2023.07.11
7月12日から16日まで、タイ・バンコクで第25回アジア選手権が行われる。通常は隔年開催だったが、前回2019年からは4年開いている。これは2021年の杭州大会がコロナ禍で中止となったため。
今夏のブダペスト世界選手権に向けて参加標準記録突破のチャンスなのはもちろん、世界陸連(WA)の定める大会ランクでは最上位から4番目の「GL」と入賞ポイントも高く、ワールドランキングで出場を狙う選手にとって重要となる。
また、7月1日から来年のパリ五輪の参加標準記録とワールドランキングの有効期間がスタート。アジアから“世界”に挑戦する日本代表の男子のみどころをチェックしていく。
100mには日本選手権1、2位の坂井隆一郎(大阪ガス)と栁田大輝(東洋大)が出場する。坂井は10秒02が自己ベストで、10秒08がシーズンベスト。日本選手権の際にはやや脚が万全ではないと話していたが、どこまで回復しているか。
栁田は7月1日に10秒10の自己新をマークして好調だ。前回、桐生祥秀(日本生命)が日本勢初優勝。2人とも9秒台をマークすればその時点でブダペスト世界選手権代表に内定する。ワールドランキングで出場圏内にいるが、少しでもポイントを稼ぎたいところ。
5000mには遠藤日向(住友電工)、10000mには田澤廉(トヨタ自動車)という、オレゴン世界選手権代表が出場する。いずれも参加標準記録(13分07秒00、27分10秒00)は日本記録よりも高い壁。現段階で高温多湿のバンコクで切るのは難しい。
故障から復調途上の遠藤はパリ五輪を見据えつつも「その過程で世界選手権に出られれば」と語っている。実際、遠藤、そしてともに5000mに出場する塩尻和也(富士通)はワールドランキングでターゲットナンバー内にいるため、しっかり上位で走っておきたい。
田澤はワールドランキングでもターゲットナンバー(27)をやや外れる32位。一つでもランクアップを狙うことと、世界選手権出場権が与えられるエリアチャンピオン(※他に上回る選手がいないなど一部条件付き)を狙っている。
今大会ただ1人世界選手権代表に内定している110mハードルの高山峻野(ゼンリン)は前回(4位)に続いて出場。また、横地大雅(TeamSSP)は日本選手権3位のため参加標準記録(13秒28)クリアか上位争いしてターゲットナンバー内を確保しておきたい。
走高跳にはオレゴン世界選手権代表の赤松諒一(アワーズ)が登場。3月のアジア室内選手権では、オレゴン世界選手権2位のウ・サンヒョク(韓国)を抑えて優勝している。“アジア2連勝”なるか。
やり投にはオレゴン世界選手権9位のディーン元気(ミズノ)と、リオ五輪11位の新井涼平(スズキ)という91年度同級生ベテラン・コンビが出場。今季すでに2人とも80m超えを見せており、現段階で世界選手権ターゲットナンバー内は濃厚だ。日本勢によるアーチ合戦が見られるか。
今年の日本選手権を制した十種競技の丸山優真(住友電工)は8000点超えで優勝し、エリアチャンピオンとして世界選手権出場を狙う。
その他にも200mの鵜澤飛羽(筑波大)、400mハードルの児玉悠作(ノジマ)、3000m障害の砂田晟弥(プレス工業)ら初代表勢も世界選手権を狙うために、しっかりと上位争いをしておきたい。
男子は総勢38名(※辞退した橋岡優輝、山本聖途を除く)。中国や台湾、インド、中東勢はどのあたりの選手が出場してくるかによってレベルが変わってくるが、ブダペスト世界選手権、そしてパリ五輪に向けて見逃せない一戦となる。
アジア選手権は7月12日から16日、タイ・バンコクのスパチャラサイ国立競技場で行われる。
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