全日本実業団対抗(熊谷)2日目、男子5000m競歩で、昨年のドーハ世界選手権20km競歩金メダリストで、東京五輪代表に内定している山西利和(愛知製鋼)が、18分34秒88のアジア&日本記録、世界歴代11位の好記録で優勝した。
冷たい雨が降り続くなか、山西は序盤から高橋英輝(富士通)と競り合いながら歩を進め、1000m3分43秒、2000m7分26秒で通過。「高橋選手はキレがあるので、射程圏内にいないように確認しながらレースを進めた」という山西は、中盤以降にペースを上げ、3000mは11分08秒で、そこからの1000mは3分45秒で歩き、最後の1000mも3分41秒に上げて、一気に突き放した。悪コンディションにも「そういった中で自分の歩きができるのが特徴」と言う山西。昨年のドーハでも、酷暑の中で自分の歩きで世界一になっているのだから、その言葉に偽りはない。
「日本記録、優勝をターゲットにしていました。狙っていたところを取れたので、一定の手応えがあったと思います」。スピード面で進化を示したが、「5000mのための練習ではなく、20kmに取り組む過程で結果的に5000m(のスピード)でも余裕が出てきました」と話す。
塗り替えた日本記録は、鈴木雄介(富士通/50km競歩東京五輪代表内定)の持つ18分37秒22。「普段からたくさん一緒に練習させてもらった鈴木選手の記録を破れたのはうれしい」としながらも、「練習の内容からコンディションが整えばこれくらいは出るだろうという想定内だったので喜びが爆発することはなかったです」とも。
すでに20km競歩で代表に内定している東京五輪が1年延期したことについて、「数ヵ月ではなく、長い期間でどうアプローチしていくか」という方向に切り替えたという山西。オリンピックのあり方について考えることもあったというが「競技観がブレることはなかった」。
スピード面で「今の自分の方針が間違っていなかった」と手応えを感じつつ、「(5000m競歩で)まだ数秒の更新でしかないので、17分台を見据えて、その自力をつけていくが課題」と、さらに強化を進めていくつもりだ。
「僕らの競技は審判員の方々も必要な種目。大会が開催されたことに感謝したいです。東京五輪、その先に向けて強化していきたい」
京大出身の“世界一”のウォーカーは、今の状況を冷静に受け止めながら、着実に歩き続けていく。
■5000m競歩結果(上位3人)
山西利和(愛知製鋼)18.34.88=アジア&日本最高
高橋英輝(富士通)18.51.25
野田明宏(自衛隊体育学校)19.09.89
ラップタイム
1000m 3.43
2000m 7.26
3000m 11.08
4000m 14.53(いずれも山西)
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