2020.07.22
激しいつばぜり合いを繰り広げた山梨学大と早大だったが、9区の平田雅人(右)で逆転に成功した山梨学大が連覇を果たした
平成以降の箱根駅伝を振り返る「PlayBack箱根駅伝」。今回は山梨学大が総合2連覇を果たした第71回大会(1995年)を紹介する。大会の歴史を知ることで、正月の箱根路がより楽しみになるかも!?
プレイバック箱根駅伝 – 写真で振り返るHakone History
2位の早大が2年ぶり往路V、3位の中大が8~10区の3連続区間賞で復路優勝
山梨学大は1区・中村祐二(右)の区間賞でロケットスタートに成功
前回、前々回に続く「山梨学大vs早大」の構図となった第71回大会。記念大会で特別に20チームの参加だった前回から出場枠は通常の「15」に戻り、法大が7年ぶりに予選会敗退を喫した。
レースは山梨学大の1区・中村祐二(2年)が序盤に飛び出すと、ただ一人ついて行った日大の川内勝弘(4年)を早々と置き去りにし、区間新ペースで突き進む。終盤で失速して新記録とはならなかったが、区間歴代2位の好タイムでトップ中継。2位の日体大に1分24秒、9位スタートとなった早大に2分01秒差をつけた。
2区では従来の区間記録(1時間7分34秒)を14秒上回った山梨学大のステファン・マヤカ(3年)の後ろで、早大の渡辺康幸(3年)が衝撃の走りを見せた。9位から7人を抜いて2位に浮上すると、1時間6分48秒のスーパー区間新を達成。前年の1区区間新に続く2年連続の快走だった。
2区終了時で早大に1分29秒差をつけた山梨学大だったが、3区で一気にその差がひっくり返った。早大は2年時から3区、7区で連続区間賞を獲得している小林正幹(4年)が従来の区間記録を56秒も塗り替える快走で首位に浮上。早大は4区の小林雅幸(2年)も区間賞(区間新)、5区の小林修(4年)も区間5位と見事な継走で2年ぶりに往路優勝を果たした。往路2位は1分47秒差で山梨学大。1939年に総合優勝の経験を持つ古豪・専大が39年ぶりの好成績となる往路3位に入った。
このままVロードを疾走したい早大だったが、山梨学大が6区・藤脇友介(3年)の区間賞で逆転に成功。7区でも國増尚吾(2年)が区間トップの快走で後続との差を2分51秒に広げた。
しかし、8区で早大が再逆転。後宮正幸(4年)が区間3位の好走で山梨学大に3秒差をつけ、勝負を大いに盛り上げた。9区でも両校による激しいつばぜり合いが繰り広げられたが、この区間を制した山梨学大がそのまま逃げ切り、2年連続の総合優勝を手にした。
早大は前年に続く準優勝。往路5位だった中大は8区で区間新記録を樹立した榎木和貴(2年)から9区・菅陽一郎(4年)、10区・佐藤信之(4年)と3連続区間賞を手にして3位まで順位アップ。復路優勝に輝いた。
一方、9区終了時で4位につけていた順大は、10区の浜野健(2年)が故障の影響により残り9km地点で途中棄権。前回3位の名門がまさかのアクシデントに泣いた。これにより、東農大が9位に繰り上がってギリギリのシード権獲得。東洋大はわずか25秒差で10年ぶりのシードを逃した。
<人物Close-up>
渡辺康幸(早 大3)
高校ナンバーワン選手として鳴り物入りで早大へ入学し、箱根駅伝では1年目から「花の2区」に抜擢されて総合優勝に貢献。2年時からは1区、2区、2区で3年連続の区間賞を獲得し、現コースの2区で1時間6分台を2度マークしているただ一人の日本人選手でもある。卒業後は1996年アトランタ五輪10000m代表に選ばれたが、アキレス腱を痛めて無念の欠場。現役引退後は母校・早大の駅伝監督として2011年の箱根駅伝で総合優勝を果たし、史上3校目の学生駅伝3冠を達成した。現在は住友電工の監督を務める。
<総合成績>
1位 山梨学院大学 11.03.46(往路2位、復路2位)
2位 早稲田大学 11.05.48(往路1位、復路6位)
3位 中央大学 11.06.36(往路5位、復路1位)
4位 日本大学 11.13.09(往路8位、復路3位)
5位 日本体育大学 11.14.00(往路6位、復路4位)
6位 神奈川大学 11.14.42(往路7位、復路5位)
7位 専修大学 11.17.08(往路3位、復路9位)
8位 東海大学 11.20.44(往路11位、復路7位)
9位 東京農業大学 11.26.51(往路9位、復路11位)
========シード権ライン=========
10位 東洋大学 11.27.16(往路14位、復路8位)
11位 亜細亜大学 11.32.58(往路10位、復路14位)
12位 中央学院大学 11.34.10(往路12位、復路12位)
13位 駒澤大学 11.34.43(往路13位、復路13位)
14位 大東文化大学 11.38.09(往路15位、復路10位)
途中棄権 順天堂大学 記録なし(往路4位、復路―)
<区間賞>
1区(21.3km)中村祐二(山梨学大2)1.01.32
2区(23.0km)渡辺康幸(早 大3) 1.06.48=区間新
3区(21.3km)小林正幹(早 大4) 1.02.49=区間新
4区(20.9km)小林雅幸(早 大2) 1.01.35=区間新
5区(20.7km)近藤重勝(神奈川大2)1.13.21
6区(20.7km)藤脇友介(山梨学大3) 59.40
7区(21.2km)國増尚吾(山梨学大2)1.03.44
8区(21.3km)榎木和貴(中 大2) 1.06.03=区間新
9区(23.0km)菅陽一郎(中 大4) 1.10.35
10区(21.3km)佐藤信之(中 大4) 1.05.33
PlayBack箱根駅伝1994/山梨学大が史上初の11時間切りで前年に続く「早山対決」制す
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2位の早大が2年ぶり往路V、3位の中大が8~10区の3連続区間賞で復路優勝
山梨学大は1区・中村祐二(右)の区間賞でロケットスタートに成功 前回、前々回に続く「山梨学大vs早大」の構図となった第71回大会。記念大会で特別に20チームの参加だった前回から出場枠は通常の「15」に戻り、法大が7年ぶりに予選会敗退を喫した。 レースは山梨学大の1区・中村祐二(2年)が序盤に飛び出すと、ただ一人ついて行った日大の川内勝弘(4年)を早々と置き去りにし、区間新ペースで突き進む。終盤で失速して新記録とはならなかったが、区間歴代2位の好タイムでトップ中継。2位の日体大に1分24秒、9位スタートとなった早大に2分01秒差をつけた。 2区では従来の区間記録(1時間7分34秒)を14秒上回った山梨学大のステファン・マヤカ(3年)の後ろで、早大の渡辺康幸(3年)が衝撃の走りを見せた。9位から7人を抜いて2位に浮上すると、1時間6分48秒のスーパー区間新を達成。前年の1区区間新に続く2年連続の快走だった。 2区終了時で早大に1分29秒差をつけた山梨学大だったが、3区で一気にその差がひっくり返った。早大は2年時から3区、7区で連続区間賞を獲得している小林正幹(4年)が従来の区間記録を56秒も塗り替える快走で首位に浮上。早大は4区の小林雅幸(2年)も区間賞(区間新)、5区の小林修(4年)も区間5位と見事な継走で2年ぶりに往路優勝を果たした。往路2位は1分47秒差で山梨学大。1939年に総合優勝の経験を持つ古豪・専大が39年ぶりの好成績となる往路3位に入った。 このままVロードを疾走したい早大だったが、山梨学大が6区・藤脇友介(3年)の区間賞で逆転に成功。7区でも國増尚吾(2年)が区間トップの快走で後続との差を2分51秒に広げた。 しかし、8区で早大が再逆転。後宮正幸(4年)が区間3位の好走で山梨学大に3秒差をつけ、勝負を大いに盛り上げた。9区でも両校による激しいつばぜり合いが繰り広げられたが、この区間を制した山梨学大がそのまま逃げ切り、2年連続の総合優勝を手にした。 早大は前年に続く準優勝。往路5位だった中大は8区で区間新記録を樹立した榎木和貴(2年)から9区・菅陽一郎(4年)、10区・佐藤信之(4年)と3連続区間賞を手にして3位まで順位アップ。復路優勝に輝いた。 一方、9区終了時で4位につけていた順大は、10区の浜野健(2年)が故障の影響により残り9km地点で途中棄権。前回3位の名門がまさかのアクシデントに泣いた。これにより、東農大が9位に繰り上がってギリギリのシード権獲得。東洋大はわずか25秒差で10年ぶりのシードを逃した。 <人物Close-up> 渡辺康幸(早 大3) 高校ナンバーワン選手として鳴り物入りで早大へ入学し、箱根駅伝では1年目から「花の2区」に抜擢されて総合優勝に貢献。2年時からは1区、2区、2区で3年連続の区間賞を獲得し、現コースの2区で1時間6分台を2度マークしているただ一人の日本人選手でもある。卒業後は1996年アトランタ五輪10000m代表に選ばれたが、アキレス腱を痛めて無念の欠場。現役引退後は母校・早大の駅伝監督として2011年の箱根駅伝で総合優勝を果たし、史上3校目の学生駅伝3冠を達成した。現在は住友電工の監督を務める。 <総合成績> 1位 山梨学院大学 11.03.46(往路2位、復路2位) 2位 早稲田大学 11.05.48(往路1位、復路6位) 3位 中央大学 11.06.36(往路5位、復路1位) 4位 日本大学 11.13.09(往路8位、復路3位) 5位 日本体育大学 11.14.00(往路6位、復路4位) 6位 神奈川大学 11.14.42(往路7位、復路5位) 7位 専修大学 11.17.08(往路3位、復路9位) 8位 東海大学 11.20.44(往路11位、復路7位) 9位 東京農業大学 11.26.51(往路9位、復路11位) ========シード権ライン========= 10位 東洋大学 11.27.16(往路14位、復路8位) 11位 亜細亜大学 11.32.58(往路10位、復路14位) 12位 中央学院大学 11.34.10(往路12位、復路12位) 13位 駒澤大学 11.34.43(往路13位、復路13位) 14位 大東文化大学 11.38.09(往路15位、復路10位) 途中棄権 順天堂大学 記録なし(往路4位、復路―) <区間賞> 1区(21.3km)中村祐二(山梨学大2)1.01.32 2区(23.0km)渡辺康幸(早 大3) 1.06.48=区間新 3区(21.3km)小林正幹(早 大4) 1.02.49=区間新 4区(20.9km)小林雅幸(早 大2) 1.01.35=区間新 5区(20.7km)近藤重勝(神奈川大2)1.13.21 6区(20.7km)藤脇友介(山梨学大3) 59.40 7区(21.2km)國増尚吾(山梨学大2)1.03.44 8区(21.3km)榎木和貴(中 大2) 1.06.03=区間新 9区(23.0km)菅陽一郎(中 大4) 1.10.35 10区(21.3km)佐藤信之(中 大4) 1.05.33 PlayBack箱根駅伝1994/山梨学大が史上初の11時間切りで前年に続く「早山対決」制す 【学生駅伝ストーリー】77歳の“新指揮官”青葉監督が目指す名門・日大「箱根シード権への道」 【学生駅伝ストーリー】東海大黄金世代、それぞれの4年間(1)館澤亨次 頼れる主将 【学生駅伝ストーリー】“高校最速”から学生長距離界のトップへ。お互いをライバルと認め合う早大・中谷雄飛と駒大・田澤廉 【学生駅伝ストーリー】相澤晃を育てた「ガクセキ・メソッド」と東洋大での4年間
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