HOME 学生長距離

2023.12.23

箱根駅伝Stories/シード獲得のカギを握る大東大・久保田徹「最後まで追い込める走りをしていく」
箱根駅伝Stories/シード獲得のカギを握る大東大・久保田徹「最後まで追い込める走りをしていく」

10000mの大学新記録をマークし、絶好調の大東大・久保田(写真/小川誠志)

「初志貫徹」を示す最後の箱根

最終学年になり、それまで以上に食事や栄養面に意識を置くようにし、サプリメントなども活用するようになった。10月の予選会ではピーター・ワンジル(3年)が途中棄権するというアクシデントに見舞われたが、冷静に自分の走りに集中し、全体で16位、日本人6位、チーム内で2位の1時間2分23秒。2年連続のトップ通過に貢献した。

11月の全日本大学駅伝では3区を走り、ひとケタ順位の9位でタスキをつないだ。

大学を卒業後は実業団で競技を続ける。「トラック、ニューイヤー駅伝で結果を残した中で、将来的にはマラソンにも挑戦してみたい」と目標を語る。

2年間、成長を見守ってきた真名子監督は「久保田は『超』がつくほど真面目で気持ちの強い男。地道に努力して力をつけてきた。実業団でも、派手さはないけどいぶし銀みたいに息長く続け、最後にチャンスをつかむような選手になると思います」と教え子に大きな期待を寄せる。

最後の箱根駅伝、久保田は2区を希望している。各校のエースが集まる注目の区間で、区間10番以内が目標だ。表情を引き締め、意気込みを語る。

「箱根駅伝に出られる喜びをかみしめながら、自分のベストコンディションで走れるようにしていきたいです。2区は失速が一番怖い。しっかり自分の走りをして相手についていって、最後まで追い込める走りをしていく」

広告の下にコンテンツが続きます

座右の銘は「初志貫徹」。「自分の名前の『徹』という字も入っているし、自分に合っている言葉だなと思いました」とその理由を語る。高校3年の秋、大東大の予選会敗退を見て、「自分が大東大を復活させて箱根駅伝を走るんだ」と心に誓い、その志を貫き通した。

最後の箱根路、今度は自分の走りで大東大に9年ぶりのシード権を手繰り寄せてみせる。

11月の全日本大学駅伝ではチームのシード権獲得に貢献。箱根でも9年ぶりのシードを狙う

くぼた・とおる/2001年5月12日生まれ。埼玉県長瀞町出身。埼玉・長瀞中→聖望学園高。5000m13分43秒40、10000m28分09秒93

文/小川誠志

新春の風物詩・箱根駅伝の100回大会に挑む出場全23校の選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。それぞれが歩んできた1年間の足跡をたどった。

初めての箱根で感じた悔しさ

「終盤まで粘って、最後、ラストスパートで勝負する、それが自分の持ち味です。高校のときから粘りの走りを意識し、大切にしてきました」 久保田徹(4年)は自身のランナーとしての長所を力強く語る。12月2日の日体大長距離競技会10000mでは、その強みを存分に発揮。28分09秒93のタイムを出し、大学記録を更新した。 1学年後輩の西川千青(3年)が7月に28分25秒33で大東大記録を更新したときから、「自分も記録を破りたい」と狙っていた。8000mまでは力をため込み、残り2000mから仕掛けるというレースプラン通りに走り切った。 「前半の5000mを14分10秒を切るペースで進めて、後半の5000mを14分フラットぐらいで走ることができました。8000mまでは余裕を持っていけたのがよかったです。体調もコンディションもよく、条件がそろった中でいいレースができました」 真名子圭監督就任2年目の今季、大東大は全日本大学駅伝でも7位と18年ぶりにシード権を獲得した。今回の箱根駅伝では、2015年の第91回大会以来9年ぶりのシード権獲得を目指し燃えている。上昇気流に乗る長距離チームの中で、久保田は強い存在感を発揮している。 中学まではサッカーをプレーしていた。ポジションは左サイドバック。守備に攻撃にと、タッチライン際を往復していたことが現在の走力の源になっている。体力作りのために出場した地元の駅伝で好走したのをきっかけに、聖望学園高から誘いの声をかけられたことで、本格的に陸上競技に取り組むようになった。 高校2年時には都道府県対抗駅伝の埼玉県代表に選れ、4区区間19位。翌年の夏には5000mでインターハイにも出場した。多くの大学からスカウトを受けたが、早くから注目してくれていた大東大への進学を決める。 大学3年生だった昨季が飛躍のシーズンになった。トラックでは1500m、3000m、5000m、10000mで自己ベストを更新。10月の予選会でも自己ベストの1時間3分15秒でゴールし、大東大は1位通過で4年ぶり本大会出場を決めた。 1区を任された初めての箱根駅伝では、1時間3分24秒のタイムで区間15位。トップとは40秒差と粘りを見せたが、久保田にとっては悔しさの残るレースとなった。 「箱根駅伝に出場できたという喜びやうれしさもありましたけれど、悔しさの方が大きかったです。上のチームに勝っていくには、もっと練習や経験を積まないといけないと、改めて感じました」

「初志貫徹」を示す最後の箱根

最終学年になり、それまで以上に食事や栄養面に意識を置くようにし、サプリメントなども活用するようになった。10月の予選会ではピーター・ワンジル(3年)が途中棄権するというアクシデントに見舞われたが、冷静に自分の走りに集中し、全体で16位、日本人6位、チーム内で2位の1時間2分23秒。2年連続のトップ通過に貢献した。 11月の全日本大学駅伝では3区を走り、ひとケタ順位の9位でタスキをつないだ。 大学を卒業後は実業団で競技を続ける。「トラック、ニューイヤー駅伝で結果を残した中で、将来的にはマラソンにも挑戦してみたい」と目標を語る。 2年間、成長を見守ってきた真名子監督は「久保田は『超』がつくほど真面目で気持ちの強い男。地道に努力して力をつけてきた。実業団でも、派手さはないけどいぶし銀みたいに息長く続け、最後にチャンスをつかむような選手になると思います」と教え子に大きな期待を寄せる。 最後の箱根駅伝、久保田は2区を希望している。各校のエースが集まる注目の区間で、区間10番以内が目標だ。表情を引き締め、意気込みを語る。 「箱根駅伝に出られる喜びをかみしめながら、自分のベストコンディションで走れるようにしていきたいです。2区は失速が一番怖い。しっかり自分の走りをして相手についていって、最後まで追い込める走りをしていく」 座右の銘は「初志貫徹」。「自分の名前の『徹』という字も入っているし、自分に合っている言葉だなと思いました」とその理由を語る。高校3年の秋、大東大の予選会敗退を見て、「自分が大東大を復活させて箱根駅伝を走るんだ」と心に誓い、その志を貫き通した。 最後の箱根路、今度は自分の走りで大東大に9年ぶりのシード権を手繰り寄せてみせる。 [caption id="attachment_124211" align="alignnone" width="800"] 11月の全日本大学駅伝ではチームのシード権獲得に貢献。箱根でも9年ぶりのシードを狙う[/caption] くぼた・とおる/2001年5月12日生まれ。埼玉県長瀞町出身。埼玉・長瀞中→聖望学園高。5000m13分43秒40、10000m28分09秒93 文/小川誠志

次ページ:

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.04.02

三菱重工に学生駅伝で活躍した小林大晟、村上大樹が入社 6日に実業団デビュー戦

【写真】スーツに身を包んだ小林と村上の様子をチェック! ようこそ三菱重工マラソン部へ🌸 左:小林大晟(こばやし・たいせい) 帝京大学出身右:村上大樹(むらかみ・だいき) 山梨学院大学出身 4/6(土)の九州実業団長距離記 […]

NEWS U20世界選手権400mH入賞の森髙颯治朗、女子ハンマー投のエパサカ・テレサ、男子三段跳の梅野真生がKAGOTANIに入社!

2025.04.02

U20世界選手権400mH入賞の森髙颯治朗、女子ハンマー投のエパサカ・テレサ、男子三段跳の梅野真生がKAGOTANIに入社!

【画像】KAGOTANIに加わった森髙、エパサカ、梅野 本日、2025年4月よりKAGOTANI陸上競技部は3名の新入部員を迎え、計11名となりました。 🥚新メンバー🥚▶︎梅野 真生 種目:三段跳 ▶︎エパサカ テレサ  […]

NEWS YKKに大谷章紘、西田大智が入社 「チームに貢献する走りをしていきます」

2025.04.02

YKKに大谷章紘、西田大智が入社 「チームに貢献する走りをしていきます」

4月1日、YKKに大谷章紘(大東大卒)と西田大智(国士大卒)が新たに加入したことがチームから発表された。 大谷は水城高校時代に20年全国高校駅伝の3区などで全国大会経験。進学した大東大では全日本大学駅伝と箱根駅伝で2年時 […]

NEWS 埼玉医大グループ・男女駅伝部に分須尊紀、鶴元太、吉田詩央ら7人が加入

2025.04.02

埼玉医大グループ・男女駅伝部に分須尊紀、鶴元太、吉田詩央ら7人が加入

埼玉医大グループは4月1日、男子駅伝部、女子駅伝部の新加入する選手7名を発表した。 男子は4人の新人が入部。分須尊紀は群馬・東農大二高時代の全国高校陸上3000m障害で日本一に輝いた実績を持つ。日体大進学後も3000m障 […]

NEWS 中大卒のスプリンター・藤原寛人が大和ハウスに入社 「 社会人としても競技者としても共に大きく成長していきたい」

2025.04.02

中大卒のスプリンター・藤原寛人が大和ハウスに入社 「 社会人としても競技者としても共に大きく成長していきたい」

【画像】スーツを着て入社式に臨んだ藤原寛人 本日4/1から大和ハウス工業株式会社の社員となりました! 社会人としても競技者としても共に大きく成長していきたいと思います。 自身の夢だけではなく、大和ハウスグループの夢を実現 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年4月号 (3月14日発売)

2025年4月号 (3月14日発売)

別冊付録 2024記録年鑑
山西 世界新!
大阪、東京、名古屋ウィメンズマラソン詳報

page top