◇第106回日本選手権(6月9日~12日/大阪・ヤンマースタジアム長居)
大会最終種目となった女子5000mは、標準突破者5人が顔をそろえて激しい代表争いが予想されたが、頂点に立ったのはこれが今大会5本目のレースだった田中希実(豊田自動織機)だった。
2年連続の3種目挑戦で、これまで1500m予選、決勝、800m予選、決勝を戦い抜いた田中は、ラスト1周でその疲れをものともしないスパートを決め、15分05秒61で2年ぶり2回目の優勝。1500mとの2種目でのオレゴン世界選手権代表入りを決めた。1500mとの2冠は1997年の市川良子以来25年ぶりの快挙。
10000mとの2年連続2冠は逃したものの、廣中璃梨佳(日本郵政グループ)が15分11秒08で2位に続き、2種目めの代表権獲得。3位には10000mで代表権を得ている五島莉乃(資生堂)が入ったが、15分13秒53で惜しくも標準記録(15分10秒00)に届かず、今大会での代表内定はならなかった。
男子走幅跳では、東京五輪6位の橋岡優輝(富士通)が2回目に初の標準記録(8m22)突破となる8m27(+1.4)の大ジャンプ。5回目も8m21(±0)と2度の有効試技すべてを8m20以上にまとめ、2年連続5回目の優勝を飾って2大会連続世界選手権代表入りを決めた。
男子110mハードルは順大のOB・現役がワン・ツー。泉谷駿介(住友電工)が13秒21(-1.2)で2連覇を飾り、13秒31で2位に続いた村竹ラシッドとともに、世界選手権代表に即時内定した。東京五輪代表の高山峻野(ゼンリン)は5位にとどまった。
男子やり投はディーン元気(ミズノ)が81m02で10年ぶり2度目の優勝。標準記録(85m00)には届かなかったが、ワールドランキングでは出場権獲得圏内におり、初出場へ大きなアピールとなった。
男子200mは社会人ルーキー・上山紘輝(住友電工)が5月に出した自己記録に並ぶ20秒46(+1.7)で、チームメイトで前回覇者の小池祐貴に0.16秒差をつける殊勲の初優勝。女子200mは兒玉芽生(ミズノ)が23秒34(+2.6)で2連覇を飾り、100mで3連覇を阻止された君嶋愛梨沙(土木管理総合)に雪辱した。
女子砲丸投は6投目に15m57を放った郡菜々佳(新潟アルビレックスRC)が逆転で2連覇を達成し、円盤投との2種目制覇を達成。この組み合わせでの2冠は1975年の林香代子以来47年ぶりの快挙だった。
女子400mハードルは大学2年の山本亜美(立命大)が日本歴代6位・学生歴代4位の56秒38で2連覇を達成した。
男子砲丸投は村上輝(日本体育施設)が18m29、女子走高跳は髙橋渚(メイスンワーク)が1m81と、ともに自己新で初優勝。800mも男子は金子魅玖人(中大)が1分47秒07で、女子は社会人1年目の塩見綾乃(岩谷産業)が2分04秒24でそれぞれ初制覇した。
また、大会終了後に、今大会の最優秀選手が発表され、男子は走幅跳の橋岡、女子は1500m、5000m2冠の田中が選出された。
●4日目優勝者一覧 ★=世界選手権代表内定 ●=自己新 ○=自己タイ
【男子】
200m 上山紘輝(住友電工) ○20秒46(+1.7) 初
800m 金子魅玖人(中大) 1分47秒07 初
110mH 泉谷駿介(住友電工) ★13秒21(-1.2) 2年連続2回目
走幅跳 橋岡優輝(富士通) ★8m27(+1.4) 2年連続5回目
砲丸投 村上 輝(日本体育施設) ●18m29 初
やり投 ディーン元気(ミズノ) 81m02 10年ぶり2回目
【女子】
200m 兒玉芽生(ミズノ) 23秒34(+2.6) 2年連続3回目
800m 塩見綾乃(岩谷産業) 2分04秒24 初
5000m 田中希実(豊田自動織機) ★15分05秒61 2年ぶり2回目
400mH 山本亜美(立命大) ●56秒38 2年連続2回目
走高跳 髙橋 渚(メイスンワーク) ●1m81 初
砲丸投 郡菜々佳(新潟アルビレックスRC) 15m57 2年連続5回目
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