全日本実業団対抗(熊谷)の最終日、女子走高跳で津田シェリアイ(築地銀だこAC)が1m85の自己新を跳んで優勝。日本歴代10位タイの好記録だった。
津田は1m70から試技をスタートし、そこから3cm刻みで1m82まで1回で成功。続く1m85を2回目でクリアした。今シーズンは8月に1m84を跳んでおり、1cm自己新。だが、クリア直後は「1m82のほうが技術面でよかったことと、次の高さへ修正しないといけない」と喜ぶ様子はなかった。
続く1m88は1回目に惜しい跳躍。「それで、2回目、3回目は跳びたいという気持ちが出てしまった」と、さらなる更新はならなかった。それでも、昨年まで見られた低めの高さで失敗試技が続くことも少なく、安定したパフォーマンスを発揮している。
「1m85はうれしいのですが、88の1回目はすごく感覚が良くて手応えがあったので悔しさが残ります」。今シーズン好調の理由は体力面の強化。「技術的に変えた部分はなくて、体力面が課題だったので、跳んだり走ったりして総合体力のアップを重点的に取り組んできました」と言う。
跳躍面では、体力強化によって上がったスピードを意識しているといい、「踏み切り前のラスト3歩でスッと入っていけるようになった」。特にこの日の1m82、1m88の1回目は「よかったと思います」と手応えをつかんだ。
中学時代に1m77(中学歴代2位タイ)を跳んでから、女子走高跳界のホープとして期待を寄せられてきた逸材。東大阪大敬愛高時代はケガの影響などもあり、踏み切り脚を変更するなど試行錯誤が続き、インターハイタイトル、日本インカレタイトルにも届かなかった。
それでも、地道な基礎体力の向上とあきらめない思いを切らすことはなく、就職先も、自ら好きだったという「築地銀だこ」へアピールして所属先をつかみとり、店舗に立ちながら競技を続けている。ちなみに、系列店「銀のあん」で販売されている「たい焼き」が好物だ。
長く目標にしてきた1m90が「現実的に見えるところまできた」と津田。これまで今井美希、佐藤恵ら7人が超えてきた大台も、ここ10数年は見られていない。世界へ行くのが当たり前だった時代は過去のものとなった。自己ベストとして1m85以上を跳んだのは、2001年(岩切麻衣湖)までさかのぼらなければいけないほど。
「ずっと言い続けているので、今年こそ1m90を跳びたい。練習でも1m80を跳んでいるので、試合でプラス10cmは行けるはず。日本選手権と田島記念を予定しているので、今シーズン中に1m90をクリアしたいです」
津田が牽引し、そこに同世代や後輩たちが食らいついたとき、止まっている日本女子走高跳の歴史が少しずつ動き出す。
■女子走高跳結果(上位3人)
津田シェリアイ(築地銀だこAC)1.85
徳本鈴奈(友陸物流)1.76
青山夏実(ダイテックス)1.73
■女子走高跳日本歴代10傑
1.96 今井 美希(ミズノ) 2001. 9.15
1.95 佐藤 恵(福岡大) 1987. 5.17
1.95 太田 陽子(ミキハウス) 2002. 7.21
1.93 福光 久代(大昭和製紙) 1981. 6. 7
1.92 青山 幸(吹田一中教) 2004. 7. 3
1.90 八木たまみ(関東学園大) 1978.10.19
1.90 貞廣 千波(中京女大4) 1994.11. 2
1.86 松井 昌美(桃山高教) 1988. 7. 9
1.86 岩切麻衣湖(プレジャー企画) 2001. 5.26
1.85 曽根 幹子(大昭和製紙) 1975.11. 8
1.85 津田シェリアイ(築地銀だこAC)2020. 9.20
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
2025.01.17
編集部コラム「年末年始の風物詩」
-
2025.01.17
-
2025.01.17
-
2025.01.17
-
2025.01.16
2025.01.12
【テキスト速報】第43回都道府県対抗女子駅伝
-
2025.01.14
-
2025.01.12
-
2025.01.15
2024.12.22
早大に鈴木琉胤、佐々木哲の都大路区間賞2人が来春入学!女子100mH谷中、松田ら推薦合格
-
2024.12.22
-
2024.12.30
-
2025.01.12
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.01.18
都道府県男子駅伝オーダー発表!3区に塩尻和也と鶴川正也 7区は鈴木健吾、黒田朝日 4連覇狙う長野は3区吉岡大翔
◇天皇盃第30回全国都道府県対抗男子駅伝(1月19日/広島・平和記念公園前発着:7区間48.0km) 天皇盃第30回全国都道府県対抗男子駅伝前日の1月18日、オーダーリストが発表された。 エントリーされていた2人の日本記 […]
2025.01.17
西脇多可新人高校駅伝の出場校決定!男子は佐久長聖、大牟田、九州学院、洛南 女子は長野東、薫英女学院など有力校が登録
1月17日、西脇多可新人高校駅伝の実行委員会が、2月16日に行われる第17回大会の出場チームを発表した。 西脇多可新人高校駅伝は、兵庫県西脇市から多可町を結ぶ「北はりま田園ハーフマラソンコース(21.0795km)」で行 […]
2025.01.17
編集部コラム「年末年始の風物詩」
毎週金曜日更新!? ★月陸編集部★ 攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム🔥 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいこと […]
2025.01.17
中・高校生充実の長野“4連覇”なるか 実力者ぞろいの熊本や千葉、岡山、京都、福岡も注目/都道府県男子駅伝
◇天皇盃第30回全国都道府県対抗男子駅伝(1月19日/広島・平和記念公園前発着:7区間48.0km) 中学生から高校生、社会人・大学生のランナーがふるさとのチームでタスキをつなぐ全国都道府県男子駅伝が1月19日に行われる […]
2025.01.17
栁田大輝、坂井隆一郎らが日本選手権室内出場キャンセル 日本室内大阪はスタートリスト発表
日本陸連は2月1日から2日に行われる、日本選手権室内のエントリー状況と、併催の日本室内大阪のスタートリストを発表した。 日本選手権室内では12月にエントリーが発表されていた選手のうち、男子60mに出場予定だったパリ五輪代 […]
Latest Issue 最新号
2025年2月号 (1月14日発売)
駅伝総特集!
箱根駅伝
ニューイヤー駅伝
高校駅伝、中学駅伝
富士山女子駅伝