現役引退を発表した福島千里(セイコー)。右はセイコーホールディングス株式会社代表取締役会長兼グループCEO兼グループCCOの服部真二氏(セイコー提供)
女子100m、200mの日本記録保持者・福島千里(セイコー)が1月29日にオンラインで会見を行い、現役引退と「セイコースマイルアンバサダー(スポーツ担当)」就任を発表した。
小学校ではスピードスケートと陸上を両立し、中学からは陸上一本に絞ってスプリンターとして全国の舞台で活躍した。高校を卒業後、北海道ハイテクACに入って2年目の2008年に大ブレイク。100mで春に当時日本タイ記録の11秒36をマークすると、北京五輪に同種目日本人女子56年ぶり出場を果たした。
その後は日本女子スプリントの歴史を次々と塗り替えていく。09年のベルリン世界選手権では100mで世界大会の日本人女子77年ぶりのラウンド突破となる2次予選進出。翌年のアジア大会では100m、200mの2冠に輝くと、11年テグ世界選手権では100m、200mでいずれも日本人女子初の準決勝進出という快挙を成し遂げている。
五輪には12年ロンドン、16年リオまで3大会連続、世界選手権は再び100mでセミファイナリストとなった15年北京まで4大会連続で出場している。日本選手権では、100mは08年を皮切りに8度の優勝、200mはセイコー入社1年目の18年に2年ぶり8回目の頂点に輝いたほか、11年~16年には6年連続2冠の偉業も達成した。
自己ベストの100m11秒21(10年)、200m22秒88(16年)はいずれも日本記録で、日本人女子で100m11秒2台、200m22秒台を出した選手はいまだに福島ただ1人。偉大なスプリンターが、静かにスパイクを脱いだ。
福島千里コメント(原文)
この度、現役を引退することを決めました。これまで支えてくださった、指導者の方、トレーナーさん、家族、友人、チームメイト、会社の方々、スポンサーさん、ライバルのみんな、そして応援してくださったすべての方々に感謝申し上げます。
小学4年生から陸上競技を始め、昨年で23年の時が経ちました。夢であった五輪に3度出場することができました。4度目となる東京五輪を目指す数年間は苦しいシーズンもありましたが、日々、新しい感覚との出会いや、課題と向き合い、充実した競技生活を送ることができました。
今後も陸上競技を通して様々な活動を行っていきたいと思います。走るということはたくさんのスポーツに関わることなので、競技の枠を越え、私自身が今まで培ってきた経験などで次世代のアスリートのお役にたてるとうれしいです。
競技生活は終わりますが、これから始まるセカンドキャリアも私らしく走っていきたいと思います。お世話になった皆様、本当にありがとうございました。
◎プロフィール
1988年6月27日生まれ、33歳。北海道・糠内中→帯広南商高→北海道ハイテクAC→セイコー
●自己ベスト
100m 11秒21(2010年)=日本記録
200m 22秒89(2016年)=日本記録
●日本記録樹立
100m 11秒36(08年/タイ)→11秒28(09年)→11秒24(同)→11秒21(10年)
200m 23秒14(09年)→23秒00(同)→22秒89(10年)→22秒88(16年)
●国際大会成績
05年 世界ユース100m準決・200m準決
06年 世界ジュニア100m準決
08年 五輪100m1次予選
09年 世界選手権100m2次予選・200m予選、アジア選手権100m①
10年 アジア大会100m①・200m①
11年 世界選手権100m準決勝・200m準決勝、アジア選手権200m①
12年 五輪100m予選・200m予選、世界室内60m準決
13年 世界選手権200m予選、アジア選手権100m②・200m④
14年 アジア大会100m②・200m③
15年 世界選手権100m準決勝・200m予選、アジア選手権100m①
16年 五輪100m欠場・200m予選
18年 アジア大会100m予選・200m棄権
19年 アジア選手権100m準決勝


RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.03.29
編集部コラム「いつのまにか700号超え」
-
2025.03.28
-
2025.03.28
2025.03.23
女子は長野東が7年ぶりの地元V アンカー・田畑陽菜が薫英女学院を逆転/春の高校伊那駅伝
-
2025.03.25
2025.03.02
初挑戦の青学大・太田蒼生は途中棄権 果敢に先頭集団に挑戦/東京マラソン
2025.03.02
太田蒼生は低体温症と低血糖で途中棄権 「世界のレベルを知れて良い経験」/東京マラソン
-
2025.03.23
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.03.29
高3・鈴木琉胤5000mで高校歴代2位13分25秒59 “世界”のレースを体感して日本人トップ/WAコンチネンタルツアー
2025年の世界陸連(WA)コンチネンタルツアー・ゴールド初戦となるモーリー・プラント競技会が3月29日、豪州・メルボルンで行われた。 男子5000mには4月から早大に進学する鈴木琉胤(八千代松陰高3千葉)が出場。高校歴 […]
2025.03.29
走高跳で男女上位 真野友博1位、髙橋渚1m86で2位 100mH田中佑美Vで3位まで日本勢/WAコンチネンタルツアー
2025年の世界陸連(WA)コンチネンタルツアー・ゴールド初戦となるモーリー・プラント競技会が3月29日、豪州・メルボルンで行われた。 日本からは22名が出場し、2種目で優勝。走高跳では男子が昨年のパリ五輪代表で22年世 […]
2025.03.29
編集部コラム「いつのまにか700号超え」
攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム?? 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。 編集スタッフが週替りで […]
2025.03.29
齋藤みう3000m障害で9分41秒57 自己ベスト4秒以上更新して日本歴代6位、学生歴代2位
第319回日体大長距離競技会初日が3月29日、神奈川・横浜市の同大学健志台キャンパス競技場で行われ、女子3000m障害で齋藤みう(日体大4)が日本歴代6位、学生歴代2位の9分41秒57をマークした。 齋藤のこれまでのベス […]
Latest Issue
最新号

2025年4月号 (3月14日発売)
別冊付録 2024記録年鑑
山西 世界新!
大阪、東京、名古屋ウィメンズマラソン詳報