2022.11.06
◇第54回全日本大学駅伝(11月6日/愛知・熱田神宮~三重・伊勢神宮:8区間106.8km)
大学駅伝日本一を決める全日本大学駅伝が行われ、駒大が3連覇を達成した。2年前に同校が作った大会記録(5時間11分08秒)を4分以上大きく更新する5時間06分47秒の大会新。15回目の優勝となった。
過去2回はコロナ禍のため、走り終えた選手たちは現地で解散。だが、今年は違った。2年連続アンカーを務めた花尾恭輔(3年)の視線の先には仲間たちがいる。「去年は1人で寂しかったですが、今日はみんながいてくれた」。3本指を高々と掲げてフィニッシュした。
大八木弘明監督は「5時間10分台を目標にしていましたがこんなタイムが出るとは。選手たちがよく走ってくれて感謝しています。本当にうれしいです」と満面の笑みを浮かべる。
1区の円健介(4年)は初の大学駅伝ながら区間4位と好発進。青学大が大きく飛び出すが「集団の中でしっかり溜めてラストで追いつこうと思った」と冷静に対応した。ここから「攻めの走りをしてくれた」と指揮官が言うように圧巻のタスキリレーが始まる。
出雲駅伝で衝撃の区間賞デビューを飾ったスーパールーキーの佐藤圭汰は、区間新となる31分13秒で区間2位。最後は創価大の葛西潤(4年)との競り合いに負けて「悔いが残ります」と振り返るも、堂々の伊勢路デビューだった。
「前日から怖かった」という主将の山野力(4年)。頼もしいルーキーに「離して(タスキを)持ってきて」とお願いしていたそうだが、実際はほぼ同時でタスキを受ける。「震えながら走った」と冗談めかすも、そこは主将。しっかりトップへ立った。
ここからは一度もトップを譲らない。こちらも1年生の山川拓馬は「前半、抑えながらも速いペースで」走り出すと、「監督の声で『やってやろう』と思いました」と快走。33分41秒の区間賞で独走態勢を築いた。
篠原倖太朗(2年)も区間2位、安原太陽(3年)は区間4位。決して大崩れしない強さが駒大にあった。そして、驚異的な走りを見せたのが、やはりこの男・田澤廉(4年)。4年連続区間賞を7区49分38秒という圧巻の区間新記録で締めくくった。「走る前の状態が良かったので自分の中で49分台を目標に走りました」と、淡々と振り返るあたり、役者が違った。
出雲駅伝でアンカーを務めた鈴木芽吹(3年)を補欠に温存。それでも他校に影をも踏ませず完勝を果たした。花尾は「3冠が目標だったので(全日本大学駅伝は)絶対に勝たないといけないと思っていました」。そして、「ラスト1冠。優勝して監督を笑顔にしたいです」と語る。
これまで、1998年、2013年と過去2回2冠を果たしたものの、未だ手にしたことのない大学駅伝3冠に王手をかけた駒大。3度目の正直で悲願達成なるか。
■駒大Vメンバー
1区 円 健介(4年) 4位27分17秒
2区 佐藤 圭汰(1年) 2位31分13秒=区間新(通過2位)
3区 山野 力(4年) 5位34分01秒(通過1位)
4区 山川 拓馬(1年) 1位33分41秒(通過1位)
5区 篠原倖太朗(2年) 2位35分50秒(通過1位)
6区 安原 太陽(3年) 4位37分27秒(通過1位)
7区 田澤 廉(4年) 1位49分38秒=区間新(通過1位)
8区 花尾 恭輔(3年) 1位57分30秒(通過1位)
補欠
東山静也(4年)、青柿響(3年)、鈴木芽吹(3年)、赤星雄斗(3年)、吉本真啓(2年)
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