2023.05.31
第107回日本選手権の前日会見が大阪府内で開かれた。
100mハードルで12秒73の日本記録を持ち、前回優勝の福部真子(日本建設工業)は「陸上を始めてからこれほどハイレベルなレースを体験するのは初めて。心臓がバクバクで夜も寝られないくらい」と笑う。
すでにブダペスト世界選手権の参加標準記録(12秒78)をただ1人突破しており3位以内に入れば代表に内定。だが、『3強』と見られていた寺田明日香(ジャパンクリエイト)、青木益未(七十七銀行)に加えて、田中佑美(富士通)と清山ちさと(いちご)も12秒台に突入。一気に混戦模様となった。
福部はパリ五輪のファイナルを目指す上で「12秒5を切る」ための取り組みをスタート。その試行錯誤のなかにある。「織田記念では右腕の意識、ゴールデングランプではリード脚の出し方を意識してきましたが、考えるレースが多くて冬季で作ったエンジンを使いこなせていない。噛み合っていないのが現状」と言う。
「不安もある」のが正直なところだが、「それでも昨年のいい動きの時と同じくらいのタイムが出ている。悲観することはない」と言う。
連覇を狙うこと、世界選手権の参加標準記録を切って日本選手権に挑むこと、それらは「想像もしていなかった」という。
「こんな感情は初めて不安だし、自滅しそうなくらい追いこんでしまうときもあります。レースから逃げて代表になれたらいいなとも思います。でも、こうしたことを味わえるのは一握りの選手だし感謝しないといけない。自分の走りを楽しみにしてもらえるのは当たり前ではない」
当たり前ではない――インターハイを3連覇し、大きな注目集めた高校時代から一転、周囲が思い描いていた結果が出ず、見向きもされなくなった時期もある。それでも福部は戻ってきた。「記録よりどんなレースをするか。一番大事なのは勝たないといけない舞台で勝つ。そういう強さは足りていない」と語ったが、そんなことはない。むしろ、そうした舞台で結果を出してきたのが福部真子というハードラーだった。
織田記念、セイコーゴールデングランプリと優勝できていないが、世界選手権代表と日本一が懸かった大一番。「集中力を切らさずに、自分のリズムを崩さずに。笑顔で終わりたいです」。大きな夢のために、目の前の1本でしっかり力を出し切る覚悟でいる。
日本選手権は6月1日から4日まで、大阪・ヤンマースタジアム長居で行われる。
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
-
2025.01.17
-
2025.01.17
-
2025.01.17
-
2025.01.17
2025.01.12
【テキスト速報】第43回都道府県対抗女子駅伝
-
2025.01.14
-
2025.01.12
-
2025.01.15
2024.12.22
早大に鈴木琉胤、佐々木哲の都大路区間賞2人が来春入学!女子100mH谷中、松田ら推薦合格
-
2024.12.22
-
2024.12.30
-
2025.01.12
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.01.18
選抜女子駅伝オーダー発表 積水化学は1区松本明莉、パナソニック5区森田香織 高校3連覇狙う神村学園は5区瀬戸口凜
第36回選抜女子駅伝北九州大会(1月19日/福岡・北九州市の小倉城歴史の道発着)前日の1月18日、各チームのオーダーが発表された。 一般の部(5区間27.2km)は実業団チームと地元・北九州市一般選抜を含めた10チームが […]
2025.01.18
都道府県男子駅伝オーダー発表!3区に塩尻和也と鶴川正也 7区は鈴木健吾、黒田朝日 4連覇狙う長野は3区吉岡大翔
◇天皇盃第30回全国都道府県対抗男子駅伝(1月19日/広島・平和記念公園前発着:7区間48.0km) 天皇盃第30回全国都道府県対抗男子駅伝前日の1月18日、オーダーリストが発表された。 エントリーされていた2人の日本記 […]
2025.01.17
西脇多可新人高校駅伝の出場校決定!男子は佐久長聖、大牟田、九州学院、洛南 女子は長野東、薫英女学院など有力校が登録
1月17日、西脇多可新人高校駅伝の実行委員会が、2月16日に行われる第17回大会の出場チームを発表した。 西脇多可新人高校駅伝は、兵庫県西脇市から多可町を結ぶ「北はりま田園ハーフマラソンコース(21.0795km)」で行 […]
2025.01.17
編集部コラム「年末年始の風物詩」
毎週金曜日更新!? ★月陸編集部★ 攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム🔥 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいこと […]
2025.01.17
中・高校生充実の長野“4連覇”なるか 実力者ぞろいの熊本や千葉、岡山、京都、福岡も注目/都道府県男子駅伝
◇天皇盃第30回全国都道府県対抗男子駅伝(1月19日/広島・平和記念公園前発着:7区間48.0km) 中学生から高校生、社会人・大学生のランナーがふるさとのチームでタスキをつなぐ全国都道府県男子駅伝が1月19日に行われる […]
Latest Issue 最新号
2025年2月号 (1月14日発売)
駅伝総特集!
箱根駅伝
ニューイヤー駅伝
高校駅伝、中学駅伝
富士山女子駅伝