◇第100回箱根駅伝予選会(10月14日/東京・陸上自衛隊立川駐屯地スタート、昭和記念公園フィニッシュ:21.0975km)
本戦の総合優勝では歴代3位の11回を誇る名門・日大が、総合5位で4年ぶりの予選会突破を決めた。
現状を打破するには、大きな変化が求められていた。
4年連続で箱根路を逃したことで、箱根本戦経験者はゼロに。今年5月に就任した新雅弘駅伝監督が改革をもたらした。
「まずは生活面から見直しました。高校時代は5分前集合ができていたはずなのに、なぜ大学に入ったらできないのか、と。そういうところから始めていきました」
練習内容も大きな変化をつけたわけではないが、しっかりと距離を踏むこと、毎日練習する身体を作ること、その準備を自分ですること。寮に住み、選手たちと寝食を共にしながら、根気よく大事な事を伝え続けた。
「当たり前のことを、当たり前にする」。それがいかに大事かを伝え続けた。
すると、ひとり、ふたりと変わり始め、それがチーム全員に伝播するまでそう時間はかからなかった。
「しっかりと新監督が根気よく選手たちとコミュニケーションを取ってくれていたことが、いちばん大きかったと思います」
新監督とともに選手を指導する、武者由幸コーチは言う。昨年までは箱根の本戦を知る選手がいたが、今の選手たちは誰も箱根駅伝を走る喜びを知らない。それが逆に「『箱根を走りたい』という強い気持ちを生み出せる要因になったのだと思います」と武者コーチは言う。
全員が走り終え、神妙な面持ちで結果発表を待つ。そしてコールされたのは、「5位」。
「もうビックリですよ。半年で、良くこれだけ変わってくれました。突貫工事でしたから、選手たちは本当に大変だったと思います。でも、選手はコツコツと真面目に毎日頑張ってくれた。そういう姿を見ていた神様がくれたご褒美ですね」(新監督)
主将を務めた下尾悠真(4年)も冷静な様子ではあったが、声の奥に喜びが潜んでいるのが良く分かった。
「4年間、頑張ってきたことが報われて本当に良かったと思います。全員で走り切る練習をずっとしてきたので、集団では走れることがこれで証明できたと思います」
箱根本戦に向けた戦略を新監督に伺うと、「何にもないですよ」と笑い飛ばされた。「私たちはまだまだこれから。始まったばかりですから。でも半年でこれだけ変わってくれました。箱根に向けても、今まで通りにコツコツやるだけです」。
駅伝に帰ってきた「N」の文字。だが、まだ帰ってきただけだ。これを継続、勝負、勝利へとつなげるためには、まだまだ長い道のりが待っている。
文/田坂友暁
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
-
2025.03.28
-
2025.03.28
-
2025.03.28
2025.03.23
女子は長野東が7年ぶりの地元V アンカー・田畑陽菜が薫英女学院を逆転/春の高校伊那駅伝
-
2025.03.25
-
2025.03.23
2025.03.02
初挑戦の青学大・太田蒼生は途中棄権 果敢に先頭集団に挑戦/東京マラソン
2025.03.02
太田蒼生は低体温症と低血糖で途中棄権 「世界のレベルを知れて良い経験」/東京マラソン
-
2025.03.23
-
2025.03.19
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.03.28
【世界陸上プレイバック】五輪ボイコットきっかけに創設!クラトフヴィロヴァが女子400mと800mで今も大会記録に残る2冠 日本は室伏重信ら出場も入賞ゼロ
今年、陸上の世界選手権(世界陸上)が34年ぶりに東京・国立競技場で開催される。今回で20回目の節目を迎える世界陸上。日本で開催されるのは1991年の東京、2007年の大阪大会を含めて3回目で、これは同一国で最多だ。これま […]
2025.03.28
【高校生FOCUS】女子三段跳・山﨑りりや(鳴門渦潮高)日本高校女子初の13m到達、大学で学生記録挑戦
FOCUS! 高校生INTERVIEW 山﨑りりや Yamasaki Ririya 鳴門渦潮高3徳島 高校アスリートをフォーカスするコーナー。年度末を迎えますが、振り返ってみれば、2024年度は高校生による日本記録樹立を […]
2025.03.28
3泊4日の全国高体連合宿終了! 「高め合える仲間がいっぱいできた」 来年度は宮崎で開催予定
大阪・ヤンマースタジアム長居を主会場に行われた2024年度の日本陸連U-19強化研修合宿・全国高体連陸上競技専門部強化合宿が3月28日、3泊4日の全日程を終えた。全国から集まった選手たちは交流を深め、試合での再会を誓った […]
2025.03.28
資格停止中の競歩・池田向希がCASに不服申し立て「一日も早く競技 を再開」
旭化成は3月28日、所属選手である競歩の池田向希が受けたアンチ・ドーピング規則違反による4年間の資格停止処分について、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に不服申し立てを行ったと発表した。 男子20km競歩で東京五輪銀メダリスト […]
2025.03.28
【男子円盤投】福宮佳潤(東京高1) 50m73=高1歴代2位&4人目の50mオーバー
3月28日、東京都多摩市の国士大多摩陸上競技場で第7回国士大競技会が行われ、高校用規格の男子円盤投(1.75kg)において福宮佳潤(東京高1)が50m73をマークした。この記録は高校1年生の歴代ランキングで2位。高1で史 […]
Latest Issue
最新号

2025年4月号 (3月14日発売)
別冊付録 2024記録年鑑
山西 世界新!
大阪、東京、名古屋ウィメンズマラソン詳報