2020.08.28
毎週金曜日更新!?
★月陸編集部★
攻め(?)のアンダーハンド
リレーコラム
毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ!
陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。
編集スタッフが週替りで綴って行きたいと思います。
暇つぶし程度にご覧ください!
第57回「東京五輪へ“もう1度”あと1年」」(小川雅生)
来年に延期された東京五輪に向けて、1年を切りました。
7月から国内競技会が各地で始まり、日本陸上界は“仕切り直し”に向けて再スタートを切っています。
その象徴となった大会が、8月23日に開催されたセイコーゴールデングランプリ陸上2020東京。
会場は、国立競技場。言わずと知れた東京五輪のメイン会場であり、陸上競技としては最初の公式大会として行われました。
本来であれば世界陸連コンチネンタルツアー・ゴールド大会として、数多くの海外トップ選手が出場していたはずですが、今回は日本人選手のみ。さらに無観客試合ということで、大会全体としては大きな盛り上がり…とまではいきませんでした(大会の詳細は次号にしっかりとお届けする予定なので、そちらをお楽しみに!)。
しかし、大会が開かれること自体に意義があると思います。何よりも、運営側の方々の尽力があってこその大会です。選手たちも口々に感謝を述べていました。
もちろんん、それは私たちも同じ想いです。国立競技場で選手たちが目一杯走り、跳び、投げる姿を見られることが、こんなにもありがたいことなのだということを実感しながら、記者席から観戦していました。
とはいえ、来年の東京五輪に向けてスタートしたからには、前を向いて進んでいく必要があります。
今回はゴールデングランプリで感じたことがいくつかあるので、そちらに触れていきましょう。
①“高速トラック”?
トラックのサーフェイスは、モンド社が東京オリンピック・パラリンピックに向けて新開発したもので、いわゆる“高速トラック”のはずです。
ただ、このモンド社(イタリア)製のサーフェイス(施工は国内代理店のクリヤマ)は日本ではなかなかお目にかかることができないため、日本の選手は国際大会はじめ海外の経験が豊富な選手を除くと、慣れない部分があったのではないでしょうか。
多くの選手が「硬い」「反発がある」「走りやすい」という感想を持っていましたが、その一方で記録面で全体的に盛り上がりに欠けた点の1つは、ここにあると思います。
ヨーロッパで主流のタイプのため、海外のトップ選手はトラックに戸惑うことはないはずです。“地の利”を生かせなければ自国開催の意味がないので、東京五輪に向けてはやはり、トレーニングも含めて国立競技場で競技をする経験をできるだけ多く積む必要があると感じました。
②暑さは?
大会当日は雷雨の予報でしたが、競技開始前に一時大雨が降ったものの、競技が始まってからは止み、午後からは晴れ間が出てきました。一方で気温はそれまでの猛暑からは少し下がり、30度程度にとどまりました。でも、観客が入るとものすごく暑くなるんだろうなという印象は持ちました。大型扇風機がいくつもついているので、それがどの程度効果が出るのかがカギになりそうですね。
気になる点としては、扇風機が起こす風が、トラック上にどれだけの影響を与えているのか。
今回は、ホームストレートは微風程度でしたが、第2カーブ内側で行われた棒高跳の選手は向かい風を感じていたそうですし、バックストレートで実施された走幅跳にとっても難しい風が吹いていたそうです。一方でやり投の選手からは、「影響はない」という言葉が聞かれました。
来年夏に向けてのシミュレーションとしてはピッタリの条件にはならなかったかもしれませんが(前日のライジングスター陸上のほうがピッタリの暑さ)、1つのデータにはなり得るものだったと言えるでしょうか。
③陸上の“聖地”として
国立競技場は、日本陸上界にとっては“聖地”です。
とはいえ、新しくなった国立競技場に強い印象が残っていない選手もいたようです(無観客ということも大きな原因でしょうけど……)。
旧国立競技場のようなオーラを持つためには、やはり東京五輪がどんな大会になるかにかかっています。
まだ、東京五輪後の国立競技場がどんなかたちとなるのかは不透明ですが、陸上競技の大会が引き続き開催される状況にもっていくためにも、五輪の盛り上がりは欠かせません。
「ここが、あの東京五輪が行われた競技場か」
初めて国立競技場を訪れた人たちが、そう言って見上げてくれるような、そんな“聖地”となってほしいものです。
小川雅生(おがわ・まさお) 月刊陸上競技編集部 部長 1977年7月12日生まれ、43歳。173cm、68kg、AB型。大阪府東大阪市で出生、兵庫県尼崎市育ち。塚口中→尼崎北高→甲南大。3つ年上の兄の影響で中学から陸上部に入り、大学まで取り組む(専門種目はハードル)。塚口中3年の時、OBで1992年バルセロナ五輪男子走幅跳代表の森長正樹さんの壮行会で生徒会長として花束を渡したが、当時の新聞には私の隣にいた書記のコメントが載っていたという実績を持つ。今季の目標は体重の短縮は達成したもの、自己新を出した尿酸値は達成ならず。来季に懸ける |
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小川雅生(おがわ・まさお) 月刊陸上競技編集部 部長 1977年7月12日生まれ、43歳。173cm、68kg、AB型。大阪府東大阪市で出生、兵庫県尼崎市育ち。塚口中→尼崎北高→甲南大。3つ年上の兄の影響で中学から陸上部に入り、大学まで取り組む(専門種目はハードル)。塚口中3年の時、OBで1992年バルセロナ五輪男子走幅跳代表の森長正樹さんの壮行会で生徒会長として花束を渡したが、当時の新聞には私の隣にいた書記のコメントが載っていたという実績を持つ。今季の目標は体重の短縮は達成したもの、自己新を出した尿酸値は達成ならず。来季に懸ける |
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