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2023.04.30

駅伝発祥の地・京都で箱根駅伝100回記念シンポジウム開催!大八木総監督「100回は見ている人たち、走る選手が感動する大会に」
駅伝発祥の地・京都で箱根駅伝100回記念シンポジウム開催!大八木総監督「100回は見ている人たち、走る選手が感動する大会に」

箱根駅伝100回記念シンポジウムin京都の様子

「箱根駅伝100回記念シンポジウムin京都」が4月30日、京都市のロームシアター京都で行われた。

1920年に「世界で戦える長距離、マラソンランナーの育成を目指して」始まった箱根駅伝が、来年正月に100回の節目を迎える。その機運を高める記念事業の一環として、例年11月頃に東京で開催されている箱根駅伝シンポジウムが、駅伝発祥の地である京都で実施された。

第1部は、中村哲夫氏(皇學館大學特命教授)が「駅伝のルーツ ―東京奠都記念東海道五十三次駅伝徒歩競走―」と題し、駅伝が生まれた背景や、実際のレースの模様を説明。関東軍と関西軍の熱戦を振り返った。

第2部の主題は「過去・現在・未来の競技者への想い~箱根駅伝が目指すもの~」。今年正月の第99回大会を制し、チーム初の学生駅伝3冠を成し遂げた駒大の大八木弘明総監督、京都・洛南高、龍谷大出身で5000m、10000m、マラソンの元日本記録保持者である高岡寿成氏(Kao監督)、京都・洛南高顧問で日体大時代に箱根駅伝出走経験のある奥村隆太郎先生をパネリストに迎え、コーディネーター役の関東学連駅伝対策委員長の上田誠仁氏(山梨学大顧問)、司会進行の山本健太・日本テレビアナウンサーが務めて行われた。

テーマは「現役時代に見た箱根駅伝 箱根駅伝の自身の思い出」「選手の指導で大事にしている事」「日本陸上界の中での箱根駅伝の立ち位置」「箱根駅伝の魅力」の4つで、それぞれの立場から、さまざまな話が展開されていった。

箱根駅伝と長年直に向き合ってきた大八木総監督は、子供の頃から箱根駅伝が「あこがれだった」と振り返る。そして、選手の指導で最も大事にしていることに「情熱」を挙げた。

「情熱に勝る能力なしと言う言葉がある。選手に対して情熱をもって指導し、可能性を秘めている選手たちに良いこと、悪いことに気づかせるようしっかりと導くことが大切だと思っている。また、あきらめないことも大事で、信念を持ち、あきらめないことがメンタルの強さになる。『信念は持つものじゃなく、貫き通すこと』だと伝えている」

その情熱がほとばしる名セリフをリクエストされ、「男だろ!」と応えて会場を沸かせた。

高岡氏は、箱根駅伝を走らなかった名ランナーとして、また実業団選手の指導者の立場として参加。洛南高から大学に進学する際には、「高校時代はケガが多かったので、東京に行って20kmを走る自信がなかった。それなら地元に残って、トラックをやったほうがいいと考えた」と明かす。

その際、上田氏は「世界を目指して上るルートは、いろいろあっていい。その1つを示してくれたのが高岡さん」と話し、トラックで2000年シドニー五輪10000m7位入賞、さらにはマラソンで2時間6分16秒の当時日本記録樹立など、数々の偉業を刻んだそのキャリアを称えた。

また、日本陸連強化委員会中長距離・マラソンシニアディレクターとして、日本長距離界全体を見渡し、「箱根駅伝ではスピード化、世界という言葉が出てくるが、世界はそう簡単ではなく、壁がある。でも、高校や大学から世界を経験していけば見えてくるものがある。今、大学を卒業して1、2年目の選手から世界に出ていく選手が増えている点で、箱根駅伝は世界につながっていると言える」と話した。

上田氏が「ピラミッドのベースを支える」と語る高校から、東京五輪3000m障害7位入賞の三浦龍司(順大)、佐藤圭汰(駒大)らトップランナーを育成してきた奥村先生は、「子供の頃から箱根駅伝は欠かさず見ていた。それに加えて、自分が関わった選手たちが走っているのは本当に感慨深い。私は1回だったが、毎年何人も何人も走ってくれている。幸せなことです」。

特に今年の箱根駅伝では、駒大の8区を走った赤星雄斗がVメンバーの一員になったが、特に印象に残った卒業生に、早大の8区を走った2年の伊福陽太を挙げた。

「彼は高校3年間、都大路(全国高校駅伝)を走れなかった。それが2年目にしてエンジのユニフォームで走っている姿を見て、感動した。高校時代ももちろんがんばっていたが、適性の問題もある。(5000mが中心の)高校よりも長い距離に適性があったので、活躍することができているのだと思う」。自身がケガが多かった経験を踏まえ、「なるべくケガの経験をさせず、でも、高校のうちにやっておきたいトレーニングをする、正しい努力のやり方を伝える」ことを大事にしてきた指導の一端が垣間見れた。

最後に100回大会に向けて、大八木総監督は「見て感動していただける大会になればいいし、選手は走って感動する大会になればいい。そこに参加できることをすごくうれしく思うので、見ている人たちに感動を与える大会にしたい」と力強く語り、大盛況となったシンポジウムは締めくくられた。

※本文中に誤りがありましたのでお詫びをして訂正します。

「箱根駅伝100回記念シンポジウムin京都」が4月30日、京都市のロームシアター京都で行われた。 1920年に「世界で戦える長距離、マラソンランナーの育成を目指して」始まった箱根駅伝が、来年正月に100回の節目を迎える。その機運を高める記念事業の一環として、例年11月頃に東京で開催されている箱根駅伝シンポジウムが、駅伝発祥の地である京都で実施された。 第1部は、中村哲夫氏(皇學館大學特命教授)が「駅伝のルーツ ―東京奠都記念東海道五十三次駅伝徒歩競走―」と題し、駅伝が生まれた背景や、実際のレースの模様を説明。関東軍と関西軍の熱戦を振り返った。 第2部の主題は「過去・現在・未来の競技者への想い~箱根駅伝が目指すもの~」。今年正月の第99回大会を制し、チーム初の学生駅伝3冠を成し遂げた駒大の大八木弘明総監督、京都・洛南高、龍谷大出身で5000m、10000m、マラソンの元日本記録保持者である高岡寿成氏(Kao監督)、京都・洛南高顧問で日体大時代に箱根駅伝出走経験のある奥村隆太郎先生をパネリストに迎え、コーディネーター役の関東学連駅伝対策委員長の上田誠仁氏(山梨学大顧問)、司会進行の山本健太・日本テレビアナウンサーが務めて行われた。 テーマは「現役時代に見た箱根駅伝 箱根駅伝の自身の思い出」「選手の指導で大事にしている事」「日本陸上界の中での箱根駅伝の立ち位置」「箱根駅伝の魅力」の4つで、それぞれの立場から、さまざまな話が展開されていった。 箱根駅伝と長年直に向き合ってきた大八木総監督は、子供の頃から箱根駅伝が「あこがれだった」と振り返る。そして、選手の指導で最も大事にしていることに「情熱」を挙げた。 「情熱に勝る能力なしと言う言葉がある。選手に対して情熱をもって指導し、可能性を秘めている選手たちに良いこと、悪いことに気づかせるようしっかりと導くことが大切だと思っている。また、あきらめないことも大事で、信念を持ち、あきらめないことがメンタルの強さになる。『信念は持つものじゃなく、貫き通すこと』だと伝えている」 その情熱がほとばしる名セリフをリクエストされ、「男だろ!」と応えて会場を沸かせた。 高岡氏は、箱根駅伝を走らなかった名ランナーとして、また実業団選手の指導者の立場として参加。洛南高から大学に進学する際には、「高校時代はケガが多かったので、東京に行って20kmを走る自信がなかった。それなら地元に残って、トラックをやったほうがいいと考えた」と明かす。 その際、上田氏は「世界を目指して上るルートは、いろいろあっていい。その1つを示してくれたのが高岡さん」と話し、トラックで2000年シドニー五輪10000m7位入賞、さらにはマラソンで2時間6分16秒の当時日本記録樹立など、数々の偉業を刻んだそのキャリアを称えた。 また、日本陸連強化委員会中長距離・マラソンシニアディレクターとして、日本長距離界全体を見渡し、「箱根駅伝ではスピード化、世界という言葉が出てくるが、世界はそう簡単ではなく、壁がある。でも、高校や大学から世界を経験していけば見えてくるものがある。今、大学を卒業して1、2年目の選手から世界に出ていく選手が増えている点で、箱根駅伝は世界につながっていると言える」と話した。 上田氏が「ピラミッドのベースを支える」と語る高校から、東京五輪3000m障害7位入賞の三浦龍司(順大)、佐藤圭汰(駒大)らトップランナーを育成してきた奥村先生は、「子供の頃から箱根駅伝は欠かさず見ていた。それに加えて、自分が関わった選手たちが走っているのは本当に感慨深い。私は1回だったが、毎年何人も何人も走ってくれている。幸せなことです」。 特に今年の箱根駅伝では、駒大の8区を走った赤星雄斗がVメンバーの一員になったが、特に印象に残った卒業生に、早大の8区を走った2年の伊福陽太を挙げた。 「彼は高校3年間、都大路(全国高校駅伝)を走れなかった。それが2年目にしてエンジのユニフォームで走っている姿を見て、感動した。高校時代ももちろんがんばっていたが、適性の問題もある。(5000mが中心の)高校よりも長い距離に適性があったので、活躍することができているのだと思う」。自身がケガが多かった経験を踏まえ、「なるべくケガの経験をさせず、でも、高校のうちにやっておきたいトレーニングをする、正しい努力のやり方を伝える」ことを大事にしてきた指導の一端が垣間見れた。 最後に100回大会に向けて、大八木総監督は「見て感動していただける大会になればいいし、選手は走って感動する大会になればいい。そこに参加できることをすごくうれしく思うので、見ている人たちに感動を与える大会にしたい」と力強く語り、大盛況となったシンポジウムは締めくくられた。 ※本文中に誤りがありましたのでお詫びをして訂正します。

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