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2019.11.15

編集部コラム「リクジョウクエスト2~そして月陸へ~」
編集部コラム「リクジョウクエスト2~そして月陸へ~」

毎週金曜日更新!?

★月陸編集部★

攻め(?)のアンダーハンド

リレーコラム🔥

毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ!
陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。
編集スタッフが週替りで綴って行きたいと思います。
暇つぶし程度にご覧ください!

第17回「リクジョウクエスト2~そして月陸へ~(山本慎一郎)

学生三大駅伝も出雲と全日本が終わり、駅伝シーズンはだんだん佳境に向かいつつあります。
月陸編集部も年末年始の大会ラッシュに向けて準備を整えているところです。

そもそも、雑誌の編集部ってどんな仕事をしているのかご存知でしょうか?

私も何となく想像はしていても、この会社に入るまではよくわからないことも多かったので、せっかくの機会なので紹介します。

一言で「取材」と言ってもいろいろな役目があります

まず、雑誌を作る上で絶対に必要なのは「記事」と「写真」です。
これらを担当するのがライターであり、カメラマンです。

ライターは書くことのスペシャリスト。
取材をして、その内容を記事としてまとめます。
ドラクエで言うと(←言わなくていい)直接攻撃が得意な「戦士」ですね。

カメラマンは文字通り、撮影のスペシャリストです。
戦士とは対極に位置する「魔法使い」としておきましょう。


雑誌は1号で200ページ前後になり、1ヵ月の間には多くの大会や特集取材があります。
そのすべてを月陸編集部のメンバーだけでこなすことはできません。

そこで、「フリーランス」と呼ばれる方々の力を借ります。
「この取材をやってほしい」とお願いをして、記事の執筆や撮影を担当してもらいます。
ドラクエ4でも第3章で「スコット」と「ロレンス」というお金を払うことで仲間になってくれる人物が登場しましたが、イメージとしてはそれに近いと思います。

実際の流れとしては、

1)編集部内で企画の方向性を検討
2)取材を担当するスタッフを決定
3)取材へ

というプロセスのことが多いです。
仲間を集め、パーティーの作戦を考えるという意味では、編集者はドラクエだと「主人公」や「勇者」に近いかもしれません。


取材において基本となるのは「勇者&戦士&魔法使い」の3人パーティーです。
戦士(ライター)にインタビューと執筆を任せ、魔法使い(カメラマン)に撮影をしてもらい、勇者(編集者)は取材が予定通りに進行しているかチェックする側に回ります。
必要だと思えば自分も攻撃(インタビュー)に加われますし、不測の事態が起きてもその場で判断を下し、事態を収拾できます。
攻撃と回復の両方が充実するので、パーティーの戦力としては非常に安定します。

ちなみに、なかには自ら企画を売り込んできてくれる「賢者(上級職)」とでも言うべきフリーランスもいます。
そんな方々の力を借りながら、最終的には雑誌の完成を目指します。


しかし、現実的には常にこの編成が組めるわけではないので、人数を減らす場合があります。
その場合は仲間のスキルや得意分野を考慮しながらパーティーを再編します。

例えば、勇者が攻撃魔法(カメラ)を使えるのであれば、「勇者&戦士」の2人パーティー。
物理攻撃(記事の執筆)が得意なら、「勇者&魔法使い」という組み方もできます。

もし勇者がパーティーに加われない場合には、「戦士&魔法使い」という編成もあります。
また、最近は攻撃呪文(カメラ)が使える戦士も増えてきたので、「魔法戦士(上級職)」1人に取材を一任するケースもあります。


ただし、編集者の仕事は取材だけではありません。
まず、取材をするにも「段取り」というものが必要で、大会であれば取材申請を出したり、宿泊先のホテルを予約したり、人物特集であれば選手や指導者とスケジュールの調整をしたりもします。
そうしているうちにまた次の案件が出てきて……と、編集者は常に何かに追われていることがほとんどです。

王様に会ったり、装備品を整えたり、イベントをクリアするためにアイテムを探してきたりと、戦闘だけがRPGではありませんからね。
実感としても、取材そのものより準備のほうに時間を使っている印象です。


また、フリーランスの方も常に予定が空いているわけではありません。
仕事を依頼しようと思った時にはすでに別の冒険をしている場合もあるので、その場合は別の手段を考えないといけなくなります。

魔法戦士の都合がつかなければ戦士に打診することもありますし、そうなると魔法使いが必要だからこちらも探して……と、時としてパーティーを組むのは難航するケースがあります。
そうなると、仲間を探すのはあきらめて勇者一人だけで旅に出るか、別の勇者に冒険をお願いする……といった「裏技」を使うこともあります。


そして、取材が終わると今度は原稿をチェックし、掲載する写真を選び、その説明文を書いたりします。
誌面を形にするのは社外のデザイナーさんに任せますが、今度はでき上がった誌面をチェックして、修正を加えて、それを約200ページ分こなしてようやく雑誌が完成します。

こうしてみると1ヵ月はあっという間で、結構な長旅です。
冒険開始時に16歳だった勇者が25歳ぐらいになってしまいそうな勢いですね……。


それでも、こうして作り上げた雑誌に対して反響があると編集者としてはうれしいものです。
読者にとって役に立つ情報を少しでも多く発信できたらと思っています。

そんなわけで、このコラムも将来この業界を目指そうという人のお役に立てれば……。
月陸で働きたいというそこのあなた、機会があれば一緒に冒険へ出かけましょう!
(パーティーメンバーは満員のことも多いですが……)

山本慎一郎 やまもとしんいちろう
月刊陸上競技 編集部(兼企画営業部)企画課長
1983年1月生まれ。福島県いわき市出身。160cm、47kg(ピーク時)。植田中→磐城高→福島大→法大卒。中学では1学年下の村上康則(2010年日本選手権1500m覇者)と一緒に駅伝を走り、その才能を間近で見て挫折。懲りずに高校で都大路、大学で箱根駅伝を目指すも、いずれも未達に終わる。引退するタイミングを逸して現在も市民ランナーとして活動中。箱根駅伝担当として各大学に顔を出しつつ、夏合宿取材のたびに各校の練習コースを試走してチームの戦力をこっそり分析している。最近はドラクエウォークを第5章まで進めてしまったので、アップデートを心待ちにしている。

編集部コラム第16回「強い選手の共通点?」(向永)
編集部コラム第15回「続・ドーハの喜劇?」(小川)
編集部コラム第14回「初陣」(船越)
編集部コラム第13回「どうなる東京五輪マラソン&競歩!?」(松永)
編集部コラム第12回「高校陸上界史上最強校は?(男子編)」(大久保)
編集部コラム第11回「羽ばたけ日本の中距離!」(井上)
編集部コラム第10回「心を動かすもの」(山本)
編集部コラム第9回「混成競技のアレコレ」(向永)
編集部コラム第8回「アナウンス」(小川)
編集部コラム第7回「ジンクス」(船越)
編集部コラム第6回「学生駅伝を支える主務の存在」(松永)
編集部コラム第5回「他競技で活躍する陸上競技経験者」(大久保)
編集部コラム第4回「とらんすふぁ~」(井上)
編集部コラム第3回「リクジョウクエスト」(山本)
編集部コラム第2回「あんな選手を目指しなさい」(向永)
編集部コラム第1回「締め切りとIHと五輪」(小川)
 

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学生三大駅伝も出雲と全日本が終わり、駅伝シーズンはだんだん佳境に向かいつつあります。 月陸編集部も年末年始の大会ラッシュに向けて準備を整えているところです。 そもそも、雑誌の編集部ってどんな仕事をしているのかご存知でしょうか? 私も何となく想像はしていても、この会社に入るまではよくわからないことも多かったので、せっかくの機会なので紹介します。 一言で「取材」と言ってもいろいろな役目があります まず、雑誌を作る上で絶対に必要なのは「記事」と「写真」です。 これらを担当するのがライターであり、カメラマンです。 ライターは書くことのスペシャリスト。 取材をして、その内容を記事としてまとめます。 ドラクエで言うと(←言わなくていい)直接攻撃が得意な「戦士」ですね。 カメラマンは文字通り、撮影のスペシャリストです。 戦士とは対極に位置する「魔法使い」としておきましょう。
雑誌は1号で200ページ前後になり、1ヵ月の間には多くの大会や特集取材があります。 そのすべてを月陸編集部のメンバーだけでこなすことはできません。 そこで、「フリーランス」と呼ばれる方々の力を借ります。 「この取材をやってほしい」とお願いをして、記事の執筆や撮影を担当してもらいます。 ドラクエ4でも第3章で「スコット」と「ロレンス」というお金を払うことで仲間になってくれる人物が登場しましたが、イメージとしてはそれに近いと思います。 実際の流れとしては、 1)編集部内で企画の方向性を検討 2)取材を担当するスタッフを決定 3)取材へ というプロセスのことが多いです。 仲間を集め、パーティーの作戦を考えるという意味では、編集者はドラクエだと「主人公」や「勇者」に近いかもしれません。
取材において基本となるのは「勇者&戦士&魔法使い」の3人パーティーです。 戦士(ライター)にインタビューと執筆を任せ、魔法使い(カメラマン)に撮影をしてもらい、勇者(編集者)は取材が予定通りに進行しているかチェックする側に回ります。 必要だと思えば自分も攻撃(インタビュー)に加われますし、不測の事態が起きてもその場で判断を下し、事態を収拾できます。 攻撃と回復の両方が充実するので、パーティーの戦力としては非常に安定します。 ちなみに、なかには自ら企画を売り込んできてくれる「賢者(上級職)」とでも言うべきフリーランスもいます。 そんな方々の力を借りながら、最終的には雑誌の完成を目指します。
しかし、現実的には常にこの編成が組めるわけではないので、人数を減らす場合があります。 その場合は仲間のスキルや得意分野を考慮しながらパーティーを再編します。 例えば、勇者が攻撃魔法(カメラ)を使えるのであれば、「勇者&戦士」の2人パーティー。 物理攻撃(記事の執筆)が得意なら、「勇者&魔法使い」という組み方もできます。 もし勇者がパーティーに加われない場合には、「戦士&魔法使い」という編成もあります。 また、最近は攻撃呪文(カメラ)が使える戦士も増えてきたので、「魔法戦士(上級職)」1人に取材を一任するケースもあります。
ただし、編集者の仕事は取材だけではありません。 まず、取材をするにも「段取り」というものが必要で、大会であれば取材申請を出したり、宿泊先のホテルを予約したり、人物特集であれば選手や指導者とスケジュールの調整をしたりもします。 そうしているうちにまた次の案件が出てきて……と、編集者は常に何かに追われていることがほとんどです。 王様に会ったり、装備品を整えたり、イベントをクリアするためにアイテムを探してきたりと、戦闘だけがRPGではありませんからね。 実感としても、取材そのものより準備のほうに時間を使っている印象です。
また、フリーランスの方も常に予定が空いているわけではありません。 仕事を依頼しようと思った時にはすでに別の冒険をしている場合もあるので、その場合は別の手段を考えないといけなくなります。 魔法戦士の都合がつかなければ戦士に打診することもありますし、そうなると魔法使いが必要だからこちらも探して……と、時としてパーティーを組むのは難航するケースがあります。 そうなると、仲間を探すのはあきらめて勇者一人だけで旅に出るか、別の勇者に冒険をお願いする……といった「裏技」を使うこともあります。
そして、取材が終わると今度は原稿をチェックし、掲載する写真を選び、その説明文を書いたりします。 誌面を形にするのは社外のデザイナーさんに任せますが、今度はでき上がった誌面をチェックして、修正を加えて、それを約200ページ分こなしてようやく雑誌が完成します。 こうしてみると1ヵ月はあっという間で、結構な長旅です。 冒険開始時に16歳だった勇者が25歳ぐらいになってしまいそうな勢いですね……。
それでも、こうして作り上げた雑誌に対して反響があると編集者としてはうれしいものです。 読者にとって役に立つ情報を少しでも多く発信できたらと思っています。 そんなわけで、このコラムも将来この業界を目指そうという人のお役に立てれば……。 月陸で働きたいというそこのあなた、機会があれば一緒に冒険へ出かけましょう! (パーティーメンバーは満員のことも多いですが……)
山本慎一郎 やまもとしんいちろう 月刊陸上競技 編集部(兼企画営業部)企画課長 1983年1月生まれ。福島県いわき市出身。160cm、47kg(ピーク時)。植田中→磐城高→福島大→法大卒。中学では1学年下の村上康則(2010年日本選手権1500m覇者)と一緒に駅伝を走り、その才能を間近で見て挫折。懲りずに高校で都大路、大学で箱根駅伝を目指すも、いずれも未達に終わる。引退するタイミングを逸して現在も市民ランナーとして活動中。箱根駅伝担当として各大学に顔を出しつつ、夏合宿取材のたびに各校の練習コースを試走してチームの戦力をこっそり分析している。最近はドラクエウォークを第5章まで進めてしまったので、アップデートを心待ちにしている。
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