2022.12.05
◇福岡国際マラソン2022(12月4日/平和台陸上競技場発着)
昨年、75回の歴史に幕を閉じた福岡国際マラソン選手権の後継となる「福岡国際マラソン2022」が12月4日、福岡市の平和台陸上競技場を発着点とする伝統のコースを引き継いで行われた。
レースは1km3分ペースで進み、中間点通過が1時間3分20秒という展開。レースが動いたのはペースメーカーが外れた30kmからで、「最後の福岡」を制したマイケル・ギザエ(スズキ)、マル・テフェリ(イスラエル)、国士大卒の社会人1年目ヴィンセント・ライモイ(スズキ)ら外国人選手と、地元の久保和馬(西鉄)が抜け出した。
そこから熾烈な優勝争いが繰り広げられ、最後までペースを維持したテフェリが2時間6分43秒で「初代王者」に輝いた。
日本人トップ争いは、ただ1人先頭集団にいた久保が30km過ぎに右足首を痛めてペースダウンしたことで、大混戦に。
大石港与(トヨタ自動車)、赤﨑暁(九電工)とめまぐるしくその座が入れ替わるなか、30km過ぎに後方へ下がっていた秋山清仁(愛知製鋼)が、39.2kmで赤﨑をかわして日本人最上位に浮上。自己新の2時間8分43秒をマークし、7位でフィニッシュした。
「自己ベストを大きく更新できて自信になります。やってきたことが間違いではなかった。今までやってきてよかったです」
秋山はそう語って胸を張った。
日体大時代の2016年と17年、箱根駅伝の6区で2年連続の区間新記録を打ち立て、いずれも区間賞。4年生だった17年は、最優秀選手に贈られる金栗四三杯を手にした。
ただ、トラックでは目立った成績は残しておらず「どうせ1月3日だけの男と思われているだろうと思っていましたし、自信がないまま実業団に入りました」。
転機となったのは、2019年の熊日30キロロード。6位ながら1時間30分24秒の好タイムをマークし、「ロードの適性がある」と感じた渡邉聡監督からマラソンへの挑戦を促された。
当初は「駅伝に執着があった」と秋山は本気になれずにいたという。しかし、昨年の中部実業団駅伝で予選通過できず、個人のレベルアップの必要性を痛感。練習への意識や質が変わっていった。
そして、その成果が適性ありと見られたマラソンで、ついに花開く。大学2年の14年北海道(2時間29分49秒)、20年2月のびわ湖毎日(2時間15分35秒)に次ぐ3度目の挑戦となった今年3月の東京で、2時間10分58秒の大幅自己新。そして、4度目のマラソンで初のサブテンと、日本人最上位の力走を見せた。
「目標通りの結果と日本人トップという実績を残したことで、今まで足りなかった自信が得られたことが一番大きかったです。来年度はMGCに出場できるし、元日には全日本実業団対抗駅伝もある。立てた目標を一つひとつクリアし、まだ破れていない部分の殻を破っていきたいです」
28歳の秋山は、福岡からさらなる飛躍を誓った。
秋山とともに、2時間9分01秒で8位に入った赤﨑、2時間9分08秒で9位の大石が、日本人3位以内で2時間10分以内という条件を満たし、2024年パリ五輪マラソン選考レース「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」の出場権を獲得。
久保は2時間9分19秒の10位にまとめ、今年3月の東京マラソン(2時間8分48秒)との平均で2時間10分00秒以内のワイルドカード条件をクリア、MGCの出場権を手にした。
文/田端慶子
※記録に誤りがありましたので訂正しました
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
2024.11.22
WA加盟連盟賞に米国、インド、ポルトガルなどがノミネート 育成プログラム等を評価
-
2024.11.22
-
2024.11.22
-
2024.11.21
-
2024.11.21
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
2024.11.01
吉田圭太が住友電工を退部 「充実した陸上人生を歩んでいきたい」競技は継続
2024.11.07
アシックスから軽量で反発性に優れたランニングシューズ「NOVABLAST 5」が登場!
-
2024.10.27
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2024.11.22
マキシマム クッショニングを搭載した新作ランニングシューズ「ナイキ ボメロ 18」が登場!
ナイキは22日、全てのランナーに向け、マキシマム クッショニングとロードランニングの快適さに新しい基準をもたらす新作シューズ「ナイキ ボメロ 18」を発売することを発表した。 女性ランナーのニーズと詳細な意見を取り入れつ […]
2024.11.22
WA加盟連盟賞に米国、インド、ポルトガルなどがノミネート 育成プログラム等を評価
世界陸連(WA)は11月20日、ワールド・アスレティクス・アワード2024の「加盟国賞」の最終候補6カ国を発表した。この賞は年間を通して陸上競技の成長と知名度に貢献する功績をおさめた連盟を表彰するもので、各地域連盟から1 […]
2024.11.22
パリ五輪7位のクルガトが優勝!女子は地元米国・ヴェンダースがV/WAクロカンツアー
11月21日、米国テキサス州オースティンで世界陸連(WA)クロスカントリーツアー・ゴールドのクロス・チャンプスが開催され、男子(8.0km)はパリ五輪5000m7位E.クルガト(ケニア)が22分51秒で、女子(8.0km […]
2024.11.22
田中希実が来季『グランドスラム・トラック』参戦決定!マイケル・ジョンソン氏が新設
来春、開幕する陸上リーグ「グランドスラム・トラック」の“レーサー”として、女子中長距離の田中希実(New Balance)が契約したと発表された。 同大会は1990年代から2000年代に男子短距離で活躍したマイケル・ジョ […]
Latest Issue 最新号
2024年12月号 (11月14日発売)
全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
高校駅伝都道府県大会ハイライト
全日本35㎞競歩高畠大会
佐賀国民スポーツ大会