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2022.06.15

【学生長距離トピックス】東洋大学 “強い鉄紺”がカムバック 関東インカレで大躍進


関東インカレの中長距離種目で旋風を起こした東洋大駅伝チーム。男子1部トラック優勝、総合2位の好成績に大きく貢献した

 国立競技場で開催された今年の関東インカレ。男子1部の長距離種目を席巻したのが東洋大だ。初日の10000mでトリプル入賞を果たすと、1500m、5000mでも上位に入賞。最終日のハーフマラソンでも再びトリプル入賞を成し遂げた。長距離の大活躍もあり、チームはトラック優勝、総合2位に躍進。昨年は関東インカレの長距離種目で入賞者を出せず、駅伝シーズンも苦戦したが、今季の東洋大は快進撃の予感が漂っている。

長距離各種目で存在感
10000mトリオが起爆剤に

 昨年の関東インカレ。東洋大は1500m以上の中長距離種目では1人も入賞者が出せなかった。長距離ブロックの対校得点はまさかの「0点」。このショックを駅伝シーズンまで引きずることになる。出雲駅伝は3位に食い込んだが、全日本大学駅伝は10位。13年連続で手にしていたシード権を逃すことになった。そして、正月の箱根駅伝は総合4位。目標としていた「3位以内」には2秒及ばなかった。

「箱根駅伝は目標に一歩届きませんでしたが、やはり関東インカレからしっかり戦えるチームを作っていかないと駅伝にも影響します。昨年度の反省を生かして、今年は(駅伝シーズンの)直前からがんばろうではなく、箱根駅伝直後から『関東インカレで勝負していこう』と言い続けてきたんです」

 酒井俊幸監督の狙いは明確だった。6月中旬の全日本大学駅伝関東学連推薦校選考会を視野に入れ、関東インカレは「1人1種目」に絞って臨んだ。

「(チームスローガンの)『1秒をけずりだせ』じゃないですけど、『1点をもぎ取ろう』と。全種目での入賞を目標にしていました。なかでも駅伝に直結してくる10000mとハーフに関しては複数の入賞者を出したいと思っていました」

 昨年の出雲駅伝(5区)と全日本大学駅伝(4区)で区間賞を獲得した石田洸介(2年)は4月に転倒して負傷したため、関東インカレは出場を回避。3000m障害はエントリー選手がいなかったが、その中でも鉄紺軍団は初日から大活躍を見せることになる。

 中長距離では最初の決勝種目となった10000mは、他校のケニア人留学生が何度も揺さぶった末にラスト1周の勝負になった。先頭集団は9人。この中に東洋大の選手が3人含まれていた。最後尾にいた児玉悠輔(4年)がポジションを上げていき、飛び出した順大の伊豫田達弥(4年)を真っ先に追いかける。最後は早大の井川龍人(4年)に逆転を許したものの、28分45秒74で3位に食い込んだ。さらには松山和希(3年)が28分47秒86で6位、佐藤真優(3年)が28分49秒54で7位に入り、東洋大はトリプル入賞を達成。児玉と佐藤のタイムは自己ベストだった。10000mで東洋大勢が表彰台に立つのは2013年に3位を占めた設楽悠太(現・Honda)以来9年ぶりのことだった。

「児玉は調子が上がらなかったのですが、彼は全体を見る力が長けているので、前半はリラックスして集団後方を走り、終盤の勝負どころでスーッと上がってきました。プラン通りの走りになったと思います。児玉と佐藤は記録会でなく、関東インカレで自己ベストを出したのは大きいですね。本人たちも手応えをつかんだと思います」

初日の男子1部10000mでは児玉悠輔(左)が28分45秒74の自己新で3位と健闘。7位の佐藤真優(右)も28分49秒54と自己ベストを塗り替えた

エースの松山和希(右から2人目)も10000mで6位に入賞。このトリプル入賞でチームが勢いづいた
 箱根駅伝2区を2年連続で好走した松山は、特例参加した2月の全日本実業団ハーフマラソンで従来の日本人学生最高記録を上回る1時間0分43秒をマーク(日本人学生歴代2位タイ)。3月の日本学生ハーフマラソン選手権でも3位に入り、ワールドユニバーシティゲームズの日本代表に内定した(後に大会の再延期が発表)。そして、関東インカレでも安定感のある走りを見せた。10000mトリオの活躍がチームメイトたちを勇気づけ、さらなる快走劇につながっていくことになる。

1500m、5000mで4位
ハーフマラソンはトリプル入賞

 大会2日目は1500mで及川瑠音(4年)が4位(3分45秒99)に入り、5000m予選はルーキーが奮起した。1組は緒方澪那斗(1年)が8着で通過を決めると、11着の西村真周(1年)もプラスで拾われる。2組の九嶋恵舜(3年)は2着で悠々と突破した。

1500mでは及川瑠音(右端)が4位に入った

 大会最終日はハーフマラソンが圧巻だった。日体大の藤本珠輝(4年)が12km付近から抜け出したが、2位集団の中には東洋大の選手が3人。後半は白と鉄紺のユニフォームが積極的に動いた。そして、梅崎蓮(2年)が1時間2分41秒で2位、木本大地(4年)が5位(1時間3分03秒)、前田義弘(4年)が8位(1時間3分15秒)と、3人とも自己新でトリプル入賞を達成した。

「梅崎と木本は箱根駅伝の経験が生きました。悔しさを味わった分、しっかり成長してくれました。梅崎は箱根駅伝の7区(区間11位)は緊張で前半の動きが重かったのですが、うまくビルドアップ的に上がれた。後半の走りは自信になったので、今回は『ラスト3kmからは思い切って行っていいぞ』という指示を出していました。木本も箱根駅伝4区(区間18位)は不振でしたけど、4月の焼津みなとマラソン(大学対抗ペアマラソン/ハーフ)の優勝(1時間3分42秒)で自信をつけて、今回も積極的な走りをしてくれました。前田は脱水気味になりましたが、キャプテンとしての責任を果たしてくれたと思います」

ハーフマラソンで2位と健闘した2年生の梅崎蓮。1時間2分41秒の自己新をマークした

ハーフマラソンは2位の梅崎(左)以外にも木本大地(中央)が5位、前田義弘(右)が8位に入賞。今大会2度目のトリプル入賞で存在感を示した

 長距離の最終種目となった5000mでは九嶋が4位入賞。自己ベストの13分48秒67をマークした。九嶋は箱根駅伝後に故障があったものの、低圧低酸素ルームを積極的に活用。本格的なトレーニングを開始して約2週間で迎えた4月2日の関東私学六大学対校のオープン5000mを14分07秒91で走り、関東インカレの好走につなげている。

「九嶋はスピード練習を意欲的にやりながら、全日本選考会の10000mに備えるためにロングの練習もやってきました。5000mに出場した緒方は決勝も14分00秒04(15位)で走っているので、10000mも対応できるかなと思います」

13分48秒67の自己新で5000m4位を占めた九嶋恵舜(左)。優勝した三浦龍司(順大)を終盤までマークした

 長距離勢は出場した1500m、5000m、10000m、ハーフの4種目すべてで得点をゲット。東洋大としては93点を獲得し、男子1部では1971年と2014年の総合3位を上回る総合2位。87点でトラック優勝に輝いた。

「10000mとハーフの2種目そろって3人入賞は初めてですし、長距離としては過去最高の成績になりました。今年は創部95年目なのですが、短距離を含めて非常に収穫の大きい大会になったと思います」

 狙った舞台で結果を残し、駅伝チームは勢いに乗っている。

東洋大長距離ブロックの関東インカレ入賞者。前列左から及川、松山、児玉、梅崎、後列左から九嶋、佐藤、前田、木本、10000m競歩で2位に入った石田理人

「食育」とコンディショニング
ミネラル入り麦茶も活用

 たった1年でこれほどまでにチームが進化を遂げたのは、もちろん選手個々の成長によるものが大きい。その背景には栄養面の充実があるだろう。東洋大は「食育」に力を入れており、専門家から栄養のレクチャーを受けている。食事面では酒井瑞穂コーチもアドバイスを送っており、補食に何を選ぶべきか相談する選手もいるという。東洋大の選手たちは食事に関する意識が高い印象だ。

「フィジカルトレーニングをやっても、筋肉を作るためには栄養をしっかりとらないと効果が落ちてしまいます。また、ジュニアからシニアに移行するタイミングは身体を作る上でとても大切な時期です。大学4年間だけでなく、卒業後のことも考えて食事面、栄養面での指導もしっかり行っています」(酒井監督)

東洋大はチーム強化の一つとして「食育」を重視。栄養バランスだけでなく、食事の楽しさなどにも配慮している

寮の食事では全国各地の「ご当地メニュー」なども登場する

近年はフィジカル面の強化にも注力。さまざまな取り組みによって長距離界の高速化に対応している

 東洋大では毎週、各選手が体重、体脂肪率、骨格筋量などを測定してチームで共有している。さらに、月に1回は血液検査を実施。その結果を見ながら食生活を調整してきたが、昨年からは簡単に血糖値を計測できるスマートフォンアプリも導入。そのデータを活用しながら食事の組み合わせや、ドリンクを飲むタイミングなども考えるようになったという。

「血糖値の変動は個人差が大きいです。糖質が入ったドリンクをいつ飲むべきなのか。必要なタイミング以外ではミネラル入り麦茶を飲んでいる選手が多いですね。関東インカレで結果を残すことができて、選手層が厚くなってきました。その背景にはコンディショニングがしっかりできているのが大きいと思います」

 2018年度からはコンディショニングの一環として水分補給に「ミネラル入り麦茶」を導入。選手たちは日々の生活で積極的に飲用している。

「特にこれからの季節は発汗量が多くなるので、水分補給がすごく大事になります。ミネラル入り麦茶は血液がサラサラになるので熱中症対策や脱水症状の予防として、失われた水分だけでなく、ミネラルも補給できる。無糖なのでウエイトコントロールにもいい。トレーニングの前後はもちろん、食事や日常生活でも積極的に飲用しています」

 ポイント練習の前や給水時には経口補水液やスポーツドリンクを、ポイント練習後にはアミノ酸入りゼリーなどを主に摂取しているが、その他のシーンではミネラル入り麦茶を飲むことを推奨している。大半の選手が大学の授業にも持参している。

「食事以外で1日2リットル以上は水分を摂るように指導しています。甘い炭酸飲料が好きな学生もいますが、選手たちは極力余計なカロリーは摂らず、ミネラル入り麦茶を飲んでいます。以前は内臓疲労を訴える選手がいましたが、最近は少なくなりました。ミネラル入り麦茶はカフェインが含まれていないので利尿作用もないですし、香ばしい香りはリラックスできます。市民ランナーの方やスポーツをされる方にもお勧めです」(酒井監督)

無糖でカフェインゼロのミネラル入り麦茶を活用するようになり、ウエイトコントロールにも役立てている梅崎。チームでは「食事以外で1日2リットル」の水分摂取を推奨している

 前田は高校時代から継続して飲んでおり、多い時には1日4リットルも飲む時があるという。

「これからの季節は汗をかきやすくなるので、水分補給が大切になってきます。その中でミネラル入り麦茶は利尿作用がないので、コンディショニング面で非常に助かります。引き続き、積極的に飲用していきたいと思っています」(前田)

 また、以前は給水時にボトルを共有していたが、感染症対策のために現在は個々のボトルで給水をしている。トレーニング中に各自がどれだけの水分量を補給したのかわかりやすくなり、以前よりも水分を積極的に取るようになったという。体調が安定することでトレーニングが継続しやすくなり、その積み重ねが個々の成長につながっている。

東洋大では練習時の水分補給はミネラル入り麦茶とスポーツドリンクを併用している

“未経験”の全日本選考会
目標はトップ通過

 関東インカレで大活躍を見せた東洋大だが、今年は6月19日に全日本大学駅伝の関東学連推薦校選考会が待ち構えている。東洋大が同選考会に参戦するのは2008年以来。酒井監督は大学4年時に選手として出場経験があるものの、指揮官になってからは初めてとなる。当然、選手たちは同選考会の出場はなく、チームとしてはほとんど“未知なる戦い”だ。

「関東インカレと全日本選考会の両方でしっかり結果を残すつもりでメニューを組んできました。全日本選考会のエントリーは13人なので、関東インカレに出場しなかった選手も何人か入れたいと思っています。例年とは違う流れなので、学生たちのトラック練習の向き合い方も変わりましたね。全日本選考会の緊張感があり、『10000mは秋でもいい』という雰囲気はまったくありません」

 全日本選考会は10000mレース4組に1校2名ずつが出走。8名の合計タイムで争われる。蒸し暑さが残る夕方の1~2組はスローペースになり、留学生が参戦する最終4組は高速レースになることが多い。今年は上位7校が本戦の出場権を獲得できるが、東洋大は「トップ通過」を目標に掲げている。

「天候や組によって走り方は変わってくると思いますが、ウチには留学生がいないので、3組目までにしっかりタイムを稼がないといけません。特に創価大は4年生の3人(フィリップ・ムルワ、嶋津雄大、葛西潤)が強力です。そうなると3組目が終わった時点でトップに立っておきたい。そのためには“攻める組”も必要です。蒸し暑い中でのレースになるはずなので、レースのプランニングはもちろん、暑熱対策とコンディショニングにも万全な準備をしていきたいと思っています」

2015年の全日本以来となる学生駅伝タイトルを視野に入れる酒井俊幸監督。シーズン前半戦の山場となる全日本大学駅伝関東学連推薦校選考会は「トップ通過」を目指している

意地を見せた主将
言葉でもチームを牽引

 今季、チームを引っ張っているのは主将の前田だ。関東インカレのハーフマラソンでは予想以上の暑さに苦しんだが、その中でも8位に入賞して主将の意地を見せた。酒井監督も「前田は長身(190cm)で発汗量も多いのできつかったと思います」とねぎらう。

「昨年は関東インカレが0点で、全日本大学駅伝ではシード権を落としました。新チームになってからは危機感を持って臨むことができていると思います。ミーティングの数を増やして意思疎通を図り、チームとしてできているところ、できていないところを確認してきました。それが結果につながっていると思います」(前田)

今年度はミーティングの回数を増やしただけでなく、コミュニケーションスキルとして外部講師から「伝え方」を学ぶ研修なども取り入れている

 ミーティングは多い時には週3回も実施。前田は主将になったことで、言葉でもチームを盛り立てるようになった。関東インカレでは10000mのトリプル入賞が刺激になったという。

「全員が危機感を持っていたので、各選手が1点でも多く取ろうという意識でした。その中で初日の10000m3人が勢いをもたらしてくれて、『入賞しないといけない』という雰囲気になりました。ハーフは大会前から『3人で入賞しよう』と話していたので、それを達成できて良かったです。ただ、個人としては8位に終わり、最低限の結果でした。2年生主任の梅崎が結果を出したのはうれしい反面、主将の自分が負けてしまって悔しい気持ちもあります」

主将としてチームを牽引する前田。卒業後は実業団でのマラソン挑戦を視野に入れ、駅伝シーズンは長距離区間を希望している

 6月は全日本大学駅伝の選考会が控えているものの、「今季は箱根駅伝の優勝を最大の目標に掲げています。全日本の選考会もしっかりトップで通過して、その勢いを駅伝シーズンにつなげていきたい」と前田は話す。

 昨年度の学生駅伝は全日本で2区(区間8位)、箱根は9区(区間5位)を担ったが、最後の年はどんなビジョンを描いているのか。

「全日本は終盤の長距離区間である7区(17.6km)、8区(19.7km)を走ってみたい気持ちがありますし、2、3年時と同様、前半区間でしっかり流れを作りたいという思いもあります。箱根は往路か、前回走った9区がいいですね。9区なら区間記録(1時間7分15秒)を塗り替えるくらいの走りをしたいと思っています。1年時から駅伝に起用していただいているので、チームに恩返しの走りをしたいです」

“東洋大牛久組”が今季のキーマン

 前田は東洋大牛久高(茨城)の出身だが、同期には同校の出身者がもう1人いる。それが関東インカレのハーフで5位に入った木本だ。2人の高校時代の5000mベストは前田が14分16秒39で木本が14分23秒08。前田はスポーツ推薦だったが、木本は進路がなかなか決まらず、酒井監督に誘われて附属校推薦で入学した。

 東洋大進学後も前田が日の当たる場所を歩んできた一方、木本は苦しんできた。1、2年時は故障に悩まされて駅伝メンバーに入れず、今年の箱根駅伝も4区に抜てきされながら厳しい展開になった。

「正直、4区は予想していなくて、経験の差が出てしまいました。駒大の花尾恭輔選手(現3年)のペースアップに対応できず、後ろから創価大の嶋津選手たちに抜かれた時にパニックになり、ペースが一気に崩れてしまった。チームのみんなに迷惑かけてしまったと思っています」

 学生駅伝デビュー戦は区間18位に沈んだが、木本は失敗を糧に強くなっていく。焼津ハーフの優勝で存在感をアピールすると、関東インカレでは前田に初めて先着した。

「箱根駅伝は応援してくれた方々やチームメイトを裏切ってしまったので、関東インカレは期待に応えたいという気持ちで走りました。前田と同じ練習ができるようになったのは昨年からです。前田もそうですし、高校の後輩には佐藤がいる。2人には負けたくないという気持ちで取り組んでいます」

関東インカレの1部ハーフマラソンで入賞した前田(右から3人目)と木本(その左)は東洋大牛久高(茨城)時代からの同級生。木本が前田に試合で先着したのは初めてだという

 木本は体質的に太りやすく、汗をかきにくいという。そのため無自覚のうちに脱水症状を引き起こしていることがあった。しかし、食事やトレーニング時以外にミネラル入り麦茶のペットボトル(650ml)を2本以上飲むようになり、身体が変わり始めたという。

「ミネラル入り麦茶を意識的に取るようになってからは、水分循環が良くなって、汗が出やすくなったと感じています。水分補給で余計なカロリーを取らないようにするためにも役立っていますね。1、2年時は身体ができていなかったので故障が多かったのですが、筋力がついてきた3年時からは故障が減りました」

 一躍、東洋大の主力に成長した木本。今後に向けては、「トップ通過を目指している全日本選考会は前半の組でしっかりと稼ぐのが目標です。箱根駅伝では区間賞を取ってチームの総合優勝に貢献したい」と頼もしい。

箱根駅伝での悔しさをバネに今季は躍進著しい木本

 関東インカレで圧倒的な存在感を放った東洋大。全日本選考会の後はホクレン・ディスタンスチャレンジでトラックの記録を狙う一方で、数人は米国合宿も予定している。

「箱根駅伝は総合優勝が目標で、全日本大学駅伝も予選会からの優勝を目指しています。そのために出雲駅伝はいろんな選手を起用したいという思いもあります。駒大、青学大など他校も相当強いですが、主役の座を狙いたい」と酒井監督。絶好調の東洋大が駅伝シーズンでは久々に“主役”の座を奪うかもしれない。

わずか1年で急成長を遂げた東洋大駅伝チーム。全日本大学駅伝選考会ではどんな戦いぶりを見せるのか

文/酒井政人
写真/樋口俊秀

※この記事は『月刊陸上競技』2022年7月号に掲載しています

関東インカレの中長距離種目で旋風を起こした東洋大駅伝チーム。男子1部トラック優勝、総合2位の好成績に大きく貢献した  国立競技場で開催された今年の関東インカレ。男子1部の長距離種目を席巻したのが東洋大だ。初日の10000mでトリプル入賞を果たすと、1500m、5000mでも上位に入賞。最終日のハーフマラソンでも再びトリプル入賞を成し遂げた。長距離の大活躍もあり、チームはトラック優勝、総合2位に躍進。昨年は関東インカレの長距離種目で入賞者を出せず、駅伝シーズンも苦戦したが、今季の東洋大は快進撃の予感が漂っている。

長距離各種目で存在感 10000mトリオが起爆剤に

 昨年の関東インカレ。東洋大は1500m以上の中長距離種目では1人も入賞者が出せなかった。長距離ブロックの対校得点はまさかの「0点」。このショックを駅伝シーズンまで引きずることになる。出雲駅伝は3位に食い込んだが、全日本大学駅伝は10位。13年連続で手にしていたシード権を逃すことになった。そして、正月の箱根駅伝は総合4位。目標としていた「3位以内」には2秒及ばなかった。 「箱根駅伝は目標に一歩届きませんでしたが、やはり関東インカレからしっかり戦えるチームを作っていかないと駅伝にも影響します。昨年度の反省を生かして、今年は(駅伝シーズンの)直前からがんばろうではなく、箱根駅伝直後から『関東インカレで勝負していこう』と言い続けてきたんです」  酒井俊幸監督の狙いは明確だった。6月中旬の全日本大学駅伝関東学連推薦校選考会を視野に入れ、関東インカレは「1人1種目」に絞って臨んだ。 「(チームスローガンの)『1秒をけずりだせ』じゃないですけど、『1点をもぎ取ろう』と。全種目での入賞を目標にしていました。なかでも駅伝に直結してくる10000mとハーフに関しては複数の入賞者を出したいと思っていました」  昨年の出雲駅伝(5区)と全日本大学駅伝(4区)で区間賞を獲得した石田洸介(2年)は4月に転倒して負傷したため、関東インカレは出場を回避。3000m障害はエントリー選手がいなかったが、その中でも鉄紺軍団は初日から大活躍を見せることになる。  中長距離では最初の決勝種目となった10000mは、他校のケニア人留学生が何度も揺さぶった末にラスト1周の勝負になった。先頭集団は9人。この中に東洋大の選手が3人含まれていた。最後尾にいた児玉悠輔(4年)がポジションを上げていき、飛び出した順大の伊豫田達弥(4年)を真っ先に追いかける。最後は早大の井川龍人(4年)に逆転を許したものの、28分45秒74で3位に食い込んだ。さらには松山和希(3年)が28分47秒86で6位、佐藤真優(3年)が28分49秒54で7位に入り、東洋大はトリプル入賞を達成。児玉と佐藤のタイムは自己ベストだった。10000mで東洋大勢が表彰台に立つのは2013年に3位を占めた設楽悠太(現・Honda)以来9年ぶりのことだった。 「児玉は調子が上がらなかったのですが、彼は全体を見る力が長けているので、前半はリラックスして集団後方を走り、終盤の勝負どころでスーッと上がってきました。プラン通りの走りになったと思います。児玉と佐藤は記録会でなく、関東インカレで自己ベストを出したのは大きいですね。本人たちも手応えをつかんだと思います」 初日の男子1部10000mでは児玉悠輔(左)が28分45秒74の自己新で3位と健闘。7位の佐藤真優(右)も28分49秒54と自己ベストを塗り替えた エースの松山和希(右から2人目)も10000mで6位に入賞。このトリプル入賞でチームが勢いづいた  箱根駅伝2区を2年連続で好走した松山は、特例参加した2月の全日本実業団ハーフマラソンで従来の日本人学生最高記録を上回る1時間0分43秒をマーク(日本人学生歴代2位タイ)。3月の日本学生ハーフマラソン選手権でも3位に入り、ワールドユニバーシティゲームズの日本代表に内定した(後に大会の再延期が発表)。そして、関東インカレでも安定感のある走りを見せた。10000mトリオの活躍がチームメイトたちを勇気づけ、さらなる快走劇につながっていくことになる。

1500m、5000mで4位 ハーフマラソンはトリプル入賞

 大会2日目は1500mで及川瑠音(4年)が4位(3分45秒99)に入り、5000m予選はルーキーが奮起した。1組は緒方澪那斗(1年)が8着で通過を決めると、11着の西村真周(1年)もプラスで拾われる。2組の九嶋恵舜(3年)は2着で悠々と突破した。 1500mでは及川瑠音(右端)が4位に入った  大会最終日はハーフマラソンが圧巻だった。日体大の藤本珠輝(4年)が12km付近から抜け出したが、2位集団の中には東洋大の選手が3人。後半は白と鉄紺のユニフォームが積極的に動いた。そして、梅崎蓮(2年)が1時間2分41秒で2位、木本大地(4年)が5位(1時間3分03秒)、前田義弘(4年)が8位(1時間3分15秒)と、3人とも自己新でトリプル入賞を達成した。 「梅崎と木本は箱根駅伝の経験が生きました。悔しさを味わった分、しっかり成長してくれました。梅崎は箱根駅伝の7区(区間11位)は緊張で前半の動きが重かったのですが、うまくビルドアップ的に上がれた。後半の走りは自信になったので、今回は『ラスト3kmからは思い切って行っていいぞ』という指示を出していました。木本も箱根駅伝4区(区間18位)は不振でしたけど、4月の焼津みなとマラソン(大学対抗ペアマラソン/ハーフ)の優勝(1時間3分42秒)で自信をつけて、今回も積極的な走りをしてくれました。前田は脱水気味になりましたが、キャプテンとしての責任を果たしてくれたと思います」 ハーフマラソンで2位と健闘した2年生の梅崎蓮。1時間2分41秒の自己新をマークした ハーフマラソンは2位の梅崎(左)以外にも木本大地(中央)が5位、前田義弘(右)が8位に入賞。今大会2度目のトリプル入賞で存在感を示した  長距離の最終種目となった5000mでは九嶋が4位入賞。自己ベストの13分48秒67をマークした。九嶋は箱根駅伝後に故障があったものの、低圧低酸素ルームを積極的に活用。本格的なトレーニングを開始して約2週間で迎えた4月2日の関東私学六大学対校のオープン5000mを14分07秒91で走り、関東インカレの好走につなげている。 「九嶋はスピード練習を意欲的にやりながら、全日本選考会の10000mに備えるためにロングの練習もやってきました。5000mに出場した緒方は決勝も14分00秒04(15位)で走っているので、10000mも対応できるかなと思います」 13分48秒67の自己新で5000m4位を占めた九嶋恵舜(左)。優勝した三浦龍司(順大)を終盤までマークした  長距離勢は出場した1500m、5000m、10000m、ハーフの4種目すべてで得点をゲット。東洋大としては93点を獲得し、男子1部では1971年と2014年の総合3位を上回る総合2位。87点でトラック優勝に輝いた。 「10000mとハーフの2種目そろって3人入賞は初めてですし、長距離としては過去最高の成績になりました。今年は創部95年目なのですが、短距離を含めて非常に収穫の大きい大会になったと思います」  狙った舞台で結果を残し、駅伝チームは勢いに乗っている。 東洋大長距離ブロックの関東インカレ入賞者。前列左から及川、松山、児玉、梅崎、後列左から九嶋、佐藤、前田、木本、10000m競歩で2位に入った石田理人

「食育」とコンディショニング ミネラル入り麦茶も活用

 たった1年でこれほどまでにチームが進化を遂げたのは、もちろん選手個々の成長によるものが大きい。その背景には栄養面の充実があるだろう。東洋大は「食育」に力を入れており、専門家から栄養のレクチャーを受けている。食事面では酒井瑞穂コーチもアドバイスを送っており、補食に何を選ぶべきか相談する選手もいるという。東洋大の選手たちは食事に関する意識が高い印象だ。 「フィジカルトレーニングをやっても、筋肉を作るためには栄養をしっかりとらないと効果が落ちてしまいます。また、ジュニアからシニアに移行するタイミングは身体を作る上でとても大切な時期です。大学4年間だけでなく、卒業後のことも考えて食事面、栄養面での指導もしっかり行っています」(酒井監督) 東洋大はチーム強化の一つとして「食育」を重視。栄養バランスだけでなく、食事の楽しさなどにも配慮している 寮の食事では全国各地の「ご当地メニュー」なども登場する 近年はフィジカル面の強化にも注力。さまざまな取り組みによって長距離界の高速化に対応している  東洋大では毎週、各選手が体重、体脂肪率、骨格筋量などを測定してチームで共有している。さらに、月に1回は血液検査を実施。その結果を見ながら食生活を調整してきたが、昨年からは簡単に血糖値を計測できるスマートフォンアプリも導入。そのデータを活用しながら食事の組み合わせや、ドリンクを飲むタイミングなども考えるようになったという。 「血糖値の変動は個人差が大きいです。糖質が入ったドリンクをいつ飲むべきなのか。必要なタイミング以外ではミネラル入り麦茶を飲んでいる選手が多いですね。関東インカレで結果を残すことができて、選手層が厚くなってきました。その背景にはコンディショニングがしっかりできているのが大きいと思います」  2018年度からはコンディショニングの一環として水分補給に「ミネラル入り麦茶」を導入。選手たちは日々の生活で積極的に飲用している。 「特にこれからの季節は発汗量が多くなるので、水分補給がすごく大事になります。ミネラル入り麦茶は血液がサラサラになるので熱中症対策や脱水症状の予防として、失われた水分だけでなく、ミネラルも補給できる。無糖なのでウエイトコントロールにもいい。トレーニングの前後はもちろん、食事や日常生活でも積極的に飲用しています」  ポイント練習の前や給水時には経口補水液やスポーツドリンクを、ポイント練習後にはアミノ酸入りゼリーなどを主に摂取しているが、その他のシーンではミネラル入り麦茶を飲むことを推奨している。大半の選手が大学の授業にも持参している。 「食事以外で1日2リットル以上は水分を摂るように指導しています。甘い炭酸飲料が好きな学生もいますが、選手たちは極力余計なカロリーは摂らず、ミネラル入り麦茶を飲んでいます。以前は内臓疲労を訴える選手がいましたが、最近は少なくなりました。ミネラル入り麦茶はカフェインが含まれていないので利尿作用もないですし、香ばしい香りはリラックスできます。市民ランナーの方やスポーツをされる方にもお勧めです」(酒井監督) 無糖でカフェインゼロのミネラル入り麦茶を活用するようになり、ウエイトコントロールにも役立てている梅崎。チームでは「食事以外で1日2リットル」の水分摂取を推奨している  前田は高校時代から継続して飲んでおり、多い時には1日4リットルも飲む時があるという。 「これからの季節は汗をかきやすくなるので、水分補給が大切になってきます。その中でミネラル入り麦茶は利尿作用がないので、コンディショニング面で非常に助かります。引き続き、積極的に飲用していきたいと思っています」(前田)  また、以前は給水時にボトルを共有していたが、感染症対策のために現在は個々のボトルで給水をしている。トレーニング中に各自がどれだけの水分量を補給したのかわかりやすくなり、以前よりも水分を積極的に取るようになったという。体調が安定することでトレーニングが継続しやすくなり、その積み重ねが個々の成長につながっている。 東洋大では練習時の水分補給はミネラル入り麦茶とスポーツドリンクを併用している

“未経験”の全日本選考会 目標はトップ通過

 関東インカレで大活躍を見せた東洋大だが、今年は6月19日に全日本大学駅伝の関東学連推薦校選考会が待ち構えている。東洋大が同選考会に参戦するのは2008年以来。酒井監督は大学4年時に選手として出場経験があるものの、指揮官になってからは初めてとなる。当然、選手たちは同選考会の出場はなく、チームとしてはほとんど“未知なる戦い”だ。 「関東インカレと全日本選考会の両方でしっかり結果を残すつもりでメニューを組んできました。全日本選考会のエントリーは13人なので、関東インカレに出場しなかった選手も何人か入れたいと思っています。例年とは違う流れなので、学生たちのトラック練習の向き合い方も変わりましたね。全日本選考会の緊張感があり、『10000mは秋でもいい』という雰囲気はまったくありません」  全日本選考会は10000mレース4組に1校2名ずつが出走。8名の合計タイムで争われる。蒸し暑さが残る夕方の1~2組はスローペースになり、留学生が参戦する最終4組は高速レースになることが多い。今年は上位7校が本戦の出場権を獲得できるが、東洋大は「トップ通過」を目標に掲げている。 「天候や組によって走り方は変わってくると思いますが、ウチには留学生がいないので、3組目までにしっかりタイムを稼がないといけません。特に創価大は4年生の3人(フィリップ・ムルワ、嶋津雄大、葛西潤)が強力です。そうなると3組目が終わった時点でトップに立っておきたい。そのためには“攻める組”も必要です。蒸し暑い中でのレースになるはずなので、レースのプランニングはもちろん、暑熱対策とコンディショニングにも万全な準備をしていきたいと思っています」 2015年の全日本以来となる学生駅伝タイトルを視野に入れる酒井俊幸監督。シーズン前半戦の山場となる全日本大学駅伝関東学連推薦校選考会は「トップ通過」を目指している

意地を見せた主将 言葉でもチームを牽引

 今季、チームを引っ張っているのは主将の前田だ。関東インカレのハーフマラソンでは予想以上の暑さに苦しんだが、その中でも8位に入賞して主将の意地を見せた。酒井監督も「前田は長身(190cm)で発汗量も多いのできつかったと思います」とねぎらう。 「昨年は関東インカレが0点で、全日本大学駅伝ではシード権を落としました。新チームになってからは危機感を持って臨むことができていると思います。ミーティングの数を増やして意思疎通を図り、チームとしてできているところ、できていないところを確認してきました。それが結果につながっていると思います」(前田) 今年度はミーティングの回数を増やしただけでなく、コミュニケーションスキルとして外部講師から「伝え方」を学ぶ研修なども取り入れている  ミーティングは多い時には週3回も実施。前田は主将になったことで、言葉でもチームを盛り立てるようになった。関東インカレでは10000mのトリプル入賞が刺激になったという。 「全員が危機感を持っていたので、各選手が1点でも多く取ろうという意識でした。その中で初日の10000m3人が勢いをもたらしてくれて、『入賞しないといけない』という雰囲気になりました。ハーフは大会前から『3人で入賞しよう』と話していたので、それを達成できて良かったです。ただ、個人としては8位に終わり、最低限の結果でした。2年生主任の梅崎が結果を出したのはうれしい反面、主将の自分が負けてしまって悔しい気持ちもあります」 主将としてチームを牽引する前田。卒業後は実業団でのマラソン挑戦を視野に入れ、駅伝シーズンは長距離区間を希望している  6月は全日本大学駅伝の選考会が控えているものの、「今季は箱根駅伝の優勝を最大の目標に掲げています。全日本の選考会もしっかりトップで通過して、その勢いを駅伝シーズンにつなげていきたい」と前田は話す。  昨年度の学生駅伝は全日本で2区(区間8位)、箱根は9区(区間5位)を担ったが、最後の年はどんなビジョンを描いているのか。 「全日本は終盤の長距離区間である7区(17.6km)、8区(19.7km)を走ってみたい気持ちがありますし、2、3年時と同様、前半区間でしっかり流れを作りたいという思いもあります。箱根は往路か、前回走った9区がいいですね。9区なら区間記録(1時間7分15秒)を塗り替えるくらいの走りをしたいと思っています。1年時から駅伝に起用していただいているので、チームに恩返しの走りをしたいです」

“東洋大牛久組”が今季のキーマン

 前田は東洋大牛久高(茨城)の出身だが、同期には同校の出身者がもう1人いる。それが関東インカレのハーフで5位に入った木本だ。2人の高校時代の5000mベストは前田が14分16秒39で木本が14分23秒08。前田はスポーツ推薦だったが、木本は進路がなかなか決まらず、酒井監督に誘われて附属校推薦で入学した。  東洋大進学後も前田が日の当たる場所を歩んできた一方、木本は苦しんできた。1、2年時は故障に悩まされて駅伝メンバーに入れず、今年の箱根駅伝も4区に抜てきされながら厳しい展開になった。 「正直、4区は予想していなくて、経験の差が出てしまいました。駒大の花尾恭輔選手(現3年)のペースアップに対応できず、後ろから創価大の嶋津選手たちに抜かれた時にパニックになり、ペースが一気に崩れてしまった。チームのみんなに迷惑かけてしまったと思っています」  学生駅伝デビュー戦は区間18位に沈んだが、木本は失敗を糧に強くなっていく。焼津ハーフの優勝で存在感をアピールすると、関東インカレでは前田に初めて先着した。 「箱根駅伝は応援してくれた方々やチームメイトを裏切ってしまったので、関東インカレは期待に応えたいという気持ちで走りました。前田と同じ練習ができるようになったのは昨年からです。前田もそうですし、高校の後輩には佐藤がいる。2人には負けたくないという気持ちで取り組んでいます」 関東インカレの1部ハーフマラソンで入賞した前田(右から3人目)と木本(その左)は東洋大牛久高(茨城)時代からの同級生。木本が前田に試合で先着したのは初めてだという  木本は体質的に太りやすく、汗をかきにくいという。そのため無自覚のうちに脱水症状を引き起こしていることがあった。しかし、食事やトレーニング時以外にミネラル入り麦茶のペットボトル(650ml)を2本以上飲むようになり、身体が変わり始めたという。 「ミネラル入り麦茶を意識的に取るようになってからは、水分循環が良くなって、汗が出やすくなったと感じています。水分補給で余計なカロリーを取らないようにするためにも役立っていますね。1、2年時は身体ができていなかったので故障が多かったのですが、筋力がついてきた3年時からは故障が減りました」  一躍、東洋大の主力に成長した木本。今後に向けては、「トップ通過を目指している全日本選考会は前半の組でしっかりと稼ぐのが目標です。箱根駅伝では区間賞を取ってチームの総合優勝に貢献したい」と頼もしい。 箱根駅伝での悔しさをバネに今季は躍進著しい木本  関東インカレで圧倒的な存在感を放った東洋大。全日本選考会の後はホクレン・ディスタンスチャレンジでトラックの記録を狙う一方で、数人は米国合宿も予定している。 「箱根駅伝は総合優勝が目標で、全日本大学駅伝も予選会からの優勝を目指しています。そのために出雲駅伝はいろんな選手を起用したいという思いもあります。駒大、青学大など他校も相当強いですが、主役の座を狙いたい」と酒井監督。絶好調の東洋大が駅伝シーズンでは久々に“主役”の座を奪うかもしれない。 わずか1年で急成長を遂げた東洋大駅伝チーム。全日本大学駅伝選考会ではどんな戦いぶりを見せるのか 文/酒井政人 写真/樋口俊秀 ※この記事は『月刊陸上競技』2022年7月号に掲載しています

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