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2021.12.28

【展望】駒大、青学大を7校が追う「2強+7」の構図か/第98回箱根駅伝
【展望】駒大、青学大を7校が追う「2強+7」の構図か/第98回箱根駅伝

第98回東京箱根間大学駅伝競走(以下、箱根駅伝)は2022年1月2日に往路、翌3日に復路が行われる。前回大会でシード権を獲得した10校と、予選会を突破した10校、オープン参加の関東学生連合を合わせた21チームが栄光へのスタートラインに立つ。

今季はシューズの進化もあり、例年以上に記録の高水準が見られた。5000mで1度、10000mで2度学生記録が更新され、12月4日の日体大長距離競技会10000mでは駒大の田澤廉(3年)が27分23秒44の日本人学生最高、来年開催されるオレゴン世界選手権の参加標準記録(27分28秒00)を突破した。

もはや5000m13分台、10000m28分台は特別な数字ではなくなり、記録の価値観を吟味する必要性を感じさせるほどのハイレベルなシーズンだった。

では、そんな中で行われる今大会はどんなレースになるのか。有力チームの戦力を振り返るとともに、大会の見どころを紹介しよう。

優勝争いは駒大、青学大が軸

まずは参考となる前回大会の順位、今季の予選会、出雲駅伝、全日本大学駅伝の成績を振り返っていく。

大学名   前回 予選会 出雲 全日本
駒 大   優勝 ―― 5位 優勝
創価大   2位 ―― 7位 ――
東洋大   3位 ―― 3位 10位
青学大   4位 ―― 2位 2位
東海大   5位 ―― 9位 12位
早 大   6位 ―― 6位 6位
順 大   7位 ―― 10位 3位
帝京大   8位 ―― 8位 13位
國學院大  9位 ―― 4位 4位
東京国際大 10位 ―― 優勝 5位
明 大   11位 1位 ―― 7位
中 大   12位 2位 ―― 8位
日体大   14位 3位 ―― 15位
山梨学大  19位 4位 ―― ――
神奈川大  13位 5位 ―― ――
法 大   17位 6位 ―― 9位
中央学大  ―― 7位 ―― 11位
駿河台大  ―― 8位 ―― ――
専 大   20位 9位 ―― ――
国士大   18位 10位 ―― ――

前回王者の駒大が全日本でも優勝(連覇)を飾り、出雲では東京国際大が初制覇。それ以外では出雲・全日本ともに2位の青学大や全日本3位の順大、前回大会と出雲で3位の東洋大、出雲と全日本で4位だった國學院大の成績が光る。

そして5000m、10000mにおけるエントリー選手上位10人の平均タイムのまとめたのが下記の表だ(カッコ内は順位/※ハーフマラソンは大会の開催数が激減していることに加え、10月の予選会(ハーフマラソンで実施)に出場しているチームが有利になるなどデータに偏りがあるため、今回は除外した)

駒 大
13.41.72(1) 28.24.65(1)
創価大
14.01.72(14)28.35.81(5)
東洋大
13.55.27(8) 28.59.58(16)
青学大
13.50.05(4) 28.29.40(2)
東海大
13.55.89(9) 28.39.88(8)
早 大
13.48.45(3) 28.34.38(4)
順 大
13.50.72(5) 28.37.50(7)
帝京大
13.59.53(12)28.53.53(13)
國學院大
13.57.96(11)28.42.34(9)
東京国際大
13.52.64(6) 28.47.73(11)
明 大
13.48.18(2) 28.31.18(3)
中 大
13.52.97(7) 28.37.35(6)
日体大
13.57.67(10)28.47.96(12)
山梨学大
14.10.86(18)28.56.86(15)
神奈川大
14.07.22(17)29.04.12(18)
法 大
14.10.87(19)29.05.10(19)
中央学大
14.00.10(13)28.55.19(14)
駿河台大
14.15.37(20)29.12.69(20)
専 大
14.23.01(21)29.32.84(21)
国士大
14.05.80(15)29.03.26(17)
学生連合
14.05.90(16)28.46.62(10)

ここでも駒大と青学大が上位につける。特に駒大は前回に引き続き両種目で1位となり、ともに“過去最速”とさらなるレベルアップを遂げている。青学大も平均タイムでは駒大に劣るものの、10000mではエントリー16人全員が28分台という分厚い選手層が武器となる。

先ほど名前が挙がった6校以外では、5000mと10000mで上位につける明大と早大、10000mで5位につける創価大が健闘している。

早大は10000m27分台トリオの中谷雄飛、太田直希、井川龍人や5000m13分31秒52の千明龍之佑がチームを牽引。ここまでケガなどで主力の足並みがそろっていないが、フルメンバーなら駒大や青学大に負けない爆発力を秘める。

明大は前回大会も5000m3位、10000m2位と高い水準を誇っていたが、結果は11位だった。そのスピードを20kmの距離に生かせるかがポイントだ。

創価大は前回、10000mで13位ながら準優勝と健闘しているため、さらなる飛躍が期待できる。気になるのは6月の全日本選考会で落選している点だが、過去を見ても全日本不出場ながら10位以内に食い込むケースはあり、前回、前々回も創価大は全日本不出場ながらシード権を獲得している。選考会はトラックの10000mで実施されるため、箱根駅伝で強さを発揮するチームなのは実証済みだ。

<全日本不出場から箱根駅伝で10位以内に入ったチーム>
※2010年以降
2010年 城西大 6位
2010年 日体大 9位
2011年 拓 大 7位
2011年 青学大 9位
2011年 國學院大 10位
2012年 順 大 7位
2012年 山梨学大 9位
2012年 國學院大 10位
2013年 順 大 6位
2013年 青学大 8位
2013年 法 大 9位
2013年 中央学大 10位
2014年 拓 大 9位
2017年 順 大 4位
2017年 神奈川大 5位
2017年 法 大 8位
2018年 日体大 4位
2018年 拓 大 8位
2020年 創価大 9位
2021年 創価大 2位

ここまでの情報をまとめると、この1年間の駅伝成績が優れ、トラックのスピードを兼ね備えた駒大と青学大が優勝候補と見ていいだろう。

それに追随する勢力図は混戦で、出雲王者の東京国際大、全日本で上位につけた順大、國學院大、早大、明大、前回2位、3位だった創価大と東洋大の7校までを第2勢力とする。

総合力で勝負する駒大、青学大

王者・駒大は前回より充実の戦力を誇る。写真は日本選手権10000mで2位、3位を占めた田澤廉(右)と鈴木芽吹

では、ここで優勝を争う2校の戦力を見ていこう。

駒大は10000mで27分23秒44の日本人学生最高記録を持つ田澤廉(3年)が絶対的エースとして君臨する。全日本大学駅伝では3年連続で区間賞(7区、8区、7区)を獲得しており、駅伝でもその力を発揮している。今回は2区出走が濃厚なため、相澤晃(東洋大、現・旭化成)以来となる1時間5分台突入に期待が高まる。

田澤とともに「3本柱」を形成する鈴木芽吹と唐澤拓海(ともに2年)も往路候補。ともにケガの影響で全日本は欠場したが、箱根には間に合う見込み。鈴木は前回5区で区間4位と好走しているが、本調子なら3区か4区に回る見込み。唐澤も同様に3区の候補に挙がっており、往路に主力をつぎ込む可能性が高い。

5区は鈴木以外にも、上りに強い前回8区の佃康平(4年)が準備。下りは大八木弘明監督が「秘密兵器」と呼ぶ人材がベールを脱ぐ。1区は経験者の白鳥哲汰(2年)や全日本1区区間賞の佐藤条二(1年)、日本インカレ5000m2位の篠原倖太朗(1年)ら人材に事欠かないため、この中から調子の良い選手が起用されそうだ。

復路は山野力(3年)や花尾恭輔(2年)、安原太陽(2年)らがスタンバイ。往路で首位に立てなくても、復路で逆転というシナリオが想定できる。

一方の青学大は往路序盤の爆発力こそ駒大に劣るものの、山区間で絶対的な優位性を持つのが特長だ。2区は今季5000mと10000mの青学大記録を更新した近藤幸太郎(3年)が第一候補。全日本7区では学生長距離界のエースである駒大の田澤に食らいつき、区間タイムで18秒しか離されなかった底力を持つ。

前々回2区で好走している岸本大紀(3年)も全日本3区で区間3位でケガからの復活をアピール。近藤にアクシデントがあった場合は代役としてカバーできるほか、3区や4区でも活躍が計算できる。他の往路候補は全日本1区で区間4位と好走した志貴勇斗(2年)、同5区区間賞の佐藤一世(2年)あたりか。

青学大はエースに成長した近藤幸太郎が花の2区候補に挙がる

5区は前々回区間2位(区間新)の飯田貴之(4年)が区間新記録に挑む。飯田は1年時から8区、5区、9区とすべて区間2位と安定しており、4区で多少出遅れてもカバーできるだけの実力がある。仮に5区で駒大にリードを奪っていれば、6区の高橋勇輝(4年)で後続を突き放す展開が予想できる。高橋は前回区間3位の実力者で、全日本4区では区間賞を獲得するなど確実に実力をつけてきた。5区と6区の総合力では全大学を通じてもナンバーワンと言っていいだろう。

7区以降は10000m28分台選手の中から調子の良い選手が担う。7区以降は駒大とほぼ互角の戦いが予想されるため、「4区までに青学大を突き放したい駒大」と「5区、6区でリードを奪いたい青学大」という構図になりそうだ。

往路優勝で勢いに乗りたい東京国際大、創価大、國學院大、東洋大ら

今大会で「総合優勝」を目標に掲げているのは2強を除けば順大、國學院大、早大の3校。創価大、東洋大、東京国際大は「3位以内」をターゲットとし、明大は「5位以内」と他校に比べてやや謙虚な姿勢を示している。

そのうち往路から上位争いを繰り広げそうなのが、強力な留学生を誇る東京国際大と創価大だ。

出雲王者の東京国際大は、前回2区で区間新記録を樹立したイェゴン・ヴィンセント(3年)が強力。ヴィンセントは2区再出走が濃厚で、その前後を日本人エース格の山谷昌也、丹所健が担うことになりそう。山谷は今季出雲1区3位、全日本2区5位と安定しており、ここで10位以内につけておけば、2区のヴィンセントで一気に首位へ浮上できる。

そうなれば全日本6区区間賞(区間新)の丹所が3区でその差を大きく拡大することができ、5区次第ではそのまま往路優勝という理想的な展開もあり得る。前回往路優勝から10区途中まで大逃げを見せた創価大のような戦いも見せるかもしれない。

出雲駅伝を制して勢いに乗る東京国際大

その創価大は前回の2区~6区がそのまま残っており、1区で大きく失敗しなければ前回の再現も可能。榎木和貴監督は「1区から出し惜しみしない」と話しており、前回3区で区間3位と好走し、ケガから復活した葛西潤(3年)の1区起用も考えられる。2区のフィリップ・ムルワ(3年)は前回から大きくパワーアップを遂げており、区間6位だった前回から「1分以上速く走れる」とのこと。

3区か4区には前々回10区区間賞(区間新)、前回4区区間2位のエース・嶋津雄大(4年)を配置でき、5区は前回区間2位の三上雄太(4年)、6区は同7位で今季急成長を見せた濱野将基(3年)が控える。4区までは東京国際大にやや遅れをとるかもしれないが、山区間は創価大のほうが確実性がある。前回の成功体験も大きな強みとなりそうだ。

前回往路優勝、総合2位と大躍進を遂げた創価大は嶋津雄大(右)、三上雄太の4年生コンビが強力

國學院大と東洋大も往路優勝が可能な戦力が整っている。

國學院大はずば抜けたエースはいないものの、木付琳、藤木宏太、島崎慎愛(以上4年)、中西大翔(3年)、伊地知賢造(2年)、平林清澄(1年)ら「全員が2区候補」(前田康弘監督)という選手層の厚さが武器。このうち島崎は2年連続で6区で好走しているほか、5区には前回区間8位の殿地琢朗(4年)も控える。

前回は1区、2区で大きく出遅れたが、ここで上位争いに留まれば、勢いに乗って過去最高順位(3位)を更新できるだけの戦力が整いつつある。

東洋大は今季主力の故障が相次いだが、ここに来て足並みが整いつつある。前回は往路2位で勢いに乗ったかたちだが、そのうち4区が卒業し、5000mで13分34秒74を持つスーパールーキーの石田洸介が入れ替わる配置になりそう。

なかでも2区の松山和希(2年)と5区の宮下隼人(4年)が強力。松山は前回1年生ながら区間4位と快走し、5区の宮下は前々回で区間新記録を樹立した上りのスペシャリストだ。両者ともケガからの復調具合が気になるが、1区で出遅れなければ、前回同様の戦いが可能となる。至近13大会で12度も3位以内を確保しているだけに、箱根駅伝へのピーキングは折り紙付き。柏優吾(3年)や梅崎蓮(1年)ら新戦力の台頭にも注目だ。

総合力で勝負する順大、早大、明大

「総合優勝」を目標に掲げる順大は、東京五輪3000m障害7位の三浦龍司(2年)が強力。前回は1区10位と苦戦したが、今季は昨年以上に走り込みを積み、スタミナを養成してきた。1区か3区に起用されそうで、2度目の箱根路でオリンピアンの走りを見せてくれそうだ。

今季の順大は三浦だけでなく、選手層が非常に厚いのが特徴だ。往路候補の伊豫田達弥、野村優作(ともに3年)、石井一希(2年)は昨年度より走力が増しており、5区には前回区間13位だった津田将希(4年)のほか、関東インカレのハーフマラソンで日本人トップ(5位)だった四釜峻佑(3年)も候補に挙がっている。

復路も近藤亮太や牧瀬圭斗、吉岡智樹(以上4年)、平駿介、西澤侑真(ともに3年)ら10000m28分台の頼れる上級生が控え、往路・復路バランスのいいオーダーで15年ぶりの箱根制覇を目論む。

早大は前述の10000m27分台トリオや千明が強力。4人は往路の起用が濃厚だが、その他にも山口賢助(4年)や鈴木創士(3年)といった10000m28分20秒台の選手がおり、復路にも強力な人材を配置できる。6区には前回区間8位の北村光(2年)がおり、課題は近年苦戦が続く5区。ここを区間10位程度で乗り切ることが出来れば、11年ぶりの総合優勝が見えてくる。

前回11位の明大は、まずはシード権を確保したいところ。10000m28分09秒24の鈴木聖人(4年)、同28分13秒70の手嶋杏丞(4年)、同28分19秒77の櫛田佳希(3年)、同28分20~22秒台の小澤大輝(3年)、児玉真輝(2年)らスピード自慢が豊富だ。

前回は1区で16位と流れを作ることができなかったため、ここで確実に上位につけることが最低条件。5区は前回、前々回と2年続けて区間ひとケタで好走している鈴木がいるため、経験者のいない6区の走りがカギを握りそう。

その他にも5000mでU20日本記録(13分25秒87)を持つ吉居大和(2年)を擁する中大や、前回3区区間賞のエース・石原翔太郎(2年)がケガでエントリーから外れながらスピード自慢の選手が多数そろう東海大、3区のスペシャリストの異名を誇る遠藤大地や前回5区区間賞の細谷翔馬(ともに4年)を誇る帝京大もシード権争いに加わりそう。

初出場となる駿河台大がどんな走りを見せるかにも注目が集まる第98回箱根駅伝は、明日12月29日に区間エントリーが発表される。各校のエースたちが何区に登録されるか要チェックだ。

第98回東京箱根間大学駅伝競走(以下、箱根駅伝)は2022年1月2日に往路、翌3日に復路が行われる。前回大会でシード権を獲得した10校と、予選会を突破した10校、オープン参加の関東学生連合を合わせた21チームが栄光へのスタートラインに立つ。 今季はシューズの進化もあり、例年以上に記録の高水準が見られた。5000mで1度、10000mで2度学生記録が更新され、12月4日の日体大長距離競技会10000mでは駒大の田澤廉(3年)が27分23秒44の日本人学生最高、来年開催されるオレゴン世界選手権の参加標準記録(27分28秒00)を突破した。 もはや5000m13分台、10000m28分台は特別な数字ではなくなり、記録の価値観を吟味する必要性を感じさせるほどのハイレベルなシーズンだった。 では、そんな中で行われる今大会はどんなレースになるのか。有力チームの戦力を振り返るとともに、大会の見どころを紹介しよう。

優勝争いは駒大、青学大が軸

まずは参考となる前回大会の順位、今季の予選会、出雲駅伝、全日本大学駅伝の成績を振り返っていく。 大学名   前回 予選会 出雲 全日本 駒 大   優勝 ―― 5位 優勝 創価大   2位 ―― 7位 ―― 東洋大   3位 ―― 3位 10位 青学大   4位 ―― 2位 2位 東海大   5位 ―― 9位 12位 早 大   6位 ―― 6位 6位 順 大   7位 ―― 10位 3位 帝京大   8位 ―― 8位 13位 國學院大  9位 ―― 4位 4位 東京国際大 10位 ―― 優勝 5位 明 大   11位 1位 ―― 7位 中 大   12位 2位 ―― 8位 日体大   14位 3位 ―― 15位 山梨学大  19位 4位 ―― ―― 神奈川大  13位 5位 ―― ―― 法 大   17位 6位 ―― 9位 中央学大  ―― 7位 ―― 11位 駿河台大  ―― 8位 ―― ―― 専 大   20位 9位 ―― ―― 国士大   18位 10位 ―― ―― 前回王者の駒大が全日本でも優勝(連覇)を飾り、出雲では東京国際大が初制覇。それ以外では出雲・全日本ともに2位の青学大や全日本3位の順大、前回大会と出雲で3位の東洋大、出雲と全日本で4位だった國學院大の成績が光る。 そして5000m、10000mにおけるエントリー選手上位10人の平均タイムのまとめたのが下記の表だ(カッコ内は順位/※ハーフマラソンは大会の開催数が激減していることに加え、10月の予選会(ハーフマラソンで実施)に出場しているチームが有利になるなどデータに偏りがあるため、今回は除外した) 駒 大 13.41.72(1) 28.24.65(1) 創価大 14.01.72(14)28.35.81(5) 東洋大 13.55.27(8) 28.59.58(16) 青学大 13.50.05(4) 28.29.40(2) 東海大 13.55.89(9) 28.39.88(8) 早 大 13.48.45(3) 28.34.38(4) 順 大 13.50.72(5) 28.37.50(7) 帝京大 13.59.53(12)28.53.53(13) 國學院大 13.57.96(11)28.42.34(9) 東京国際大 13.52.64(6) 28.47.73(11) 明 大 13.48.18(2) 28.31.18(3) 中 大 13.52.97(7) 28.37.35(6) 日体大 13.57.67(10)28.47.96(12) 山梨学大 14.10.86(18)28.56.86(15) 神奈川大 14.07.22(17)29.04.12(18) 法 大 14.10.87(19)29.05.10(19) 中央学大 14.00.10(13)28.55.19(14) 駿河台大 14.15.37(20)29.12.69(20) 専 大 14.23.01(21)29.32.84(21) 国士大 14.05.80(15)29.03.26(17) 学生連合 14.05.90(16)28.46.62(10) ここでも駒大と青学大が上位につける。特に駒大は前回に引き続き両種目で1位となり、ともに“過去最速”とさらなるレベルアップを遂げている。青学大も平均タイムでは駒大に劣るものの、10000mではエントリー16人全員が28分台という分厚い選手層が武器となる。 先ほど名前が挙がった6校以外では、5000mと10000mで上位につける明大と早大、10000mで5位につける創価大が健闘している。 早大は10000m27分台トリオの中谷雄飛、太田直希、井川龍人や5000m13分31秒52の千明龍之佑がチームを牽引。ここまでケガなどで主力の足並みがそろっていないが、フルメンバーなら駒大や青学大に負けない爆発力を秘める。 明大は前回大会も5000m3位、10000m2位と高い水準を誇っていたが、結果は11位だった。そのスピードを20kmの距離に生かせるかがポイントだ。 創価大は前回、10000mで13位ながら準優勝と健闘しているため、さらなる飛躍が期待できる。気になるのは6月の全日本選考会で落選している点だが、過去を見ても全日本不出場ながら10位以内に食い込むケースはあり、前回、前々回も創価大は全日本不出場ながらシード権を獲得している。選考会はトラックの10000mで実施されるため、箱根駅伝で強さを発揮するチームなのは実証済みだ。
<全日本不出場から箱根駅伝で10位以内に入ったチーム> ※2010年以降 2010年 城西大 6位 2010年 日体大 9位 2011年 拓 大 7位 2011年 青学大 9位 2011年 國學院大 10位 2012年 順 大 7位 2012年 山梨学大 9位 2012年 國學院大 10位 2013年 順 大 6位 2013年 青学大 8位 2013年 法 大 9位 2013年 中央学大 10位 2014年 拓 大 9位 2017年 順 大 4位 2017年 神奈川大 5位 2017年 法 大 8位 2018年 日体大 4位 2018年 拓 大 8位 2020年 創価大 9位 2021年 創価大 2位
ここまでの情報をまとめると、この1年間の駅伝成績が優れ、トラックのスピードを兼ね備えた駒大と青学大が優勝候補と見ていいだろう。 それに追随する勢力図は混戦で、出雲王者の東京国際大、全日本で上位につけた順大、國學院大、早大、明大、前回2位、3位だった創価大と東洋大の7校までを第2勢力とする。

総合力で勝負する駒大、青学大

王者・駒大は前回より充実の戦力を誇る。写真は日本選手権10000mで2位、3位を占めた田澤廉(右)と鈴木芽吹 では、ここで優勝を争う2校の戦力を見ていこう。 駒大は10000mで27分23秒44の日本人学生最高記録を持つ田澤廉(3年)が絶対的エースとして君臨する。全日本大学駅伝では3年連続で区間賞(7区、8区、7区)を獲得しており、駅伝でもその力を発揮している。今回は2区出走が濃厚なため、相澤晃(東洋大、現・旭化成)以来となる1時間5分台突入に期待が高まる。 田澤とともに「3本柱」を形成する鈴木芽吹と唐澤拓海(ともに2年)も往路候補。ともにケガの影響で全日本は欠場したが、箱根には間に合う見込み。鈴木は前回5区で区間4位と好走しているが、本調子なら3区か4区に回る見込み。唐澤も同様に3区の候補に挙がっており、往路に主力をつぎ込む可能性が高い。 5区は鈴木以外にも、上りに強い前回8区の佃康平(4年)が準備。下りは大八木弘明監督が「秘密兵器」と呼ぶ人材がベールを脱ぐ。1区は経験者の白鳥哲汰(2年)や全日本1区区間賞の佐藤条二(1年)、日本インカレ5000m2位の篠原倖太朗(1年)ら人材に事欠かないため、この中から調子の良い選手が起用されそうだ。 復路は山野力(3年)や花尾恭輔(2年)、安原太陽(2年)らがスタンバイ。往路で首位に立てなくても、復路で逆転というシナリオが想定できる。 一方の青学大は往路序盤の爆発力こそ駒大に劣るものの、山区間で絶対的な優位性を持つのが特長だ。2区は今季5000mと10000mの青学大記録を更新した近藤幸太郎(3年)が第一候補。全日本7区では学生長距離界のエースである駒大の田澤に食らいつき、区間タイムで18秒しか離されなかった底力を持つ。 前々回2区で好走している岸本大紀(3年)も全日本3区で区間3位でケガからの復活をアピール。近藤にアクシデントがあった場合は代役としてカバーできるほか、3区や4区でも活躍が計算できる。他の往路候補は全日本1区で区間4位と好走した志貴勇斗(2年)、同5区区間賞の佐藤一世(2年)あたりか。 青学大はエースに成長した近藤幸太郎が花の2区候補に挙がる 5区は前々回区間2位(区間新)の飯田貴之(4年)が区間新記録に挑む。飯田は1年時から8区、5区、9区とすべて区間2位と安定しており、4区で多少出遅れてもカバーできるだけの実力がある。仮に5区で駒大にリードを奪っていれば、6区の高橋勇輝(4年)で後続を突き放す展開が予想できる。高橋は前回区間3位の実力者で、全日本4区では区間賞を獲得するなど確実に実力をつけてきた。5区と6区の総合力では全大学を通じてもナンバーワンと言っていいだろう。 7区以降は10000m28分台選手の中から調子の良い選手が担う。7区以降は駒大とほぼ互角の戦いが予想されるため、「4区までに青学大を突き放したい駒大」と「5区、6区でリードを奪いたい青学大」という構図になりそうだ。

往路優勝で勢いに乗りたい東京国際大、創価大、國學院大、東洋大ら

今大会で「総合優勝」を目標に掲げているのは2強を除けば順大、國學院大、早大の3校。創価大、東洋大、東京国際大は「3位以内」をターゲットとし、明大は「5位以内」と他校に比べてやや謙虚な姿勢を示している。 そのうち往路から上位争いを繰り広げそうなのが、強力な留学生を誇る東京国際大と創価大だ。 出雲王者の東京国際大は、前回2区で区間新記録を樹立したイェゴン・ヴィンセント(3年)が強力。ヴィンセントは2区再出走が濃厚で、その前後を日本人エース格の山谷昌也、丹所健が担うことになりそう。山谷は今季出雲1区3位、全日本2区5位と安定しており、ここで10位以内につけておけば、2区のヴィンセントで一気に首位へ浮上できる。 そうなれば全日本6区区間賞(区間新)の丹所が3区でその差を大きく拡大することができ、5区次第ではそのまま往路優勝という理想的な展開もあり得る。前回往路優勝から10区途中まで大逃げを見せた創価大のような戦いも見せるかもしれない。 出雲駅伝を制して勢いに乗る東京国際大 その創価大は前回の2区~6区がそのまま残っており、1区で大きく失敗しなければ前回の再現も可能。榎木和貴監督は「1区から出し惜しみしない」と話しており、前回3区で区間3位と好走し、ケガから復活した葛西潤(3年)の1区起用も考えられる。2区のフィリップ・ムルワ(3年)は前回から大きくパワーアップを遂げており、区間6位だった前回から「1分以上速く走れる」とのこと。 3区か4区には前々回10区区間賞(区間新)、前回4区区間2位のエース・嶋津雄大(4年)を配置でき、5区は前回区間2位の三上雄太(4年)、6区は同7位で今季急成長を見せた濱野将基(3年)が控える。4区までは東京国際大にやや遅れをとるかもしれないが、山区間は創価大のほうが確実性がある。前回の成功体験も大きな強みとなりそうだ。 前回往路優勝、総合2位と大躍進を遂げた創価大は嶋津雄大(右)、三上雄太の4年生コンビが強力 國學院大と東洋大も往路優勝が可能な戦力が整っている。 國學院大はずば抜けたエースはいないものの、木付琳、藤木宏太、島崎慎愛(以上4年)、中西大翔(3年)、伊地知賢造(2年)、平林清澄(1年)ら「全員が2区候補」(前田康弘監督)という選手層の厚さが武器。このうち島崎は2年連続で6区で好走しているほか、5区には前回区間8位の殿地琢朗(4年)も控える。 前回は1区、2区で大きく出遅れたが、ここで上位争いに留まれば、勢いに乗って過去最高順位(3位)を更新できるだけの戦力が整いつつある。 東洋大は今季主力の故障が相次いだが、ここに来て足並みが整いつつある。前回は往路2位で勢いに乗ったかたちだが、そのうち4区が卒業し、5000mで13分34秒74を持つスーパールーキーの石田洸介が入れ替わる配置になりそう。 なかでも2区の松山和希(2年)と5区の宮下隼人(4年)が強力。松山は前回1年生ながら区間4位と快走し、5区の宮下は前々回で区間新記録を樹立した上りのスペシャリストだ。両者ともケガからの復調具合が気になるが、1区で出遅れなければ、前回同様の戦いが可能となる。至近13大会で12度も3位以内を確保しているだけに、箱根駅伝へのピーキングは折り紙付き。柏優吾(3年)や梅崎蓮(1年)ら新戦力の台頭にも注目だ。

総合力で勝負する順大、早大、明大

「総合優勝」を目標に掲げる順大は、東京五輪3000m障害7位の三浦龍司(2年)が強力。前回は1区10位と苦戦したが、今季は昨年以上に走り込みを積み、スタミナを養成してきた。1区か3区に起用されそうで、2度目の箱根路でオリンピアンの走りを見せてくれそうだ。 今季の順大は三浦だけでなく、選手層が非常に厚いのが特徴だ。往路候補の伊豫田達弥、野村優作(ともに3年)、石井一希(2年)は昨年度より走力が増しており、5区には前回区間13位だった津田将希(4年)のほか、関東インカレのハーフマラソンで日本人トップ(5位)だった四釜峻佑(3年)も候補に挙がっている。 復路も近藤亮太や牧瀬圭斗、吉岡智樹(以上4年)、平駿介、西澤侑真(ともに3年)ら10000m28分台の頼れる上級生が控え、往路・復路バランスのいいオーダーで15年ぶりの箱根制覇を目論む。 早大は前述の10000m27分台トリオや千明が強力。4人は往路の起用が濃厚だが、その他にも山口賢助(4年)や鈴木創士(3年)といった10000m28分20秒台の選手がおり、復路にも強力な人材を配置できる。6区には前回区間8位の北村光(2年)がおり、課題は近年苦戦が続く5区。ここを区間10位程度で乗り切ることが出来れば、11年ぶりの総合優勝が見えてくる。 前回11位の明大は、まずはシード権を確保したいところ。10000m28分09秒24の鈴木聖人(4年)、同28分13秒70の手嶋杏丞(4年)、同28分19秒77の櫛田佳希(3年)、同28分20~22秒台の小澤大輝(3年)、児玉真輝(2年)らスピード自慢が豊富だ。 前回は1区で16位と流れを作ることができなかったため、ここで確実に上位につけることが最低条件。5区は前回、前々回と2年続けて区間ひとケタで好走している鈴木がいるため、経験者のいない6区の走りがカギを握りそう。 その他にも5000mでU20日本記録(13分25秒87)を持つ吉居大和(2年)を擁する中大や、前回3区区間賞のエース・石原翔太郎(2年)がケガでエントリーから外れながらスピード自慢の選手が多数そろう東海大、3区のスペシャリストの異名を誇る遠藤大地や前回5区区間賞の細谷翔馬(ともに4年)を誇る帝京大もシード権争いに加わりそう。 初出場となる駿河台大がどんな走りを見せるかにも注目が集まる第98回箱根駅伝は、明日12月29日に区間エントリーが発表される。各校のエースたちが何区に登録されるか要チェックだ。

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