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2019.10.12

編集部コラム「高校陸上界史上最強校は?(男子編)」
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第12回「高校陸上界史上最強校は?(男子編)(大久保雅文)

8月にテレビで、「ファンが選ぶ高校野球総選挙 ~最強高校~」という企画を目にしました。高校野球ファンが一番強いと思うチームを投票で選ぶというものでしたが、「これを陸上でやったらどうなるだろう」という気持ちが湧いてきました。
野球では学校同士での単純な強さの比較ができませんが、陸上競技の場合にはインターハイの順位をポイント化して争う学校対抗があります。
そこで、1948年の第1回名古屋大会から、今年の第72回沖縄大会までの全ポイントを積算し、学校別に集計してみました。上位には名門校が名を連ねましたが、トップ10をカウントダウン形式で紹介していきます。
なお、得点は6位までが入賞だった1989年以前は1位6点、2位5点……6位1点。8位入賞制となった1990年以降は1位8点、2位7点……8位1点で計算。同順位が複数の場合は該当人数で分配しています。(文中敬称略)

10位 市船橋(千葉) 285点

総合優勝1回(1996年)
初めての入賞は1984年5000mで優勝した仲村明。1989年に4×100mリレーで優勝し、91年に渡辺康幸が1500m、5000m2冠を達成しています。2014年まで入賞はトラック種目のみでしたが、2015年に田村勇太が男子砲丸投7位に入りました。

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9位 仙台育英(宮城) 315点

総合優勝1回(2008年)
1993年以降、留学生がトラック長距離を席巻し、5000mでは1993年から1999年まで7連覇。2000年代以降は日本人選手も入賞するようになり、先日のMGCで2位に入った服部勇馬も11年5000mで5位でした。近年は4×100mリレーでも3度の入賞を果たしています。

8位 磐田南/磐田一(静岡) 315.5点

総合優勝4回(1948年、1952年、1954年、1972年)
記念すべき第1回大会の総合優勝校。この時は大橋敏宏が100m、200mの2冠に輝きました。100mでは4回優勝していますが、これは洛南の3回を抑えて史上最多回数。1980年後半からは跳躍種目で入賞を重ねています。

7位 清 風(大阪) 321点

総合優勝1回(1980年)
総合優勝こそ1回だけですが、4×100mリレーでは1972年から2003年の32年間で14回の入賞。井上悟、大崎悟史、山村貴彦、寺野伸一と、のちにオリンピアンとなった選手は全員インターハイで入賞しています。

6位 東 京(東京) 338.5点

総合優勝1回(2011年)
1988年に内田猛樹が走高跳で優勝したのがチーム初入賞。1990年からは、短距離、跳躍、投てき、混成と幅広く入賞者を出し、今年で20年連続入賞を達成しました。100mでは2009年以降の10年間でのべ8人が入賞しています。

5位 添 上(奈良) 431.5点

総合優勝4回(1984年、1990年、1993年、1994年)
なんと言っても、1994年の高橋和裕による100m、200m、4×100mリレー、4×400mリレーの4冠の偉業が光ります。また、1983年、84年には小川智央が2年連続で砲丸投、円盤投を制しました。

4位 浜松商(静岡) 482点

総合優勝4回(1953年、1977年、1989年、1995年)
1950年代、19980~1990年代を中心に大量得点を獲得。1981年~2006年まで26年連続で入賞していました。800mの小野友誠は1990年、1991年と連覇。1995年は村松寛久、古田哲弘の活躍で4度目の総合優勝を果たしました。

3位 中京大中京/中京(愛知) 529点

総合優勝3回(1969年、1971年、1998年)
こちらも1950年代から活躍する古豪。個人2冠は1987年の深谷弘(1500m、5000m)のみと、他校に比べると少ないですが、入賞回数の多さで上位に食い込みました。今年の沖縄インターハイで、4×100mリレーが優勝しましたが、これが20回目の入賞でした。

2位 成 田(千葉) 554.83点

総合優勝7回(1973年、1976年、1997年、2000年、2001年,2003年、2005年)
第2回大会・5000m3位の園部光昭から入賞を重ね、1970年代以降に7度の総合優勝を果たしています。リレーとフィールド、混成競技ではやり投を除く種目で優勝者が誕生。やり投では室伏広治の6位(1992年)が唯一の入賞となっています。

1位 洛 南(京都) 572.5点

総合優勝8回(1986年、1988年、2012年、2013年、2015年、2016年、2017年、2019年)
そしてNo.1に輝いたのが、洛南(京都)です。初めての入賞は1981年の柴田博之(走幅跳2位)と比較的最近ですが、80年代後半、2010年代以降で最多8回の総合優勝を飾っています。特に2010年代は圧倒的な強さを誇り、2010~2019年までの10年間だけで428点を加算。今年の沖縄大会で成田を逆転してトップに立ちました。

インターハイの歴史を振り振り返ると、トラックに強い学校、リレーに強い学校、投てきに強い学校など、チームカラーも浮かび上がってきました。また、それぞれの時代で強い学校、一方で60年以上も入賞者を出し続けている学校など、時代の変化の中でもさまざまな変遷を辿っていることもわかりました。なお、11位~20位については下で紹介しています。
もし、インターハイの歴史に興味を持たれた方がいましたら、「インターハイ40年史」、「インターハイ50年史」、「インターハイ51~60回大会史」、「インターハイ70年史 from 61st to 70th」を発売していますので、ぜひ手に取ってもらえればと思います。
次回は女子の最強高校を紹介したいと思います。

 

<参考>
男子11位~20位のチーム

11位 東農大二(群馬)  255.33点
12位 花 園(京都)     240点
13位 宇治山田商(三重)   233.5点
14位 相 洋(神奈川)    233点
15位 八女工(福岡)     227.5点
16位 名古屋(愛知)     224.5点
17位 東海大浦安(千葉)   217点
18位 西脇工(兵庫)     212点
19位 宮崎工(宮崎)     203点
20位 九州学院(熊本)   200点

編集部コラム第11回「羽ばたけ日本の中距離!」(井上)
編集部コラム第10回「心を動かすもの」(山本)
編集部コラム第9回「混成競技のアレコレ」(向永)
編集部コラム第8回「アナウンス」(小川)
編集部コラム第7回「ジンクス」(船越)
編集部コラム第6回「学生駅伝を支える主務の存在」(松永)
編集部コラム第5回「他競技で活躍する陸上競技経験者」(大久保)
編集部コラム第4回「とらんすふぁ~」(井上)
編集部コラム第3回「リクジョウクエスト」(山本)
編集部コラム第2回「あんな選手を目指しなさい」(向永)
編集部コラム第1回「締め切りとIHと五輪」(小川)

大久保雅文(おおくぼ・まさふみ)
月刊陸上競技編集部
1984年9月生まれ。175cm、63kg。三重県伊勢市出身。初めて買った月刊陸上競技は1999年1月号。以降、陸上競技の記録やデータを追うようになり、駅伝前には他校のメンバーのデータを集めたりするようになる。ついには高校の卒業文集で陸上部の仲間から『歩く月陸』呼ばわりされてしまう。「呼ばれてしまったなら、本物になってしまおう」と月刊陸上競技の編集部の門を叩くことにした

 

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第12回「高校陸上界史上最強校は?(男子編)(大久保雅文)

8月にテレビで、「ファンが選ぶ高校野球総選挙 ~最強高校~」という企画を目にしました。高校野球ファンが一番強いと思うチームを投票で選ぶというものでしたが、「これを陸上でやったらどうなるだろう」という気持ちが湧いてきました。 野球では学校同士での単純な強さの比較ができませんが、陸上競技の場合にはインターハイの順位をポイント化して争う学校対抗があります。 そこで、1948年の第1回名古屋大会から、今年の第72回沖縄大会までの全ポイントを積算し、学校別に集計してみました。上位には名門校が名を連ねましたが、トップ10をカウントダウン形式で紹介していきます。 なお、得点は6位までが入賞だった1989年以前は1位6点、2位5点……6位1点。8位入賞制となった1990年以降は1位8点、2位7点……8位1点で計算。同順位が複数の場合は該当人数で分配しています。(文中敬称略)

10位 市船橋(千葉) 285点

総合優勝1回(1996年) 初めての入賞は1984年5000mで優勝した仲村明。1989年に4×100mリレーで優勝し、91年に渡辺康幸が1500m、5000m2冠を達成しています。2014年まで入賞はトラック種目のみでしたが、2015年に田村勇太が男子砲丸投7位に入りました。

9位 仙台育英(宮城) 315点

総合優勝1回(2008年) 1993年以降、留学生がトラック長距離を席巻し、5000mでは1993年から1999年まで7連覇。2000年代以降は日本人選手も入賞するようになり、先日のMGCで2位に入った服部勇馬も11年5000mで5位でした。近年は4×100mリレーでも3度の入賞を果たしています。

8位 磐田南/磐田一(静岡) 315.5点

総合優勝4回(1948年、1952年、1954年、1972年) 記念すべき第1回大会の総合優勝校。この時は大橋敏宏が100m、200mの2冠に輝きました。100mでは4回優勝していますが、これは洛南の3回を抑えて史上最多回数。1980年後半からは跳躍種目で入賞を重ねています。

7位 清 風(大阪) 321点

総合優勝1回(1980年) 総合優勝こそ1回だけですが、4×100mリレーでは1972年から2003年の32年間で14回の入賞。井上悟、大崎悟史、山村貴彦、寺野伸一と、のちにオリンピアンとなった選手は全員インターハイで入賞しています。

6位 東 京(東京) 338.5点

総合優勝1回(2011年) 1988年に内田猛樹が走高跳で優勝したのがチーム初入賞。1990年からは、短距離、跳躍、投てき、混成と幅広く入賞者を出し、今年で20年連続入賞を達成しました。100mでは2009年以降の10年間でのべ8人が入賞しています。

5位 添 上(奈良) 431.5点

総合優勝4回(1984年、1990年、1993年、1994年) なんと言っても、1994年の高橋和裕による100m、200m、4×100mリレー、4×400mリレーの4冠の偉業が光ります。また、1983年、84年には小川智央が2年連続で砲丸投、円盤投を制しました。

4位 浜松商(静岡) 482点

総合優勝4回(1953年、1977年、1989年、1995年) 1950年代、19980~1990年代を中心に大量得点を獲得。1981年~2006年まで26年連続で入賞していました。800mの小野友誠は1990年、1991年と連覇。1995年は村松寛久、古田哲弘の活躍で4度目の総合優勝を果たしました。

3位 中京大中京/中京(愛知) 529点

総合優勝3回(1969年、1971年、1998年) こちらも1950年代から活躍する古豪。個人2冠は1987年の深谷弘(1500m、5000m)のみと、他校に比べると少ないですが、入賞回数の多さで上位に食い込みました。今年の沖縄インターハイで、4×100mリレーが優勝しましたが、これが20回目の入賞でした。

2位 成 田(千葉) 554.83点

総合優勝7回(1973年、1976年、1997年、2000年、2001年,2003年、2005年) 第2回大会・5000m3位の園部光昭から入賞を重ね、1970年代以降に7度の総合優勝を果たしています。リレーとフィールド、混成競技ではやり投を除く種目で優勝者が誕生。やり投では室伏広治の6位(1992年)が唯一の入賞となっています。

1位 洛 南(京都) 572.5点

総合優勝8回(1986年、1988年、2012年、2013年、2015年、2016年、2017年、2019年) そしてNo.1に輝いたのが、洛南(京都)です。初めての入賞は1981年の柴田博之(走幅跳2位)と比較的最近ですが、80年代後半、2010年代以降で最多8回の総合優勝を飾っています。特に2010年代は圧倒的な強さを誇り、2010~2019年までの10年間だけで428点を加算。今年の沖縄大会で成田を逆転してトップに立ちました。 インターハイの歴史を振り振り返ると、トラックに強い学校、リレーに強い学校、投てきに強い学校など、チームカラーも浮かび上がってきました。また、それぞれの時代で強い学校、一方で60年以上も入賞者を出し続けている学校など、時代の変化の中でもさまざまな変遷を辿っていることもわかりました。なお、11位~20位については下で紹介しています。 もし、インターハイの歴史に興味を持たれた方がいましたら、「インターハイ40年史」、「インターハイ50年史」、「インターハイ51~60回大会史」、「インターハイ70年史 from 61st to 70th」を発売していますので、ぜひ手に取ってもらえればと思います。 次回は女子の最強高校を紹介したいと思います。   <参考> 男子11位~20位のチーム 11位 東農大二(群馬)  255.33点 12位 花 園(京都)     240点 13位 宇治山田商(三重)   233.5点 14位 相 洋(神奈川)    233点 15位 八女工(福岡)     227.5点 16位 名古屋(愛知)     224.5点 17位 東海大浦安(千葉)   217点 18位 西脇工(兵庫)     212点 19位 宮崎工(宮崎)     203点 20位 九州学院(熊本)   200点 編集部コラム第11回「羽ばたけ日本の中距離!」(井上) 編集部コラム第10回「心を動かすもの」(山本) 編集部コラム第9回「混成競技のアレコレ」(向永) 編集部コラム第8回「アナウンス」(小川) 編集部コラム第7回「ジンクス」(船越) 編集部コラム第6回「学生駅伝を支える主務の存在」(松永) 編集部コラム第5回「他競技で活躍する陸上競技経験者」(大久保) 編集部コラム第4回「とらんすふぁ~」(井上) 編集部コラム第3回「リクジョウクエスト」(山本) 編集部コラム第2回「あんな選手を目指しなさい」(向永) 編集部コラム第1回「締め切りとIHと五輪」(小川)
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