HOME 世界陸上、海外

2023.08.23

男子走高跳・タンベリが予選落ち危機から2m36で戴冠「今夜はパーティーだ!」/世界陸上
男子走高跳・タンベリが予選落ち危機から2m36で戴冠「今夜はパーティーだ!」/世界陸上

ライバルであり友人でもあるバルシム(左)や妻(右)と優勝を喜び合ったタンベリ

◇ブダペスト世界陸上(8月19日~27日/ハンガリー・ブダペスト)4日目

ブダペスト世界選手権4日目のアフタヌーンセッションが行われ、男子走高跳ではジャンマルコ・タンベリ(イタリア)が2m36で大会初優勝を果たした。

2日前の予選でのタンベリは精細を欠いていた。2m25で1回の失敗。続く2m28では2度失敗し、あわや予選落ちというところまで追い込まれた。今季は7月に2m34を跳んでいたものの、シーズンを通して好不調の波が激しく、決勝でも苦戦が予想されていた。

しかし、2年前の東京五輪でムタズ・エッサ・バルシム(カタール)とともに金メダルに輝いたジャンパーは、決勝で見違えるような跳躍を見せる。

これまでの大会と同様に右半分のヒゲだけを剃って臨んだタンベリは、跳び始めの2m25こそ1度失敗したものの、2m29、2m33とともにミスなくクリア。続く2m36もスピードに乗った助走、力強い踏み切りから鮮やかなクリアランスと完璧な跳躍となり1回で成功させた。

大会3連覇中のバルシムはこの高さを跳べず、走幅跳との二刀流で注目を集めるジュボーン・ハリソンは2m36を2度目に成功。結局、この高さでの試技数差が勝敗を決めることになった。

広告の下にコンテンツが続きます

「すべての主要な大会で金メダルを獲得して歴史を書きたかった」

これまで、五輪、世界室内選手権、欧州選手権、欧州室内選手権と優勝経験のあるタンベリは、今回の優勝で国際主要大会のタイトルをコンプリート。歴史的なジャンパーとして名を残す偉業を達成した。

2m28の元イタリア記録保持者の父を持つタンベリは31歳。15年北京世界選手権で8位で頭角を現し、16年には2m39の自己記録をマークしている。しかし、その年のリオ五輪の直前に左脚靱帯を損傷。選手生命も危ぶまれるケガだった。

それでも、懸命なリハビリを経て競技に復帰し、21年東京五輪でのバルシムと史上初の同記録による両者金メダルはいまも陸上界の語り草となっている。

「予選の後は思ったほど調子が良くなかったので少し怖かったが、決勝では必ず変わるとわかっていた。本当に素晴らしいことだ」と喜びを語ったタンベリ。「来年、地元のローマで行われる欧州選手権もパリ五輪も楽しみにしている。でも、その前に今夜のパーティーだね。1年間ダイエットしたり、いろんなことを我慢してきたんだから」とジョークを交えてインタビューに答えた。

一方、4連覇を逃したバルシムは、2m33で銅メダル。今年で32歳を迎え、近年は腰と膝の故障とも戦っているベテランは「なんとか銅メダルを確保できた。でも、私のキャリアではこれまで金メダル3個、銀メダル1個も獲得している。これまで、こんなにメダルを取った走高跳選手はいないでしょう」と晴れやかな表情を見せ、友人でもあるタンベリを祝福した。

◇ブダペスト世界陸上(8月19日~27日/ハンガリー・ブダペスト)4日目 ブダペスト世界選手権4日目のアフタヌーンセッションが行われ、男子走高跳ではジャンマルコ・タンベリ(イタリア)が2m36で大会初優勝を果たした。 2日前の予選でのタンベリは精細を欠いていた。2m25で1回の失敗。続く2m28では2度失敗し、あわや予選落ちというところまで追い込まれた。今季は7月に2m34を跳んでいたものの、シーズンを通して好不調の波が激しく、決勝でも苦戦が予想されていた。 しかし、2年前の東京五輪でムタズ・エッサ・バルシム(カタール)とともに金メダルに輝いたジャンパーは、決勝で見違えるような跳躍を見せる。 これまでの大会と同様に右半分のヒゲだけを剃って臨んだタンベリは、跳び始めの2m25こそ1度失敗したものの、2m29、2m33とともにミスなくクリア。続く2m36もスピードに乗った助走、力強い踏み切りから鮮やかなクリアランスと完璧な跳躍となり1回で成功させた。 大会3連覇中のバルシムはこの高さを跳べず、走幅跳との二刀流で注目を集めるジュボーン・ハリソンは2m36を2度目に成功。結局、この高さでの試技数差が勝敗を決めることになった。 「すべての主要な大会で金メダルを獲得して歴史を書きたかった」 これまで、五輪、世界室内選手権、欧州選手権、欧州室内選手権と優勝経験のあるタンベリは、今回の優勝で国際主要大会のタイトルをコンプリート。歴史的なジャンパーとして名を残す偉業を達成した。 2m28の元イタリア記録保持者の父を持つタンベリは31歳。15年北京世界選手権で8位で頭角を現し、16年には2m39の自己記録をマークしている。しかし、その年のリオ五輪の直前に左脚靱帯を損傷。選手生命も危ぶまれるケガだった。 それでも、懸命なリハビリを経て競技に復帰し、21年東京五輪でのバルシムと史上初の同記録による両者金メダルはいまも陸上界の語り草となっている。 「予選の後は思ったほど調子が良くなかったので少し怖かったが、決勝では必ず変わるとわかっていた。本当に素晴らしいことだ」と喜びを語ったタンベリ。「来年、地元のローマで行われる欧州選手権もパリ五輪も楽しみにしている。でも、その前に今夜のパーティーだね。1年間ダイエットしたり、いろんなことを我慢してきたんだから」とジョークを交えてインタビューに答えた。 一方、4連覇を逃したバルシムは、2m33で銅メダル。今年で32歳を迎え、近年は腰と膝の故障とも戦っているベテランは「なんとか銅メダルを確保できた。でも、私のキャリアではこれまで金メダル3個、銀メダル1個も獲得している。これまで、こんなにメダルを取った走高跳選手はいないでしょう」と晴れやかな表情を見せ、友人でもあるタンベリを祝福した。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.02.22

今年も福岡でクロカン日本一決定戦! 日本選手権&U20日本選手権クロカンに有力選手が多数出場

第108回日本選手権クロスカントリー、第40回U20日本選手権クロスカントリーは今日2月22日、福岡・海の中道海浜公園の1周2kmのコースを舞台に行われる。 日本選手権は男子が10km、女子が8kmで争われ、男子にはパリ […]

NEWS 編集部コラム「奥が深い」

2025.02.21

編集部コラム「奥が深い」

毎週金曜日更新!? ★月陸編集部★ 攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム🔥 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいこと […]

NEWS ひらまつ病院にニューイヤー駅伝3年連続出走の三田眞司が加入 「チームの最高順位に貢献」

2025.02.21

ひらまつ病院にニューイヤー駅伝3年連続出走の三田眞司が加入 「チームの最高順位に貢献」

ひらまつ病院は2月16日付で、サンベルクスに所属していた三田眞司が加入したと発表した。 29歳の三田は神奈川県出身。光明学園相模原高では3年時に全国都道府県対抗男子駅伝4区9位と力走。国士大では3年時に全日本大学駅伝で3 […]

NEWS 斎藤将也、不破聖衣来、菖蒲敦司らが欠場を発表/日本選手権クロカン

2025.02.21

斎藤将也、不破聖衣来、菖蒲敦司らが欠場を発表/日本選手権クロカン

福岡クロカン事務局は第108回日本選手権クロスカントリーの2月21日時点での欠場者リストを公開した。 男子では斎藤将也(城西大)や谷本昂士郎(順大)ら5人が新たに欠場を発表。女子は不破聖衣来、新井沙希(ともに拓大)、板井 […]

NEWS 国内唯一の室内100mに山縣亮太が登場 投てきは幸長慎一に注目 走幅跳8m40の台湾記録保持者参戦/JAG大崎

2025.02.21

国内唯一の室内100mに山縣亮太が登場 投てきは幸長慎一に注目 走幅跳8m40の台湾記録保持者参戦/JAG大崎

2025 Japan Athlete Games in Osakiが2月23日、鹿児島県大崎町のジャパンアスリートトレーニングセンター大隅で開催される。 この大会は2020年鹿児島国体がコロナ禍で中止(2023年に特別大 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年3月号 (2月14日発売)

2025年3月号 (2月14日発売)

別府大分毎日マラソン
落合 晃×久保 凛
太田智樹、葛西潤
追跡箱根駅伝&高校駅伝

page top