HOME 国内

2023.06.02

塩尻和也「イメージ通り」の走りで5000m制す 3000m障害一時封印、再び世界へ/日本選手権
塩尻和也「イメージ通り」の走りで5000m制す 3000m障害一時封印、再び世界へ/日本選手権

23年日本選手権男子5000mに優勝した塩尻和也

◇第107回日本選手権(6月1日~4日/大阪・ヤンマースタジアム長居)1日目

ブダペスト世界選手権の代表選考会を兼ねた第107回日本選手権の1日目に男子5000mが行われ、塩尻和也(富士通)が13分19秒85でこの種目の初優勝を飾った。

1000mを2分40秒で通過し、大会記録(13分14秒18)に迫るハイペースでレースは進む。塩尻は集団の前方に位置取りながら、頭の中では冷静にレースプランを組み立てていた。

「終盤まで離れずについて、ラスト1000m過ぎたぐらいから勝負できればと思っていました」

3000mあたりから先頭のペースが鈍っていると感じたが、勝負を焦ることもなかった。意識したのは、「ラスト1周とかまでにもつれないように早めに行く」ことだけ。プラン通りに1000mを切って先頭に立つと、鮮やかなロングスパートで後続を大きく引き離していった。

最終盤は3連覇を狙っていたオレゴン世界選手権代表の遠藤日向(住友電工)、そして同じ群馬出身で同学年のライバル・清水歓太(SUBARU)が背後から迫ってきたものの、しっかりと逃げ切り、右手で高々とガッツポーズを作ってフィニッシュ。「4000mの通過が数秒遅かったぐらいで、だいたいイメージ通りのレースができました」と胸を張った。

広告の下にコンテンツが続きます

元々主戦場としていた3000m障害では、高校時代にU20世界選手権に出場し、順大時代にはリオ五輪に出場。2018年の日本選手権を制した。しかし、その後は19年8位、20年5位、21年12位と振るわず、昨年は初出場した5000mで9位に終わった。

「前回の優勝からも日本選手権に出場はしていましたが、ケガなどもあって結果が伴わなかった。今年こそはという気持ちで臨んでいたので、日本選手権で優勝できたことは素直にうれしいです」

3000m障害を一時封印し、フラットレースで世界を目指す覚悟を決めた塩尻。21年には5000mで日本歴代7位の13分16秒53をマークした。

世界選手権出場を目標に掲げた今季は、不調だった昨年とは打って変わって充実したシーズンを送っている。

2月の日本選手権クロスカントリー(10km)優勝を皮切りに、金栗記念5000mでも13分26秒03 で日本人トップとなる4位。ゴールデンゲームズinのべおか10000mでは、オレゴン世界選手権10000m代表の田澤廉(トヨタ自動車)を終盤で突き放し、27分46秒82で快勝した。

一つひとつの好結果で、確かな手応えをつかんだのだろう。今大会を迎えるにあたっても、「良い調子のままこの舞台に立てるように、コンディションを維持する」ことだけを考えればよかった。

ただ、このレースで世界選手権代表内定には至らず。ただ、ワールドランキングでの出場も見える位置におり、来年のパリ五輪も視界に入ってきた。「国内だけでなく、国際試合でも結果を残せるように頑張っていきたいです」と語る塩尻にとって、今はまだ目指すゴールへの途上にいる。

1日目には5000mも含めて男子3、女子3の決勝種目が行われた。

最初に行われた女子円盤投は斉藤真希(東海大院)が56m63で優勝。これが2年ぶり4度目の優勝となる。男子やり投は昨年のオレゴン世界選手権9位のディーン元気(ミズノ)が82m65で連覇を果たした。

男子三段跳は池畠旭佳瑠(駿河台大AC)が16m35(+0.8)で3年ぶりV。女子3000m障害はオレゴン世界選手権代表の吉村玲美(クレイマージャパンTC)が9分46秒65で制している。実に4年ぶりの優勝。女子走高跳は1m84を跳んだ髙橋渚(メイスンワーク)が連覇を達成している。

ブダペスト世界選手権の代表選考会を兼ねた日本選手権は6月4日まで、大阪・ヤンマースタジアム長居で開かれている。

文/小野哲史

◇第107回日本選手権(6月1日~4日/大阪・ヤンマースタジアム長居)1日目 ブダペスト世界選手権の代表選考会を兼ねた第107回日本選手権の1日目に男子5000mが行われ、塩尻和也(富士通)が13分19秒85でこの種目の初優勝を飾った。 1000mを2分40秒で通過し、大会記録(13分14秒18)に迫るハイペースでレースは進む。塩尻は集団の前方に位置取りながら、頭の中では冷静にレースプランを組み立てていた。 「終盤まで離れずについて、ラスト1000m過ぎたぐらいから勝負できればと思っていました」 3000mあたりから先頭のペースが鈍っていると感じたが、勝負を焦ることもなかった。意識したのは、「ラスト1周とかまでにもつれないように早めに行く」ことだけ。プラン通りに1000mを切って先頭に立つと、鮮やかなロングスパートで後続を大きく引き離していった。 最終盤は3連覇を狙っていたオレゴン世界選手権代表の遠藤日向(住友電工)、そして同じ群馬出身で同学年のライバル・清水歓太(SUBARU)が背後から迫ってきたものの、しっかりと逃げ切り、右手で高々とガッツポーズを作ってフィニッシュ。「4000mの通過が数秒遅かったぐらいで、だいたいイメージ通りのレースができました」と胸を張った。 元々主戦場としていた3000m障害では、高校時代にU20世界選手権に出場し、順大時代にはリオ五輪に出場。2018年の日本選手権を制した。しかし、その後は19年8位、20年5位、21年12位と振るわず、昨年は初出場した5000mで9位に終わった。 「前回の優勝からも日本選手権に出場はしていましたが、ケガなどもあって結果が伴わなかった。今年こそはという気持ちで臨んでいたので、日本選手権で優勝できたことは素直にうれしいです」 3000m障害を一時封印し、フラットレースで世界を目指す覚悟を決めた塩尻。21年には5000mで日本歴代7位の13分16秒53をマークした。 世界選手権出場を目標に掲げた今季は、不調だった昨年とは打って変わって充実したシーズンを送っている。 2月の日本選手権クロスカントリー(10km)優勝を皮切りに、金栗記念5000mでも13分26秒03 で日本人トップとなる4位。ゴールデンゲームズinのべおか10000mでは、オレゴン世界選手権10000m代表の田澤廉(トヨタ自動車)を終盤で突き放し、27分46秒82で快勝した。 一つひとつの好結果で、確かな手応えをつかんだのだろう。今大会を迎えるにあたっても、「良い調子のままこの舞台に立てるように、コンディションを維持する」ことだけを考えればよかった。 ただ、このレースで世界選手権代表内定には至らず。ただ、ワールドランキングでの出場も見える位置におり、来年のパリ五輪も視界に入ってきた。「国内だけでなく、国際試合でも結果を残せるように頑張っていきたいです」と語る塩尻にとって、今はまだ目指すゴールへの途上にいる。 1日目には5000mも含めて男子3、女子3の決勝種目が行われた。 最初に行われた女子円盤投は斉藤真希(東海大院)が56m63で優勝。これが2年ぶり4度目の優勝となる。男子やり投は昨年のオレゴン世界選手権9位のディーン元気(ミズノ)が82m65で連覇を果たした。 男子三段跳は池畠旭佳瑠(駿河台大AC)が16m35(+0.8)で3年ぶりV。女子3000m障害はオレゴン世界選手権代表の吉村玲美(クレイマージャパンTC)が9分46秒65で制している。実に4年ぶりの優勝。女子走高跳は1m84を跳んだ髙橋渚(メイスンワーク)が連覇を達成している。 ブダペスト世界選手権の代表選考会を兼ねた日本選手権は6月4日まで、大阪・ヤンマースタジアム長居で開かれている。 文/小野哲史

【動画】塩尻和也が遠藤日向や清水歓太、佐藤圭汰ら抑えてV

次ページ:

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.04.19

800m日本記録保持者・久保凛が400mで54秒68の自己新記録!

大阪高校春季地区別記録会(3、4地区)は4月19日、大阪・ヤンマーフィールド長居で行われ、女子800mで日本記録(1分59秒93)を持つ久保凛(東大阪大敬愛高3)が女子400mで54秒68の自己新記録をマークした。 40 […]

NEWS 中国・韓麒庚が男子砲丸投、円盤投2冠 女子100mも中国の張倩が11秒80でV/U18アジア選手権

2025.04.19

中国・韓麒庚が男子砲丸投、円盤投2冠 女子100mも中国の張倩が11秒80でV/U18アジア選手権

4月15日から18日の4日間、サウジアラビア・ダンマームで第6回U18アジア選手権が行われ、男子円盤投(1.5kg)を63m33で制した韓麒庚(中国)が、砲丸投(5kg)も20m23の大会新で投てき2冠に輝いた。 韓は江 […]

NEWS 男子100m清水空跳、男子110mH髙城昊紀、女子400m今峰紗希が金! 大森恵偉音は走幅跳で7m72w/U18アジア選手権

2025.04.19

男子100m清水空跳、男子110mH髙城昊紀、女子400m今峰紗希が金! 大森恵偉音は走幅跳で7m72w/U18アジア選手権

4月15日から18日の4日間、サウジアラビア・ダンマームで第6回U18アジア選手権が行われ、日本勢は男子100mの清水空跳(星稜高2石川)、男子110mハードルの髙城昊紀(宮崎西高2)、女子400mの今峰紗希(済美高3岐 […]

NEWS 編集部コラム「20年とカツ丼」

2025.04.18

編集部コラム「20年とカツ丼」

毎週金曜日更新!? ★月陸編集部★ 攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム🔥 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいこと […]

NEWS アディダス アディゼロから「ADIZERO BOSTON 13」が新登場!5月1日より数量限定で発売!

2025.04.18

アディダス アディゼロから「ADIZERO BOSTON 13」が新登場!5月1日より数量限定で発売!

アディダス ジャパンは4月18日、ランニングシリーズ「アディゼロ」より「ADIZERO BOSTON 13(アディゼロ ボストン 13)」を5月1日に限定カラーモデル「ADIZERO BOSTON 13 EQT」を数量限 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年4月号 (3月14日発売)

2025年4月号 (3月14日発売)

東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL) 
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)

page top