2023.12.22
駅伝主将を務め、もがきながら復調
しかし、この区間賞で注目を浴びたことが、ここまでの1年間、自身を苦しめることになる。最終学年を迎え、宗像は坪田智夫駅伝監督から駅伝主将に指名された。チームを引っ張っていこうと意気込んで4年目のシーズンに臨んだが、思うような結果が出ず苦しんだ。
「陸上人生の中で、一番苦しい1年でした。箱根で区間賞を取ったことから、周りの期待の目をプレッシャーに感じてしまいました。2月ぐらいまでは調子が良かったのですが、春からはチームに貢献できなくなってしまった。結果が出ず、またそれでプレッシャーを感じてしまって。夏合宿でも体調を崩してしまい、うまく走れなかったんです」
6月の全日本大学駅伝関東地区選考会には出走できず。法大は13位に終わり2年連続で伊勢路を逃す。9位に入った出雲駅伝も走ることができなかった。チームメイトが次々と好記録を出していく秋は、その焦る気持ちを抑えて体調を整えること集中。10月8日の国士大競技5000mで14分13秒00の好タイムを出すなど、徐々に自分の走りを取り戻した。

前回は8区区間賞の宗像
大学生活をもって宗像は競技人生に区切りをつけると決めている。実業団チームへ進み、地元・群馬で行われる全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)を走ってみたいという気持ちもあったが「競技を終えた後の人生を考えたとき、ここで区切りをつけるのが自分の将来につながると思ったんです」ときっぱり言う。
坪田監督は「宗像はとにかく身体が強くて故障がなく、練習を途切れさせない選手です。自分の考えをしっかり持って、考えながら競技に取り組んできました。今回の箱根駅伝が競技者としての集大成になる。キャプテンとして、いい結果を出してくれるはず」と期待を寄せる。
競技人生の集大成となる今回、宗像は10区を希望している。法大が掲げている目標は「5位以内」。競った場面での粘り強さ、ラストスパートには自信を持つ。前年までは苦手意識のあった単独走に関しても、この1年の練習で自信をつけた。個人としては、前回に続く区間賞獲得を目標にしている。
「主将として最後の区間を走り、チームの目標を達成してゴールテープを切りたい。自分の強み、長所を磨くことに取り組んできた4年間でした。最後の箱根駅伝では、自分らしい走りを見せて終わりたいと思っています」
主将として、チームに何を残せるか。自分自身にそう問いかけながら、最後の大舞台に臨む。
むなかた・なおき/2001年11月6日生まれ。群馬県前橋市出身。群馬・元総社中→東農大二高。5000m14分10秒00、10000m28分56秒83
文/小川誠志
法大69年ぶりの8区区間賞で復路3位に貢献
初めての箱根路で、自身の強みを存分に発揮した。前回の8区の法大・宗像直輝(現4年)は6位でタスキを受け取ると、序盤は後ろから追いついてきた2校と6位集団で走り、前を行く創価大・桑田大輔(現4年)を追いかけた。 一度は順大・平駿介に離されたが粘り強く追走。終盤に順大、創価大を抜き、5位に順位を上げて戸塚中継所に飛び込んだ。8区の法大記録を更新する1時間4分16秒、東洋大・木本大地と同タイムでの区間賞。会心のレースを振り返り、宗像は胸を張る。 「ベストパフォーマンスだったと思います。正直、区間賞を取れるとは思っていませんでした。粘り強さとラストスパートが自分の強み。箱根駅伝で自分の長所を発揮することができました」 法大勢が8区で区間賞を獲得するのは1954年の伊藤文雄以来、実に69年ぶり。宗像の好走で勢いに乗った法大は復路3位、総合7位でフィニッシュ。2006年の復路優勝以来17年ぶりのトップ3入りを果たした。 宗像は幼稚園から小6までサッカー少年。群馬・前橋市元総社中ではソフトテニス部に所属した。中学校で持久走が得意な者が集められ、市の駅伝、県の駅伝に出場。そこで好走したことから強豪・東農大二高から誘いを受け、陸上競技に興味を持つようになった。 「正直、東農大二高の陸上部が強いこともよく知らなったんです。入ってみたら、雑誌に出てるような選手がいて。強豪校なので雰囲気も厳しいし、これはやばいところに来ちゃったな…と」 必死で練習に食らいつき、才能を開花させていった宗像。高3の秋には5000mで14分10秒00をマークするまでに成長した。最終学年では駅伝主将も務め、全国高校駅伝では6区を走って区間7位と好走している。 法大進学後も1年目から主力選手として期待され、2年目の11月には全日本大学駅伝で6区区間6位に入った。1年目、2年目と箱根駅伝16人のメンバーにエントリーされながらも出走はかなわなかったが、3年目の箱根で大学史にその名を残した。駅伝主将を務め、もがきながら復調
しかし、この区間賞で注目を浴びたことが、ここまでの1年間、自身を苦しめることになる。最終学年を迎え、宗像は坪田智夫駅伝監督から駅伝主将に指名された。チームを引っ張っていこうと意気込んで4年目のシーズンに臨んだが、思うような結果が出ず苦しんだ。 「陸上人生の中で、一番苦しい1年でした。箱根で区間賞を取ったことから、周りの期待の目をプレッシャーに感じてしまいました。2月ぐらいまでは調子が良かったのですが、春からはチームに貢献できなくなってしまった。結果が出ず、またそれでプレッシャーを感じてしまって。夏合宿でも体調を崩してしまい、うまく走れなかったんです」 6月の全日本大学駅伝関東地区選考会には出走できず。法大は13位に終わり2年連続で伊勢路を逃す。9位に入った出雲駅伝も走ることができなかった。チームメイトが次々と好記録を出していく秋は、その焦る気持ちを抑えて体調を整えること集中。10月8日の国士大競技5000mで14分13秒00の好タイムを出すなど、徐々に自分の走りを取り戻した。 [caption id="attachment_124113" align="alignnone" width="800"]
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