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2022.07.14

村竹ラシッド インタビュー 初めて世界に挑戦!「もったいないので、走れるだけ走りたい」/世界陸上
村竹ラシッド インタビュー 初めて世界に挑戦!「もったいないので、走れるだけ走りたい」/世界陸上

間近に迫るオレゴン世界選手権に、大学3年生の“同級生ハードラー”3人が代表入りしている。110mハードルの村竹ラシッド(順大)、400mハードルの黒川和樹(法大)、そして3000m障害の三浦龍司(順大)だ。

世界選手権特集としてこの3選手にインタビュー! 今シーズンの振り返りから世界選手権での意気込み、同期の存在、そしてプライベートな一面まで聞いた。

日本選手権で昨年の悪夢を払拭

日本選手権で2位となって初の世界選手権代表をつかみ取った。1年前は東京五輪の参加標準記録を突破しながら決勝でフライング失格。「この日のためにやってきた」と強い覚悟で日々を過ごしてきた。

――世界陸上内定おめでとうございます。少し落ち着かれましたか。

村竹 もう晴れ晴れしています! 心が軽いです。日本選手権前の2週間ほどはゆっくり寝られなかったり、朝早くに目が覚めてしまったり。やっと落ち着いて寝られます。

――昨年の日本選手権の決勝で不正スタートにより失格して、東京五輪を逃して悔しい思いをされましたからね。日本選手権の時の「この日のために1年間やってきた」という言葉が印象に残っています。

村竹 去年のことがよぎらないほうが難しいですよね。準決勝が2着通過だったので、決勝はどのレーンに入るかなと考えていて、(去年と)同じレーンじゃないだろうな、と思ったら本当に同じ7レーン……。そこから去年のことを思い出したのですが、『悩んでも仕方がない!』と気にしないようにしました。

――そこは余裕というか、自信がついたのでしょうか。

村竹 去年は想像以上の結果が出て、勝手にオリンピックが近づきましたが今回は狙っていました。陸上人生で、一番冬季練習を順調に積めたという自信もあったので、不安を払拭できたのだと思います。

スピードとパワーがケタ違いに成長

ひと冬を越えて自分でも感じるほどの成長を遂げた村竹。それがかたちとなった日本選手権では圧巻の走りを見せた。

――予選で13秒27と世界陸上の参加標準記録(13秒32)を突破されました。

村竹 ビックリしました。本当に狙っていなかったので。無駄な力が入っていなくて、インターバルもすごく速く刻めていました。走っている時の体感は13秒4くらいでした。スピードもそれほど出ているとは思わなかったです。

8台目くらいで少し抑えようと思ったところ減速できなかった。変に力むよりもリラックスしたほうが身体は速く動くし、記録も出る。最近では一番理想的なレースだったと思います。

――準決勝を突破して、決勝は先輩の泉谷駿介選手(住友電工)に次いで2位でした。

村竹 準決勝は感覚の良かった予選の走りをしようと思ったのですが、一気に加速してしまってバランスを崩して転倒しそうになりました。かなり危なかったのですが「ここまでの努力が水の泡になる」と意地で踏ん張ったんです。

準決勝のこともあり、標準記録も突破していたので決勝はとにかく3位以内に入ることだけを考えて安全に行きました。ゆるやかに加速して中盤以降に追い込むかたち。少しずつ前と詰まって、後ろを離している感じはあったので、良い走りだったと思います。

――昨年からの成長はどこに感じていますか。

村竹 スタートの安定感です。冬季でスピードもパワーも格段につきました。そのお陰で1台目までの7歩で余裕を持てるようになったんです。昨年は練習でも7歩が届かないということもありました。

その反面、スピードがどんどん上がっていくのでインターバルを刻み続けるのが大変です。特に9、10台目では油断するとどんどんとハードルが近くなります。そこがまだまだ課題ですね。日本選手権予選のようにリラックスして、しっかり後半も刻めれば13秒1台は出そうな感覚があります。

1本で終わるのはもったいない!


昨年、目の前から消えた世界の舞台。その切符をようやくつかんだ。「TVで見るもの」だった世界陸上で、若きハードラーはどんな走りを見せるのだろうか。

――初の世界陸上ですが、今の心境は?

村竹 改めて考えるとビックリです。世界陸上はテレビで見るもの。小学生の頃から見ていました。当時高校3年生だった19年ドーハ世界陸上も覚えていて、高山(峻野、ゼンリン)さんでも決勝に行けない。どんなレベルなんだって。自分のあこがれている選手でも力を発揮するのが難しい舞台。それは補欠として活動した東京オリンピックでも感じました。

――楽しみなこと、不安なことはありますか。

村竹 正直、まだ実感が湧きませんがとても楽しみです。海外の選手相手にどんな走りができるのか、どのラウンドに行ってどこで落ちるのか。そういうことを考えると楽しいです。スタートから前に出られるのが苦手なのですが、(グラント・)ホロウェイとかが隣だったら……。大丈夫かな……。

ただ、そういった海外の選手との違い、差を体験できたらいいなと思っています。最近はレースを楽しむということを忘れていました。海外なら楽しく臨めそうです。伏兵として頑張ります!

――最後に目標を聞かせてください!

村竹 やっぱり準決勝には進みたいです。簡単ではないと思いますが、せっかくつかんだチャンス。1本だけで終わらせるのはもったいないので、走れるだけ走りたいです。13秒1が見えているので、それが世界陸上の準決勝だったら最高ですね。

日常生活のQ&A

世界陸上に初出場の3人の活躍にますます期待がかかる。そんな3人はまだ大学3年生。普段の生活は普通の大学生と同じだという。世界の舞台で戦う大学生の、競技以外でのプライベートな一面は?

Q休日の日の過ごし方
A最近はよく家で映画を見ています。「トップガン」や「ワイルドスピード」など、アクション映画にハマっているんです。ゲームも友達とやります。あと、競馬にもハマっています。馬もレースを見るのも好きなので、テレビで見たり、競馬場へ行ったりすることもあります!

Q試合前に聴く音楽
A音楽を聴きながらアップをすることがあります。ロックなど激しめの音楽で気分を上げていきます!

Q試合後のご褒美は?
Aゲームです! 終わったらこのゲームをやろう!って思っています。あとは甘いものが好きなのでレース前は我慢して、終わったら食べます。生クリーム系が好きです!

Q学校生活はどうですか
A課題がとても大変です(笑)。入学してからはコロナ禍で大学に行けていませんでしたが、最近は友達も増えてきて学校生活自体は楽しいです!

Q陸上を続けてきて、走るのが嫌だなと思ったことは?
A冬季練習の時など思ったことはありますね。でも、試合が近づいてくると、どんどん楽しみになってきます。それでも陸上を続けられているのは叶えたい目標があって、応援してくれる人がたくさんいるからです。それを考えると、頑張らないと、と思います。

Q黒川選手、三浦選手など同期の存在は?
A黒川は高校の時に110mハードルもやっていて一緒に走っていました。今は競技は違いますが、オリンピックに出ていますし、負けていられません。龍司は1年生の時はおとなしかったのに、オリンピック7位って! とても刺激をもらっています。

村竹ラシッド(むらたけ・らしっど)
2002年2月6日生まれ、千葉県出身の20歳。松戸一中→松戸国際高→順大
110mハードルの自己ベストは13秒27(22年)

構成/向永拓史

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日本選手権で昨年の悪夢を払拭

日本選手権で2位となって初の世界選手権代表をつかみ取った。1年前は東京五輪の参加標準記録を突破しながら決勝でフライング失格。「この日のためにやってきた」と強い覚悟で日々を過ごしてきた。 ――世界陸上内定おめでとうございます。少し落ち着かれましたか。 村竹 もう晴れ晴れしています! 心が軽いです。日本選手権前の2週間ほどはゆっくり寝られなかったり、朝早くに目が覚めてしまったり。やっと落ち着いて寝られます。 ――昨年の日本選手権の決勝で不正スタートにより失格して、東京五輪を逃して悔しい思いをされましたからね。日本選手権の時の「この日のために1年間やってきた」という言葉が印象に残っています。 村竹 去年のことがよぎらないほうが難しいですよね。準決勝が2着通過だったので、決勝はどのレーンに入るかなと考えていて、(去年と)同じレーンじゃないだろうな、と思ったら本当に同じ7レーン……。そこから去年のことを思い出したのですが、『悩んでも仕方がない!』と気にしないようにしました。 ――そこは余裕というか、自信がついたのでしょうか。 村竹 去年は想像以上の結果が出て、勝手にオリンピックが近づきましたが今回は狙っていました。陸上人生で、一番冬季練習を順調に積めたという自信もあったので、不安を払拭できたのだと思います。

スピードとパワーがケタ違いに成長

ひと冬を越えて自分でも感じるほどの成長を遂げた村竹。それがかたちとなった日本選手権では圧巻の走りを見せた。 ――予選で13秒27と世界陸上の参加標準記録(13秒32)を突破されました。 村竹 ビックリしました。本当に狙っていなかったので。無駄な力が入っていなくて、インターバルもすごく速く刻めていました。走っている時の体感は13秒4くらいでした。スピードもそれほど出ているとは思わなかったです。 8台目くらいで少し抑えようと思ったところ減速できなかった。変に力むよりもリラックスしたほうが身体は速く動くし、記録も出る。最近では一番理想的なレースだったと思います。 ――準決勝を突破して、決勝は先輩の泉谷駿介選手(住友電工)に次いで2位でした。 村竹 準決勝は感覚の良かった予選の走りをしようと思ったのですが、一気に加速してしまってバランスを崩して転倒しそうになりました。かなり危なかったのですが「ここまでの努力が水の泡になる」と意地で踏ん張ったんです。 準決勝のこともあり、標準記録も突破していたので決勝はとにかく3位以内に入ることだけを考えて安全に行きました。ゆるやかに加速して中盤以降に追い込むかたち。少しずつ前と詰まって、後ろを離している感じはあったので、良い走りだったと思います。 ――昨年からの成長はどこに感じていますか。 村竹 スタートの安定感です。冬季でスピードもパワーも格段につきました。そのお陰で1台目までの7歩で余裕を持てるようになったんです。昨年は練習でも7歩が届かないということもありました。 その反面、スピードがどんどん上がっていくのでインターバルを刻み続けるのが大変です。特に9、10台目では油断するとどんどんとハードルが近くなります。そこがまだまだ課題ですね。日本選手権予選のようにリラックスして、しっかり後半も刻めれば13秒1台は出そうな感覚があります。

1本で終わるのはもったいない!

昨年、目の前から消えた世界の舞台。その切符をようやくつかんだ。「TVで見るもの」だった世界陸上で、若きハードラーはどんな走りを見せるのだろうか。 ――初の世界陸上ですが、今の心境は? 村竹 改めて考えるとビックリです。世界陸上はテレビで見るもの。小学生の頃から見ていました。当時高校3年生だった19年ドーハ世界陸上も覚えていて、高山(峻野、ゼンリン)さんでも決勝に行けない。どんなレベルなんだって。自分のあこがれている選手でも力を発揮するのが難しい舞台。それは補欠として活動した東京オリンピックでも感じました。 ――楽しみなこと、不安なことはありますか。 村竹 正直、まだ実感が湧きませんがとても楽しみです。海外の選手相手にどんな走りができるのか、どのラウンドに行ってどこで落ちるのか。そういうことを考えると楽しいです。スタートから前に出られるのが苦手なのですが、(グラント・)ホロウェイとかが隣だったら……。大丈夫かな……。 ただ、そういった海外の選手との違い、差を体験できたらいいなと思っています。最近はレースを楽しむということを忘れていました。海外なら楽しく臨めそうです。伏兵として頑張ります! ――最後に目標を聞かせてください! 村竹 やっぱり準決勝には進みたいです。簡単ではないと思いますが、せっかくつかんだチャンス。1本だけで終わらせるのはもったいないので、走れるだけ走りたいです。13秒1が見えているので、それが世界陸上の準決勝だったら最高ですね。

日常生活のQ&A

世界陸上に初出場の3人の活躍にますます期待がかかる。そんな3人はまだ大学3年生。普段の生活は普通の大学生と同じだという。世界の舞台で戦う大学生の、競技以外でのプライベートな一面は? Q休日の日の過ごし方 A最近はよく家で映画を見ています。「トップガン」や「ワイルドスピード」など、アクション映画にハマっているんです。ゲームも友達とやります。あと、競馬にもハマっています。馬もレースを見るのも好きなので、テレビで見たり、競馬場へ行ったりすることもあります! Q試合前に聴く音楽 A音楽を聴きながらアップをすることがあります。ロックなど激しめの音楽で気分を上げていきます! Q試合後のご褒美は? Aゲームです! 終わったらこのゲームをやろう!って思っています。あとは甘いものが好きなのでレース前は我慢して、終わったら食べます。生クリーム系が好きです! Q学校生活はどうですか A課題がとても大変です(笑)。入学してからはコロナ禍で大学に行けていませんでしたが、最近は友達も増えてきて学校生活自体は楽しいです! Q陸上を続けてきて、走るのが嫌だなと思ったことは? A冬季練習の時など思ったことはありますね。でも、試合が近づいてくると、どんどん楽しみになってきます。それでも陸上を続けられているのは叶えたい目標があって、応援してくれる人がたくさんいるからです。それを考えると、頑張らないと、と思います。 Q黒川選手、三浦選手など同期の存在は? A黒川は高校の時に110mハードルもやっていて一緒に走っていました。今は競技は違いますが、オリンピックに出ていますし、負けていられません。龍司は1年生の時はおとなしかったのに、オリンピック7位って! とても刺激をもらっています。 村竹ラシッド(むらたけ・らしっど) 2002年2月6日生まれ、千葉県出身の20歳。松戸一中→松戸国際高→順大 110mハードルの自己ベストは13秒27(22年) 構成/向永拓史 【関連記事】 大学生ハードラー特集 黒川和樹インタビュー 初海外レースにも気合十分!「完璧だと思える走りで決勝へ」/世界陸上 三浦龍司インタビュー 再び世界と激突!「楽しみ4割、怖さもあるし絶望感を味わう」/世界陸上

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