2023.12.09
2024年に箱根駅伝は第100回大会を迎える。記念すべき100回に向けて、これまでの歴史を改めて振り返る『Playback箱根駅伝』を企画。第1回大会から第99回大会まで、大会の様子を刻んでいく。(所属などは当時のもの)
第19回(1938年/昭和13年)
早大、慶大が「駅伝は長距離強化に不適当」を理由に不参加
早大と慶大が「駅伝はトラックの中長距離選手を強化するうえで不適当」という駅伝有害論を唱えて出場を辞退した。有害論の背景には、コースのほとんどが砂利道でケガのリスクが懸念されたことや、選手数の確保のために専門外の選手が起用されることへの疑念もあったとされている。
12校で行われたレースは3連覇中の日大が、1区で先頭と4分39秒差の5位と出遅れる。東京文理科大の常松喬が区間新記録の快走を見せ、2位の明大に2分20秒差をつけた。それでも日大は2区の鈴木勇が区間新記録の走りで先頭に立つと、東京文理科大に対して1分38秒のリードを奪った。
3区から反撃に出たのが戸塚を3位で通過した明大。区間賞を獲得した3区の浜克己で2位に上がると、4区の宮城礼次が区間2位に5分4秒差と圧倒的な走りを見せる。日大を抜いて先頭に立ち、小田原では3分3秒の差をつけた。
日大は2大会連続で5区区間賞の鈴木房重で逆転。2位の明大と24秒差の接戦を制して往路4連覇を成し遂げた。
復路でも日大と明大が激しいデッドヒートを繰り広げる。明大は7区で山崎政夫が区間賞の走りで逆転。8区では日大の大沢竜雄が区間新記録を樹立して再逆転したが、リードはわずかに10秒だった。
差が開いたのは9区。日大の鈴木清美が区間賞の走りでリードを1分18秒に広げると、10区の松永重も区間賞で締めて、史上初の4連覇を成し遂げた。
明大は日大と1分25秒差の2位でゴールしたが、後に厳しい判定が待っていた。6区に起用した選手が昼間はNHKに勤務する夜学生で、学生競技者としての資格に問題があることがわかり、失格処分(記録は参考記録)となった。このため、3位の専大が2位に繰り上がり、1位の2位との差は37分59秒となった。この記録はいまも大会史上最大の差として残っている。
また、前年の7月から日中戦争が始まるなど、学生スポーツを取り巻く環境にも少しずつ暗い影が迫っていた。
参考文献:箱根駅伝90回記念誌(関東学生連盟)
第19回(1938年/昭和13年) 早大、慶大が「駅伝は長距離強化に不適当」を理由に不参加
早大と慶大が「駅伝はトラックの中長距離選手を強化するうえで不適当」という駅伝有害論を唱えて出場を辞退した。有害論の背景には、コースのほとんどが砂利道でケガのリスクが懸念されたことや、選手数の確保のために専門外の選手が起用されることへの疑念もあったとされている。 12校で行われたレースは3連覇中の日大が、1区で先頭と4分39秒差の5位と出遅れる。東京文理科大の常松喬が区間新記録の快走を見せ、2位の明大に2分20秒差をつけた。それでも日大は2区の鈴木勇が区間新記録の走りで先頭に立つと、東京文理科大に対して1分38秒のリードを奪った。 3区から反撃に出たのが戸塚を3位で通過した明大。区間賞を獲得した3区の浜克己で2位に上がると、4区の宮城礼次が区間2位に5分4秒差と圧倒的な走りを見せる。日大を抜いて先頭に立ち、小田原では3分3秒の差をつけた。 日大は2大会連続で5区区間賞の鈴木房重で逆転。2位の明大と24秒差の接戦を制して往路4連覇を成し遂げた。 復路でも日大と明大が激しいデッドヒートを繰り広げる。明大は7区で山崎政夫が区間賞の走りで逆転。8区では日大の大沢竜雄が区間新記録を樹立して再逆転したが、リードはわずかに10秒だった。 差が開いたのは9区。日大の鈴木清美が区間賞の走りでリードを1分18秒に広げると、10区の松永重も区間賞で締めて、史上初の4連覇を成し遂げた。 明大は日大と1分25秒差の2位でゴールしたが、後に厳しい判定が待っていた。6区に起用した選手が昼間はNHKに勤務する夜学生で、学生競技者としての資格に問題があることがわかり、失格処分(記録は参考記録)となった。このため、3位の専大が2位に繰り上がり、1位の2位との差は37分59秒となった。この記録はいまも大会史上最大の差として残っている。 また、前年の7月から日中戦争が始まるなど、学生スポーツを取り巻く環境にも少しずつ暗い影が迫っていた。 参考文献:箱根駅伝90回記念誌(関東学生連盟)第19回箱根駅伝総合成績をチェック
●総合成績 1位 日大 12時間40分13秒 2位 専大 13時間18分12秒 3位 東京文理科大 13時間43分50秒 4位 立教大 13時間44分27秒 5位 中大 14時間01分03秒 6位 日本歯科医専 14時間32分55秒 7位 東洋大 14時間44分28秒 8位 東農大 14時間54分57秒 9位 拓大 15時間00分38秒 10位 横浜専門 15時間14分17秒 11位 法大 15時間18分44秒 明大 失格(12時間41分38秒) ●区間賞 1区 常松喬(東京文理科大) 1時間11分48秒 2区 鈴木勇(日大) 1時間06分37秒 3区 浜克己(明大) 1時間13分00秒 4区 宮城礼次(明大) 1時間09分58秒 5区 鈴木房重(日大) 1時間32分32秒 6区 永野準一郎(日大)1時間22分28秒 7区 山崎政夫(明大) 1時間10分30秒 8区 大沢竜雄(日大) 1時間14分49秒 9区 鈴木清美(日大) 1時間08分00秒 10区 松永重(日大) 1時間17分51秒
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
2024.11.21
早大競走部駅伝部門が麹を活用した食品・飲料を手がける「MURO」とスポンサー契約締結
2024.11.21
立迫志穂が調整不良のため欠場/防府読売マラソン
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
2024.11.17
不破聖衣来が香港で10kmレースに出場 9位でフィニッシュ
-
2024.11.16
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.16
2024.11.01
吉田圭太が住友電工を退部 「充実した陸上人生を歩んでいきたい」競技は継続
2024.11.07
アシックスから軽量で反発性に優れたランニングシューズ「NOVABLAST 5」が登場!
-
2024.10.27
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2024.11.21
早大競走部駅伝部門が麹を活用した食品・飲料を手がける「MURO」とスポンサー契約締結
11月21日、株式会社コラゾンは同社が展開する麹専門ブランド「MURO」を通じて、早大競走部駅伝部とスポンサー契約を結んだことを発表した。 コラゾン社は「MURO」の商品である「KOJI DRINK A」および「KOJI […]
2024.11.21
立迫志穂が調整不良のため欠場/防府読売マラソン
第55回防府読売マラソン大会事務局は、女子招待選手の立迫志穂(天満屋)が欠場すると発表した。調整不良のためとしている。 立迫は今年2月の全日本実業団ハーフマラソンで1時間11分16秒の11位。7月には5000m(15分3 […]
2024.11.20
M&Aベストパートナーズに中大・山平怜生、城西大・栗原直央、國學院大・板垣俊佑が内定!神野「チーム一丸」
神野大地が選手兼監督を務めるM&Aベストパートナーズが来春入社選手として、中大・山平怜生、國學院大・板垣俊佑、城西大・栗原直央の3人が内定した。神野が自身のSNSで内定式の様子を伝えている。 山平は宮城・仙台育英 […]
2024.11.20
第101回(2025年)箱根駅伝 出場チーム選手名鑑
・候補選手は各チームが選出 ・情報は11月20日時点、チーム提供および編集部把握の公認記録を掲載 ・選手名の一部漢字で対応外のものは新字で掲載しています ・過去箱根駅伝成績で関東学生連合での出場選手は相当順位を掲載 ・一 […]
Latest Issue 最新号
2024年12月号 (11月14日発売)
全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
高校駅伝都道府県大会ハイライト
全日本35㎞競歩高畠大会
佐賀国民スポーツ大会