2023.03.13
◇名古屋ウィメンズマラソン2023(3月12日/愛知・バンテリンドーム ナゴヤ発着)
JMCシリーズG1の名古屋ウィメンズマラソン2023が3月12日に行われ、前田穂南(天満屋)が東京五輪以来、1年7ヵ月ぶりとなるマラソンに臨んだ。
前田は2019年の東京五輪代表選考会マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)を制すも、東京五輪はケガの影響もあり、33位に沈んだ。その後は右足踵を疲労骨折。競技を辞めようと思った時期もあったという。
昨年の前半は5000mやハーフマラソンで自己ベストを更新したが、8月の北海道を新型コロナウイルス陽性で欠場。今年1月の大阪国際女子も左くるぶしを痛めて出場を見送っていた。
今大会に向けた合宿中にも脚に痛みが出たこともあり、思い描いていたトレーニングはできていなかった。そのため、「MGCの出場資格を取ることに集中してレースに臨みました」。最初で最後のMGC出場獲得チャンスだったが、「予想以上」の走りを披露する。
MGC進出条件の「2時間24分00秒以内」を頭に入れながら、中間点を1時間11分20秒で通過。25km過ぎに集団から遅れるも、ここから粘りの走りを見せる。
先行された上杉真穂(スターツ)と張徳順(中国)を逆転。鈴木亜由子(日本郵政グループ)との東京五輪代表対決には敗れたが、ラスト2.195kmは鈴木を2秒上回る。2時間22分32秒の自己ベストで3位に入り、悠々とMGC出場資格をゲットした。
「レース後半は鈴木選手との差が思ったように縮まらなかったですけど、自分のリズムでしっかり押していくことと、MGCの資格を確実に取ることに集中して走りました。調子が良ければ自己ベストを更新したいと思っていたので、そこはうれしいです」
今回は昨年から履いている厚底シューズで初めてのマラソンだった。ハーフでは自己ベストを出しているが、「足裏の負担が大きく、結構苦戦することが多かった」という。それでも1年ほど使用してきたことで、ようやく慣れてきたようだ。
「厚底で走ってみて、脚へのダメージが少ないなと感じています。久々のマラソンということで不安な部分もあったんですけど、今回しっかり走れたのは、すごく自信になりました。MGCに向けて頑張りたいと思います」
苦難が続いていた前田だが、2大会連続となる五輪へ、名古屋で大きな一歩を踏み出した。
文/酒井政人
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