2019.10.15
DOHA 2019
ドーハ世界選手権Gold Medalist Talk
鈴木雄介Yusuke SUZUKI
男子50kmW/富士通
「思い描いていた景色が見られた」
〝コーニッシュの死闘〟を振り返る
大会2日目の9月28日、夜11時30分にスタートした男子50km競歩で、最初にフィニッシュ地点に帰ってきたのは日本の競歩界をリードしてきた31歳、鈴木雄介(富士通)だった。日本の競歩界に世界大会で初めての「金メダル」をもたらすとともに、来年夏の東京五輪代表にも内定。その激闘の裏側と、オリンピックへの想いを、レース翌日のメダルセレモニー直後に振り返ってもらった。
構成/小川雅生
撮影/原田健太(SHOT)
苦しかった日々が走馬灯のように
深夜の死闘を制した鈴木。フィニッシュ後は国旗を受け取ると、広げる前にまず握り締め、こみ上げるものを抑え切れなかった。3日目夜の競技開始前にはメダルセレモニーが行われ、第3コーナー上のスタンドに特設された表彰台で金メダルを授与され、反対側のスタンドにある大型映像の中央に日の丸が映る。鈴木は誇らしげに胸を張り、スタジアムに流れる「君が代」を聞きながらそれを見つめた。
「ゴールできた」というのが一番ですけど、やっぱり優勝できたので、感慨深いものがありました。競技から離れていたり、いろいろなことがこの3、4年であったので、それが走馬灯のように思い浮かんだというか……。何て言ったらいいんだろうな、記憶が一気に甦ってきたという感じですね。つらかったことを、やっと乗り越えられたなって。で、本当にもう感極まったところがありました。
喜びはもちろんあったんですけど、今まで金メダルを取る、メダルを取ると言って自分にプレッシャーをかけてきて、安堵感というか、やっとできたという達成感でしょうか。
あとは、ケガの時にサポートしてくださったいろいろな方々がいらっしゃるので、みなさんに本当に感謝の気持ちでいっぱいになった、ラスト数百mでしたね。その感謝の気持ちで、最後は力を振り絞れました。
金メダルをもらった実感はまだないというか、たぶんずっと実感はないですね。じきに、過去のことになっているかなと思います。またすぐ、次に向かいたいと思っているので。この金メダルはただの形として、来年の東京五輪に向けてやっていきたいと考えています。
(メダルセレモニーで)表彰台の1番高い場所に立つことができた。競技を続けてきて、あそこからの景色を見たいと、ずっと思い描いていました。何回も世界大会に出場してセレモニーを見てきたけど、違う種目だとしても、自分が立たなきゃいけないのにできなかった、という悔しさをずっと持っていました。
思い描いていた、やりたいと思っていたことができたことは本当にうれしかったですし、あの景色は(これまで見たどの景色より)本当に違ったなと思います。理想を言えば国旗掲揚が映像だったので(笑)、東京五輪では本物の国旗を掲揚してもらって、『君が代』を流したいなと思っています。
メダルルセレモニー直後に現地でインタビュー
正直、故障から1年経って、そこからは自分が世界選手権や五輪に出ていたという記憶がなくなって、別世界のように感じていました。練習ができるようになった時もそうでした。
戻って来られたのは、もう自分の力ではないですね。いろいろな方々の治療があったからこそ。もちろん、戻り切らなかった部分もあります。でも、いろいろな方々が親身になって、やる気がなくなっていた自分に「治るよ」と信じさせてくれた。
「治れば絶対に上に行けるから」と、僕以上に僕の可能性を信じてくださった方々がいて、尽力してくださった方々がいたからこそ、戻って来られたのかなと思います。
※本誌記事より一部抜粋。全文は2019年10月12日発売の『月刊陸上競技』11月号をご覧ください
「思い描いていた景色が見られた」 〝コーニッシュの死闘〟を振り返る
男子50km競歩で金メダルを獲得した鈴木雄介 大会2日目の9月28日、夜11時30分にスタートした男子50km競歩で、最初にフィニッシュ地点に帰ってきたのは日本の競歩界をリードしてきた31歳、鈴木雄介(富士通)だった。日本の競歩界に世界大会で初めての「金メダル」をもたらすとともに、来年夏の東京五輪代表にも内定。その激闘の裏側と、オリンピックへの想いを、レース翌日のメダルセレモニー直後に振り返ってもらった。 構成/小川雅生 撮影/原田健太(SHOT)苦しかった日々が走馬灯のように
深夜の死闘を制した鈴木。フィニッシュ後は国旗を受け取ると、広げる前にまず握り締め、こみ上げるものを抑え切れなかった。3日目夜の競技開始前にはメダルセレモニーが行われ、第3コーナー上のスタンドに特設された表彰台で金メダルを授与され、反対側のスタンドにある大型映像の中央に日の丸が映る。鈴木は誇らしげに胸を張り、スタジアムに流れる「君が代」を聞きながらそれを見つめた。 「ゴールできた」というのが一番ですけど、やっぱり優勝できたので、感慨深いものがありました。競技から離れていたり、いろいろなことがこの3、4年であったので、それが走馬灯のように思い浮かんだというか……。何て言ったらいいんだろうな、記憶が一気に甦ってきたという感じですね。つらかったことを、やっと乗り越えられたなって。で、本当にもう感極まったところがありました。 喜びはもちろんあったんですけど、今まで金メダルを取る、メダルを取ると言って自分にプレッシャーをかけてきて、安堵感というか、やっとできたという達成感でしょうか。 あとは、ケガの時にサポートしてくださったいろいろな方々がいらっしゃるので、みなさんに本当に感謝の気持ちでいっぱいになった、ラスト数百mでしたね。その感謝の気持ちで、最後は力を振り絞れました。 金メダルをもらった実感はまだないというか、たぶんずっと実感はないですね。じきに、過去のことになっているかなと思います。またすぐ、次に向かいたいと思っているので。この金メダルはただの形として、来年の東京五輪に向けてやっていきたいと考えています。 (メダルセレモニーで)表彰台の1番高い場所に立つことができた。競技を続けてきて、あそこからの景色を見たいと、ずっと思い描いていました。何回も世界大会に出場してセレモニーを見てきたけど、違う種目だとしても、自分が立たなきゃいけないのにできなかった、という悔しさをずっと持っていました。 思い描いていた、やりたいと思っていたことができたことは本当にうれしかったですし、あの景色は(これまで見たどの景色より)本当に違ったなと思います。理想を言えば国旗掲揚が映像だったので(笑)、東京五輪では本物の国旗を掲揚してもらって、『君が代』を流したいなと思っています。 メダルルセレモニー直後に現地でインタビュー 正直、故障から1年経って、そこからは自分が世界選手権や五輪に出ていたという記憶がなくなって、別世界のように感じていました。練習ができるようになった時もそうでした。 戻って来られたのは、もう自分の力ではないですね。いろいろな方々の治療があったからこそ。もちろん、戻り切らなかった部分もあります。でも、いろいろな方々が親身になって、やる気がなくなっていた自分に「治るよ」と信じさせてくれた。 「治れば絶対に上に行けるから」と、僕以上に僕の可能性を信じてくださった方々がいて、尽力してくださった方々がいたからこそ、戻って来られたのかなと思います。 ※本誌記事より一部抜粋。全文は2019年10月12日発売の『月刊陸上競技』11月号をご覧ください
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
2024.11.22
田中希実が来季『グランドスラム・トラック』参戦決定!マイケル・ジョンソン氏が新設
2024.11.21
早大競走部駅伝部門が麹を活用した食品・飲料を手がける「MURO」とスポンサー契約締結
2024.11.21
立迫志穂が調整不良のため欠場/防府読売マラソン
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
2024.11.01
吉田圭太が住友電工を退部 「充実した陸上人生を歩んでいきたい」競技は継続
2024.11.07
アシックスから軽量で反発性に優れたランニングシューズ「NOVABLAST 5」が登場!
-
2024.10.27
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2024.11.22
田中希実が来季『グランドスラム・トラック』参戦決定!マイケル・ジョンソン氏が新設
来春、開幕する陸上リーグ「グランドスラム・トラック」の“レーサー”として、女子中長距離の田中希実(New Balance)が契約したと発表された。 同大会は1990年代から2000年代に男子短距離で活躍したマイケル・ジョ […]
2024.11.21
早大競走部駅伝部門が麹を活用した食品・飲料を手がける「MURO」とスポンサー契約締結
11月21日、株式会社コラゾンは同社が展開する麹専門ブランド「MURO」を通じて、早大競走部駅伝部とスポンサー契約を結んだことを発表した。 コラゾン社は「MURO」の商品である「KOJI DRINK A」および「KOJI […]
2024.11.21
立迫志穂が調整不良のため欠場/防府読売マラソン
第55回防府読売マラソン大会事務局は、女子招待選手の立迫志穂(天満屋)が欠場すると発表した。調整不良のためとしている。 立迫は今年2月の全日本実業団ハーフマラソンで1時間11分16秒の11位。7月には5000m(15分3 […]
2024.11.20
M&Aベストパートナーズに中大・山平怜生、城西大・栗原直央、國學院大・板垣俊佑が内定!神野「チーム一丸」
神野大地が選手兼監督を務めるM&Aベストパートナーズが来春入社選手として、中大・山平怜生、國學院大・板垣俊佑、城西大・栗原直央の3人が内定した。神野が自身のSNSで内定式の様子を伝えている。 山平は宮城・仙台育英 […]
2024.11.20
第101回(2025年)箱根駅伝 出場チーム選手名鑑
・候補選手は各チームが選出 ・情報は11月20日時点、チーム提供および編集部把握の公認記録を掲載 ・選手名の一部漢字で対応外のものは新字で掲載しています ・過去箱根駅伝成績で関東学生連合での出場選手は相当順位を掲載 ・一 […]
Latest Issue 最新号
2024年12月号 (11月14日発売)
全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
高校駅伝都道府県大会ハイライト
全日本35㎞競歩高畠大会
佐賀国民スポーツ大会