HOME 特集

2021.12.03

【展望】最後の福岡国際マラソン 復活期す設楽悠太、川内優輝、細谷、髙久ら 世界陸上&五輪へ第一関門
【展望】最後の福岡国際マラソン 復活期す設楽悠太、川内優輝、細谷、髙久ら 世界陸上&五輪へ第一関門

設楽悠太

12月5日(日)に第75回福岡国際マラソンが行われる。これまで数々の歴史的名勝負・好記録が生まれたレースも、今大会を最後に幕引きされることが決まった。権威ある『福岡』の最後のタイトルは誰が手にするのだろうか。

国内招待選手として設楽悠太(Honda)、細谷恭平(黒崎播磨)、髙久龍(ヤクルト)、川内優輝(あいおいニッセイ同和損害保険)ら10人がエントリーされ、そのうち木村慎(Honda)の欠場が発表済み。なお、コロナ禍により海外招待選手は設けられていない。

最も注目を集めるのは設楽だろう。設楽は2018年の東京マラソンで2時間6分11秒をマークして16年ぶりに日本記録を更新した(現歴代3位)。だが、東京五輪代表選考会だった19年のマラソングランドチャンピオンシップで14位になると、その後はなかなか本調子の走りを取り戻せていない。昨年の東京では2時間7分台(45秒)だったものの高速レースのため16位。11月の東日本実業団対抗駅伝でも7区10位と苦しみ、トラックでも10000mで29分を要するレースがあるが、持てる力は一枚上なはず。「優勝争いができるようなレースをしたい。(調子は)悪くないと思う」と前々日会見での設楽。本番までどれだけ調子を戻せるか。

これまで3度の日本人トップとなる3位(11、13、16年)など、数々の激走を福岡に刻んできた川内にとっても最後の福岡は特別な思いがある。当時・埼玉県庁の職員で「公務ランナー」として一躍名をとどろかせたのも福岡国際だった。ここ2年はコロナ禍により、以前のようにロードレースを練習代わりにする調整法が難しくなり、トラックレースに多く出場。10月には練習中に転倒して膝を痛めた影響でボストン・マラソンを欠場するなどアクシデントもあったが、「1ヵ月半やれることはやってきた。自分の過去最高を超えたい」と、最後の福岡に向けて懸ける思いは人一倍だ。

今年2月のびわ湖毎日マラソンで2時間6分35秒(日本歴代6位)をマークして3位に入った細谷恭平(黒崎播磨)も好調。トラックでも5月に10000m28分05秒88、7月に5000m13分38秒14と自己ベストを更新しており、所属先の地元でどんな走りを見せるか注目が集まる。好記録が連発した20年3月の東京マラソンで、2時間6分45秒を出した髙久龍(ヤクルト)や2時間6分54秒の上門大祐(大塚製薬)も力がある。昨年2時間7分38秒で2位に入り東京五輪マラソン代表の補欠だった大塚祥平(九電工)、同2時間8分03秒で3位の寺田夏生(JR東日本)も着々と準備を整えている。

一般ランナーとしては村山謙太(旭化成)、宮脇千博(トヨタ自動車)、福田穣(NNランニングチーム)、設楽啓太(日立物流)といった顔ぶれが並ぶ。ペースメーカーは佐藤悠基(SGホールディングス)をはじめ、国内所属の外国人ランナーらが務める。日曜日の福岡の天気予報は晴れ、気温13度、2m前後の風が吹く見込み。高速シューズの影響もあり、2時間7分前後が複数人誕生するかもしれない。

今大会は日本陸連が立ち上げた新プロジェクト「ジャパンマラソンチャンピオンシップシリーズ(JMCシリーズ)」の一つで第1期の初戦。来年のオレゴン世界選手権の選考レースの一つでもあり、24年パリ五輪選考レースとなるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC/23年秋開催予定)の出場権を懸けた大会でもある。MGCの出場権獲得条件は1~3位は2時間10分00秒以内、4~6位は2時間9分00秒以内。今大会で1人目の獲得者が出る可能性が高く、最大6人が出場資格を得る。

伝統と誇りある福岡国際マラソンのラストレース。トップで平和台に戻ってくるのは果たして――。レースは12月5日、12時10分にスタートする。

■福岡国際マラソン国内招待選手
設楽悠太(Honda)
細谷恭平(黒崎播磨)
髙久 龍(ヤクルト)
上門大祐(大塚製薬)
定方俊樹(三菱重工)
大六野秀畝(旭化成)
川内優輝(あいおいニッセイ同和損保)
大塚祥平(九電工)
寺田夏生(JR東日本)

12月5日(日)に第75回福岡国際マラソンが行われる。これまで数々の歴史的名勝負・好記録が生まれたレースも、今大会を最後に幕引きされることが決まった。権威ある『福岡』の最後のタイトルは誰が手にするのだろうか。 国内招待選手として設楽悠太(Honda)、細谷恭平(黒崎播磨)、髙久龍(ヤクルト)、川内優輝(あいおいニッセイ同和損害保険)ら10人がエントリーされ、そのうち木村慎(Honda)の欠場が発表済み。なお、コロナ禍により海外招待選手は設けられていない。 最も注目を集めるのは設楽だろう。設楽は2018年の東京マラソンで2時間6分11秒をマークして16年ぶりに日本記録を更新した(現歴代3位)。だが、東京五輪代表選考会だった19年のマラソングランドチャンピオンシップで14位になると、その後はなかなか本調子の走りを取り戻せていない。昨年の東京では2時間7分台(45秒)だったものの高速レースのため16位。11月の東日本実業団対抗駅伝でも7区10位と苦しみ、トラックでも10000mで29分を要するレースがあるが、持てる力は一枚上なはず。「優勝争いができるようなレースをしたい。(調子は)悪くないと思う」と前々日会見での設楽。本番までどれだけ調子を戻せるか。 これまで3度の日本人トップとなる3位(11、13、16年)など、数々の激走を福岡に刻んできた川内にとっても最後の福岡は特別な思いがある。当時・埼玉県庁の職員で「公務ランナー」として一躍名をとどろかせたのも福岡国際だった。ここ2年はコロナ禍により、以前のようにロードレースを練習代わりにする調整法が難しくなり、トラックレースに多く出場。10月には練習中に転倒して膝を痛めた影響でボストン・マラソンを欠場するなどアクシデントもあったが、「1ヵ月半やれることはやってきた。自分の過去最高を超えたい」と、最後の福岡に向けて懸ける思いは人一倍だ。 今年2月のびわ湖毎日マラソンで2時間6分35秒(日本歴代6位)をマークして3位に入った細谷恭平(黒崎播磨)も好調。トラックでも5月に10000m28分05秒88、7月に5000m13分38秒14と自己ベストを更新しており、所属先の地元でどんな走りを見せるか注目が集まる。好記録が連発した20年3月の東京マラソンで、2時間6分45秒を出した髙久龍(ヤクルト)や2時間6分54秒の上門大祐(大塚製薬)も力がある。昨年2時間7分38秒で2位に入り東京五輪マラソン代表の補欠だった大塚祥平(九電工)、同2時間8分03秒で3位の寺田夏生(JR東日本)も着々と準備を整えている。 一般ランナーとしては村山謙太(旭化成)、宮脇千博(トヨタ自動車)、福田穣(NNランニングチーム)、設楽啓太(日立物流)といった顔ぶれが並ぶ。ペースメーカーは佐藤悠基(SGホールディングス)をはじめ、国内所属の外国人ランナーらが務める。日曜日の福岡の天気予報は晴れ、気温13度、2m前後の風が吹く見込み。高速シューズの影響もあり、2時間7分前後が複数人誕生するかもしれない。 今大会は日本陸連が立ち上げた新プロジェクト「ジャパンマラソンチャンピオンシップシリーズ(JMCシリーズ)」の一つで第1期の初戦。来年のオレゴン世界選手権の選考レースの一つでもあり、24年パリ五輪選考レースとなるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC/23年秋開催予定)の出場権を懸けた大会でもある。MGCの出場権獲得条件は1~3位は2時間10分00秒以内、4~6位は2時間9分00秒以内。今大会で1人目の獲得者が出る可能性が高く、最大6人が出場資格を得る。 伝統と誇りある福岡国際マラソンのラストレース。トップで平和台に戻ってくるのは果たして――。レースは12月5日、12時10分にスタートする。 ■福岡国際マラソン国内招待選手 設楽悠太(Honda) 細谷恭平(黒崎播磨) 髙久 龍(ヤクルト) 上門大祐(大塚製薬) 定方俊樹(三菱重工) 大六野秀畝(旭化成) 川内優輝(あいおいニッセイ同和損保) 大塚祥平(九電工) 寺田夏生(JR東日本)

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2024.11.22

WA加盟連盟賞に米国、インド、ポルトガルなどがノミネート 育成プログラム等を評価

世界陸連(WA)は11月20日、ワールド・アスレティクス・アワード2024の「加盟国賞」の最終候補6カ国を発表した。この賞は年間を通して陸上競技の成長と知名度に貢献する功績をおさめた連盟を表彰するもので、各地域連盟から1 […]

NEWS パリ五輪7位のクルガトが優勝!女子は地元米国・ヴェンダースがV/WAクロカンツアー

2024.11.22

パリ五輪7位のクルガトが優勝!女子は地元米国・ヴェンダースがV/WAクロカンツアー

11月21日、米国テキサス州オースティンで世界陸連(WA)クロスカントリーツアー・ゴールドのクロス・チャンプスが開催され、男子(8.0km)はパリ五輪5000m7位E.クルガト(ケニア)が22分51秒で、女子(8.0km […]

NEWS 田中希実が来季『グランドスラム・トラック』参戦決定!マイケル・ジョンソン氏が新設

2024.11.22

田中希実が来季『グランドスラム・トラック』参戦決定!マイケル・ジョンソン氏が新設

来春、開幕する陸上リーグ「グランドスラム・トラック」の“レーサー”として、女子中長距離の田中希実(New Balance)が契約したと発表された。 同大会は1990年代から2000年代に男子短距離で活躍したマイケル・ジョ […]

NEWS 早大競走部駅伝部門が麹を活用した食品・飲料を手がける「MURO」とスポンサー契約締結

2024.11.21

早大競走部駅伝部門が麹を活用した食品・飲料を手がける「MURO」とスポンサー契約締結

11月21日、株式会社コラゾンは同社が展開する麹専門ブランド「MURO」を通じて、早大競走部駅伝部とスポンサー契約を結んだことを発表した。 コラゾン社は「MURO」の商品である「KOJI DRINK A」および「KOJI […]

NEWS 立迫志穂が調整不良のため欠場/防府読売マラソン

2024.11.21

立迫志穂が調整不良のため欠場/防府読売マラソン

第55回防府読売マラソン大会事務局は、女子招待選手の立迫志穂(天満屋)が欠場すると発表した。調整不良のためとしている。 立迫は今年2月の全日本実業団ハーフマラソンで1時間11分16秒の11位。7月には5000m(15分3 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2024年12月号 (11月14日発売)

2024年12月号 (11月14日発売)

全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
高校駅伝都道府県大会ハイライト
全日本35㎞競歩高畠大会
佐賀国民スポーツ大会

page top