HOME ニュース、国内

2022.04.10

三浦龍司「ラスト1周の不安を克服できた」3000m障害につながる1500m3分36秒59/金栗記念
三浦龍司「ラスト1周の不安を克服できた」3000m障害につながる1500m3分36秒59/金栗記念


◇第30回金栗記念選抜中長距離2022(4月9日/熊本・えがお健康スタジアム)

日本グランプリシリーズ初戦でひと際存在感を放ったのが、東京五輪男子3000m障害で7位入賞の三浦龍司(順大)だ。

「身体を慣らしたくて、スピード種目を選んだ」という理由で1500mに出場した三浦。日本記録(3分35秒42)保持者の河村一輝(トーエネック)や舘澤亨次(DeNA)こそ欠場したが、昨年5月に日本記録を27年ぶりに更新した荒井七海(Honda)や、この春に大学生になった高校記録(3分37秒18)保持者の佐藤圭汰(駒大)、5000mが専門ながら1500mでインターハイ優勝などスピードに定評のある遠藤日向(住友電工)ら、実力者が参戦した。

そのスタートリストを見て、三浦は「怖気づいた」と言う。「持ちタイム(3分46秒29)では完全に格下。どんなレース展開になるのかも読めませんでしたが、自分が目指す3000m障害で7分台には、スピード持久力が不可欠だと思って、積極的なレースを心掛けました」。専門種目にプラスとなるレースにしようとスタートラインに立った。

レースは、800mの前日本記録保持者・横田真人(TWOLAPS)がペースメーカーとして800mまで先導。三浦はレースを静観するように5番手につけた。

終盤に差し掛かりレースが動く。残り1周で飛び出したのは、3年ぶりに1500mのレースに出場した遠藤。後続を一気に引き離す。三浦も2位に浮上したが、1200m~1300mでは20~30mの差がつく。

だが、三浦は最後まで冷静だった。余力と照らし合わせて「行ける」と判断。ラスト100mあたりから猛追すると、フィニッシュ手前10mで逆転した。

自己ベストを10秒近く更新し、日本歴代2位、学生歴代2位(日本人学生最高)の3分36秒59で優勝。大会MVPにも選ばれた。

「出し切れました。(行けると)判断できたことは大きな収穫でしたし、3000m障害のラスト1周の不安を克服できたようなレースができました」と三浦は手応えをつかんだ。

最後に逆転された遠藤も、高卒1年目の2017年に出した自己記録(3分42秒98)を6秒塗り替える日本歴代3位の3分36秒69。フィニッシュ後は笑顔で三浦に近づき「あれは速いよ!めちゃくちゃスピードがついている」と、声をかけた。

昨年の五輪では3000m障害で日本人初入賞を達成した三浦。「世界の選手と総当たりした訳ではないので、世界選手権で同じ結果が簡単に出せるとは思っていません」と、謙虚な姿勢を崩さない。

それゆえ、「世界選手権では成長した姿を見せたい」と世界のさらなる上を目指すつもりだ。昨年よりスピードアップした手応えを得た三浦は、4月29日の織田記念3000m障害に出場する見込み。専門種目でどんな走りを見せるだろうか。

文/田端慶子

◇第30回金栗記念選抜中長距離2022(4月9日/熊本・えがお健康スタジアム) 日本グランプリシリーズ初戦でひと際存在感を放ったのが、東京五輪男子3000m障害で7位入賞の三浦龍司(順大)だ。 「身体を慣らしたくて、スピード種目を選んだ」という理由で1500mに出場した三浦。日本記録(3分35秒42)保持者の河村一輝(トーエネック)や舘澤亨次(DeNA)こそ欠場したが、昨年5月に日本記録を27年ぶりに更新した荒井七海(Honda)や、この春に大学生になった高校記録(3分37秒18)保持者の佐藤圭汰(駒大)、5000mが専門ながら1500mでインターハイ優勝などスピードに定評のある遠藤日向(住友電工)ら、実力者が参戦した。 そのスタートリストを見て、三浦は「怖気づいた」と言う。「持ちタイム(3分46秒29)では完全に格下。どんなレース展開になるのかも読めませんでしたが、自分が目指す3000m障害で7分台には、スピード持久力が不可欠だと思って、積極的なレースを心掛けました」。専門種目にプラスとなるレースにしようとスタートラインに立った。 レースは、800mの前日本記録保持者・横田真人(TWOLAPS)がペースメーカーとして800mまで先導。三浦はレースを静観するように5番手につけた。 終盤に差し掛かりレースが動く。残り1周で飛び出したのは、3年ぶりに1500mのレースに出場した遠藤。後続を一気に引き離す。三浦も2位に浮上したが、1200m~1300mでは20~30mの差がつく。 だが、三浦は最後まで冷静だった。余力と照らし合わせて「行ける」と判断。ラスト100mあたりから猛追すると、フィニッシュ手前10mで逆転した。 自己ベストを10秒近く更新し、日本歴代2位、学生歴代2位(日本人学生最高)の3分36秒59で優勝。大会MVPにも選ばれた。 「出し切れました。(行けると)判断できたことは大きな収穫でしたし、3000m障害のラスト1周の不安を克服できたようなレースができました」と三浦は手応えをつかんだ。 最後に逆転された遠藤も、高卒1年目の2017年に出した自己記録(3分42秒98)を6秒塗り替える日本歴代3位の3分36秒69。フィニッシュ後は笑顔で三浦に近づき「あれは速いよ!めちゃくちゃスピードがついている」と、声をかけた。 昨年の五輪では3000m障害で日本人初入賞を達成した三浦。「世界の選手と総当たりした訳ではないので、世界選手権で同じ結果が簡単に出せるとは思っていません」と、謙虚な姿勢を崩さない。 それゆえ、「世界選手権では成長した姿を見せたい」と世界のさらなる上を目指すつもりだ。昨年よりスピードアップした手応えを得た三浦は、4月29日の織田記念3000m障害に出場する見込み。専門種目でどんな走りを見せるだろうか。 文/田端慶子

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2024.11.23

パリ五輪代表・太田智樹がトラック復帰レース28分12秒12「ちょっと戻ってきた」/八王子LD

◇2024八王子ロングディスタンス(11月23日/東京・上柚木公園陸上競技場) 男子10000mに特化した八王子ロングディスタンスが行われ、5組にパリ五輪代表の太田智樹(トヨタ自動車)が出場。28分12秒12の5着だった […]

NEWS 連覇目指す積水化学・山本有真「いい流れを作りたい」 資生堂・五島莉乃「チームのために最大限の走りを」/クイーンズ駅伝前日会見

2024.11.23

連覇目指す積水化学・山本有真「いい流れを作りたい」 資生堂・五島莉乃「チームのために最大限の走りを」/クイーンズ駅伝前日会見

11月24日に開催される第44回全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝in宮城2024)を前に、有力チームの選手たちが前日会見に臨んだ。 前回優勝チームの積水化学からは2年連続で2区に登録された山本有真が出席。「去年の […]

NEWS パリ五輪マラソン6位の第一生命グループ・鈴木優花 1区登録に「殻を破りたい」/クイーンズ駅伝前日会見

2024.11.23

パリ五輪マラソン6位の第一生命グループ・鈴木優花 1区登録に「殻を破りたい」/クイーンズ駅伝前日会見

11月24日に開催される第44回全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝in宮城2024)を前に、有力チームの選手たちが前日会見に臨んだ。 今夏のパリ五輪マラソンで6位入賞を果たした第一生命グループ・鈴木優花は、「マラソ […]

NEWS 約1年ぶり復帰のJP日本郵政グループ・廣中璃梨佳「感謝の気持ちを胸に走りたい」/クイーンズ駅伝前日会見

2024.11.23

約1年ぶり復帰のJP日本郵政グループ・廣中璃梨佳「感謝の気持ちを胸に走りたい」/クイーンズ駅伝前日会見

11月24日に開催される第44回全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝in宮城2024)を前に、有力チームの選手たちが前日会見に臨んだ。 前回2位のJP日本郵政グループからは廣中璃梨佳が登壇。廣中は昨年12月の日本選手 […]

NEWS クイーンズ駅伝の区間オーダー発表!5区で積水化学・新谷仁美、日本郵政・鈴木亜由子、資生堂・一山麻緒が対決! 第一生命・鈴木優花は1区に

2024.11.23

クイーンズ駅伝の区間オーダー発表!5区で積水化学・新谷仁美、日本郵政・鈴木亜由子、資生堂・一山麻緒が対決! 第一生命・鈴木優花は1区に

第44回全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝in宮城2024/11月24日)の前日となる11月23日、区間エントリーが行われ、出場する24チームのオーダーが発表された。 前回2年ぶりの優勝を飾った積水化学は、3区(1 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2024年12月号 (11月14日発売)

2024年12月号 (11月14日発売)

全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
高校駅伝都道府県大会ハイライト
全日本35㎞競歩高畠大会
佐賀国民スポーツ大会

page top