2023.07.31
躍進の1年目、充実の2年目、苦戦の3年目
平林が本格的に陸上を始めたのは美方高(福井)に入学してから。父・清一さんも美方高OBで、高校時代は福井県内で名の知られたランナーだった。
平林は高校入学時は学年で下から2番目だったものの、秋には県高校駅伝の1区を任されるまでに成長を見せた。
それでも、県内には田中悠登(敦賀気比高/現・青学大)がおり、「高校3年間は悔しさを味わうことのほうが圧倒的に多かったです」と当時を振り返る。
そして、國學院大に進学し、一気に頭角を現していく。
入学して早々に10000mで28分台をマークすると、1年目から出雲、全日本、箱根と三大駅伝すべてに出場。重要な局面を任され、安定した活躍を見せてきた。
昨年の3月には1年生にして日本学生ハーフマラソン選手権の頂点にも立ち、昨年度はチームのエース格の1人として箱根駅伝では花の2区を担った(区間7位)。

23年箱根駅伝で花の2区を疾走する平林清澄
しかし、3年目のシーズンに向けてさらなる飛躍を果たすはずだったが、今年の箱根駅伝の後に仙骨の疲労骨折をしてしまう。
「初めての疲労骨折で、一瞬、放心しました」
予定していたマラソン挑戦を見送ることになり、ディフェンディングチャンピオンとして迎えた日本学生ハーフマラソン選手権では万全な状態ではなく、9位に終わった。
連覇を果たせなかっただけでなく、目標としていたワールドユニバーシティゲームズの代表をも逃した。
新チームでは山本とともに副将の役職に就いたが、関東インカレにも出場できず、苦しい前半戦を過ごした。「故障も続いていたので、気合を入れようと思って」と、頭を丸めたこともあった。
苦手のラストスパートを克服して10000m27分台へ
7月8日のホクレンDC網走大会の男子10000mA組に出場した國學院大の平林清澄(3年)は、目標タイム27分55秒00の赤いペーシングライトに合わせたペースメーカーの背後にぴったりとついてレースを進めていた。 「流れが良かったんですよ。1500mの景仁さん(鈴木、4年)と、5000mの歩夢(山本、3年)が國學院記録。網走大会の締めとして、自分もちゃんと結果を出したいなと思っていました」 この日、先輩の鈴木が1500mで3分43秒10、同期の山本が5000mで13分34秒85と、それぞれ國學院大學記録をマーク。平林のモチベーションも高まっていた。 「レース展開、運次第かなと思っていましたが、正直、直前の練習の時点で『出るな』と思っていました」と、平林は27分台への手応えを持って臨み、快調にペースを刻んだ。 後半に入って、ペースメーカーが設定ペースから遅れ始めると、ラスト5周半で吉田祐也(GMOインターネットグループ)とともに集団を抜け出す。 「ペースメーカーのペースが上がらなかったので、僕が前に出ようとしたら、吉田祐也さんが『僕が行くよ』みたいな感じで引っ張ってくれました。お陰で良いレースができたと思います」 そして、見事に國學院大の選手として初の27分台となる27分55秒15の好記録をマークした。 平林が27分台よりも大きな収穫として挙げたのが、ラストスパートだった。これまで課題としていた部分だったが、ラスト1周を62秒でカバーした。 「68秒かかっていたら27分台は出ていなかったんですよね」 苦手を克服して27分台をマークし、この日のチームの“大トリ”として最高のかたちで大会を締めくくった。 「他大学にも『ちゃんと走っているぞ』というところを見せたかった」と平林は言うが、前半の不調からの復活をアピールするには、十分なパフォーマンスだっただろう。躍進の1年目、充実の2年目、苦戦の3年目
平林が本格的に陸上を始めたのは美方高(福井)に入学してから。父・清一さんも美方高OBで、高校時代は福井県内で名の知られたランナーだった。 平林は高校入学時は学年で下から2番目だったものの、秋には県高校駅伝の1区を任されるまでに成長を見せた。 それでも、県内には田中悠登(敦賀気比高/現・青学大)がおり、「高校3年間は悔しさを味わうことのほうが圧倒的に多かったです」と当時を振り返る。 そして、國學院大に進学し、一気に頭角を現していく。 入学して早々に10000mで28分台をマークすると、1年目から出雲、全日本、箱根と三大駅伝すべてに出場。重要な局面を任され、安定した活躍を見せてきた。 昨年の3月には1年生にして日本学生ハーフマラソン選手権の頂点にも立ち、昨年度はチームのエース格の1人として箱根駅伝では花の2区を担った(区間7位)。 [caption id="attachment_109680" align="alignnone" width="800"]
「やっぱり勝ちたい」
前半戦は、平林のみならず、山本と主将の伊地知賢造も故障で戦列を離れていた。その間、青木瑠郁、上原琉翔といった2年生が奮闘を見せた。 「関東インカレは僕たちが出ないといけないのに、下級生が相当頑張ってくれた。刺激になりましたが、ちょっとうらやましいというか、悔しくもありました。2年生はバランス良く、本当に強いんですけど、若い世代にだけ頼っていてはダメ。僕たちがホクレンで戻ってきて、決めてやろうと思っていました」 下級生の活躍は平林にとって発奮材料になった。 本格復帰の前に、5月20日の早大競技会ではチームメイトの引っ張り役を務め、田中登馬(2年)の13分台をはじめ、チームメイトの快走をサポートした。 「練習の一環として引っ張ったんですけど、(田中の)13分台をはじめ、自己ベストが何人も出た。選手たちには自信になったと思うし、僕も不安だったんですけど、役に立てて良かったです」 平林は副将を務めることに「プレッシャーを感じる」と話すが、仲間をサポートし、チームを盛り立てる姿は、チームの牽引役としての使命感の現れでもあるだろう。 そして、自身も復帰戦に向けて調子を上げていった。 ホクレンDCではまず深川大会(7月5日)で、伊地知が復帰戦で28分37秒39と好走した。そして、網走大会で山本とともに平林が快走。前半戦に故障があった主力の3人がようやく足並みをそろえた。 ホクレンDC、関東学生網走夏季記録挑戦競技会2023を通して、チームメイトにも好記録が続出。國學院大には確実に良い流れが来ている。 昨年度は三大学生駅伝全てで表彰台を目標に掲げながらも、箱根駅伝は4位に終わった。特に箱根の時はフィニッシュの真裏でアンカーの佐藤快成(3年)を待っていたが、「本当に悔しかったです。あの時の心情は味わいたくないし、忘れたくない」と当時を振り返る。 今年度も昨年度と同じ目標に挑むが、平林の心のうちにある本音は……。 「表彰台と言いつつも、そこには優勝も含まれる。やっぱり3位を狙っておもしろいことはないじゃないですか。やっぱり勝ちたい」 頂点に立つことが簡単でないことは重々承知の上。それでも、虎視眈眈と頂を見据えている。 「早く駅伝シーズン来ないかなと、ワクワクしています。その前に夏合宿か……。夏合宿でもう一段強くなりたいですね。っていうか、強くなると思います!」 そう話す平林の表情には自信が満ち溢れていた。 [caption id="attachment_109681" align="alignnone" width="800"]
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.02.22
石井優吉がショートトラック800m1分46秒41の日本新!
2025.02.22
JMCランキング暫定1位の西山雄介がコンディション不良により欠場/大阪マラソン
2025.02.22
【男子ハンマー投】アツオビン・アンドリュウ(花園高3) 61m59=一般規格高校歴代2位
-
2025.02.22
-
2025.02.22
-
2025.02.21
-
2025.02.21
2025.02.17
日本郵政グループ女子陸上部 「駅伝日本一」へのチームづくりとコンディショニング
2025.02.16
男子は須磨学園が逆転勝ち! 女子は全国Vの長野東が強さ見せる/西脇多可高校新人駅伝
-
2025.02.16
-
2025.02.16
-
2025.02.16
-
2025.02.22
-
2025.02.16
2025.02.02
【大会結果】第77回香川丸亀国際ハーフマラソン(2025年2月2日)
2025.02.02
大迫傑は1時間1分28秒でフィニッシュ 3月2日の東京マラソンに出場予定/丸亀ハーフ
-
2025.02.14
-
2025.02.09
-
2025.02.02
-
2025.01.26
-
2025.01.31
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.02.22
石井優吉がショートトラック800m1分46秒41の日本新!
2月21日、米国ペンシルベニア州カレッジステーションでペンシルベニア州立大の学内学内競技会が同校の室内競技場(1周200m)で行われ、男子800mで石井優吉(ペンシルベニア州立大)が1分46秒41のショートラック日本記録 […]
2025.02.22
JMCランキング暫定1位の西山雄介がコンディション不良により欠場/大阪マラソン
◇大阪マラソン2025(2月24日/大阪・大阪府庁前スタート・大阪城公園フィニッシュ) 大阪マラソンの主催者は2月22日、招待選手の西山雄介(トヨタ自動車)がコンディション不良により欠場することを発表した。 西山は22年 […]
2025.02.22
【男子ハンマー投】アツオビン・アンドリュウ(花園高3) 61m59=一般規格高校歴代2位
2月22日、京都市の京産大総合グラウンド競技場で第11回京都陸協記録会が行われ、一般規格の男子ハンマー投でアツオビン・アンドリュウ(花園高3京都)が高校歴代2位となる61m59をマークした。 アツオビンは昨年のU20日本 […]
2025.02.22
円盤投・堤雄司が自己2番目の61m76でV 女子100mH青木益未は13秒04 福田翔太、郡菜々佳も優勝/WAコンチネンタルツアー
【動画】円盤投で堤雄司が投げた61m76 61m76セカンドベスト pic.twitter.com/OqeyrhsNej — Yuji Tsutsumi(堤 雄司) (@NeoTsutsumi) Februa […]
Latest Issue
最新号

2025年3月号 (2月14日発売)
別府大分毎日マラソン
落合 晃×久保 凛
太田智樹、葛西潤
追跡箱根駅伝&高校駅伝