G.ロノ(GMOインターネットグループ) 27分42秒66 K.キプラガット(愛 […]

NEWS 東洋大男子長距離部門がセブン銀行と契約「日々挑戦する心で革新」箱根駅伝からロゴ入りユニ着用

2024.12.02

東洋大男子長距離部門がセブン銀行と契約「日々挑戦する心で革新」箱根駅伝からロゴ入りユニ着用

株式会社セブン銀行は12月2日、東洋大学陸上競技部男子長距離部門の公式トレーニングウェア・公式ユニフォームへのロゴ掲出に関する契約を締結したと発表した。 東洋大は箱根駅伝で優勝4度を誇り、19年連続シード権獲得中。スクー […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2024年12月号 (11月14日発売)

2024年12月号 (11月14日発売)

全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
高校駅伝都道府県大会ハイライト
全日本35㎞競歩高畠大会
佐賀国民スポーツ大会

page top