HOME 特集

2023.05.31

今年もNHKで解説!福島千里さんが語る日本選手権の見どころ「多くの人に『日本代表』のチャンスがある!」
今年もNHKで解説!福島千里さんが語る日本選手権の見どころ「多くの人に『日本代表』のチャンスがある!」

日本選手権でNHKの解説を務める福島千里さん

「選手の気持ちを代弁できるような解説を!」

2022年1月末でスパイクを脱いだ福島さんは、所属していたセイコーの「セイコースマイルアンバサダー」として陸上を広める活動を続け、一般社団法人CHARITY Xの理事としてチャリティーサービス「CHARITY X」にも携わる。また、この春からは順大スポーツ科学部特任助教に着任。同大陸上部短距離コーチとして、学生たちの指導にもあたっている。自身の後を引き継ぐように切磋琢磨する女子短距離だけでなく、他の種目も含めて、「日本代表を目指す争いが盛り上がってほしい」と期待を寄せる。

23年セイコーGGPで快走を見せた泉谷駿介(住友電工、左から2人目)

そのほかの注目は、男女のスプリントハードル。男子は、5月21日のセイコーゴールデングランプリで自身の日本記録にあと0.01秒の13秒07を出した泉谷駿介選手(住友電工)に、日本人初の「12秒台」突入を期待しています。

女子100mハードルは、元チームメイトの寺田明日香選手(ジャパンクリエイト)が一皮むけてきたかな、と感じています。日本選手権で誰かが止めないと、もう止められないんじゃないかな、という雰囲気がありますね。誰かが寺田選手を止めれば、12秒台が続出している全体が、さらに盛り上がるのではないでしょうか。

オレゴン世界選手権での活躍はまだ記憶に新しいので、男子100mで日本人初入賞となる7位に入ったサニブラウン・アブデル・ハキーム選手(タンブルウィードTC)、女子やり投で銅メダルを獲得した北口榛花選手(JAL)たちの強さにも注目です。圧倒的な強さを見せて勝つ姿も美しいと思います。もちろん、ニューチャンピオンの誕生も素晴らしいこと。強い選手は強く、新しい風は爽やかに吹いてほしいですね。

日本選手権を放映するNHKの解説を2年連続で務めさせていただきます。一緒に解説をする同じ北海道の先輩、高平慎士さん(富士通一般種目ブロック長)は冷静に、客観的な意見をズバッと言ってくださるでしょう。だから、私はその時の状況の選手たち気持ちを代弁できるような、選手の立場になって応援できるような解説をしたいと思っています。

SNSで自分の思いを伝えている選手もいれば、それを見せずに内に秘める選手もいます。有言実行している選手もカッコイイですし、表に見せない人の強さも魅力的。そういった選手たちの記録だけじゃない、結果だけじゃない背景、映像では見えない部分の気持ちを言葉にし、伝えていきたいですね。

広告の下にコンテンツが続きます

◎ふくしま・ちさと/1988年6月27日生まれ、北海道出身。糠内中→帯広南商高→北海道ハイテクAC→札幌陸協→セイコー。五輪には2008年北京、12年ロンドン、16年リオの3大会連続、世界選手権は09年ベルリン、11年テグ、13年モスクワ、15年北京の4大会連続で出場。10年アジア大会100m、200m2冠など女子スプリントを世界水準に引き上げた。自己ベストの100m11秒21(10年)、200m22秒88(16年)はともに日本記録。

構成/小川雅生

第107回日本選手権が明日6月1日から4日までの4日間、大阪市のヤンマースタジアム長居を舞台に行われる。ブダペスト世界選手権をはじめ、アジア選手権やアジア大会の日本代表選考も兼ねており、大熱戦の予感が漂う。 そこで、今季前半の大一番を盛り上げるべく、NHKの解説を務める女子100m、200m日本記録保持者の福島千里さんに、大会の見所や、自身の日本選手権への思いなどを聞く。その後編は今回の日本選手権の注目ポイント、そして解説者としての意気込みなどを聞いた。 前編はこちら

女子短距離の後輩たちへ「自分のレースをして、それを再現して、進化させることが大切」

まずは、1人でも多くブダペスト世界選手権の代表内定が出ることを楽しみにしています。また、今回は世界選手権だけでなく、アジア選手権、アジア大会と、多くの「日本代表」選考がかかっています。多くの人が日本代表を目指して挑むと思うので、すごく盛り上がればいいな、と。そして、その盛り上がりが記録に反映されればいいなと思います。世界には行けないかもしれなくても、アジアなら行けるかもしれない。それをモチベーションに、チャンスだと思ってがんばってほしいです。 女子短距離は、ここまで記録が出そうで出ないという雰囲気があるので、それが日本選手権で弾けて好記録が出ることを期待しています。兒玉芽生選手(ミズノ)の欠場は残念ですが、連覇が懸かる君嶋愛梨沙選手(土木管理総合)、19年優勝の御家瀬緑選手(住友電工)、20年の200m女王・鶴田玲美選手(南九州ファミリマート)らの台頭で、100m、200mともに全体的な盛り上がりを感じます。 レースは全員が自分の力を発揮して、そのうえで誰が勝つか、という展開になってほしいですね。その中で勝ち切ることは、すごく価値のあることだと思いますし、勝った選手はそれを再現していってほしいです。自分のレースをしたうえで、それを再現させて、進化させていくことが大事だと思います。 ただ、それでももう少し記録が出てもいいのでは、とも感じています。ということは、何かが足りないのではないか。その答えを日本選手権で探してほしいですし、できれば答えを見つけてほしいと思います。 [caption id="attachment_103402" align="alignnone" width="800"] 女子短距離の君嶋愛梨沙(土木管理総合/23年セイコーゴールデングランプリ)[/caption]

「選手の気持ちを代弁できるような解説を!」

2022年1月末でスパイクを脱いだ福島さんは、所属していたセイコーの「セイコースマイルアンバサダー」として陸上を広める活動を続け、一般社団法人CHARITY Xの理事としてチャリティーサービス「CHARITY X」にも携わる。また、この春からは順大スポーツ科学部特任助教に着任。同大陸上部短距離コーチとして、学生たちの指導にもあたっている。自身の後を引き継ぐように切磋琢磨する女子短距離だけでなく、他の種目も含めて、「日本代表を目指す争いが盛り上がってほしい」と期待を寄せる。 [caption id="attachment_103401" align="alignnone" width="800"] 23年セイコーGGPで快走を見せた泉谷駿介(住友電工、左から2人目)[/caption] そのほかの注目は、男女のスプリントハードル。男子は、5月21日のセイコーゴールデングランプリで自身の日本記録にあと0.01秒の13秒07を出した泉谷駿介選手(住友電工)に、日本人初の「12秒台」突入を期待しています。 女子100mハードルは、元チームメイトの寺田明日香選手(ジャパンクリエイト)が一皮むけてきたかな、と感じています。日本選手権で誰かが止めないと、もう止められないんじゃないかな、という雰囲気がありますね。誰かが寺田選手を止めれば、12秒台が続出している全体が、さらに盛り上がるのではないでしょうか。 オレゴン世界選手権での活躍はまだ記憶に新しいので、男子100mで日本人初入賞となる7位に入ったサニブラウン・アブデル・ハキーム選手(タンブルウィードTC)、女子やり投で銅メダルを獲得した北口榛花選手(JAL)たちの強さにも注目です。圧倒的な強さを見せて勝つ姿も美しいと思います。もちろん、ニューチャンピオンの誕生も素晴らしいこと。強い選手は強く、新しい風は爽やかに吹いてほしいですね。 日本選手権を放映するNHKの解説を2年連続で務めさせていただきます。一緒に解説をする同じ北海道の先輩、高平慎士さん(富士通一般種目ブロック長)は冷静に、客観的な意見をズバッと言ってくださるでしょう。だから、私はその時の状況の選手たち気持ちを代弁できるような、選手の立場になって応援できるような解説をしたいと思っています。 SNSで自分の思いを伝えている選手もいれば、それを見せずに内に秘める選手もいます。有言実行している選手もカッコイイですし、表に見せない人の強さも魅力的。そういった選手たちの記録だけじゃない、結果だけじゃない背景、映像では見えない部分の気持ちを言葉にし、伝えていきたいですね。 ◎ふくしま・ちさと/1988年6月27日生まれ、北海道出身。糠内中→帯広南商高→北海道ハイテクAC→札幌陸協→セイコー。五輪には2008年北京、12年ロンドン、16年リオの3大会連続、世界選手権は09年ベルリン、11年テグ、13年モスクワ、15年北京の4大会連続で出場。10年アジア大会100m、200m2冠など女子スプリントを世界水準に引き上げた。自己ベストの100m11秒21(10年)、200m22秒88(16年)はともに日本記録。 構成/小川雅生

次ページ:

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.01.18

選抜女子駅伝オーダー発表 積水化学は1区松本明莉、パナソニック5区森田香織 高校3連覇狙う神村学園は5区瀬戸口凜

選抜女子駅伝 各チームのオーダーと区間距離をチェック! ■一般の部(5区間27.2km) 【1区5.3km―2区3.8km―3区3.9km―4区3.8km―5区10.4km】 肥後銀行▼ 堤好伽―多田妃奈―南雲栞理―高江 […]

NEWS 都道府県男子駅伝オーダー発表!3区に塩尻和也と鶴川正也 7区は鈴木健吾、黒田朝日 4連覇狙う長野は3区吉岡大翔

2025.01.18

都道府県男子駅伝オーダー発表!3区に塩尻和也と鶴川正也 7区は鈴木健吾、黒田朝日 4連覇狙う長野は3区吉岡大翔

47チームのオーダーをチェック! ■第30回全国都道府県対抗男子駅伝オーダー (左から1区―2区―3区―4区―5区―6区―7区 ※[F]はふるさと選手) 北海道▼ 吉田星―杉田來翔―岩崎大洋 [F]―三浦清史―林柚杏―泉 […]

NEWS 西脇多可新人高校駅伝の出場校決定!男子は佐久長聖、大牟田、九州学院、洛南 女子は長野東、薫英女学院など有力校が登録

2025.01.17

西脇多可新人高校駅伝の出場校決定!男子は佐久長聖、大牟田、九州学院、洛南 女子は長野東、薫英女学院など有力校が登録

第17回西脇多可新人高校駅伝の出場チーム 男子 ※総合の部 桐生(群馬) 埼玉栄(埼玉) 中越(新潟) 高岡向陵・高岡商(富山) 遊学館(石川) 敦賀気比(福井) 鯖江(福井) 佐久長聖A(長野) 佐久長聖B(長野) 大 […]

NEWS 編集部コラム「年末年始の風物詩」

2025.01.17

編集部コラム「年末年始の風物詩」

毎週金曜日更新!? ★月陸編集部★ 攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム🔥 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいこと […]

NEWS 中・高校生充実の長野“4連覇”なるか 実力者ぞろいの熊本や千葉、岡山、京都、福岡も注目/都道府県男子駅伝

2025.01.17

中・高校生充実の長野“4連覇”なるか 実力者ぞろいの熊本や千葉、岡山、京都、福岡も注目/都道府県男子駅伝

◇天皇盃第30回全国都道府県対抗男子駅伝(1月19日/広島・平和記念公園前発着:7区間48.0km) 中学生から高校生、社会人・大学生のランナーがふるさとのチームでタスキをつなぐ全国都道府県男子駅伝が1月19日に行われる […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年2月号 (1月14日発売)

2025年2月号 (1月14日発売)

駅伝総特集!
箱根駅伝
ニューイヤー駅伝
高校駅伝、中学駅伝
富士山女子駅伝

page top