2023.08.14
日本気圧バルク工業が推し進める〝酸素の力〟を活用し、パフォーマンスアップと早期復帰を促進/接骨院とトレーニング・リハビリジムを併設した施設
各種スポーツ界を中心に〝酸素〟の活用法が注目を集めるなか、地域の人々の健康を支える接骨院や鍼灸院をはじめ全国各地のスポーツジムなどにも日本気圧バルク工業の酸素ルーム「O2Room®」の導入が進んでいる。高校時代に関西のJクラブのユースチームで活動するなどサッカーに打ち込んでいたという、奈良県葛城市にある奈良接骨院を営む川合宏明代表(44歳)。
ケガもあり高校でサッカーの一線からは退いたが、大阪の大学を卒業後、トレーナーになるため大阪市内にある医療系の専門学校に進み、柔道整復師の国家資格を取得。在学中から高校時代に所属していたユースチームにトレーナー実習生として参加。卒業後も実習生としてユースチーム、ジュニアユースチームを統括するアカデミー担当のトレーナーとして3年間活動したのち、現在の奈良接骨院を2008年に開業。
地元の人々をはじめ、サッカー関係者など多くの人々に親しまれて15年になる。開業当時から酸素カプセルを導入するなど〝酸素〟に注目していた川合代表。もっとたくさんの方々に酸素のことを知ってもらいたいと、2022年2月に日本気圧バルク工業の酸素ルーム「O2Room®」を導入。接骨院に高気圧酸素ルーム、同じ敷地内にあるトレーニング・リハビリジム「Lady Bird」に低圧低酸素ルームと、2台の「O2Room®」を設置。それぞれの利点を生かした活用が進められている。
酸素カプセルに限界を感じ、新たに酸素ルームを導入
奈良県の北西部、大阪と奈良の府県境を縦断する金剛葛城山系の麓にある葛城市。そののどかな街並みを横切る近鉄御所線・忍おしみ海駅のすぐそばにあるのが奈良接骨院だ。代表を務める川合宏明さんの地元でもある地域に開業し、今年で15年目を迎える。高校時代にJクラブのユースチームで活躍した川合代表。
「2年生の時に右膝の手術を受けたのですが、その時のリハビリでお世話になったトレーナーの先生に憧れたのがこの道に進んだきっかけです」と当時を振り返る。
大学を卒業後、専門学校に進んで医療の道へ。
「専門学校に通っていた時から、高校時代にお世話になっていたユースチームにトレーナーのお手伝いとして参加。国家資格を取得後もアカデミー担当のトレーナーを3年間続けていました」と、高校時代まで打ち込み、現在も趣味で続けるサッカーチームのトレーナーとして第一線の現場で経験を積んだ。
トレーナーの道を志した当時から、「ケガなどで困っている選手や地域の人たちの健康を支えたいという思いが強く、できるだけ早く開業できればと思っていました」と川合代表。3年間の治療経験、トレーナー活動を経て2008年に奈良接骨院をオープンさせた。
「学生の頃、ワールドカップ(2002日韓共同開催大会)の前にベッカム選手(イングランド代表)が使って話題になったり、プロ野球選手やマラソンの高橋尚子選手なども使っていると聞いていたので、酸素カプセルには当時から興味を持っていました。疲労回復の効果やケガが早く治るのなら使いたいと思っていました」と話すように、開業と同時に酸素カプセルの導入に踏み切った。
使用感としては、「使い方や使うタイミングなど、まだまだわかっていないことが多かったので、効果があったと感じる人が半数よりやや多い程度でした」と振り返る。それ以上に、「骨折された患者さんなどは入口も狭く、上部から入らなければいけない酸素カプセルに入るのがひと苦労で、中には入れない方がおられるなど使用に制限があり、患者さんにはご不便をおかけしたと思っています」と感想を口にする。
そうした経緯もあり、高気圧酸素には期待しつつも、カプセルタイプには限界を感じ、新たな機器の導入を模索するなかで目に留まったのが日本気圧バルク工業の酸素ルーム「O2Room®」だった。日本気圧バルク工業は酸素ルーム業界のパイオニアで、部屋型タイプを「酸素ルーム」と名付けた企業。
大学や病院などの研究機関と共同研究し、複数の確かなエビデンスを基に製造・販売している唯一の企業であり、製品の安全性を最優先に考えているため、これまで国内外に数千台出荷している中で事故が1度もない。なおかつ、会社としても日本体力医学会や日本気圧メディカル協会、日本気圧メディカル学会などに参加あるいは加盟しており、同社スタッフ自体が上記学会で論文発表するほど専門知識が豊富なところも奈良接骨院の川合代表が信頼を寄せたポイントだ。
早期回復・早期復帰に貢献
開業当初は酸素、主に高気圧酸素に関心を持っていたこともあり、いち早く酸素カプセルを導入した川合代表。その後、2018年に接骨院の横にトレーニング・リハビリジム「LadyBird」を新たにオープンしたことで、「低圧低酸素がコンディショニングやリハビリに活用できると考えており、さらにカプセルではできない、ルームならではの活用法があると考えていた時に、ご提案いただいたのがO2Room®でした」と振り返る。
もともと接骨院をオープンした当初から治療に加え、リハビリやトレーニング、コンディショニングもできるジムを併設したかたちを理想だと考えていたという川合代表。その夢がようやく叶い、サッカー経験やトレーナーとして培ってきた自分の強みをより生かした治療院の目玉のひとつと考えたのが酸素ルームだった。
「ジムに厳選したトレーニング機器を入れ、リハビリやトレーニングができるかたちは整えましたが、さらに選手たちのパフォーマンスをアップさせてあげたい、通ってくださる方々の健康にもっと効果的なものはないかと考えていました。その要望にマッチしたのが低圧低酸素ルームでした」
当初、場所的な問題もあり、1台で高気圧酸素と低圧低酸素の両方が利用できる2wayタイプの酸素ルームも考えたと言うが、「患者さんや選手が来られる時間が重なることも多いので、切り替える時間などを考えて、タイプの異なる2台を入れた方が効率的に使ってもらえると考え、高気圧酸素、低圧低酸素の2つのタイプを導入することにしました」という。
室内で運動などをすることはないが、カプセルで不自由さを感じていたこともあり、寝たままでも入れる大きさを確保した高気圧酸素ルーム(高さ1.5m、幅1.2m、奥行き2.25m)を接骨院に、室内でリハビリを兼ねバイクなどを使用することを考えジム内に設置した低圧低酸素ルームは大型サイズ(高さ2.1m、幅1.7m、奥行き3.0m)となっている。
「低圧低酸素ルームは、ケガをして早期回復・早期復帰を願う選手にはうってつけの機器となります。身体の回復能力を高めながら、心肺機能を維持するためのトレーニングができます。サッカーなどの場合、ケガをした選手が一番困るのが、心肺機能が落ちること。低圧低酸素ルームは、バイクなどのトレーニングもできますし、もしトレーニングができない場合でも、室内にいるだけで標高の高い高地に滞在するのと同じ効果があり、心肺機能を高められずとも維持することができます。ケガが治っても、通常、ケガをする前の体力に戻すのに、休んでいた期間の何倍もの時間を要することになりますが、その期間が短縮できるので、選手からも好評を得ています」と川合代表は笑顔で話す。
肉離れや打撲、捻挫などケガをして来院される場合、「受傷直後は高気圧酸素ルームに入っていただきますが、スポーツ選手の場合は、その後は低圧低酸素ルームを使用することがほとんどです」。それだけスポーツシーンにマッチした機器だと言える。
「これは少し余談ですが、コロナに感染後、後遺症で運動すると咳が止まらないなどの症状が出ていた選手がいましたが、低圧低酸素ルームに入って軽い運動をすることで咳が止まり、感染以前の体調に戻ったというケースもありました」
低圧低酸素の新たな活用法
奈良接骨院には、サッカー選手をはじめ、各種スポーツに打ち込む中高校生が数多く来院する。酸素ルームを導入するまでは、「基本的にケガをした選手にも安静にしてもらうことしかできませんでした」と川合代表。それが、「患部の治療と並行して、低圧低酸素ルームを活用することで、すぐにリハビリが開始できるようになりました。
これは選手にとってとても大きなメリットだと感じています。治りも早まり、早期復帰が実現できます。以前と比べ通院していただく回数も減っていますし、ケガの程度にもよりますが、例えばこれまで復帰までに2~3ヵ月かかっていた期間が1~2ヵ月に短縮され、さらに再発率も低くなるなどの効果が出ています」と導入後の変化を説明する。
「選手はケガをしたことはもちろん、練習ができないことに焦りやストレスを感じます。『3ヵ月かかる』と言われるより、『1ヵ月で復帰できる』となれば選手の目の色も変わってきます。無理をするわけでなく、それでもできることから始め、それが早期復帰、体力・パフォーマンスの維持につながるのであれば、リハビリにも熱が入ります。そういう意味ではメンタル面、心的要因も大きいのかもしれませんね」
ここまでは予測できた効果だったが、導入後、予想していなかった使い方をする選手が現れた。
「サッカー選手がリーグ戦を戦うにあたり、試合の前日に低圧低酸素に入って軽いトレーニングをすることで、コンディションに変化があると言います。低圧低酸素ルームに入らずに試合に出た場合と、入って出た場合とで、後半の体力維持や翌日の疲れ方が違うと。最近は、それが口コミで広がり、実際に使って、そのように感じた選手は、継続的に入りに来ています。試合の前日に50分間入り軽めにバイクをこぐというのがパターンとなっています」
誰もがそう感じるというものではないと言うが、試合で極限まで追い込む選手だからこそ、効果を感じ、定期的に活用している選手が増えているという。通常、陸上競技の選手などは、重要な試合に向けて追い込んだトレーニングを行った後に体調を整えたり、疲れを抜く目的で高気圧酸素を活用することが一般的となっている。
「私も最初は、そういう使い方がベストだろうと思っていましたが、低圧低酸素がサッカーのコンディショニングに使えるという新たな一面を見ることができました。活用している選手は、試合中の呼吸が楽になる、翌日の疲れ方が全然違うなどの感想をもらします。まったく変わらなかったという選手もいますが、試合前に低圧低酸素ルームに入って疲れが出たとか、動きが鈍ったなどの感想は聞かれません。今後は、さらにエビデンスを取り、より効果的に活用できるようにしていきたいと考えています」
低圧低酸素をもっと身近に
高気圧酸素は、開業当初から酸素カプセルを導入していたこともあり、「当院を訪れる患者さんには、その効果などは浸透しています。さらに最近では、酸素ルームの評判を聞きつけて来られる患者さんも増えているので、かなり一般的にも認知されてきていると感じています。陸上やサッカーはもちろん、野球やゴルフなどをしている選手も『疲れを取りたい』と高気圧酸素を活用されるケースが多いですね」と状況を話す。
低圧低酸素は、高橋尚子さんに代表されるように長距離ランナーのトレーニング用というイメージが根強い。「実際うちのジムに通う中高年の方に勧めても、目指しているところが違うなどの誤解から使うことをためらう方が多い」と川合代表。サッカーや陸上などの選手の間では効果があると活用の機会が増えているが、「その浸透はもちろん、さらに普段の健康にも役立つものとしてどう広げていくかが今後の課題です」と、その先を見据える。
「スポーツシーンで培ったさまざまなノウハウを一般の方々に落とし込むこと。低圧低酸素はダイエットや生活習慣病対策にも効果があるという研究結果も出ていますし、地域の人たちの健康寿命を延ばすという意味でも、さらに活用していただけるよう取り組んでいきたい」と川合代表。
「人間、いつかは寿命を迎えますが、その直前まで健康で、自分の足で歩けるのが理想です。その手助けとなるツールのひとつが酸素ルームだと思っています」
健康志向の高まりとともに治療院やジムは巷にあふれている。しかし、その2つが融合し、さらに2つのタイプの酸素ルームを活用した施設はまだ少ない。そのメリットを生かした奈良接骨院のチャレンジはこれからも続いていく。
奈良接骨院/ LadyBird(トレーニング・リハビリジム)
奈良県葛城市忍海400-1
TEL & FAX 0745-63-1260
ホームページ
文/花木 雫、撮影/弓庭保夫
※この記事は『月刊陸上競技』2023年9月号に掲載しています
酸素カプセルに限界を感じ、新たに酸素ルームを導入
奈良県の北西部、大阪と奈良の府県境を縦断する金剛葛城山系の麓にある葛城市。そののどかな街並みを横切る近鉄御所線・忍おしみ海駅のすぐそばにあるのが奈良接骨院だ。代表を務める川合宏明さんの地元でもある地域に開業し、今年で15年目を迎える。高校時代にJクラブのユースチームで活躍した川合代表。 「2年生の時に右膝の手術を受けたのですが、その時のリハビリでお世話になったトレーナーの先生に憧れたのがこの道に進んだきっかけです」と当時を振り返る。 大学を卒業後、専門学校に進んで医療の道へ。 「専門学校に通っていた時から、高校時代にお世話になっていたユースチームにトレーナーのお手伝いとして参加。国家資格を取得後もアカデミー担当のトレーナーを3年間続けていました」と、高校時代まで打ち込み、現在も趣味で続けるサッカーチームのトレーナーとして第一線の現場で経験を積んだ。 トレーナーの道を志した当時から、「ケガなどで困っている選手や地域の人たちの健康を支えたいという思いが強く、できるだけ早く開業できればと思っていました」と川合代表。3年間の治療経験、トレーナー活動を経て2008年に奈良接骨院をオープンさせた。 「学生の頃、ワールドカップ(2002日韓共同開催大会)の前にベッカム選手(イングランド代表)が使って話題になったり、プロ野球選手やマラソンの高橋尚子選手なども使っていると聞いていたので、酸素カプセルには当時から興味を持っていました。疲労回復の効果やケガが早く治るのなら使いたいと思っていました」と話すように、開業と同時に酸素カプセルの導入に踏み切った。 使用感としては、「使い方や使うタイミングなど、まだまだわかっていないことが多かったので、効果があったと感じる人が半数よりやや多い程度でした」と振り返る。それ以上に、「骨折された患者さんなどは入口も狭く、上部から入らなければいけない酸素カプセルに入るのがひと苦労で、中には入れない方がおられるなど使用に制限があり、患者さんにはご不便をおかけしたと思っています」と感想を口にする。 そうした経緯もあり、高気圧酸素には期待しつつも、カプセルタイプには限界を感じ、新たな機器の導入を模索するなかで目に留まったのが日本気圧バルク工業の酸素ルーム「O2Room®」だった。日本気圧バルク工業は酸素ルーム業界のパイオニアで、部屋型タイプを「酸素ルーム」と名付けた企業。 大学や病院などの研究機関と共同研究し、複数の確かなエビデンスを基に製造・販売している唯一の企業であり、製品の安全性を最優先に考えているため、これまで国内外に数千台出荷している中で事故が1度もない。なおかつ、会社としても日本体力医学会や日本気圧メディカル協会、日本気圧メディカル学会などに参加あるいは加盟しており、同社スタッフ自体が上記学会で論文発表するほど専門知識が豊富なところも奈良接骨院の川合代表が信頼を寄せたポイントだ。早期回復・早期復帰に貢献
開業当初は酸素、主に高気圧酸素に関心を持っていたこともあり、いち早く酸素カプセルを導入した川合代表。その後、2018年に接骨院の横にトレーニング・リハビリジム「LadyBird」を新たにオープンしたことで、「低圧低酸素がコンディショニングやリハビリに活用できると考えており、さらにカプセルではできない、ルームならではの活用法があると考えていた時に、ご提案いただいたのがO2Room®でした」と振り返る。 [caption id="attachment_109446" align="alignnone" width="800"] 奈良接骨院(右)とリハビリ・トレーニングジム「LadyBird」(奥)は同じ敷地内に別棟で併設されている[/caption] もともと接骨院をオープンした当初から治療に加え、リハビリやトレーニング、コンディショニングもできるジムを併設したかたちを理想だと考えていたという川合代表。その夢がようやく叶い、サッカー経験やトレーナーとして培ってきた自分の強みをより生かした治療院の目玉のひとつと考えたのが酸素ルームだった。 「ジムに厳選したトレーニング機器を入れ、リハビリやトレーニングができるかたちは整えましたが、さらに選手たちのパフォーマンスをアップさせてあげたい、通ってくださる方々の健康にもっと効果的なものはないかと考えていました。その要望にマッチしたのが低圧低酸素ルームでした」 [caption id="attachment_109448" align="alignnone" width="800"] 接骨院は痛みの解消や疲労回復が施される[/caption] 当初、場所的な問題もあり、1台で高気圧酸素と低圧低酸素の両方が利用できる2wayタイプの酸素ルームも考えたと言うが、「患者さんや選手が来られる時間が重なることも多いので、切り替える時間などを考えて、タイプの異なる2台を入れた方が効率的に使ってもらえると考え、高気圧酸素、低圧低酸素の2つのタイプを導入することにしました」という。 室内で運動などをすることはないが、カプセルで不自由さを感じていたこともあり、寝たままでも入れる大きさを確保した高気圧酸素ルーム(高さ1.5m、幅1.2m、奥行き2.25m)を接骨院に、室内でリハビリを兼ねバイクなどを使用することを考えジム内に設置した低圧低酸素ルームは大型サイズ(高さ2.1m、幅1.7m、奥行き3.0m)となっている。 [caption id="attachment_109450" align="alignnone" width="800"] 接骨院にある高気圧酸素用の「O2Room®」は高さ1.5m、幅1.2m、奥行き2.25mのミドルサイズで、身体の大きな方でも中でゆっくりくつろげ、出入りもスムーズだ[/caption] 「低圧低酸素ルームは、ケガをして早期回復・早期復帰を願う選手にはうってつけの機器となります。身体の回復能力を高めながら、心肺機能を維持するためのトレーニングができます。サッカーなどの場合、ケガをした選手が一番困るのが、心肺機能が落ちること。低圧低酸素ルームは、バイクなどのトレーニングもできますし、もしトレーニングができない場合でも、室内にいるだけで標高の高い高地に滞在するのと同じ効果があり、心肺機能を高められずとも維持することができます。ケガが治っても、通常、ケガをする前の体力に戻すのに、休んでいた期間の何倍もの時間を要することになりますが、その期間が短縮できるので、選手からも好評を得ています」と川合代表は笑顔で話す。 肉離れや打撲、捻挫などケガをして来院される場合、「受傷直後は高気圧酸素ルームに入っていただきますが、スポーツ選手の場合は、その後は低圧低酸素ルームを使用することがほとんどです」。それだけスポーツシーンにマッチした機器だと言える。 「これは少し余談ですが、コロナに感染後、後遺症で運動すると咳が止まらないなどの症状が出ていた選手がいましたが、低圧低酸素ルームに入って軽い運動をすることで咳が止まり、感染以前の体調に戻ったというケースもありました」 [caption id="attachment_109452" align="alignnone" width="800"] 川合代表ほか経験豊富なスタッフが来院者をていねいに施術してくれる[/caption]低圧低酸素の新たな活用法
奈良接骨院には、サッカー選手をはじめ、各種スポーツに打ち込む中高校生が数多く来院する。酸素ルームを導入するまでは、「基本的にケガをした選手にも安静にしてもらうことしかできませんでした」と川合代表。それが、「患部の治療と並行して、低圧低酸素ルームを活用することで、すぐにリハビリが開始できるようになりました。 これは選手にとってとても大きなメリットだと感じています。治りも早まり、早期復帰が実現できます。以前と比べ通院していただく回数も減っていますし、ケガの程度にもよりますが、例えばこれまで復帰までに2~3ヵ月かかっていた期間が1~2ヵ月に短縮され、さらに再発率も低くなるなどの効果が出ています」と導入後の変化を説明する。 「選手はケガをしたことはもちろん、練習ができないことに焦りやストレスを感じます。『3ヵ月かかる』と言われるより、『1ヵ月で復帰できる』となれば選手の目の色も変わってきます。無理をするわけでなく、それでもできることから始め、それが早期復帰、体力・パフォーマンスの維持につながるのであれば、リハビリにも熱が入ります。そういう意味ではメンタル面、心的要因も大きいのかもしれませんね」 ここまでは予測できた効果だったが、導入後、予想していなかった使い方をする選手が現れた。 「サッカー選手がリーグ戦を戦うにあたり、試合の前日に低圧低酸素に入って軽いトレーニングをすることで、コンディションに変化があると言います。低圧低酸素ルームに入らずに試合に出た場合と、入って出た場合とで、後半の体力維持や翌日の疲れ方が違うと。最近は、それが口コミで広がり、実際に使って、そのように感じた選手は、継続的に入りに来ています。試合の前日に50分間入り軽めにバイクをこぐというのがパターンとなっています」 [caption id="attachment_109454" align="alignnone" width="800"] リハビリ・トレーニングジム「LadyBird」の中にある大型サイズの低圧低酸素用「O2Room®」には固定式バイクを2台設置。標高3000mの高地と同じような環境下でトレーニングができる[/caption] 誰もがそう感じるというものではないと言うが、試合で極限まで追い込む選手だからこそ、効果を感じ、定期的に活用している選手が増えているという。通常、陸上競技の選手などは、重要な試合に向けて追い込んだトレーニングを行った後に体調を整えたり、疲れを抜く目的で高気圧酸素を活用することが一般的となっている。 「私も最初は、そういう使い方がベストだろうと思っていましたが、低圧低酸素がサッカーのコンディショニングに使えるという新たな一面を見ることができました。活用している選手は、試合中の呼吸が楽になる、翌日の疲れ方が全然違うなどの感想をもらします。まったく変わらなかったという選手もいますが、試合前に低圧低酸素ルームに入って疲れが出たとか、動きが鈍ったなどの感想は聞かれません。今後は、さらにエビデンスを取り、より効果的に活用できるようにしていきたいと考えています」 [caption id="attachment_109462" align="alignnone" width="800"] リハビリ・トレーニングジム「LadyBird」には最新のマシンがずらりと揃っている[/caption]低圧低酸素をもっと身近に
高気圧酸素は、開業当初から酸素カプセルを導入していたこともあり、「当院を訪れる患者さんには、その効果などは浸透しています。さらに最近では、酸素ルームの評判を聞きつけて来られる患者さんも増えているので、かなり一般的にも認知されてきていると感じています。陸上やサッカーはもちろん、野球やゴルフなどをしている選手も『疲れを取りたい』と高気圧酸素を活用されるケースが多いですね」と状況を話す。 低圧低酸素は、高橋尚子さんに代表されるように長距離ランナーのトレーニング用というイメージが根強い。「実際うちのジムに通う中高年の方に勧めても、目指しているところが違うなどの誤解から使うことをためらう方が多い」と川合代表。サッカーや陸上などの選手の間では効果があると活用の機会が増えているが、「その浸透はもちろん、さらに普段の健康にも役立つものとしてどう広げていくかが今後の課題です」と、その先を見据える。 [caption id="attachment_109457" align="alignnone" width="800"] 2つのタイプの「O2Room®」を活用した幅の広いケアにあたる川合代表[/caption] 「スポーツシーンで培ったさまざまなノウハウを一般の方々に落とし込むこと。低圧低酸素はダイエットや生活習慣病対策にも効果があるという研究結果も出ていますし、地域の人たちの健康寿命を延ばすという意味でも、さらに活用していただけるよう取り組んでいきたい」と川合代表。 「人間、いつかは寿命を迎えますが、その直前まで健康で、自分の足で歩けるのが理想です。その手助けとなるツールのひとつが酸素ルームだと思っています」 健康志向の高まりとともに治療院やジムは巷にあふれている。しかし、その2つが融合し、さらに2つのタイプの酸素ルームを活用した施設はまだ少ない。そのメリットを生かした奈良接骨院のチャレンジはこれからも続いていく。 奈良接骨院/ LadyBird(トレーニング・リハビリジム) 奈良県葛城市忍海400-1 TEL & FAX 0745-63-1260 ホームページ 文/花木 雫、撮影/弓庭保夫 ※この記事は『月刊陸上競技』2023年9月号に掲載していますRECOMMENDED おすすめの記事
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