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2023.06.03

田中希実1500m史上2人目の4連覇 最終日に5000mとの2冠狙い「スピード見せたい」/日本選手権
田中希実1500m史上2人目の4連覇 最終日に5000mとの2冠狙い「スピード見せたい」/日本選手権

23年日本選手権1500mを制した田中希実

◇第107回日本選手権(6月1日~4日/大阪・ヤンマースタジアム長居)2日目

ブダペスト世界選手権の代表選考会を兼ねた第107回日本選手権の2日目に女子やり投が行われ、この日の最終種目として行われた女子1500mで田中希実(New Balance)が4分08秒29で圧勝し、4連覇に輝いた。この種目の4連覇は吉川美香(5連覇/90~94回)に次ぐ史上2人目となる。

この記録の日本記録(3分59秒19)を持つ田中。「最初から行くとしても、後半に仕掛けるにしても、自分のレースに集中することが大事。その中で今日はラスト800mにこだわろうと決めてスタートラインに立ちました」。

実際には「私が出なかったら誰も出ない」という想定は、序盤で籔下明音(豊田自動織機)が飛び出したことで外れたが、それもあって「プレッシャーを感じずに、第2集団の先頭で前を見ながら落ち着いて走ることができました」と振り返る。

600mでトップに立つと、「ラスト800mで止まることなく、最後までしっかり動かせた」と言うように、力強いピッチで一気に後続を引き離した。「普通に走れば勝てるという練習は積めてきましたが、何が起こるか最後までわからない」。

ラスト1周の鐘が鳴った時には勝敗はほぼ決まっていたが、田中は前だけを見据えてフィニッシュへと突き進んだ。ラスト400mは61秒を切るハイラップ。圧巻だった。

雨中のレースとなり、観客は決して多くなかったものの「会場の雰囲気で気持ちを高めながら楽しんで走れました」と安堵の様子。ただ、田中の口からは「世界」というワードが何度も口を突いた。

「どんなに速く走っても負けてしまうのが世界だと思う」
「今日は世界のライバルを意識し切れていたかと言うと、そうではない部分があった」
「ラストで本当に絞り出せたかわからない。これを世界のライバルたちにぶつけて勝ち切れるようにしていきたいと思いました」

8位入賞を果たした東京五輪の頃から意識し出した「世界のトップ争いをする」という思い。それがあるからこそ、日本選手権で何度勝とうとも、さらなる高みを目指すためのモチベーションを維持できている。

本格的にプロとして歩み始めた今季は「自分の走りがわからない」と語っていたシーズン序盤だったが、ここにきて完全に払拭した様子。今大会では最終日の5000mでも2連覇が懸かる。

「スタミナ練習をしてきたからこそ、今日のラスト800mが持ったと思いますし、そのスタミナを5000mのレースでも生かす走りをしたい。また、今回1500mで培った他の選手にはないスピードも見せたいと思います」

勝っても驕らないという姿勢は、1500mの予選後と変わらない。2年連続2冠に向けて、田中に死角はなさそうだ。

荒天で跳躍種目が3日目に延期。そのほか、U20も含めて延期や時間変更があった2日目。女子やり投では斉藤真理菜(スズキ)が61m14を投げ、ブダペスト世界選手権内定の北口榛花(JAL)を抑えて優勝した。

男子円盤投は堤雄司(ALSOK群馬)が57m98で10度目の優勝。男子1500mは日本記録保持者の河村一輝(トーエネック)が3分38秒45と32年ぶりに大会記録を更新して制した。2位・高橋佑輔(北海道大院)が3分38秒69、3位・森田佳祐(SUBARU)も3分38秒75と従来の大会記録を更新している。

男子3000m障害は三浦龍司(順大)が圧巻の3連覇。ブダペスト世界選手権代表に内定した。同200mは鵜澤飛羽(筑波大)が学生歴代4位となる20秒32(-0.2)の好記録で初優勝している。

ブダペスト世界選手権の代表選考会を兼ねた日本選手権は6月4日まで、大阪・ヤンマースタジアム長居で開かれている。

文/小野哲史

◇第107回日本選手権(6月1日~4日/大阪・ヤンマースタジアム長居)2日目 ブダペスト世界選手権の代表選考会を兼ねた第107回日本選手権の2日目に女子やり投が行われ、この日の最終種目として行われた女子1500mで田中希実(New Balance)が4分08秒29で圧勝し、4連覇に輝いた。この種目の4連覇は吉川美香(5連覇/90~94回)に次ぐ史上2人目となる。 この記録の日本記録(3分59秒19)を持つ田中。「最初から行くとしても、後半に仕掛けるにしても、自分のレースに集中することが大事。その中で今日はラスト800mにこだわろうと決めてスタートラインに立ちました」。 実際には「私が出なかったら誰も出ない」という想定は、序盤で籔下明音(豊田自動織機)が飛び出したことで外れたが、それもあって「プレッシャーを感じずに、第2集団の先頭で前を見ながら落ち着いて走ることができました」と振り返る。 600mでトップに立つと、「ラスト800mで止まることなく、最後までしっかり動かせた」と言うように、力強いピッチで一気に後続を引き離した。「普通に走れば勝てるという練習は積めてきましたが、何が起こるか最後までわからない」。 ラスト1周の鐘が鳴った時には勝敗はほぼ決まっていたが、田中は前だけを見据えてフィニッシュへと突き進んだ。ラスト400mは61秒を切るハイラップ。圧巻だった。 雨中のレースとなり、観客は決して多くなかったものの「会場の雰囲気で気持ちを高めながら楽しんで走れました」と安堵の様子。ただ、田中の口からは「世界」というワードが何度も口を突いた。 「どんなに速く走っても負けてしまうのが世界だと思う」 「今日は世界のライバルを意識し切れていたかと言うと、そうではない部分があった」 「ラストで本当に絞り出せたかわからない。これを世界のライバルたちにぶつけて勝ち切れるようにしていきたいと思いました」 8位入賞を果たした東京五輪の頃から意識し出した「世界のトップ争いをする」という思い。それがあるからこそ、日本選手権で何度勝とうとも、さらなる高みを目指すためのモチベーションを維持できている。 本格的にプロとして歩み始めた今季は「自分の走りがわからない」と語っていたシーズン序盤だったが、ここにきて完全に払拭した様子。今大会では最終日の5000mでも2連覇が懸かる。 「スタミナ練習をしてきたからこそ、今日のラスト800mが持ったと思いますし、そのスタミナを5000mのレースでも生かす走りをしたい。また、今回1500mで培った他の選手にはないスピードも見せたいと思います」 勝っても驕らないという姿勢は、1500mの予選後と変わらない。2年連続2冠に向けて、田中に死角はなさそうだ。 荒天で跳躍種目が3日目に延期。そのほか、U20も含めて延期や時間変更があった2日目。女子やり投では斉藤真理菜(スズキ)が61m14を投げ、ブダペスト世界選手権内定の北口榛花(JAL)を抑えて優勝した。 男子円盤投は堤雄司(ALSOK群馬)が57m98で10度目の優勝。男子1500mは日本記録保持者の河村一輝(トーエネック)が3分38秒45と32年ぶりに大会記録を更新して制した。2位・高橋佑輔(北海道大院)が3分38秒69、3位・森田佳祐(SUBARU)も3分38秒75と従来の大会記録を更新している。 男子3000m障害は三浦龍司(順大)が圧巻の3連覇。ブダペスト世界選手権代表に内定した。同200mは鵜澤飛羽(筑波大)が学生歴代4位となる20秒32(-0.2)の好記録で初優勝している。 ブダペスト世界選手権の代表選考会を兼ねた日本選手権は6月4日まで、大阪・ヤンマースタジアム長居で開かれている。 文/小野哲史

【動画】1500mで4連覇!田中希実、圧巻の走りをチェック!

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