HOME 学生長距離

2023.12.22

箱根駅伝Stories/法大主将の宗像直輝が現役ラストランへ「自分らしい走りを見せて終わりたい」
箱根駅伝Stories/法大主将の宗像直輝が現役ラストランへ「自分らしい走りを見せて終わりたい」

最後の箱根路に臨む法大・宗像(写真/小川誠志)

新春の風物詩・箱根駅伝の100回大会に挑む出場全23校の選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。それぞれが歩んできた1年間の足跡をたどった。

法大69年ぶりの8区区間賞で復路3位に貢献

初めての箱根路で、自身の強みを存分に発揮した。前回の8区の法大・宗像直輝(現4年)は6位でタスキを受け取ると、序盤は後ろから追いついてきた2校と6位集団で走り、前を行く創価大・桑田大輔(現4年)を追いかけた。

一度は順大・平駿介に離されたが粘り強く追走。終盤に順大、創価大を抜き、5位に順位を上げて戸塚中継所に飛び込んだ。8区の法大記録を更新する1時間4分16秒、東洋大・木本大地と同タイムでの区間賞。会心のレースを振り返り、宗像は胸を張る。

「ベストパフォーマンスだったと思います。正直、区間賞を取れるとは思っていませんでした。粘り強さとラストスパートが自分の強み。箱根駅伝で自分の長所を発揮することができました」

法大勢が8区で区間賞を獲得するのは1954年の伊藤文雄以来、実に69年ぶり。宗像の好走で勢いに乗った法大は復路3位、総合7位でフィニッシュ。2006年の復路優勝以来17年ぶりのトップ3入りを果たした。

宗像は幼稚園から小6までサッカー少年。群馬・前橋市元総社中ではソフトテニス部に所属した。中学校で持久走が得意な者が集められ、市の駅伝、県の駅伝に出場。そこで好走したことから強豪・東農大二高から誘いを受け、陸上競技に興味を持つようになった。

「正直、東農大二高の陸上部が強いこともよく知らなったんです。入ってみたら、雑誌に出てるような選手がいて。強豪校なので雰囲気も厳しいし、これはやばいところに来ちゃったな…と」

必死で練習に食らいつき、才能を開花させていった宗像。高3の秋には5000mで14分10秒00をマークするまでに成長した。最終学年では駅伝主将も務め、全国高校駅伝では6区を走って区間7位と好走している。

法大進学後も1年目から主力選手として期待され、2年目の11月には全日本大学駅伝で6区区間6位に入った。1年目、2年目と箱根駅伝16人のメンバーにエントリーされながらも出走はかなわなかったが、3年目の箱根で大学史にその名を残した。

新春の風物詩・箱根駅伝の100回大会に挑む出場全23校の選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。それぞれが歩んできた1年間の足跡をたどった。

法大69年ぶりの8区区間賞で復路3位に貢献

初めての箱根路で、自身の強みを存分に発揮した。前回の8区の法大・宗像直輝(現4年)は6位でタスキを受け取ると、序盤は後ろから追いついてきた2校と6位集団で走り、前を行く創価大・桑田大輔(現4年)を追いかけた。 一度は順大・平駿介に離されたが粘り強く追走。終盤に順大、創価大を抜き、5位に順位を上げて戸塚中継所に飛び込んだ。8区の法大記録を更新する1時間4分16秒、東洋大・木本大地と同タイムでの区間賞。会心のレースを振り返り、宗像は胸を張る。 「ベストパフォーマンスだったと思います。正直、区間賞を取れるとは思っていませんでした。粘り強さとラストスパートが自分の強み。箱根駅伝で自分の長所を発揮することができました」 法大勢が8区で区間賞を獲得するのは1954年の伊藤文雄以来、実に69年ぶり。宗像の好走で勢いに乗った法大は復路3位、総合7位でフィニッシュ。2006年の復路優勝以来17年ぶりのトップ3入りを果たした。 宗像は幼稚園から小6までサッカー少年。群馬・前橋市元総社中ではソフトテニス部に所属した。中学校で持久走が得意な者が集められ、市の駅伝、県の駅伝に出場。そこで好走したことから強豪・東農大二高から誘いを受け、陸上競技に興味を持つようになった。 「正直、東農大二高の陸上部が強いこともよく知らなったんです。入ってみたら、雑誌に出てるような選手がいて。強豪校なので雰囲気も厳しいし、これはやばいところに来ちゃったな…と」 必死で練習に食らいつき、才能を開花させていった宗像。高3の秋には5000mで14分10秒00をマークするまでに成長した。最終学年では駅伝主将も務め、全国高校駅伝では6区を走って区間7位と好走している。 法大進学後も1年目から主力選手として期待され、2年目の11月には全日本大学駅伝で6区区間6位に入った。1年目、2年目と箱根駅伝16人のメンバーにエントリーされながらも出走はかなわなかったが、3年目の箱根で大学史にその名を残した。

駅伝主将を務め、もがきながら復調

しかし、この区間賞で注目を浴びたことが、ここまでの1年間、自身を苦しめることになる。最終学年を迎え、宗像は坪田智夫駅伝監督から駅伝主将に指名された。チームを引っ張っていこうと意気込んで4年目のシーズンに臨んだが、思うような結果が出ず苦しんだ。 「陸上人生の中で、一番苦しい1年でした。箱根で区間賞を取ったことから、周りの期待の目をプレッシャーに感じてしまいました。2月ぐらいまでは調子が良かったのですが、春からはチームに貢献できなくなってしまった。結果が出ず、またそれでプレッシャーを感じてしまって。夏合宿でも体調を崩してしまい、うまく走れなかったんです」 6月の全日本大学駅伝関東地区選考会には出走できず。法大は13位に終わり2年連続で伊勢路を逃す。9位に入った出雲駅伝も走ることができなかった。チームメイトが次々と好記録を出していく秋は、その焦る気持ちを抑えて体調を整えること集中。10月8日の国士大競技5000mで14分13秒00の好タイムを出すなど、徐々に自分の走りを取り戻した。 [caption id="attachment_124113" align="alignnone" width="800"] 前回は8区区間賞の宗像[/caption] 大学生活をもって宗像は競技人生に区切りをつけると決めている。実業団チームへ進み、地元・群馬で行われる全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)を走ってみたいという気持ちもあったが「競技を終えた後の人生を考えたとき、ここで区切りをつけるのが自分の将来につながると思ったんです」ときっぱり言う。 坪田監督は「宗像はとにかく身体が強くて故障がなく、練習を途切れさせない選手です。自分の考えをしっかり持って、考えながら競技に取り組んできました。今回の箱根駅伝が競技者としての集大成になる。キャプテンとして、いい結果を出してくれるはず」と期待を寄せる。 競技人生の集大成となる今回、宗像は10区を希望している。法大が掲げている目標は「5位以内」。競った場面での粘り強さ、ラストスパートには自信を持つ。前年までは苦手意識のあった単独走に関しても、この1年の練習で自信をつけた。個人としては、前回に続く区間賞獲得を目標にしている。 「主将として最後の区間を走り、チームの目標を達成してゴールテープを切りたい。自分の強み、長所を磨くことに取り組んできた4年間でした。最後の箱根駅伝では、自分らしい走りを見せて終わりたいと思っています」 主将として、チームに何を残せるか。自分自身にそう問いかけながら、最後の大舞台に臨む。 むなかた・なおき/2001年11月6日生まれ。群馬県前橋市出身。群馬・元総社中→東農大二高。5000m14分10秒00、10000m28分56秒83 文/小川誠志

次ページ:

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2024.11.21

早大競走部駅伝部門が麹を活用した食品・飲料を手がける「MURO」とスポンサー契約締結

11月21日、株式会社コラゾンは同社が展開する麹専門ブランド「MURO」を通じて、早大競走部駅伝部とスポンサー契約を結んだことを発表した。 コラゾン社は「MURO」の商品である「KOJI DRINK A」および「KOJI […]

NEWS 立迫志穂が調整不良のため欠場/防府読売マラソン

2024.11.21

立迫志穂が調整不良のため欠場/防府読売マラソン

第55回防府読売マラソン大会事務局は、女子招待選手の立迫志穂(天満屋)が欠場すると発表した。調整不良のためとしている。 立迫は今年2月の全日本実業団ハーフマラソンで1時間11分16秒の11位。7月には5000m(15分3 […]

NEWS M&Aベストパートナーズに中大・山平怜生、城西大・栗原直央、國學院大・板垣俊佑が内定!神野「チーム一丸」

2024.11.20

M&Aベストパートナーズに中大・山平怜生、城西大・栗原直央、國學院大・板垣俊佑が内定!神野「チーム一丸」

神野大地が選手兼監督を務めるM&Aベストパートナーズが来春入社選手として、中大・山平怜生、國學院大・板垣俊佑、城西大・栗原直央の3人が内定した。神野が自身のSNSで内定式の様子を伝えている。 山平は宮城・仙台育英 […]

NEWS 第101回(2025年)箱根駅伝 出場チーム選手名鑑

2024.11.20

第101回(2025年)箱根駅伝 出場チーム選手名鑑

・候補選手は各チームが選出 ・情報は11月20日時点、チーム提供および編集部把握の公認記録を掲載 ・選手名の一部漢字で対応外のものは新字で掲載しています ・過去箱根駅伝成績で関東学生連合での出場選手は相当順位を掲載 ・一 […]

NEWS 八王子ロングディスタンスのスタートリスト発表!! 1万m26分台狙うS組は鈴⽊芽吹、遠藤⽇向、羽生拓矢、篠原倖太朗らが出場!

2024.11.20

八王子ロングディスタンスのスタートリスト発表!! 1万m26分台狙うS組は鈴⽊芽吹、遠藤⽇向、羽生拓矢、篠原倖太朗らが出場!

東日本実業団連盟は11月20日、2024八王子ロングディスタンス(11月23日)のスタートリストを発表した。 来年の世界選手権男子10000mの参加標準記録(27分00秒00)の突破を狙う『S組』では、日本の実業団に所属 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2024年12月号 (11月14日発売)

2024年12月号 (11月14日発売)

全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
高校駅伝都道府県大会ハイライト
全日本35㎞競歩高畠大会
佐賀国民スポーツ大会

page top