2023.10.30
学生長距離Close-upインタビュー
山森 龍暁 Yamamori Ryuki 創価大学4年
「月陸Online」限定で大学長距離選手のインタビューをお届けする「学生長距離Close-upインタビュー」。34回目は、創価大の山森龍暁(4年)をピックアップする。
出雲駅伝4区で区間賞を獲得し、過去最高順位の2位に貢献。榎木和貴監督からの信頼も厚い4年生が、最後の駅伝シーズンで実力を開花させている。
11月5日の全日本大学駅伝を直前に控え、残りわずかとなった学生駅伝への思い、これまでとこれからの競技生活について語ってもらった。
出雲駅伝4区で区間賞
10月9日、出雲駅伝の第4中継所。トップを走る駒大から45秒後の2位でやってきたのが創価大の山森龍暁(4年)だった。
3区でリーキー・カミナ(3年)が5位から2位へ順位を上げ、山森が走り出したのは駒大から57秒後。4区の山森は見えない先頭を目指して走り出した。
創価大のエントリー選手でただ1人の4年生。今季は5000m13分49秒59、10000m28分27秒21、ハーフマラソン1時間3分15秒と自己新を連発し、走りで後輩へ背中を見せる立場だ。
箱根駅伝で6区区間賞を獲得した駒大・伊藤蒼唯(2年)を相手に6.2kmで12秒差を詰めて5区の吉田響(3年)へタスキリレー。自身初の区間賞を獲得した。
「1区の石丸(惇那、2年)、2区の小池(莉希、1年)、3区のリーキーが良い流れで来てくれました。その流れを崩さず5区の響へタスキを渡せました。4年生が自分しかおらず、責任を果たそうと思って走りました。最低限の仕事はできたと思います」
昨年は全日本大学駅伝のアンカー8区(19.7km)で三大駅伝初出場を果たしたものの、59分08秒で区間11位。続く今年の箱根駅伝では3区(21.4km)を走り、1時間2分58秒で区間14位。「2つの駅伝で苦戦していたので、今回の区間賞は自信になります」。
今年度の創価大の目標は「学生三大駅伝3位以上」。まず1つ目はクリアし、「全日本、箱根も区間賞争いに加わりたい」と意気込む。最終学年の集大成に向け、好スタートを切った。
出雲駅伝4区で区間賞
10月9日、出雲駅伝の第4中継所。トップを走る駒大から45秒後の2位でやってきたのが創価大の山森龍暁(4年)だった。 3区でリーキー・カミナ(3年)が5位から2位へ順位を上げ、山森が走り出したのは駒大から57秒後。4区の山森は見えない先頭を目指して走り出した。 創価大のエントリー選手でただ1人の4年生。今季は5000m13分49秒59、10000m28分27秒21、ハーフマラソン1時間3分15秒と自己新を連発し、走りで後輩へ背中を見せる立場だ。 箱根駅伝で6区区間賞を獲得した駒大・伊藤蒼唯(2年)を相手に6.2kmで12秒差を詰めて5区の吉田響(3年)へタスキリレー。自身初の区間賞を獲得した。 「1区の石丸(惇那、2年)、2区の小池(莉希、1年)、3区のリーキーが良い流れで来てくれました。その流れを崩さず5区の響へタスキを渡せました。4年生が自分しかおらず、責任を果たそうと思って走りました。最低限の仕事はできたと思います」 昨年は全日本大学駅伝のアンカー8区(19.7km)で三大駅伝初出場を果たしたものの、59分08秒で区間11位。続く今年の箱根駅伝では3区(21.4km)を走り、1時間2分58秒で区間14位。「2つの駅伝で苦戦していたので、今回の区間賞は自信になります」。 今年度の創価大の目標は「学生三大駅伝3位以上」。まず1つ目はクリアし、「全日本、箱根も区間賞争いに加わりたい」と意気込む。最終学年の集大成に向け、好スタートを切った。福田悠一、嶋津雄大、葛西潤……強い先輩たちの背中を追って成長
山森は福井県鯖江市出身。鯖江中では県大会止まりだったものの、鯖江高に進むと急成長。2年時に3000m障害で三重インターハイに出場した。そのレースでは予選12着と決勝には進めなかったが「この時のレースが一番印象に残っています」と振り返る。高3時は同じ3000m障害で県大会4位に入ったものの、北信越大会では予選落ちに終わった。 創価大の瀬上雄然前監督(現・スカウト編成部長)からの熱心な勧誘を受け、2020年4月に入学。その直前の箱根駅伝で創価大は総合9位に入り、初のシード権獲得を果たしている。 高校時代に全国大会で目立つ成績を残せなかったが、箱根のシード権獲得に貢献しようと、強い上級生たちに練習で必死に食らいついた。3学年先輩には原富慶季や福田悠一らがおり、身長174cm、体重52kgと長身で線が細かった山森は2人から筋力トレーニングも教わりながら、箱根は1年時からエントリーメンバー入りを果たしている(未出走)。 その1年時の箱根でチームは往路優勝&総合2位と大躍進。その後もチームは毎年力をつけ、2学年上の嶋津雄大(現・GMOインターネットグループ)や三上雄太(現・中国電力)、1学年上の葛西潤(現・旭化成)、横山魁哉(現・トーエネック)、緒方貴典(現・トヨタ自動車九州)など、それぞれの代が4年生としてチームの核となり、結果を残してきた。 山森もがむしゃらに上級生の背中を追いかけ続け、今年は前例に違わず最上級生として、チームの主軸として、各レースで存在感を発揮している。 [caption id="attachment_118308" align="alignnone" width="800"]
全日本、箱根でも過去最高順位を!
強い4年生の存在が強みであるがゆえに、山森は3年生の時にある不安を覚えた。「この先輩たちが来年いなくなる。自分たちの代が強くならないと……」。 しかし、なかなか結果に結びつかず、榎木和貴監督からは厳しい言葉も投げかけられた。 「走って結果を出そう!」 個性は強く、自立しているという今年の4年生。強いチームを目指し、学年ミーティングを重ねた。 山森の不安を吹き飛ばしたのは、1年生の活躍だった。春先から好調だった小池が7月に5000mで13分54秒27をマークすると、9月には今季大学1年最高タイムとなる13分34秒82と急成長。織橋巧も7月に13分52秒71をたたき出した。「2人の勢いがすごい。それにつられるようにみんな上がってきた。チームが活性化しています」と山森は後輩の活躍を頼もしく感じている。 出雲では5区の吉田響、6区の吉田凌、また日本学生ハーフ5位の小暮栄輝ら3年生も充実。下級生に奮起したかのように、前回箱根8区区間9位の桑田大輔(4年)が10月に10000m28分59秒08と故障から復帰した。志村健太、石井大揮(ともに4年)、若狭凜太郎(3年)も東京レガシーハーフで1時間3分台と好走している。 山森は他大学のエースたちをあまり意識しないという。昨年まではフィリップ・ムルワ(現・GMOインターネットグループ)、そして現在は10000m27分50秒66のカミナと、同28分05秒98のスティーブン・ムチーニ(1年)に日々の練習で食らいつけば、おのずと他大学のエースと戦える力を身につけられるからだ。「彼らがいるから、もっと上を目指せる」。静かなる闘志を燃やしながらトレーニングを重ねている。 昨年の全日本大学駅伝、2区の葛西が駒大の佐藤圭汰(現2年)と首位争いを演じ、トップでタスキリレーしたシーンに山森は胸が熱くなった。「あの葛西さんのように、後半区間の選手や後輩たちが『がんばろう』と思えるような走りをしたい」。強い先輩たちのような背中を、山森も見せたいと思っている。 全日本、箱根は大学史上最高順位を目指すことになる。榎木監督は夏合宿で「次のエースが出て来ないといけない、という状況を各選手が理解したチーム作りができている」と手応えを口にしていた。 まずは出雲で区間賞を取って存在感を示した山森。エースの座を下級生に渡すわけにはいかない。 [caption id="attachment_118309" align="alignnone" width="800"]
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.03.25
箱根駅伝予選会のスタート時刻を変更「温暖化の影響による選手の安全確保」
-
2025.03.25
-
2025.03.25
-
2025.03.25
2025.03.23
女子は長野東が7年ぶりの地元V アンカー・田畑陽菜が薫英女学院を逆転/春の高校伊那駅伝
-
2025.03.19
-
2025.03.19
2025.03.02
初挑戦の青学大・太田蒼生は途中棄権 果敢に先頭集団に挑戦/東京マラソン
2025.03.02
太田蒼生は低体温症と低血糖で途中棄権 「世界のレベルを知れて良い経験」/東京マラソン
-
2025.03.23
-
2025.03.19
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.03.25
箱根駅伝予選会のスタート時刻を変更「温暖化の影響による選手の安全確保」
関東学生陸上競技連盟は3月25日、箱根駅伝予選会のスタート時刻について、次回から変更すると発表した。 前回までは午前9時35分スタートだったが、第102回大会予選会から午前8時30分スタートと、約1時間前倒しする。 「温 […]
2025.03.25
100mH福部真子「引退しないといけないのかな…」菊池病の公表に葛藤も「あとで後悔したくない」元気な姿アピール
女子100mハードル日本記録保持者の福部真子(日本建設工業)がインタビューに応じ、昨年末に公表した「菊池病」と発覚した時の状況や、今の調子、復帰に向けた思いを聞いた。 「元気です!見てもらった通り!」。オンラインで画面越 […]
2025.03.25
大阪に約270人の高校生アスリートが集結! 「切磋琢磨していきたい」 3泊4日の全国高体連合宿スタート
2024年度の日本陸連U-19強化研修合宿・全国高体連陸上競技専門部強化合宿が3月25日、大阪・ヤンマースタジアム長居で始まった。全国から選手約270人が参加し、20度を超える汗ばむ陽気の中で打ち解けながら練習に取り組ん […]
2025.03.25
HOKAが「CLIFTON 10」発売に先駆けてイベント 鎧坂哲哉「クッション性とフィット感が良い」
デッカーズジャパンは3月25日、パフォーマンスフットウェア&アパレルブランド「HOKA」の人気シリーズの新作シューズ「CLIFTON 10(クリフトン 10)」の発売に先駆けてメディア向けの商品説明会・トークセッションを […]
2025.03.25
富士通加入の平林樹「世界一になる」鈴木康也は「マラソンで世界へ」
富士通が3月25日、2025年度新加入選手の合同取材会見を開き、男子長距離の篠原倖太朗(駒大)、平林樹(城西大)、鈴木康也(麗澤大)、女子400mハードルの山本亜美(立命大)が登壇した。 城西大の主将を務めた平林は「こう […]
Latest Issue
最新号

2025年4月号 (3月14日発売)
別冊付録 2024記録年鑑
山西 世界新!
大阪、東京、名古屋ウィメンズマラソン詳報