2022.10.13
第99回箱根駅伝予選会は10月15日(土)、東京・立川市の陸上自衛隊立川駐屯地をスタート、国営昭和記念公園にフィニッシュとするハーフマラソンのコースで行われる。本戦への出場枠は前回と変わらず「10」。昨年までの2年間は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から陸上自衛隊立川駐屯地内の周回コースのみで実施されたため、3年ぶりの“公園内決戦”となる。
選考方法は従来通り。各校10名以上12名以下がハーフマラソンに出走し、各校の上位10人の合計タイムで争われる。すでに発表されているチームエントリーを反映させた最新情報で予選会の勢力図を分析していく。
東海大・松尾、日体大・藤本らがエントリーから外れる
各校のエントリーリストを見ると、有力選手が何人か外れているのが見て取れる。
東海大は長らく戦線離脱していたエースの石原翔太郎(3年)が入った一方で、28分21秒80の松尾昂来(3年)ら10000m28分台6人が登録外に。日体大もエースの藤本珠輝(4年)を筆頭に主力複数が外れるなど、ベストオーダーとはならなかった。
【エントリーに入れなかった有力選手】
選手名(所属) 10000m 箱根2022成績
竹村 拓真(東海大4) 28.54.56 9区⑧
喜早 駿介(東海大3) 28.52.13 ―
松尾 昂来(東海大3) 28.21.80 ―
溝口 仁(東海大3) 28.24.48 ―
梶谷 優斗(東海大2) 28.27.77 ―
越 陽汰(東海大2) 28.48.37 7区③
高橋 銀河(神奈川大3) 28.57.71 ―
巻田 理空(神奈川大3) 28.52.30 1区⑪
栁本 匡哉(早大3) 29.17.37 6区⑲
杉本 龍陽(明大4) 28.46.29 6区⑫
堀 颯介(明大1) 28.40.90 ―
武川流以名(中央学大4) 28.40.48 3区⑩
吉本 光希(中央学大4) 29.34.69 5区⑩
伊藤 秀虎(中央学大3) 28.52.15 4区⑲
髙津 浩揮(日体大4) 28.55.61 1区⑲
藤本 珠輝(日体大4) 28.08.58 2区⑩
村越 凌太(日体大4) 28.57.75 ―
漆畑 徳輝(日体大3) 28.59.31 7区⑲
吉冨 純也(日体大3) 29.18.77 5区⑮
橘田 大河(山梨学大4) 29.18.22 8区⑳
国増 治貴(専大4) 29.45.96 7区⑨
中山 敦貴(専大3) 30.09.71 10区⑳
岩佐 一楽(筑波大4) 28.41.71 ―
木村 吉希(城西大4) 28.55.63 ―
松岡 竜矢(日大4) 28.21.52 ―
片川 祐大(亜細亜大2) 28.37.81 ―
※前回の箱根駅伝出場者と10000m28分台のベストを持つ選手
10000mPB上位10人平均は明大がダントツ
明大は今季好調な富田峻平らで2年連続のトップ通過となるか
各校エントリー選手の10000m自己ベストを集計し、上位10人の平均タイムを出したものが以下の表だ(※本来であれば本番と同じハーフマラソンの自己ベストを用いるべきだが、タイムを持っていない選手が多いため10000mで比較する)。
①明 大 28.49.20(28.43.69)
②東海大 28.49.68(前回シード校)
③大東大 28.54.65(29.25.22)
④早 大 28.58.12(前回シード校)
⑤日 大 29.07.55(29.44.36)
⑥日体大 29.07.69(28.58.05)
⑦山梨学大 29.09.19(29.22.36)
⑧神奈川大 29.10.53(29.13.32)
⑨中央学大 29.13.14(29.04.43)
⑩城西大 29.13.49(29.21.55)
=====通過ライン=====
⑪立 大 29.15.51(29.40.29)
⑫拓 大 29.18.17(29.00.94)
⑬国士大 29.21.71(29.06.53)
⑭駿河台大 29.32.62(29.29.35)
⑮専 大 29.32.82(29.42.45)
⑯東農大 29.38.01(30.00.13)
⑰上武大 29.42.42(29.26.49)
⑱筑波大 29.58.31(30.02.12)
※留学生が複数いる大学は記録の良い選手を反映
※右のカッコ内の数字は昨年の同時期のタイム
※小数点第3位以下は切り上げ
ランキングトップは明大。10000m28分台の杉本龍陽(4年)と堀颯介(1年)は外れたものの、14人中8人が28分台という高い総合力を持つ。
2位の東海大は前述の通り多くの主力が登録されなかったものの、それでも高い水準を示している。
3位以下は大東大、早大と続き、ここまでが10人平均で28分台となる。5位以下は日大、日体大、山梨学大、神奈川大、中央学大、城西大と、ここまでが通過圏内だ。
前回の本戦出場校では国士大と駿河台大がタイムを落とし、平均タイムの上では通過圏外。専大は昨年の同調査でも16位だったが、見事に予選会を突破した実績がある。
トップ通過、本戦出場ラインのゆくえは?
前述の10000mの平均タイムや、今年の勢い、これまでの予選会での実績などを踏まえ、今大会の勢力図を予想した。
A(上位候補)
明大、大東大、早大
B(通過濃厚)
東海大、中央学大、神奈川大
C(通過候補)
城西大、山梨学大、日体大
D(ボーダー付近)
日大、国士大、専大、立大、拓大、駿河台大
E(チャレンジ校)
上武大、東農大、筑波大、流経大など
明大はトップ通過した前回の予選会で全体30位以内だった加藤大誠(4年)、児玉真輝(3年)、櫛田佳希(4年)、小澤大輝(4年)が健在。選手層の厚さは予選会出場校ではピカイチで、調子の良い12人がスタートラインに立つことになりそうだ。
大東大は6月の全日本大学駅伝選考会で5位通過して勢いがある。ケニア人留学生のピーター・ワンジル(2年)のほか、久保田徹(3年)や大野陽人(4年)ら日本人選手も強力で、2年ぶり突破を1位で決めてもおかしくはない戦力だ。
大東大は6月の全日本大学駅伝選考会で5位通過。2年ぶり通過となるか
3年ぶりの予選会出場となる早大は、10000m27分台の井川龍人(4年)や安定感抜群の石塚陽士、スピード自慢の伊藤大志(ともに2年)や山口智規(1年)らタレントがそろっている。加えて6月に就任した花田勝彦駅伝監督は、かつて上武大を箱根駅伝常連校に導いたノウハウがあるため、よほどのことがない限り敗退は考えにくい。
上記3校を除けば、東海大、中央学大、神奈川大も戦力が充実しており、通過は濃厚と言える。
東海大は前述の通り多数の主力がエントリー外だったものの、ハーフマラソンで1時間2分11秒を持つ松崎咲人(4年)や箱根駅伝5区で区間2位と快走した吉田響(2年)など上位通過が可能なだけの戦力がいる。
中央学大は近年故障者が続出して前々回はまさかの敗退を喫したが、最大のピンチを乗り越えた前回の経験は強み。今季は吉田礼志(2年)がエースに成長し、全日本大学駅伝にも10年連続で出場を決めるなど地力はある。
神奈川大は6月の全日本大学駅伝選考会でトップ通過した総合力と、長らくこの予選会を通過してきたノウハウが武器。絶対的なエースはいないものの、確実に通過してきそうだ。
上記6校ほどの確実性はないものの、城西大、山梨学大、日体大も通過の有力候補だ。
城西大は野村颯斗、山本唯翔(ともに3年)ら主力が順当にエントリーされたほか、今年入学した留学生のヴィクター・キムタイ(1年)が強力。昨年は15位で予選会敗退に終わったものの、2年ぶり本戦出場へ戦力は充実している。
山梨学大はハーフマラソン1時間2分47秒の橘田大河(4年)が外れたものの、28分台ランナーの伊東大暉、木山達哉(ともに4年)らで10000mの平均タイムで7位につける。ボニフェス・ムルア(4年)、ジェームス・ムトゥク(1年)と2人いる留学生のうち調子の良いほうを起用できるのも強みだ。
日体大はエース・藤本ら前回の本戦出走組4人が欠ける事態だが、それでも10000m平均では6位と通過圏内にいる。厚い選手層を武器に継続中では最多の74年連続本戦出場をさらに伸ばせるか。
ボーダーライン上の戦いは今年も混戦が予想され、1つのミスが命取りになる。前回出場校の国士大、駿河台大、専大は連続出場を堅守したい一方で、返り咲きを狙う日大、拓大、立大にも戦力的には十分チャンスがあると見ていいだろう。
コース変更で高速化は落ち着く?
石原、井川、富田らが日本人トップ候補
今回はアップダウンのある昭和記念公園内を使用することから、3年前と同様に全体トップは1時間1分程度、日本人トップは1時間2分程度の水準に落ち着くことが予想される。
例年通りだと序盤で強力なケニア人留学生が抜け出す可能性が高く、前回個人1位につけたワンジク・チャールズ・カマウ(武蔵野学大3)、同3位のノア・キプリモ(日本薬大4)、1時間0分13秒を持つジョセフ・ラジニ(拓大4)あたりが個人トップ候補に挙がる。
日本人では東海大の石原や早大の井川、日本学生ハーフ4位~7位だった明大・富田峻平(4年)、東農大・高槻芳照(3年)、中央学大・吉田、明大・小澤あたりが有力だ。
通過ボーダーライン(10位)の10人平均タイムは、ハイレベルだった前々回が1時間3分23秒で、前回は1時間4分34秒だった。今回はコースが異なるため単純な比較はできないが、予選突破のためには1時間4分は切っておきたいところだろう。例年は2~3チームほど出場校が入れ替わっているが、今回はどんなドラマが待ち受けているだろうか。
東海大・松尾、日体大・藤本らがエントリーから外れる
各校のエントリーリストを見ると、有力選手が何人か外れているのが見て取れる。 東海大は長らく戦線離脱していたエースの石原翔太郎(3年)が入った一方で、28分21秒80の松尾昂来(3年)ら10000m28分台6人が登録外に。日体大もエースの藤本珠輝(4年)を筆頭に主力複数が外れるなど、ベストオーダーとはならなかった。【エントリーに入れなかった有力選手】 選手名(所属) 10000m 箱根2022成績 竹村 拓真(東海大4) 28.54.56 9区⑧ 喜早 駿介(東海大3) 28.52.13 ― 松尾 昂来(東海大3) 28.21.80 ― 溝口 仁(東海大3) 28.24.48 ― 梶谷 優斗(東海大2) 28.27.77 ― 越 陽汰(東海大2) 28.48.37 7区③ 高橋 銀河(神奈川大3) 28.57.71 ― 巻田 理空(神奈川大3) 28.52.30 1区⑪ 栁本 匡哉(早大3) 29.17.37 6区⑲ 杉本 龍陽(明大4) 28.46.29 6区⑫ 堀 颯介(明大1) 28.40.90 ― 武川流以名(中央学大4) 28.40.48 3区⑩ 吉本 光希(中央学大4) 29.34.69 5区⑩ 伊藤 秀虎(中央学大3) 28.52.15 4区⑲ 髙津 浩揮(日体大4) 28.55.61 1区⑲ 藤本 珠輝(日体大4) 28.08.58 2区⑩ 村越 凌太(日体大4) 28.57.75 ― 漆畑 徳輝(日体大3) 28.59.31 7区⑲ 吉冨 純也(日体大3) 29.18.77 5区⑮ 橘田 大河(山梨学大4) 29.18.22 8区⑳ 国増 治貴(専大4) 29.45.96 7区⑨ 中山 敦貴(専大3) 30.09.71 10区⑳ 岩佐 一楽(筑波大4) 28.41.71 ― 木村 吉希(城西大4) 28.55.63 ― 松岡 竜矢(日大4) 28.21.52 ― 片川 祐大(亜細亜大2) 28.37.81 ― ※前回の箱根駅伝出場者と10000m28分台のベストを持つ選手
10000mPB上位10人平均は明大がダントツ
明大は今季好調な富田峻平らで2年連続のトップ通過となるか 各校エントリー選手の10000m自己ベストを集計し、上位10人の平均タイムを出したものが以下の表だ(※本来であれば本番と同じハーフマラソンの自己ベストを用いるべきだが、タイムを持っていない選手が多いため10000mで比較する)。①明 大 28.49.20(28.43.69) ②東海大 28.49.68(前回シード校) ③大東大 28.54.65(29.25.22) ④早 大 28.58.12(前回シード校) ⑤日 大 29.07.55(29.44.36) ⑥日体大 29.07.69(28.58.05) ⑦山梨学大 29.09.19(29.22.36) ⑧神奈川大 29.10.53(29.13.32) ⑨中央学大 29.13.14(29.04.43) ⑩城西大 29.13.49(29.21.55) =====通過ライン===== ⑪立 大 29.15.51(29.40.29) ⑫拓 大 29.18.17(29.00.94) ⑬国士大 29.21.71(29.06.53) ⑭駿河台大 29.32.62(29.29.35) ⑮専 大 29.32.82(29.42.45) ⑯東農大 29.38.01(30.00.13) ⑰上武大 29.42.42(29.26.49) ⑱筑波大 29.58.31(30.02.12) ※留学生が複数いる大学は記録の良い選手を反映 ※右のカッコ内の数字は昨年の同時期のタイム ※小数点第3位以下は切り上げランキングトップは明大。10000m28分台の杉本龍陽(4年)と堀颯介(1年)は外れたものの、14人中8人が28分台という高い総合力を持つ。 2位の東海大は前述の通り多くの主力が登録されなかったものの、それでも高い水準を示している。 3位以下は大東大、早大と続き、ここまでが10人平均で28分台となる。5位以下は日大、日体大、山梨学大、神奈川大、中央学大、城西大と、ここまでが通過圏内だ。 前回の本戦出場校では国士大と駿河台大がタイムを落とし、平均タイムの上では通過圏外。専大は昨年の同調査でも16位だったが、見事に予選会を突破した実績がある。
トップ通過、本戦出場ラインのゆくえは?
前述の10000mの平均タイムや、今年の勢い、これまでの予選会での実績などを踏まえ、今大会の勢力図を予想した。A(上位候補) 明大、大東大、早大 B(通過濃厚) 東海大、中央学大、神奈川大 C(通過候補) 城西大、山梨学大、日体大 D(ボーダー付近) 日大、国士大、専大、立大、拓大、駿河台大 E(チャレンジ校) 上武大、東農大、筑波大、流経大など明大はトップ通過した前回の予選会で全体30位以内だった加藤大誠(4年)、児玉真輝(3年)、櫛田佳希(4年)、小澤大輝(4年)が健在。選手層の厚さは予選会出場校ではピカイチで、調子の良い12人がスタートラインに立つことになりそうだ。 大東大は6月の全日本大学駅伝選考会で5位通過して勢いがある。ケニア人留学生のピーター・ワンジル(2年)のほか、久保田徹(3年)や大野陽人(4年)ら日本人選手も強力で、2年ぶり突破を1位で決めてもおかしくはない戦力だ。 大東大は6月の全日本大学駅伝選考会で5位通過。2年ぶり通過となるか 3年ぶりの予選会出場となる早大は、10000m27分台の井川龍人(4年)や安定感抜群の石塚陽士、スピード自慢の伊藤大志(ともに2年)や山口智規(1年)らタレントがそろっている。加えて6月に就任した花田勝彦駅伝監督は、かつて上武大を箱根駅伝常連校に導いたノウハウがあるため、よほどのことがない限り敗退は考えにくい。 上記3校を除けば、東海大、中央学大、神奈川大も戦力が充実しており、通過は濃厚と言える。 東海大は前述の通り多数の主力がエントリー外だったものの、ハーフマラソンで1時間2分11秒を持つ松崎咲人(4年)や箱根駅伝5区で区間2位と快走した吉田響(2年)など上位通過が可能なだけの戦力がいる。 中央学大は近年故障者が続出して前々回はまさかの敗退を喫したが、最大のピンチを乗り越えた前回の経験は強み。今季は吉田礼志(2年)がエースに成長し、全日本大学駅伝にも10年連続で出場を決めるなど地力はある。 神奈川大は6月の全日本大学駅伝選考会でトップ通過した総合力と、長らくこの予選会を通過してきたノウハウが武器。絶対的なエースはいないものの、確実に通過してきそうだ。 上記6校ほどの確実性はないものの、城西大、山梨学大、日体大も通過の有力候補だ。 城西大は野村颯斗、山本唯翔(ともに3年)ら主力が順当にエントリーされたほか、今年入学した留学生のヴィクター・キムタイ(1年)が強力。昨年は15位で予選会敗退に終わったものの、2年ぶり本戦出場へ戦力は充実している。 山梨学大はハーフマラソン1時間2分47秒の橘田大河(4年)が外れたものの、28分台ランナーの伊東大暉、木山達哉(ともに4年)らで10000mの平均タイムで7位につける。ボニフェス・ムルア(4年)、ジェームス・ムトゥク(1年)と2人いる留学生のうち調子の良いほうを起用できるのも強みだ。 日体大はエース・藤本ら前回の本戦出走組4人が欠ける事態だが、それでも10000m平均では6位と通過圏内にいる。厚い選手層を武器に継続中では最多の74年連続本戦出場をさらに伸ばせるか。 ボーダーライン上の戦いは今年も混戦が予想され、1つのミスが命取りになる。前回出場校の国士大、駿河台大、専大は連続出場を堅守したい一方で、返り咲きを狙う日大、拓大、立大にも戦力的には十分チャンスがあると見ていいだろう。
コース変更で高速化は落ち着く? 石原、井川、富田らが日本人トップ候補
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