2023.12.22
ニューイヤー駅伝で過去最高の成績を!
──いよいよニューイヤー駅伝です。2021年は10位、2022年は7位、2023年の前回は6位(チーム最高順位)と着実に順位を上げていますが、今回はどんな目標で臨まれますか?
近藤 チームとしては「5位以内」を目標にしています。個人としては、今回から最長区間となる2区で勝負したいですね。目標は区間賞というより、良い流れを作って、次につなげる走り。1区次第ですけど、先頭集団で渡せればいいかなと思います。関西実業団ではチームとして悔しい思いをしたので、ニューイヤー駅伝ではそれを晴らしたいですね。
中村 僕の場合、まずはニューイヤー駅伝に出走するのが目標です。任されたらチーム目標の「5位以内」を目指してしっかり走りたいです。15㎞以上のロング区間なら自分の長所を生かせると思っています。向かい風も苦手意識はありません。
竹村 自分も前半より後半区間の方が勝負できると思うので、出場するなら5~7区あたりで区間一桁順位を目指してがんばりたいと考えています。群馬は風が強い場所でもありますが、向かい風への苦手意識はないので向かい風を強みにしていきたいです。
キプチルチル (今回から区間割が変わり)インターナショナル区間は4区になりました。(外国人選手は)誰も走ったことがないコースなので、1年目ですけど、チャンスだと思います。

ニューイヤー駅伝の優勝と、将来的には「トラックで五輪出場」を目標に掲げているキプチルチル
駅伝の魅力は「喜びも悔しさも人数分あるところ」
──皆さんはいろんな駅伝を経験してきましたが、駅伝の魅力をどのように感じていますか?
近藤 喜びは人数分ありますし、負けたときも人数分悔しい。自分だけじゃなくて、仲間がいないと勝てません。そういうところが楽しいかなと思います。
中村 個人ではなくチームとして戦うのでタスキをもらうときと、渡すときは感情が揺さぶられます。その瞬間が駅伝をやっていると強く感じますね。
竹村 レース中は1人ですけど、チーム全員でタスキをつないで、同じゴールに向かっていく。トラックレースなどでは味わえない仲間と走れる思いを感じられるのが一番の魅力だと思います。
キプチルチル 駅伝は自分の走りだけでなく、チーム全員の走りが大切です。そのためにはタスキを良い位置で渡さないといけません。そういうところが面白いと思います。

「喜びも悔しさも人数分あるところが駅伝の魅力」と近藤は話す
――ニューイヤー駅伝で皆さんを応援してくださる方へのメッセージをお願いします。
近藤 チームとして5位以内を目標にがんばります。当日はテレビ放送もありますので、ぜひ応援していただきSGホールディングスががんばっている姿を見てください。
中村 2年連続で入賞をしているチームなので注目されるかと思います。前回大会以上の結果を出せるように選手たちはがんばりますので応援よろしくお願いいたします。
竹村 自分たちが日頃活動するうえで、想像以上の多くの方にサポートをしていただいているかと思います。しっかり恩返しができるようにがんばりたいです。
キプチルチル 皆さんの応援が力になりますので、よろしくお願いいたします。

選手たちは「応援してくれる方々に結果を出して恩返しをしたい」と誓っている
それぞれの高校時代、大学時代の思い出は?
──実業団の強豪、SGホールディングスに所属されている皆さんですが、それぞれが強くなったベースは高校時代や大学時代にあるはずです。まずは高校時代の思い出を語っていただきましょう。 近藤 愛知・豊川工高の3年間は毎年、顧問の先生が替わっていて、入学時はメンバーが7人しかいなかったんです。チームとしては厳しい状況だったので、個人で力をつけて、大学でがんばろうという気持ちでした。全国高校駅伝は夢の舞台でしたね(笑)。 中村 僕も千葉・流経大柏高時代は都大路に届きませんでした。1・2年時は京都で走りたいなと思っていたんですけど、3年時はトラックで全国大会に行く目標に切り替えました。駅伝は2年時の県大会の1区で区間賞を獲得したのが一番の思い出です。 竹村 僕は秋田工高で3年連続して全国高校駅伝に出場しましたが、チームとしても個人(7区17位、6区13位、3区15位)としてもあまり良い結果を残せなかったので、悔しい思いが強いです。先生が結構厳しかったので、生活、練習が苦しかったかなという記憶があります。 [caption id="attachment_123136" align="alignnone" width="686"]



SGホールディングスを選んだ理由は「練習環境の良さに惹かれたから」
──実業団で競技を続けるにあたりSGホールディングスを選んだ理由を教えてください。 近藤 大学2年時に声をかけていただいたので、青学大の先輩である鈴木塁人さんにも話を聞き、競技環境の魅力に惹かれて入社しました。他のチームと迷いましたが、最終的に決断したのは3年の箱根駅伝が終わったぐらいですね。 中村 幸太郎が先に決めていたので、話は聞いていました。チーム状況も良くて、ニューイヤー駅伝で2年連続入賞(当時)。これから強くなっていくチームだと感じましたし、練習や生活環境も素晴らしいので、ここでやりたいと思ったんです。 竹村 僕の場合は、大学在学中から合宿に呼んでいただき、他のチームより身近に感じていました。監督らと話すうちに「ここでやりたいな」という気持ちが強くなって決めました。 キプチルチル 僕も合宿に参加して、チームの雰囲気、練習環境などが気に入って決めました。 ──実際にチームに加わって、部の雰囲気、練習環境はいかがですか? 近藤 強い先輩方がいらっしゃるので、そこは非常に恵まれていると思います。合宿にも多く行くことができていますし、練習環境は抜群で、充実した練習を積むことができていますね。 中村 チームで動く大学時代と違って、個人で動くこともあります。練習メニューは提示されるんですけど、個々でアレンジできるので、そういう面ではやりやすいと思います。 竹村 先輩たちが優しくて、とても相談しやすい雰囲気があります。練習環境も素晴らしいですし、一人ひとりが考えて練習をしていると感じています。 キプチルチル 高校時代はポイント練習のタイムなどは自分で決める感じでしたが、今はコーチから具体的な指示があります。それは僕に合っていると思いました。 ──実業団の生活は思い描いていたイメージと異なる部分はありますか? 近藤 特にないですね。イメージ通りに過ごせています。学生時代は集団でやっていた部分が多かったですけど、ここでは良い意味で自分のやりたいようにやらせてもらっています。6時に集合して朝練習。基本的には午後にポイント練習です。練習、ご飯、睡眠という感じです(笑)。 中村 今は練習に集中できる生活スタイルで、空き時間にストレッチなどケアもしっかりできる。授業があった大学時代は時間に追われていましたが、今は競技にかなり集中できる環境です。 竹村 僕も大学時代より自由な時間が増えたので、その時間をどのように使うのか。よく考えて行動するようにしています。 キプチルチル 高校時代は授業もありましたが、今は走ることに集中できるので、強くなれると思います。日本語は、練習の合間を縫ってアニメなどで勉強しています。〝東京組〟はスピード重視、〝滋賀組〟は量をこなすタイプ
──SGホールディングス陸上競技部は東京と滋賀、2つの活動拠点があります。トレーニング内容などに違いはあるのでしょうか? 近藤 練習メニューは違いますね。僕と中村は東京で練習をしていますが、東京の方はスピード重視で、滋賀の方は量をしっかりこなす感じです。 竹村 滋賀組はペース走や変化走など地道な練習が多く、東京組はレースに近い実戦的な練習メニューが多い印象です。外国人選手は滋賀にいますけど、基本は別メニューです。東京か滋賀かは好きな方を選べますが、僕はトラックよりロードの方が得意なので、滋賀の方が合っているのかなと思います。 近藤 ただ、合同合宿も頻繁にやっていて、同じレースに出る選手が集まって練習します。キプチルチルは僕らより設定ペースが速く、インターバル走は後ろからスタートするんですけど、ストライドが全然違いますし、すごく楽に走っていてすごいなと感じてます。いつか僕も同じ練習メニューで一緒にできればと思っています。 ──チーム内で意識している選手はいるんですか? 近藤 僕は鈴木塁人さんをすごく意識していますね。実績がありますし、練習も自分で考えてやられているので、お手本にしています。あとはキャプテンの川端千都さんですね。よく練習をされますし、社会人としての一般常識も教えていただいています。 中村 意識しているのはチーム全員です。ニューイヤー駅伝は7人しか走ることができません。所属する16人は学生時代にチームの中心として活躍した力のある選手ばかりです。合宿などでも「負けたくない」という気持ちで取り組んでいます。 竹村 僕は大学の先輩でもあり、MGCにも出場された湯澤舜さんですね。トレーニング量が多いので、そこは真似していき、自分もマラソンで勝負していきたいと思っています。 キプチルチル チーム内にはいませんが、ブダペスト世界陸上10000mで5位に入ったベナード・コエチ選手(九電工)を意識していて、勝負してみたいです。 ──実業団入りして9ヵ月が経過し、チームメイトとの理解も深まっている頃です。それぞれが、どんな性格なのか紹介していただけますか? 近藤 唯翔はわがままですし(笑)、竹村は感情がない(笑)。キプチルチルは……いい子です(笑)。新人4人は本当に仲良くやれていると思います。 中村 僕がわがままというのは間違ってはいないですけど、そこまでというわけではありません(笑)。幸太郎は競技に対して真面目なんですけど、私生活はちょっとだらしなくて、会話が通じないことがあるんです(笑)。竹村は「感情がない」と言われていましたが、実際に話すと楽しいですよ。チル君は日本語が上手ですし、頭のいい子だなと思いましたね。 竹村 幸太郎は天然ですし、唯翔は話しやすくて、ジョグとかも一緒にします。キプチルチルは頭が良くて、足が速くて、日本語も上手なんで本当にがんばっているなと思います。 キプチルチル 近藤さんは面白いし、めちゃ話す。英語の勉強もしたいみたいです。中村さんと竹村さんは優しくて、日本語を教えてくれます。今季の自身の成長と関西実業団駅伝の反省
──2023年ももうすぐ終わりです。今季を振り返って、自己評価をお願いします。 近藤 学生時代にはやったことのないスピード練習を取り入れ、少しずつ走り方が変わってきました。それが今季の自己ベスト(5000m13分32秒73、10000m28分10秒35、ハーフ1時間01分26秒)につながっているんじゃないかなと感じています。特に10月のレガシーハーフでは、今まで海外選手と一緒に走った経験が少なかった中、果敢に挑戦できたことが印象に残っています。1年間を通して比較的に上手くいったかと思いますので、継続してがんばっていきたいです。 [caption id="attachment_123140" align="alignnone" width="800"]
日本人3人は「いずれマラソンで勝負」、キプチルチルは「トラックで五輪出場」が目標
――みなさんの競技人生における目標を教えてください。 近藤 「何歳までにこれをやる」などとは決めていないですね。まずはトラックや駅伝などをやり切ったタイミングでマラソンに移行し、将来的にはマラソンでオリンピックに出場したいです。 中村 最終的にはマラソンでがんばりたい。学生時代からトラックでの実績があまりないので、5000m、10000mと満足がいく結果を出してからマラソンにシフトチェンジしていき、コンスタントに走れる選手になりたいです。 竹村 マラソンでしっかり勝負できる選手になりたいです。日本のトップ選手と張り合えるような勝負強い選手になっていきたいです。 [caption id="attachment_123163" align="alignnone" width="800"]
ニューイヤー駅伝で過去最高の成績を!
──いよいよニューイヤー駅伝です。2021年は10位、2022年は7位、2023年の前回は6位(チーム最高順位)と着実に順位を上げていますが、今回はどんな目標で臨まれますか? 近藤 チームとしては「5位以内」を目標にしています。個人としては、今回から最長区間となる2区で勝負したいですね。目標は区間賞というより、良い流れを作って、次につなげる走り。1区次第ですけど、先頭集団で渡せればいいかなと思います。関西実業団ではチームとして悔しい思いをしたので、ニューイヤー駅伝ではそれを晴らしたいですね。 中村 僕の場合、まずはニューイヤー駅伝に出走するのが目標です。任されたらチーム目標の「5位以内」を目指してしっかり走りたいです。15㎞以上のロング区間なら自分の長所を生かせると思っています。向かい風も苦手意識はありません。 竹村 自分も前半より後半区間の方が勝負できると思うので、出場するなら5~7区あたりで区間一桁順位を目指してがんばりたいと考えています。群馬は風が強い場所でもありますが、向かい風への苦手意識はないので向かい風を強みにしていきたいです。 キプチルチル (今回から区間割が変わり)インターナショナル区間は4区になりました。(外国人選手は)誰も走ったことがないコースなので、1年目ですけど、チャンスだと思います。 [caption id="attachment_123143" align="alignnone" width="800"]
駅伝の魅力は「喜びも悔しさも人数分あるところ」
──皆さんはいろんな駅伝を経験してきましたが、駅伝の魅力をどのように感じていますか? 近藤 喜びは人数分ありますし、負けたときも人数分悔しい。自分だけじゃなくて、仲間がいないと勝てません。そういうところが楽しいかなと思います。 中村 個人ではなくチームとして戦うのでタスキをもらうときと、渡すときは感情が揺さぶられます。その瞬間が駅伝をやっていると強く感じますね。 竹村 レース中は1人ですけど、チーム全員でタスキをつないで、同じゴールに向かっていく。トラックレースなどでは味わえない仲間と走れる思いを感じられるのが一番の魅力だと思います。 キプチルチル 駅伝は自分の走りだけでなく、チーム全員の走りが大切です。そのためにはタスキを良い位置で渡さないといけません。そういうところが面白いと思います。 [caption id="attachment_123573" align="alignnone" width="800"]

全国高校駅伝、箱根駅伝に臨む選手たちにエール
──ニューイヤー駅伝の前には全国高校駅伝が12月24日(日)に開催されます。竹村選手とキプチルチル選手は都大路経験者として出場される選手に向けてアドバイスはありますか? 竹村 全国高校駅伝の大舞台を目標にがんばってこられたと思います。1年間の集大成として実力を存分に発揮できるよう最後までしっかりと準備して、競技場のゴールまであきらめずに全力で走ってほしいなと思います。そして、母校には誇りを持って戦ってほしいです! キプチルチル 全員が力を出して、自分たちの目標を目指して、思い切り走ってほしいですね。母校には連覇を期待しています! ──近藤選手と中村選手は箱根駅伝で大活躍されましたが、高校生ランナーにメッセージをお願いします。 近藤 僕は高校時代にたいした成績を収めたわけじゃないので、偉そうなことは言えませんが、目先の結果ではなく、将来、花を咲かせられるような選手を目指すことを考えてほしいなと伝えたいです。 中村 都大路は高校で陸上をやっている選手にとっては憧れの舞台ですが、誰もがそこに立てるわけではありません。個々で目標を決めて、楽しみながら競技を続けてほしいなと思います。 ――そして、ニューイヤー駅伝の翌日には第100回記念大会となる箱根駅伝が控えています。大卒の3人は母校の後輩たちへエールを送ってください。 近藤 駒大一強という流れではありますが、青学大は阻止できる地力と調整力があると思います。ぜひ優勝を目指してほしいですね。 中村 青学大は全日本2位でしたが、走った8人だけでなく、箱根を目指している選手はたくさんいます。区間賞を勝ち取って、王座奪還を目指してがんばってほしいなと思います。 竹村 東海大は苦しい駅伝が続いていますが、強い選手はたくさんいます。チーム一丸となって勝負できる大学だと思うので、一人ひとりが力を出し切り、最後まであきらめることなくがんばってもらいたいなと思います。 [caption id="attachment_123144" align="alignnone" width="800"]
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