HOME 国内

2022.09.24

荒井広宙が現役ラストウォーク「自己探求を続けて」リオ五輪日本競歩初メダル、世界陸上でも銀/全日本実業団
荒井広宙が現役ラストウォーク「自己探求を続けて」リオ五輪日本競歩初メダル、世界陸上でも銀/全日本実業団

◇第70回全日本実業団対抗選手権(9月23~25日/岐阜・長良川)2日目

全日本実業団対抗選手権2日目に行われた男子10000m競歩で、偉大なウォーカーがシューズを脱いだ。

荒井広宙(富士通)が現役引退。レース後は仲間やライバルたちと写真に収まった。ラストレースは41分54秒02で10位。「思ったより歩けました」と笑顔を浮かべた。

50km競歩で16年リオ五輪銅メダルを獲得。これがオリンピックでの日本競歩界初のメダルだった。翌年のロンドン世界選手権でも同種目で銀メダルを獲得。日本競歩界の歴史を作ってきた。

今年34歳。長野県出身で、中野実業高2年から競歩を始め、福井工業大を卒業。その後は所属先を変えながら2019年から富士通へ。「高校時代は実績がなかった自分がメダルを取れた」と言う。

最後のレースを終えて「サッパリしています」とすがすがしい表情。思い出に残っている大会を聞かれても「全部」だと言う。「リオと言えば簡単ですがそこまでの過程もそう。初めて出た5000m競歩、小さな記録会でベストを出したレース。全部です」とそう答えた真意を明かす。

世界でトップ争いをする日本競歩界の土台を作った一人だが、「強化するタイミングが重なっただけ。私がメダルを取らなくても誰かが取っていた。運が良かっただけです」と謙遜するあたりも荒井の人柄が表れる。

荒井にとって競歩は「自己探求」の連続だった。「単調な練習を繰り返す」なかで、「自己成長できる競技」だという。それを続けてきてなお「見つからないし、だからこそ楽しかった」。

現役引退を決意したのは今年春。「東京五輪に向けてはケガで万全な状態で選考会に臨めなかった」ことで、今年までチャレンジしたが「代表になる力が戻らなかった」。50kmから35kmへと距離が変更されたことも影響したという。今後については「未定」としながら、「何かしらのかたちで陸上にかかわっていければ」とした。

荒井の背中を追うように成長してきた日本競歩界は、オレゴン世界選手権でも20kmで金・銀メダルを占め、35kmも銀メダル。「世界からマークされる存在。どんどん競歩に挑戦してメダルを取り続けていってほしい」と、後輩たちへメッセージを送った。

◇第70回全日本実業団対抗選手権(9月23~25日/岐阜・長良川)2日目 全日本実業団対抗選手権2日目に行われた男子10000m競歩で、偉大なウォーカーがシューズを脱いだ。 荒井広宙(富士通)が現役引退。レース後は仲間やライバルたちと写真に収まった。ラストレースは41分54秒02で10位。「思ったより歩けました」と笑顔を浮かべた。 50km競歩で16年リオ五輪銅メダルを獲得。これがオリンピックでの日本競歩界初のメダルだった。翌年のロンドン世界選手権でも同種目で銀メダルを獲得。日本競歩界の歴史を作ってきた。 今年34歳。長野県出身で、中野実業高2年から競歩を始め、福井工業大を卒業。その後は所属先を変えながら2019年から富士通へ。「高校時代は実績がなかった自分がメダルを取れた」と言う。 最後のレースを終えて「サッパリしています」とすがすがしい表情。思い出に残っている大会を聞かれても「全部」だと言う。「リオと言えば簡単ですがそこまでの過程もそう。初めて出た5000m競歩、小さな記録会でベストを出したレース。全部です」とそう答えた真意を明かす。 世界でトップ争いをする日本競歩界の土台を作った一人だが、「強化するタイミングが重なっただけ。私がメダルを取らなくても誰かが取っていた。運が良かっただけです」と謙遜するあたりも荒井の人柄が表れる。 荒井にとって競歩は「自己探求」の連続だった。「単調な練習を繰り返す」なかで、「自己成長できる競技」だという。それを続けてきてなお「見つからないし、だからこそ楽しかった」。 現役引退を決意したのは今年春。「東京五輪に向けてはケガで万全な状態で選考会に臨めなかった」ことで、今年までチャレンジしたが「代表になる力が戻らなかった」。50kmから35kmへと距離が変更されたことも影響したという。今後については「未定」としながら、「何かしらのかたちで陸上にかかわっていければ」とした。 荒井の背中を追うように成長してきた日本競歩界は、オレゴン世界選手権でも20kmで金・銀メダルを占め、35kmも銀メダル。「世界からマークされる存在。どんどん競歩に挑戦してメダルを取り続けていってほしい」と、後輩たちへメッセージを送った。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2024.11.22

田中希実が来季『グランドスラム・トラック』参戦決定!マイケル・ジョンソン氏が新設

来春、開幕する陸上リーグ「グランドスラム・トラック」の“レーサー”として、女子中長距離の田中希実(New Balance)が契約したと発表された。 同大会は1990年代から2000年代に男子短距離で活躍したマイケル・ジョ […]

NEWS 早大競走部駅伝部門が麹を活用した食品・飲料を手がける「MURO」とスポンサー契約締結

2024.11.21

早大競走部駅伝部門が麹を活用した食品・飲料を手がける「MURO」とスポンサー契約締結

11月21日、株式会社コラゾンは同社が展開する麹専門ブランド「MURO」を通じて、早大競走部駅伝部とスポンサー契約を結んだことを発表した。 コラゾン社は「MURO」の商品である「KOJI DRINK A」および「KOJI […]

NEWS 立迫志穂が調整不良のため欠場/防府読売マラソン

2024.11.21

立迫志穂が調整不良のため欠場/防府読売マラソン

第55回防府読売マラソン大会事務局は、女子招待選手の立迫志穂(天満屋)が欠場すると発表した。調整不良のためとしている。 立迫は今年2月の全日本実業団ハーフマラソンで1時間11分16秒の11位。7月には5000m(15分3 […]

NEWS M&Aベストパートナーズに中大・山平怜生、城西大・栗原直央、國學院大・板垣俊佑が内定!神野「チーム一丸」

2024.11.20

M&Aベストパートナーズに中大・山平怜生、城西大・栗原直央、國學院大・板垣俊佑が内定!神野「チーム一丸」

神野大地が選手兼監督を務めるM&Aベストパートナーズが来春入社選手として、中大・山平怜生、國學院大・板垣俊佑、城西大・栗原直央の3人が内定した。神野が自身のSNSで内定式の様子を伝えている。 山平は宮城・仙台育英 […]

NEWS 第101回(2025年)箱根駅伝 出場チーム選手名鑑

2024.11.20

第101回(2025年)箱根駅伝 出場チーム選手名鑑

・候補選手は各チームが選出 ・情報は11月20日時点、チーム提供および編集部把握の公認記録を掲載 ・選手名の一部漢字で対応外のものは新字で掲載しています ・過去箱根駅伝成績で関東学生連合での出場選手は相当順位を掲載 ・一 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2024年12月号 (11月14日発売)

2024年12月号 (11月14日発売)

全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
高校駅伝都道府県大会ハイライト
全日本35㎞競歩高畠大会
佐賀国民スポーツ大会

page top