2023.08.01
フィールド&混成
走高跳は最古の大会記録更新がターゲット
投てきにも注目選手そろう
走高跳は連覇を狙う川﨑俊祐(市尼崎3兵庫)、南関東大会で2m17を成功した福士湊(明星学園3東京)の対決になりそう。川﨑は昨年のインターハイで優勝した時の2m12がベスト。今季は故障で出遅れていたものの、近畿大会を2m10で制して復調を遂げている。3年前の全国中学生覇者である福士は、U20日本選手権も2m14で制すなど安定度も高い。ともに今大会では全種目を通じて最古の大会記録2m20を上回る「2m21以上」がターゲットだ。2人が本調子を出せないようだと、北関東大会を2m12で制した佐藤卓巳(市前橋3群馬)にもチャンスがめぐってきそうだ。
棒高跳は千葉県勢に今季ランキング上位者が並ぶ。その中でも自己記録で一歩リードするのが昨年の国体4位だった村社亮太(日体大柏3)だ。南関東大会では自己記録を21㎝も更新する5m21で優勝し、勢いに乗る。同2位の鈴木拓実(成田3)はU20日本選手権で5m10に成功し、高校生最上位の3位に入った。昨年の時点で5m00に成功していた宮嵜裕大(日体大柏3)、昨秋のU18大会で鈴木と宮嵜を下して優勝した牧野友哉(成田3)と、千葉県勢が上位を独占する可能性を秘める。それを阻止する可能性が最も高いのが、北関東大会で5m07に成功した原口顕次朗(前橋育英3群馬)。他にも矢野真一(観音寺総合3香川)、佐々木秀晟(高松一3香川)と5mジャンパーは多く、一歩間違えればメダル争いからも脱落する気の抜けない戦いになるだろう。
走幅跳は大本命が不在。嶋田直弥(九産大九州3福岡)と成川倭士(東海大翔洋3静岡)が7m50を跳んで今季全国リストのトップに並ぶが、7m30~40台に多くがひしめく状態だ。実績面では3年前の全国中学生大会覇者で前回3位の元木涼介(洛南3京都)が一歩リード。同8位の曲山純平(日大東北3福島)も、U20日本選手権で高校生最上位の3位を占めて安定感がある。“一発”がある種目なだけに、6回の試技を有効に進めた選手に勝利の女神がほほ笑むか。

向かい風のなか、7m50で東海地区大会男子走幅跳を制した成川倭士
三段跳は、前回6、7位でU18大会でも2、3位に食い込んでいる工藤匠真(乙訓3)、中田凱斗(北稜3)の京都勢が記録、実績面で優位に立つ。ともに2年時から15m台に乗せ、大舞台で安定して結果を残してきた。安定感、実績面では上記2人には劣るものの、地区大会で15m30オーバーの記録を叩き出した丹野正知(盛岡一3岩手)、鷲頭慶士(崇徳3広島)も有力。北関東1位の宮﨑光(吾妻中央3群馬)も7月1日の県選手権で15m07(+0.4)と大台に乗せ、勢いに乗る。
砲丸投は逆転で近畿大会を制した須田旺来(社3兵庫)、16m56でリストトップに立つ同2位通過の桑添喬偉(和歌山工3和歌山)がやや抜け出すかたちだ。桑添は3年前の全国中学生大会、昨秋のU18大会で優勝し、今年6月のU20日本選手権でも高校生最上位の5位に食い込むなど常に世代をリードしてきた。中学時代からのライバル関係にある須田とともに、最後の夏も優勝争いを繰り広げそうだ。2年生ながら16m台のベストを持つアツオビン・アンドリュウ(花園・京都)は、この種目の高校記録保持者であるアツオビン・ジェイソン(大阪桐蔭/現・福岡大)の弟。6月のU20日本選手権では16m03を投げて8位に入った森川陽介(添上3奈良)とともに、近畿勢が上位を占めそうだ。
円盤投は4月に亀井翔(上野原3山梨)、5月に藤原琢磨(稲生3三重)がそれぞれ48m05を投げてリストトップに立っていたものの、7月に入って近畿大会覇者の永江翔太朗(紀央館2和歌山)が48m20をスロー。一躍優勝候補に躍り出た。至近10大会はすべて優勝記録が49mを超えており、日本一のためには自己新が必須か。
ハンマー投は、京都府大会で高2歴代最高となる65m11を放ったアツオビン・アンドリュウ(花園・京都)が記録、勢いともに群を抜く。悪条件となった近畿大会でも2位に7m以上の差をつけており、全国では「67~68m」での優勝を目論む。実績面では昨年のインターハイで下級生ただ一人入賞を果たし、10月のU18大会を制している尾濱太陽(西条農3広島)が光る。記録面では63m21にとどまっているものの、今年のU20日本選手権でも高校生最上位の2位。65m以上まで伸ばせば勝機が見えてくる。今季63m77を投げている北関東大会覇者・浅利磨海(守谷3茨城)もU20日本選手権で3位と安定感があり、優勝候補の1人だ。

近畿地区大会男子ハンマー投でワン・ツーを占めた花園コンビ、アツオビン・アンドリュウ(左)と髙屋友希
やり投は絶対的優勝候補不在の大混戦が予想される。今季リストトップは6月に67m92を投げた谷口大翔(彦根翔西館3滋賀)だ。昨年のインターハイで5位入賞を果たし、U18大会を大会新で制して実績も十分。昨年は68m55を放っており、「優勝はもちろん、2位にどれだけ差をつけられるかに挑戦したい」と意気込む。近畿大会で谷口を抑えた渡邉宙(草津東3滋賀)と、U20日本選手権2位の森澤知慶(鳥取西3鳥取)、今季リスト2位の67m44を投げている池田栄志(長崎日大3長崎)、南関東大会優勝の國安大悟(片倉3東京)が対抗に挙がる。いずれも自己記録は66m以上。70mの大台に乗せ、ライバルに先手を打てるか。
八種競技は高校歴代8位の5914点の記録を持ち、前人未到の3連覇が懸かっていた高橋諒(桐朋3東京)が左ハムストリングスを痛めて南関東大会を欠場。大本命不在となり、多くの選手にチャンスが広がった。
その中でランキングトップに立つのが、5699点で中国大会を制した河原怜音(岡山商大附3岡山)。110mハードルが得意で、個人種目でも14秒64(+0.7)で中国大会を制している。僅差で追うのが宮下輝一(市船橋1千葉)だ。南関東大会で高橋が持っていた高1最高記録(5528点)を大幅に更新する5682点を記録。「自分が史上初になります」と、尊敬する高橋が挑戦できなかったインターハイ3連覇を目標に掲げ、その第一歩として1年生優勝を貪欲に狙っている。地区大会で5600点以上を記録したのが、大島克範(鶴岡工3山形)と緒方陽平(伊奈総合3埼玉)。ここまでは100点以内の僅差のため、いかに本番で力を発揮できるかが勝敗のカギを握る。
トラック 200mは2年生軸に大激戦の予感 3000m障害は高校記録保持者・永原のさらなる記録更新なるか
100mは黒木海翔(東福岡3福岡)が優勝候補筆頭だ。昨年のU18大会を制すと、今年は5月に高校歴代8位タイの10秒28を2度もマーク。北九州大会では向かい風1.6mの中で10秒37と強さを発揮した。 自己記録で続くのが10秒36を持つ鶴巻陽太(三条3新潟)と中川穂泉(佐世保西3長崎)、10秒37の西岡尚輝(東海大仰星2大阪)。なかでも西岡は2年生ながら今季3度も10秒3~4台を出すなど安定感も高く、激戦の近畿大会も制した。6月のU20日本選手権では予選落ちだったものの、北海道の地でさらなる飛躍の可能性が広がる。 鶴巻は北信越大会を制し、中川は北九州で黒木に次ぐ2位。ともに実績面では黒木に及ばないものの、本番の調子次第で頂点に立つ可能性を秘める。 西岡が予選落ちだったU20日本選手権で高校生最上位の2位を占めたのが小室歩久斗(つくば秀英2茨城)。昨年の国体少年B優勝者で、北関東大会も10秒61(-1.5)と悪条件でも強さを発揮して制した。 現時点では黒木が一歩リードしている状況だが、複数が10秒4を切るハイレベルな戦いになりそうだ。 200mではU20日本選手権で高2歴代3位の20秒78(+0.9)をマークした若菜敬(佐野・栃木)、東海大会を20秒87(+0.5)で優勝した成川倭士(東海大翔洋・静岡)、激戦の南関東大会を21秒12(+2.0)で制した山﨑天心(城西・東京)、21秒08のベストを持つ松本悠斗(佐賀北・佐賀)ら2年生に勢いがある。100mとの2冠を目指す黒木、昨年の全九州新人で黒木を破って優勝した平川慧(コザ3沖縄)、前回4位の津田伊万(洛南3京都)ら3年生も負けられないところだ。 400mは3年前の全中覇者・平川が最有力だが、今大会は200mに専念する可能性を示唆。出場すれば強力だが、不出場だと多くの選手にチャンスが広がる。U20日本選手権で高校生最上位の3位に入った谷野佑成(岡山工3岡山)、同5位の庄籠大翔(東福岡3福岡)も有力で、庄籠を抑えて北九州大会を制した髙木煌之介(大分舞鶴3)は、右ハムストリングスに痛みを抱える中で47秒17を出しており、さらなる飛躍の可能性を秘める。南関東大会優勝の正野巧磨(東海大浦安3千葉)、僅差で同2位になった菊田響生(法政二2神奈川)も46秒台に入る力を備え、誰が勝ってもおかしくない接戦模様だ。 800mは1分49秒台のベストを持つ立迫大徳(鹿児島城西3鹿児島)、坂元龍晟(鹿児島南3鹿児島)、落合晃(滋賀学園2滋賀)が優勝争いを繰り広げそう。なかでも前回4位の立迫は実績面で一歩リードしている。昨年はU20日本選手権を制し、今年はU20アジア選手権を1分49秒22で制覇。南九州大会でも坂元を下している。2年生の落合も高2歴代3位の1分49秒40をマークして好調をアピール。落合が主導権を握り、立迫がレースを動かせば、1分47~48秒台での決着も十分あり得る。そこに坂元が加わればハイレベルな激戦となりそうだ。 [caption id="attachment_105345" align="alignnone" width="800"]

フィールド&混成 走高跳は最古の大会記録更新がターゲット 投てきにも注目選手そろう
走高跳は連覇を狙う川﨑俊祐(市尼崎3兵庫)、南関東大会で2m17を成功した福士湊(明星学園3東京)の対決になりそう。川﨑は昨年のインターハイで優勝した時の2m12がベスト。今季は故障で出遅れていたものの、近畿大会を2m10で制して復調を遂げている。3年前の全国中学生覇者である福士は、U20日本選手権も2m14で制すなど安定度も高い。ともに今大会では全種目を通じて最古の大会記録2m20を上回る「2m21以上」がターゲットだ。2人が本調子を出せないようだと、北関東大会を2m12で制した佐藤卓巳(市前橋3群馬)にもチャンスがめぐってきそうだ。 棒高跳は千葉県勢に今季ランキング上位者が並ぶ。その中でも自己記録で一歩リードするのが昨年の国体4位だった村社亮太(日体大柏3)だ。南関東大会では自己記録を21㎝も更新する5m21で優勝し、勢いに乗る。同2位の鈴木拓実(成田3)はU20日本選手権で5m10に成功し、高校生最上位の3位に入った。昨年の時点で5m00に成功していた宮嵜裕大(日体大柏3)、昨秋のU18大会で鈴木と宮嵜を下して優勝した牧野友哉(成田3)と、千葉県勢が上位を独占する可能性を秘める。それを阻止する可能性が最も高いのが、北関東大会で5m07に成功した原口顕次朗(前橋育英3群馬)。他にも矢野真一(観音寺総合3香川)、佐々木秀晟(高松一3香川)と5mジャンパーは多く、一歩間違えればメダル争いからも脱落する気の抜けない戦いになるだろう。 走幅跳は大本命が不在。嶋田直弥(九産大九州3福岡)と成川倭士(東海大翔洋3静岡)が7m50を跳んで今季全国リストのトップに並ぶが、7m30~40台に多くがひしめく状態だ。実績面では3年前の全国中学生大会覇者で前回3位の元木涼介(洛南3京都)が一歩リード。同8位の曲山純平(日大東北3福島)も、U20日本選手権で高校生最上位の3位を占めて安定感がある。“一発”がある種目なだけに、6回の試技を有効に進めた選手に勝利の女神がほほ笑むか。 [caption id="attachment_105704" align="alignnone" width="800"]

|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.02.22
石井優吉がショートトラック800m1分46秒41の日本新!
2025.02.22
JMCランキング暫定1位の西山雄介がコンディション不良により欠場/大阪マラソン
2025.02.22
【男子ハンマー投】アツオビン・アンドリュウ(花園高3) 61m59=一般規格高校歴代2位
-
2025.02.22
-
2025.02.22
-
2025.02.21
-
2025.02.21
2025.02.17
日本郵政グループ女子陸上部 「駅伝日本一」へのチームづくりとコンディショニング
2025.02.16
男子は須磨学園が逆転勝ち! 女子は全国Vの長野東が強さ見せる/西脇多可高校新人駅伝
-
2025.02.16
-
2025.02.16
-
2025.02.16
-
2025.02.22
-
2025.02.16
2025.02.02
【大会結果】第77回香川丸亀国際ハーフマラソン(2025年2月2日)
2025.02.02
大迫傑は1時間1分28秒でフィニッシュ 3月2日の東京マラソンに出場予定/丸亀ハーフ
-
2025.02.14
-
2025.02.09
-
2025.02.02
-
2025.01.26
-
2025.01.31
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.02.22
石井優吉がショートトラック800m1分46秒41の日本新!
2月21日、米国ペンシルベニア州カレッジステーションでペンシルベニア州立大の学内学内競技会が同校の室内競技場(1周200m)で行われ、男子800mで石井優吉(ペンシルベニア州立大)が1分46秒41のショートラック日本記録 […]
2025.02.22
JMCランキング暫定1位の西山雄介がコンディション不良により欠場/大阪マラソン
◇大阪マラソン2025(2月24日/大阪・大阪府庁前スタート・大阪城公園フィニッシュ) 大阪マラソンの主催者は2月22日、招待選手の西山雄介(トヨタ自動車)がコンディション不良により欠場することを発表した。 西山は22年 […]
2025.02.22
【男子ハンマー投】アツオビン・アンドリュウ(花園高3) 61m59=一般規格高校歴代2位
2月22日、京都市の京産大総合グラウンド競技場で第11回京都陸協記録会が行われ、一般規格の男子ハンマー投でアツオビン・アンドリュウ(花園高3京都)が高校歴代2位となる61m59をマークした。 アツオビンは昨年のU20日本 […]
2025.02.22
円盤投・堤雄司が自己2番目の61m76でV 女子100mH青木益未は13秒04 福田翔太、郡菜々佳も優勝/WAコンチネンタルツアー
【動画】円盤投で堤雄司が投げた61m76 61m76セカンドベスト pic.twitter.com/OqeyrhsNej — Yuji Tsutsumi(堤 雄司) (@NeoTsutsumi) Februa […]
Latest Issue
最新号

2025年3月号 (2月14日発売)
別府大分毎日マラソン
落合 晃×久保 凛
太田智樹、葛西潤
追跡箱根駅伝&高校駅伝