2020.07.03
第68回大会は出場6回目の山梨学大が初優勝を果たした。写真はアンカーの野溝幸弘
平成以降の箱根駅伝を振り返る「PlayBack箱根駅伝」。今回は山梨学大が初優勝を飾った第68回大会(1992年)を紹介する。大会を歴史を知ることで、正月の箱根路がより楽しみになるかも!?
プレイバック箱根駅伝 – 写真で振り返るHakone History
山梨学大が史上初の留学生リレーで独走、大東大・奈良が2度目の5区区間賞
初優勝を決めて喜ぶ上田誠仁監督と選手たち
出雲駅伝を制した山梨学大、全日本大学駅伝を大会新で圧勝した日大、両駅伝で2位、3位を占めた前回王者の大東大による3強の争いと見られた1992年大会。予選会を通過した神奈川大が18年ぶりの出場を果たした一方、前年まで44回連続出場中だった東洋大が姿を消した。
1区では早大の武井隆次(2年)が中盤に抜け出し、2年連続区間新でトップ中継。中大が47秒差の2位につけ、優勝候補の日大、山梨学大、大東大が4~6位で続いた。
2区では同区間で3年連続区間賞獲得中のジョセフ・オツオリ(山梨学大4年)がまたも3人抜きの好走で2位まで押し上げたが、それを上回ったのが順大の本川一美(2年)だった。9位で発進すると、15秒先にスタートしたオツオリを11km付近で抜き去り、そのまま後続に49秒差をつけてトップ中継。区間2位のオツオリに1分04秒、同3位の松井紀仁(日体大2年)に2分18秒差をつける圧倒的な区間賞だった。
このリードを少しでもキープしたい順大だったが、3区に起用された山梨学大の“もう一人の留学生”ケネディ・イセナ(4年)が区間新の快走で逆転。出場した過去2大会は8区区間15位、7区区間3位と同期のオツオリの陰に隠れがちだったが、最後の箱根路で大仕事を果たした。
史上初の“留学生リレー”で1分23秒の貯金を作った山梨学大は、そのまま初の往路優勝を達成。復路でも6区・廣瀬諭史(3年)、8区・下山保之(4年)の区間賞などでリードを拡大し、創部7年目、出場6回目にして歓喜の総合初優勝を飾った。
4区、7区、10区で区間賞を獲得した日大が2位。1区区間9位、5区区間15位と苦しみながら、2年連続の復路優勝を達成した順大が3位に食い込んだ。3連覇を狙った大東大は5区・奈良修(3年)の区間新で9位から4位まで押し上げたものの、復路で順位を落として5位に終わった。
<人物Close-up>
奈良 修(大東大3)
1年時の箱根駅伝で5区区間賞と鮮烈なデビューを飾り、チームの14年ぶり総合優勝に貢献。2年時は19秒差で区間賞を逃したものの、3度目となる天下の険でポテンシャルを最大限に発揮した。1985年に木下哲彦(早大)が作った区間記録を7年ぶりに46秒更新し、首位との差を一気に4分15秒も短縮。チームは3連覇を逃したものの、9位から4位まで順位を押し上げた。翌年は区間12位と振るわなかったが、4度の5区出走で2度の区間賞。“山上りのスペシャリスト”にふさわしい活躍ぶりだった。卒業後は日清食品などで競技を続け、2008年に大東大監督に就任。今年4月からは流経大の監督として、箱根駅伝初出場を目指すチームを率いている。
<総合成績>
1位 山梨学院大学 11.14.07(往路1位、復路2位)
2位 日本大学 11.17.54(往路3位、復路3位)
3位 順天堂大学 11.18.38(往路8位、復路1位)
4位 中央大学 11.21.24(往路5位、復路5位)
5位 大東文化大学 11.23.01(往路4位、復路7位)
6位 早稲田大学 11.23.08(往路2位、復路9位)
7位 専修大学 11.23.43(往路9位、復路4位)
8位 駒澤大学 11.27.03(往路6位、復路10位)
9位 東京農業大学 11.27.09(往路10位、復路6位)
========シード権ライン=========
10位 東海大学 11.29.48(往路11位、復路8位)
11位 日本体育大学 11.30.41(往路7位、復路12位)
12位 法政大学 11.36.58(往路12位、復路11位)
13位 国士舘大学 11.38.31(往路13位、復路13位)
14位 神奈川大学 11.40.56(往路15位、復路13位)
15位 亜細亜大学 11.45.23(往路14位、復路15位)
<区間賞>
1区(21.3km)武井隆次(早 大2) 1.03.22=区間新
2区(23.0km)本川一美(順 大2) 1.08.07
3区(21.3km)K.イセナ(山梨学大4)1.03.45=区間新
4区(20.9km)堀尾貴幸(日 大1) 1.03.49
5区(20.7km)奈良 修(大東大3) 1.11.13=区間新
6区(20.7km)廣瀬諭史(山梨学大3) 59.51
7区(21.2km)川崎光年(日 大1) 1.06.16
8区(21.3km)下山保之(山梨学大4)1.07.44
9区(23.0km)豊福知徳(早 大3) 1.11.31
10区(21.3km)尾座本崇(日 大3) 1.06.12
PlayBack箱根駅伝1991/大東大が史上初の3冠王者に!
【学生駅伝ストーリー】77歳の“新指揮官”青葉監督が目指す名門・日大「箱根シード権への道」
【学生駅伝ストーリー】東海大黄金世代、それぞれの4年間(1)館澤亨次 頼れる主将
【学生駅伝ストーリー】“高校最速”から学生長距離界のトップへ。お互いをライバルと認め合う早大・中谷雄飛と駒大・田澤廉
【学生駅伝ストーリー】相澤晃を育てた「ガクセキ・メソッド」と東洋大での4年間
山梨学大が史上初の留学生リレーで独走、大東大・奈良が2度目の5区区間賞
初優勝を決めて喜ぶ上田誠仁監督と選手たち 出雲駅伝を制した山梨学大、全日本大学駅伝を大会新で圧勝した日大、両駅伝で2位、3位を占めた前回王者の大東大による3強の争いと見られた1992年大会。予選会を通過した神奈川大が18年ぶりの出場を果たした一方、前年まで44回連続出場中だった東洋大が姿を消した。 1区では早大の武井隆次(2年)が中盤に抜け出し、2年連続区間新でトップ中継。中大が47秒差の2位につけ、優勝候補の日大、山梨学大、大東大が4~6位で続いた。 2区では同区間で3年連続区間賞獲得中のジョセフ・オツオリ(山梨学大4年)がまたも3人抜きの好走で2位まで押し上げたが、それを上回ったのが順大の本川一美(2年)だった。9位で発進すると、15秒先にスタートしたオツオリを11km付近で抜き去り、そのまま後続に49秒差をつけてトップ中継。区間2位のオツオリに1分04秒、同3位の松井紀仁(日体大2年)に2分18秒差をつける圧倒的な区間賞だった。 このリードを少しでもキープしたい順大だったが、3区に起用された山梨学大の“もう一人の留学生”ケネディ・イセナ(4年)が区間新の快走で逆転。出場した過去2大会は8区区間15位、7区区間3位と同期のオツオリの陰に隠れがちだったが、最後の箱根路で大仕事を果たした。 史上初の“留学生リレー”で1分23秒の貯金を作った山梨学大は、そのまま初の往路優勝を達成。復路でも6区・廣瀬諭史(3年)、8区・下山保之(4年)の区間賞などでリードを拡大し、創部7年目、出場6回目にして歓喜の総合初優勝を飾った。 4区、7区、10区で区間賞を獲得した日大が2位。1区区間9位、5区区間15位と苦しみながら、2年連続の復路優勝を達成した順大が3位に食い込んだ。3連覇を狙った大東大は5区・奈良修(3年)の区間新で9位から4位まで押し上げたものの、復路で順位を落として5位に終わった。 <人物Close-up> 奈良 修(大東大3) 1年時の箱根駅伝で5区区間賞と鮮烈なデビューを飾り、チームの14年ぶり総合優勝に貢献。2年時は19秒差で区間賞を逃したものの、3度目となる天下の険でポテンシャルを最大限に発揮した。1985年に木下哲彦(早大)が作った区間記録を7年ぶりに46秒更新し、首位との差を一気に4分15秒も短縮。チームは3連覇を逃したものの、9位から4位まで順位を押し上げた。翌年は区間12位と振るわなかったが、4度の5区出走で2度の区間賞。“山上りのスペシャリスト”にふさわしい活躍ぶりだった。卒業後は日清食品などで競技を続け、2008年に大東大監督に就任。今年4月からは流経大の監督として、箱根駅伝初出場を目指すチームを率いている。 <総合成績> 1位 山梨学院大学 11.14.07(往路1位、復路2位) 2位 日本大学 11.17.54(往路3位、復路3位) 3位 順天堂大学 11.18.38(往路8位、復路1位) 4位 中央大学 11.21.24(往路5位、復路5位) 5位 大東文化大学 11.23.01(往路4位、復路7位) 6位 早稲田大学 11.23.08(往路2位、復路9位) 7位 専修大学 11.23.43(往路9位、復路4位) 8位 駒澤大学 11.27.03(往路6位、復路10位) 9位 東京農業大学 11.27.09(往路10位、復路6位) ========シード権ライン========= 10位 東海大学 11.29.48(往路11位、復路8位) 11位 日本体育大学 11.30.41(往路7位、復路12位) 12位 法政大学 11.36.58(往路12位、復路11位) 13位 国士舘大学 11.38.31(往路13位、復路13位) 14位 神奈川大学 11.40.56(往路15位、復路13位) 15位 亜細亜大学 11.45.23(往路14位、復路15位) <区間賞> 1区(21.3km)武井隆次(早 大2) 1.03.22=区間新 2区(23.0km)本川一美(順 大2) 1.08.07 3区(21.3km)K.イセナ(山梨学大4)1.03.45=区間新 4区(20.9km)堀尾貴幸(日 大1) 1.03.49 5区(20.7km)奈良 修(大東大3) 1.11.13=区間新 6区(20.7km)廣瀬諭史(山梨学大3) 59.51 7区(21.2km)川崎光年(日 大1) 1.06.16 8区(21.3km)下山保之(山梨学大4)1.07.44 9区(23.0km)豊福知徳(早 大3) 1.11.31 10区(21.3km)尾座本崇(日 大3) 1.06.12 PlayBack箱根駅伝1991/大東大が史上初の3冠王者に! 【学生駅伝ストーリー】77歳の“新指揮官”青葉監督が目指す名門・日大「箱根シード権への道」 【学生駅伝ストーリー】東海大黄金世代、それぞれの4年間(1)館澤亨次 頼れる主将 【学生駅伝ストーリー】“高校最速”から学生長距離界のトップへ。お互いをライバルと認め合う早大・中谷雄飛と駒大・田澤廉 【学生駅伝ストーリー】相澤晃を育てた「ガクセキ・メソッド」と東洋大での4年間
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
2024.11.21
早大競走部駅伝部門が麹を活用した食品・飲料を手がける「MURO」とスポンサー契約締結
2024.11.21
立迫志穂が調整不良のため欠場/防府読売マラソン
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
2024.11.17
不破聖衣来が香港で10kmレースに出場 9位でフィニッシュ
2024.11.20
【箱根駅伝2025名鑑】早稲田大学
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.16
-
2024.11.20
-
2024.11.20
2024.11.01
吉田圭太が住友電工を退部 「充実した陸上人生を歩んでいきたい」競技は継続
2024.11.07
アシックスから軽量で反発性に優れたランニングシューズ「NOVABLAST 5」が登場!
-
2024.10.27
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2024.11.21
早大競走部駅伝部門が麹を活用した食品・飲料を手がける「MURO」とスポンサー契約締結
11月21日、株式会社コラゾンは同社が展開する麹専門ブランド「MURO」を通じて、早大競走部駅伝部とスポンサー契約を結んだことを発表した。 コラゾン社は「MURO」の商品である「KOJI DRINK A」および「KOJI […]
2024.11.21
立迫志穂が調整不良のため欠場/防府読売マラソン
第55回防府読売マラソン大会事務局は、女子招待選手の立迫志穂(天満屋)が欠場すると発表した。調整不良のためとしている。 立迫は今年2月の全日本実業団ハーフマラソンで1時間11分16秒の11位。7月には5000m(15分3 […]
2024.11.20
M&Aベストパートナーズに中大・山平怜生、城西大・栗原直央、國學院大・板垣俊佑が内定!神野「チーム一丸」
神野大地が選手兼監督を務めるM&Aベストパートナーズが来春入社選手として、中大・山平怜生、國學院大・板垣俊佑、城西大・栗原直央の3人が内定した。神野が自身のSNSで内定式の様子を伝えている。 山平は宮城・仙台育英 […]
2024.11.20
第101回(2025年)箱根駅伝 出場チーム選手名鑑
・候補選手は各チームが選出 ・情報は11月20日時点、チーム提供および編集部把握の公認記録を掲載 ・選手名の一部漢字で対応外のものは新字で掲載しています ・過去箱根駅伝成績で関東学生連合での出場選手は相当順位を掲載 ・一 […]
Latest Issue 最新号
2024年12月号 (11月14日発売)
全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
高校駅伝都道府県大会ハイライト
全日本35㎞競歩高畠大会
佐賀国民スポーツ大会