HOME 国内、世界陸上、日本代表
35km競歩の川野将虎 激闘の末につかんだ銀メダルも「慢心せず次の世界陸上やパリ五輪に向かってがんばりたい」/世界陸上
35km競歩の川野将虎 激闘の末につかんだ銀メダルも「慢心せず次の世界陸上やパリ五輪に向かってがんばりたい」/世界陸上


◇オレゴン世界陸上(7月15日~24日/米国・オレゴン州ユージン)10日目

オレゴン世界陸上10日目のモーニングセッションに行われた男子35km競歩決勝で、川野将虎(旭化成)は死力を尽くして歩き抜いた。

スタート直後に飛び出した松永大介(富士通)を吸収した21kmから、川野を含めた先頭集団は激しい上位争いを展開。それまで1km4分10秒あたりのペースが4分02秒~03秒に。スピードアップで選手が次々と脱落し、33kmで金メダル争いは川野とマッシモ・スタノ(イタリア)の2人となった。

スタノは昨年の東京五輪20km金メダリスト。川野の東洋大時代からのチームメイト・池田向希(旭化成)を抑えている。「昨年の池田と同じように一騎打ちになりました。僕は池田にいつも引っ張ってもらっていたので、今度は自分がスタノ選手に勝って勇気づけたかった」。口が開き、苦しい表情になったが、懸命に腕を振ってスタノの背後に食らいついた。

残り1kmでその差が開く。川野は追おうとするが、差は縮まらない。フィニッシュ直前で接近したものの、結局届かなかった。スタノとは1秒差の2時間23分15秒。世界大会で自身初のメダルに「大きな目標をかなえることができました」と充実感をにじませながらも、デッドヒートの末に敗れたスタノについて、「すごい強い選手で、自分にはまだまだかなわない。ここから鍛えていこうと思っています」と話していた。

昨年の東京五輪50kmでは、途中で嘔吐しながらも6位入賞。今年から50kmが35kmに種目が変更され、世界のトップを目指して準備を進めてきたが、1月に貧血の症状が出た。一時は「世界陸上もあきらめかけた」ほどだったが、指導を受ける酒井瑞穂コーチや夫の酒井俊幸・東洋大監督ら周囲の支えで復調。3月の世界競歩チーム選手権で4位に入ると、4月中旬の日本選手権は今季世界最高、日本最高の2時間26分40秒で制し、世界選手権代表に内定した。

広告の下にコンテンツが続きます

苦しい時を経てつかんだ勲章。今大会の男子競歩では、20kmで山西利和(愛知製鋼)が金メダル、池田が銀メダルに輝き、メダルは3つ目となる。「これまで伝統をつないでくださった歴代の先輩方がたくさん苦労して今の自分たちがある。そういった方々に感謝したいと思っています」。日本を代表するウォーカーとなっても謙虚な姿勢。静岡・御殿場南高時代から変わらない。

大きな節目を迎えたが、すでに先を見据えている。「金メダルを取れていませんし、未熟な点が多い。鍛える部分がたくさんあるので、ここで慢心せずに、次の世界陸上やパリ五輪に向かってがんばっていきたい」と力強く語った。

◇オレゴン世界陸上(7月15日~24日/米国・オレゴン州ユージン)10日目 オレゴン世界陸上10日目のモーニングセッションに行われた男子35km競歩決勝で、川野将虎(旭化成)は死力を尽くして歩き抜いた。 スタート直後に飛び出した松永大介(富士通)を吸収した21kmから、川野を含めた先頭集団は激しい上位争いを展開。それまで1km4分10秒あたりのペースが4分02秒~03秒に。スピードアップで選手が次々と脱落し、33kmで金メダル争いは川野とマッシモ・スタノ(イタリア)の2人となった。 スタノは昨年の東京五輪20km金メダリスト。川野の東洋大時代からのチームメイト・池田向希(旭化成)を抑えている。「昨年の池田と同じように一騎打ちになりました。僕は池田にいつも引っ張ってもらっていたので、今度は自分がスタノ選手に勝って勇気づけたかった」。口が開き、苦しい表情になったが、懸命に腕を振ってスタノの背後に食らいついた。 残り1kmでその差が開く。川野は追おうとするが、差は縮まらない。フィニッシュ直前で接近したものの、結局届かなかった。スタノとは1秒差の2時間23分15秒。世界大会で自身初のメダルに「大きな目標をかなえることができました」と充実感をにじませながらも、デッドヒートの末に敗れたスタノについて、「すごい強い選手で、自分にはまだまだかなわない。ここから鍛えていこうと思っています」と話していた。 昨年の東京五輪50kmでは、途中で嘔吐しながらも6位入賞。今年から50kmが35kmに種目が変更され、世界のトップを目指して準備を進めてきたが、1月に貧血の症状が出た。一時は「世界陸上もあきらめかけた」ほどだったが、指導を受ける酒井瑞穂コーチや夫の酒井俊幸・東洋大監督ら周囲の支えで復調。3月の世界競歩チーム選手権で4位に入ると、4月中旬の日本選手権は今季世界最高、日本最高の2時間26分40秒で制し、世界選手権代表に内定した。 苦しい時を経てつかんだ勲章。今大会の男子競歩では、20kmで山西利和(愛知製鋼)が金メダル、池田が銀メダルに輝き、メダルは3つ目となる。「これまで伝統をつないでくださった歴代の先輩方がたくさん苦労して今の自分たちがある。そういった方々に感謝したいと思っています」。日本を代表するウォーカーとなっても謙虚な姿勢。静岡・御殿場南高時代から変わらない。 大きな節目を迎えたが、すでに先を見据えている。「金メダルを取れていませんし、未熟な点が多い。鍛える部分がたくさんあるので、ここで慢心せずに、次の世界陸上やパリ五輪に向かってがんばっていきたい」と力強く語った。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.03.29

齋藤みう3000m障害で9分41秒57 自己ベスト4秒以上更新して日本歴代6位、学生歴代2位

第319回日体大長距離競技会初日が3月29日、神奈川・横浜市の同大学健志台キャンパス競技場で行われ、女子3000m障害で齋藤みう(日体大4)が日本歴代6位、学生歴代2位の9分41秒57をマークした。 齋藤のこれまでのベス […]

NEWS 久保凛1000mで2分40秒23 U20&U18日本新記録!従来の記録を大幅更新、日本歴代でも4位

2025.03.29

久保凛1000mで2分40秒23 U20&U18日本新記録!従来の記録を大幅更新、日本歴代でも4位

奈良市サーキットが3月29日、奈良市の鴻ノ池陸上競技場で行われ、女子1000mで800m日本記録(1分59秒93)保持者の久保凛(東大阪大敬愛高2)が2分40秒23をマークした。 この記録は日本歴代4位で、U20とU18 […]

NEWS 【世界陸上プレイバック】五輪ボイコットきっかけに創設!クラトフヴィロヴァが女子400mと800mで今も大会記録に残る2冠 日本は室伏重信ら出場も入賞ゼロ

2025.03.28

【世界陸上プレイバック】五輪ボイコットきっかけに創設!クラトフヴィロヴァが女子400mと800mで今も大会記録に残る2冠 日本は室伏重信ら出場も入賞ゼロ

今年、陸上の世界選手権(世界陸上)が34年ぶりに東京・国立競技場で開催される。今回で20回目の節目を迎える世界陸上。日本で開催されるのは1991年の東京、2007年の大阪大会を含めて3回目で、これは同一国で最多だ。これま […]

NEWS 【高校生FOCUS】女子三段跳・山﨑りりや(鳴門渦潮高)日本高校女子初の13m到達、大学で学生記録挑戦

2025.03.28

【高校生FOCUS】女子三段跳・山﨑りりや(鳴門渦潮高)日本高校女子初の13m到達、大学で学生記録挑戦

FOCUS! 高校生INTERVIEW 山﨑りりや Yamasaki Ririya 鳴門渦潮高3徳島 高校アスリートをフォーカスするコーナー。年度末を迎えますが、振り返ってみれば、2024年度は高校生による日本記録樹立を […]

NEWS 3泊4日の全国高体連合宿終了! 「高め合える仲間がいっぱいできた」 来年度は宮崎で開催予定

2025.03.28

3泊4日の全国高体連合宿終了! 「高め合える仲間がいっぱいできた」 来年度は宮崎で開催予定

大阪・ヤンマースタジアム長居を主会場に行われた2024年度の日本陸連U-19強化研修合宿・全国高体連陸上競技専門部強化合宿が3月28日、3泊4日の全日程を終えた。全国から集まった選手たちは交流を深め、試合での再会を誓った […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年4月号 (3月14日発売)

2025年4月号 (3月14日発売)

別冊付録 2024記録年鑑
山西 世界新!
大阪、東京、名古屋ウィメンズマラソン詳報

page top