2023.11.30
最後の箱根路へ「任された区間で求められた仕事をするだけ」
中大は今年の箱根駅伝で2区、3区と連続区間賞を獲得した吉居大和と中野翔太(ともに4年)、5000mで現役日本人学生トップの13分22秒01を持つ吉居駿恭(2年)らを擁している。
総合優勝を狙うために、エースが集う2区は誰が走るべきなのか? という問いに湯浅はこう答えた。
「2区は大和がベストじゃないでしょうか。前回あれだけの結果を残しているので、大和が万全な状態なら往路で流れをつかめると思っています」
ロードの強さには定評があった湯浅だが、MARCH対抗戦の10000mで自己ベストを20秒以上も短縮。スピードも身に着けて、最後の箱根に臨むことになる。
「区間に強いこだわりはありません」と言うが、他大学のエースと勝負したいという気持ちも持っているようで、「2区を任されたら1時間7分を切らないと優勝は見えてきません。9区なら区間記録(1時間7分15秒)の更新、最低でも1時間7分30秒切りは目標にしたいです」とも言う。ただ、最後には「任された区間で求められた仕事をするだけです」と締めくくった。
総合優勝を勝ち取るには、出雲と全日本を完勝した最強王者・駒大を倒さないといけないが、「箱根駅伝は10人が20㎞以上走るので、どこかに隙が生まれます。駒大といえども、出雲、全日本のような完璧なレース展開に持っていくのは簡単ではない」と考えている。
「1区は区間賞、もしくは先頭が見える位置でつなぎ、2区のエースが決定打を打って、3区、4区は逃げ切る。山は自信があるので、往路をトップで折り返したい。そうすれば可能性が見えてくるかなと思います」
入学してから、「第100回大会で優勝しよう!」と仲間たちと声を合わせてきた。
「2日間、全力で勝ちにいきたい」
大学入学時はチーム最後尾だった男がキャプテンとして名門・中大を引っ張り、箱根駅伝で28年ぶりの栄光をもたらすつもりだ。

最後の箱根駅伝では28年ぶりの総合優勝をつかみにいく(チーム提供)
◎ゆあさ・じん/2001年8月27日生まれ、宮崎県宮崎市出身。木花中→宮崎日大高→中大。自己記録5000m13分55秒60、10000m28分12秒17、ハーフ1時間2分35秒。
文/酒井政人
野球少年から箱根ランナーに
4年という歳月は人を大きく成長させる。11月22日のMARCH対抗戦で自己ベストの28分12秒17を叩き出したのが中大の駅伝主将・湯浅仁(4年)だ。 大学入学時の5000mベストは14分27秒02。藤原正和駅伝監督が「学生の模範となる選手。4年間で一番成長しました」と評価するほどの進化を遂げている。 湯浅はかつて野球少年だった。宮崎・木花中3年時に「助っ人」として駅伝に駆り出され、全国大会では1区26位という成績を収めている。 「走るのは嫌いだった」というが、宮崎日大高の藤井周一監督から熱心な勧誘を受けて、心が揺らいだ。「藤井先生の力になれればいいかな」と目指す舞台を「甲子園」から「都大路」に切り替えて、高校から本格的に競技を開始した。 宮崎日大高では2年時にチームの全国高校駅伝初出場に貢献。「藤井監督を京都に連れていけてうれしかった」と当時を振り返る。3年時も出場して7位入賞を果たしたものの、3区で区間31位と力を発揮できず「個人としては悔しい走りになりました」。 [caption id="attachment_121460" align="alignnone" width="800"]
名門・中大の駅伝主将として牽引
そして今季は駅伝主将としてチームを牽引。「主将として言葉に説得力がないといけません。そのためには結果を残して、取り組む姿勢を見せていきたい」との言葉どおり、レースではクレバーな走りが光っている。 5月の関東インカレは1部ハーフマラソンで2位に入り、日本人トップに輝いた。出雲駅伝は6区で区間2位。9位から7位に順位を押し上げた。 そして全日本大学駅伝はエースが集結した7区を快走する。國學院大・平林清澄(3年)と大激戦を演じて、最後は先着。区間賞を獲得した平林と5秒差の区間2位だった。 「出雲はアンカーでしっかりと結果を残せました。全日本は(37秒前にスタートした)青学大との差を詰めたかったので、後ろから来た平林君を利用するようなかたちで、前を追いかけたんです。最後は8秒差まで詰め寄ることができました。冷静な判断ができて、イメージ通りの走りができたと思います」 [caption id="attachment_121461" align="alignnone" width="800"]
最後の箱根路へ「任された区間で求められた仕事をするだけ」
中大は今年の箱根駅伝で2区、3区と連続区間賞を獲得した吉居大和と中野翔太(ともに4年)、5000mで現役日本人学生トップの13分22秒01を持つ吉居駿恭(2年)らを擁している。 総合優勝を狙うために、エースが集う2区は誰が走るべきなのか? という問いに湯浅はこう答えた。 「2区は大和がベストじゃないでしょうか。前回あれだけの結果を残しているので、大和が万全な状態なら往路で流れをつかめると思っています」 ロードの強さには定評があった湯浅だが、MARCH対抗戦の10000mで自己ベストを20秒以上も短縮。スピードも身に着けて、最後の箱根に臨むことになる。 「区間に強いこだわりはありません」と言うが、他大学のエースと勝負したいという気持ちも持っているようで、「2区を任されたら1時間7分を切らないと優勝は見えてきません。9区なら区間記録(1時間7分15秒)の更新、最低でも1時間7分30秒切りは目標にしたいです」とも言う。ただ、最後には「任された区間で求められた仕事をするだけです」と締めくくった。 総合優勝を勝ち取るには、出雲と全日本を完勝した最強王者・駒大を倒さないといけないが、「箱根駅伝は10人が20㎞以上走るので、どこかに隙が生まれます。駒大といえども、出雲、全日本のような完璧なレース展開に持っていくのは簡単ではない」と考えている。 「1区は区間賞、もしくは先頭が見える位置でつなぎ、2区のエースが決定打を打って、3区、4区は逃げ切る。山は自信があるので、往路をトップで折り返したい。そうすれば可能性が見えてくるかなと思います」 入学してから、「第100回大会で優勝しよう!」と仲間たちと声を合わせてきた。 「2日間、全力で勝ちにいきたい」 大学入学時はチーム最後尾だった男がキャプテンとして名門・中大を引っ張り、箱根駅伝で28年ぶりの栄光をもたらすつもりだ。 [caption id="attachment_121462" align="alignnone" width="906"]
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.02.22
石井優吉がショートトラック800m1分46秒41の日本新!
2025.02.22
JMCランキング暫定1位の西山雄介がコンディション不良により欠場/大阪マラソン
2025.02.22
【男子ハンマー投】アツオビン・アンドリュウ(花園高3) 61m59=一般規格高校歴代2位
-
2025.02.22
-
2025.02.22
-
2025.02.21
-
2025.02.21
2025.02.17
日本郵政グループ女子陸上部 「駅伝日本一」へのチームづくりとコンディショニング
2025.02.16
男子は須磨学園が逆転勝ち! 女子は全国Vの長野東が強さ見せる/西脇多可高校新人駅伝
-
2025.02.16
-
2025.02.16
-
2025.02.16
-
2025.02.22
-
2025.02.16
2025.02.02
【大会結果】第77回香川丸亀国際ハーフマラソン(2025年2月2日)
2025.02.02
大迫傑は1時間1分28秒でフィニッシュ 3月2日の東京マラソンに出場予定/丸亀ハーフ
-
2025.02.14
-
2025.02.09
-
2025.02.02
-
2025.01.26
-
2025.01.31
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.02.22
石井優吉がショートトラック800m1分46秒41の日本新!
2月21日、米国ペンシルベニア州カレッジステーションでペンシルベニア州立大の学内学内競技会が同校の室内競技場(1周200m)で行われ、男子800mで石井優吉(ペンシルベニア州立大)が1分46秒41のショートラック日本記録 […]
2025.02.22
JMCランキング暫定1位の西山雄介がコンディション不良により欠場/大阪マラソン
◇大阪マラソン2025(2月24日/大阪・大阪府庁前スタート・大阪城公園フィニッシュ) 大阪マラソンの主催者は2月22日、招待選手の西山雄介(トヨタ自動車)がコンディション不良により欠場することを発表した。 西山は22年 […]
2025.02.22
【男子ハンマー投】アツオビン・アンドリュウ(花園高3) 61m59=一般規格高校歴代2位
2月22日、京都市の京産大総合グラウンド競技場で第11回京都陸協記録会が行われ、一般規格の男子ハンマー投でアツオビン・アンドリュウ(花園高3京都)が高校歴代2位となる61m59をマークした。 アツオビンは昨年のU20日本 […]
2025.02.22
円盤投・堤雄司が自己2番目の61m76でV 女子100mH青木益未は13秒04 福田翔太、郡菜々佳も優勝/WAコンチネンタルツアー
【動画】円盤投で堤雄司が投げた61m76 61m76セカンドベスト pic.twitter.com/OqeyrhsNej — Yuji Tsutsumi(堤 雄司) (@NeoTsutsumi) Februa […]
Latest Issue
最新号

2025年3月号 (2月14日発売)
別府大分毎日マラソン
落合 晃×久保 凛
太田智樹、葛西潤
追跡箱根駅伝&高校駅伝