HOME 駅伝、箱根駅伝

2023.10.15

明大 攻めの姿勢で貫き2年連続2位通過 ルーキーも好走し100回大会で“古豪”躍動の予感/箱根駅伝予選会
明大 攻めの姿勢で貫き2年連続2位通過 ルーキーも好走し100回大会で“古豪”躍動の予感/箱根駅伝予選会

2023年箱根駅伝予選会で2位通過した明大

◇第100回箱根駅伝予選会(10月14日/東京・陸上自衛隊立川駐屯地スタート、昭和記念公園フィニッシュ:21.0975km)

明大は2年連続の2位で本大会出場を決めた。

「ほっとしています。一安心ですね」。8月1日に就任した山本豪駅伝監督は胸をなでおろした。

山本監督は、フリー、63分台、64分台の3グループを設定し、選手たち自身にどのグループでレースを進めるかを選択させ、児玉真輝、杉彩文海(以上4年)、吉川響、森下翔太(以上2年)、綾一輝(1年)の5人がフリーを選択。残りの7人は63分台を選んだ。

「64分台のグループを選ぶ者もいると思っていましたし、フリーはもっと少ないかなと思っていました。私が思っている以上に、学生たちは仕上がりが良かったのかなという気がしました」

指揮官がこう話すように、選手たちは積極的な姿勢で臨んだ。実際に、明大は序盤から上位でレースを進めた。

「(目標が)63分台だと1km3分ちょうどあたりで押しがちですが、そのペースだと序盤の(平坦な)駐屯地内のコースでは遅い。昭和記念公園内に入って終盤ペースダウンをするのを加味して、少し速めのペース設定を、と指示しました」

広告の下にコンテンツが続きます

多くの有力校が前半を抑えめに入ったなか、山本監督は選手同様に攻めの姿勢だった。

入りの5kmは「ちょっと速いかなと思った」と言うが、結果的には、好コンディションに恵まれたこともあって、攻めの姿勢が功を奏したとも言える。5km、10kmを立教大に次いで2番目で通過すると、15kmではトップに浮上した。

最後は大東大に逆転を許したものの、2位をキープして危なげなく予選を突破した。

「私の見積もりがそもそも低かったのか、5位ぐらいかなと思っていたんで、学生たちは予想以上に走ってくれました」と山本監督は選手たちの奮闘をたたえた。

チームトップは25位の児玉真輝(4年)。前回予選会以来1年ぶりのハーフマラソンとなり「怖さもあって、正直、緊張していた」と漏らす。さらには、8月終わりに足首を痛め、夏の2次合宿(北海道紋別)はまるまる走れなかった。「昨年、一昨年より状態が悪く、万全ではなかったです」。

それでも、1時間2分30秒の自己ベストで走り、最上級生として、そしてエースとしての存在感を示した。

チーム2番手(34位)の吉川響(2年)も1時間2分41秒の自己新。さらには、初ハーフマラソンの1年生たちも好走。綾一輝が1時間2分41秒でチーム3番手の35位、大湊柊翔は1時間3分29秒でチーム5番手の60位と健闘した。

綾は千葉・八千代松陰高時代に全国高校駅伝で2年連続1区を務め、2年時8位、3年時3位と好走。予選会を前にして9月に体調を崩し、練習ができない期間もあったが、焦らずに調整してきた。

「(初めてのハーフなので)どれぐらいのペースで入れば速いのかわからなかったので、とりあえず(日本人の)先頭集団に付いていき、公園内に入るまでは余裕を持って走ることを意識しました。特に児玉さんと吉川さんを目標にして、後ろに付きました。給水をとるのが下手なんですけど、吉川さんには2、3回助けてもらいました」

綾の快走には先輩のサポートを明かした。

「高2の時からベストを更新できていなかったので、ようやく結果を残すことができて、自信につながりました」。綾にとって、この予選会をステップに本戦でもフレッシュな力が躍動しそうだ。

明大は、この3年間の予選会は1位、2位、2位と上位通過しているが、力がありながらも、本戦ではなかなかシード権に届かずにいる。

「学生が掲げる目標は8位。そこに向けて、引き続きやっていくだけですね」(山本監督)

明大は“オリジナル4”と呼ばれる第1回からの出場校。4年ぶりにシード権を獲得し、第100回記念大会で古豪復活の足がかりを築くつもりだ。

文/福本ケイヤ

◇第100回箱根駅伝予選会(10月14日/東京・陸上自衛隊立川駐屯地スタート、昭和記念公園フィニッシュ:21.0975km) 明大は2年連続の2位で本大会出場を決めた。 「ほっとしています。一安心ですね」。8月1日に就任した山本豪駅伝監督は胸をなでおろした。 山本監督は、フリー、63分台、64分台の3グループを設定し、選手たち自身にどのグループでレースを進めるかを選択させ、児玉真輝、杉彩文海(以上4年)、吉川響、森下翔太(以上2年)、綾一輝(1年)の5人がフリーを選択。残りの7人は63分台を選んだ。 「64分台のグループを選ぶ者もいると思っていましたし、フリーはもっと少ないかなと思っていました。私が思っている以上に、学生たちは仕上がりが良かったのかなという気がしました」 指揮官がこう話すように、選手たちは積極的な姿勢で臨んだ。実際に、明大は序盤から上位でレースを進めた。 「(目標が)63分台だと1km3分ちょうどあたりで押しがちですが、そのペースだと序盤の(平坦な)駐屯地内のコースでは遅い。昭和記念公園内に入って終盤ペースダウンをするのを加味して、少し速めのペース設定を、と指示しました」 多くの有力校が前半を抑えめに入ったなか、山本監督は選手同様に攻めの姿勢だった。 入りの5kmは「ちょっと速いかなと思った」と言うが、結果的には、好コンディションに恵まれたこともあって、攻めの姿勢が功を奏したとも言える。5km、10kmを立教大に次いで2番目で通過すると、15kmではトップに浮上した。 最後は大東大に逆転を許したものの、2位をキープして危なげなく予選を突破した。 「私の見積もりがそもそも低かったのか、5位ぐらいかなと思っていたんで、学生たちは予想以上に走ってくれました」と山本監督は選手たちの奮闘をたたえた。 チームトップは25位の児玉真輝(4年)。前回予選会以来1年ぶりのハーフマラソンとなり「怖さもあって、正直、緊張していた」と漏らす。さらには、8月終わりに足首を痛め、夏の2次合宿(北海道紋別)はまるまる走れなかった。「昨年、一昨年より状態が悪く、万全ではなかったです」。 それでも、1時間2分30秒の自己ベストで走り、最上級生として、そしてエースとしての存在感を示した。 チーム2番手(34位)の吉川響(2年)も1時間2分41秒の自己新。さらには、初ハーフマラソンの1年生たちも好走。綾一輝が1時間2分41秒でチーム3番手の35位、大湊柊翔は1時間3分29秒でチーム5番手の60位と健闘した。 綾は千葉・八千代松陰高時代に全国高校駅伝で2年連続1区を務め、2年時8位、3年時3位と好走。予選会を前にして9月に体調を崩し、練習ができない期間もあったが、焦らずに調整してきた。 「(初めてのハーフなので)どれぐらいのペースで入れば速いのかわからなかったので、とりあえず(日本人の)先頭集団に付いていき、公園内に入るまでは余裕を持って走ることを意識しました。特に児玉さんと吉川さんを目標にして、後ろに付きました。給水をとるのが下手なんですけど、吉川さんには2、3回助けてもらいました」 綾の快走には先輩のサポートを明かした。 「高2の時からベストを更新できていなかったので、ようやく結果を残すことができて、自信につながりました」。綾にとって、この予選会をステップに本戦でもフレッシュな力が躍動しそうだ。 明大は、この3年間の予選会は1位、2位、2位と上位通過しているが、力がありながらも、本戦ではなかなかシード権に届かずにいる。 「学生が掲げる目標は8位。そこに向けて、引き続きやっていくだけですね」(山本監督) 明大は“オリジナル4”と呼ばれる第1回からの出場校。4年ぶりにシード権を獲得し、第100回記念大会で古豪復活の足がかりを築くつもりだ。 文/福本ケイヤ

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.01.17

西脇多可新人高校駅伝の出場校決定!男子は佐久長聖、大牟田、九州学院、洛南 女子は長野東、薫英女学院など有力校が登録

1月17日、西脇多可新人高校駅伝の実行委員会が、2月16日に行われる第17回大会の出場チームを発表した。 西脇多可新人高校駅伝は、兵庫県西脇市から多可町を結ぶ「北はりま田園ハーフマラソンコース(21.0795km)」で行 […]

NEWS 編集部コラム「年末年始の風物詩」

2025.01.17

編集部コラム「年末年始の風物詩」

毎週金曜日更新!? ★月陸編集部★ 攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム🔥 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいこと […]

NEWS 中・高校生充実の長野“4連覇”なるか 実力者ぞろいの熊本や千葉、岡山、京都、福岡も注目/都道府県男子駅伝

2025.01.17

中・高校生充実の長野“4連覇”なるか 実力者ぞろいの熊本や千葉、岡山、京都、福岡も注目/都道府県男子駅伝

◇天皇盃第30回全国都道府県対抗男子駅伝(1月19日/広島・平和記念公園前発着:7区間48.0km) 中学生から高校生、社会人・大学生のランナーがふるさとのチームでタスキをつなぐ全国都道府県男子駅伝が1月19日に行われる […]

NEWS 栁田大輝、坂井隆一郎らが日本選手権室内出場キャンセル 日本室内大阪はスタートリスト発表

2025.01.17

栁田大輝、坂井隆一郎らが日本選手権室内出場キャンセル 日本室内大阪はスタートリスト発表

日本陸連は2月1日から2日に行われる、日本選手権室内のエントリー状況と、併催の日本室内大阪のスタートリストを発表した。 日本選手権室内では12月にエントリーが発表されていた選手のうち、男子60mに出場予定だったパリ五輪代 […]

NEWS 東京世界陸上のチケット一般販売が1月31日からスタート!すでに23万枚が販売、新たな席種も追加

2025.01.17

東京世界陸上のチケット一般販売が1月31日からスタート!すでに23万枚が販売、新たな席種も追加

東京2025世界陸上財団は、今年9月に開催される東京世界選手権の観戦チケットの一般販売を1月31日(金)の18時から開始すると発表した。 昨夏に先行販売が始まり、年末年始にも特別販売を実施。すでに23万枚を販売し売れ行き […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年2月号 (1月14日発売)

2025年2月号 (1月14日発売)

駅伝総特集!
箱根駅伝
ニューイヤー駅伝
高校駅伝、中学駅伝
富士山女子駅伝

page top