2021.10.22
第98回箱根駅伝予選会は10月23日(土)、東京・立川市の陸上自衛隊立川駐屯地で行われる。本戦への出場枠は前回と変わらず「10」。昨年同様に新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から国営昭和記念公園内や市街地には出ず、陸上自衛隊立川駐屯地内の周回コースのみで実施される。
選考方法は従来通り。各校10名以上12名以下がハーフマラソンに出走し、各校の上位10人の合計タイムで争われる。
10月11日にチームエントリーが発表され、立川決戦に臨む選手たちの顔ぶれがそろった。この記事では「個人」の戦いのゆくえと、大会の見どころを紹介する。
拓大・ラジニに学生新の期待
箱根駅伝予選会では、2014年に村山紘太(城西大/現・GMOアスリーツ)が成し遂げて以降、6年連続で留学生が個人総合1位を独占中。今年も12大学でケニア人留学生がエントリーに名を連ねており、順当なら今年も留学生の牙城は崩れないだろう。
その中でも強力なのが、昨年の予選会で学生歴代3位の1時間0分13秒でトップを占めた拓大のジョセフ・ラジニ(3年)だ。1年時からロードに滅法強く、箱根駅伝ではエース区間の2区で区間歴代3位タイの記録も持っている。今年は10000mで13年ぶりの学生新となる27分25秒65をマーク。そのスピードを得意のロードで生かし、2年連続で爆走する可能性が高い。
前回個人総合1位だった拓大のラジニ
ラジニの対抗一番手に挙がるのが国士大のライモイ・ヴィンセント(国士大4)か。昨年の予選会はラジニに次ぐ2位。これまでの主要タイトルは今年5月の関東インカレ1部ハーフマラソンのみだが、2年時には学生歴代2位の59分51秒をマークしている実力者だ。その他にも、日本インカレ10000mで連覇中のジェームズ・ブヌカ(駿河台大4)も同等の実力を秘めている。
対する日本勢は5000mで現役日本人学生トップの13分25秒87を持つ吉居大和(中大2)が今季不調。本調子なら日本人1位候補の筆頭に挙がるが、そうでないなら今年の箱根駅伝1区区間賞、日本学生ハーフ優勝と上半期に大活躍した鎌田航生(法大4)が有力だ。特に学生ハーフは今大会とまったく同じコースで行われており、持ち味の勝負勘と経験値で優位に進められるか。
その他にも10000mで28分ひとケタのスピードを持つ栗原啓吾(中央学大4)、藤本珠輝(日体大3)、樋口翔太(日大3)、鈴木聖人(明大4)も同等のポテンシャルを秘め、ハーフマラソンで1時間1分台の砂岡拓磨(城西大4)も虎視眈々と狙っているはずだ。
当日はスタート時で気温14~15度、晴れの予報となっているため、ランナーにとっては走りやすい気候ではある。全体トップは予選会史上初の59分台、そしてメクボ・ジョブ・モグス(山梨学大)の持つ学生記録(59分49秒)をも超えてくる可能性も秘めている。日本人トップは昨年同様1時間1分台となりそうだ。
本戦初出場に近い駿河台大、慶大&立大の躍進にも注目
出場校全体に目を通すと、今回は前回より5校減の41チームが出場。これは過去10年で2018年(39チーム)に次いで2番目に少ない出場校数だ。昨年は「10名以上が10000m34 分以内もしくは5000m16分30秒以内のトラックでの公認記録を有している大学」に参加資格が与えられたが、今年は「10名以上が10000m34分以内」のみに変更となったことが影響したと見られる。
注目校は本戦初出場を目指す駿河台大だ。至近3大会は18位、12位、15位。今年は6月の全日本大学駅伝選考会で次点の8位と躍進しており、留学生のブヌカ、10000m28分台を持つ町田康誠と清野太成の3年生コンビが中心のチームだ。31歳で元中学教師の今井隆生もチーム内4番手の実力者で、仮に本戦出場を果たせば2017年に出場した渡邊和也(東京国際大、当時30歳)を抜いて戦後最年長箱根ランナーとなる。
他には前回19位の慶大と同28位の立大も飛躍の可能性を秘める。慶大は2017年から、立大は2018年から箱根駅伝に向けた強化を始めており、着実に成果を残している。10000mの上位10人平均タイムはそれぞれ14位、15位につけており、今回はさらに順位を上げてきそうだ。仮に予選会突破となれば、慶大は28年ぶり、立大は54年ぶりとなる。
「本戦連続出場」という観点では、日体大が現在74年連続出場中でシード校を含めてダントツの最長記録だ(歴代最長は中大の87回連続)。それ以外の予選会出場校では神奈川大の12年連続が2番手となり、いかに本戦に出場し続けることが難しいかを物語っている。
箱根駅伝のシード校を目指す強豪校から、久しぶりの本戦返り咲きを狙う名門校、初出場に意気込む新興校まで、さまざまなドラマが渦巻く立川決戦。今年はどんな名勝負が生まれるだろうか。
拓大・ラジニに学生新の期待
箱根駅伝予選会では、2014年に村山紘太(城西大/現・GMOアスリーツ)が成し遂げて以降、6年連続で留学生が個人総合1位を独占中。今年も12大学でケニア人留学生がエントリーに名を連ねており、順当なら今年も留学生の牙城は崩れないだろう。 その中でも強力なのが、昨年の予選会で学生歴代3位の1時間0分13秒でトップを占めた拓大のジョセフ・ラジニ(3年)だ。1年時からロードに滅法強く、箱根駅伝ではエース区間の2区で区間歴代3位タイの記録も持っている。今年は10000mで13年ぶりの学生新となる27分25秒65をマーク。そのスピードを得意のロードで生かし、2年連続で爆走する可能性が高い。 前回個人総合1位だった拓大のラジニ ラジニの対抗一番手に挙がるのが国士大のライモイ・ヴィンセント(国士大4)か。昨年の予選会はラジニに次ぐ2位。これまでの主要タイトルは今年5月の関東インカレ1部ハーフマラソンのみだが、2年時には学生歴代2位の59分51秒をマークしている実力者だ。その他にも、日本インカレ10000mで連覇中のジェームズ・ブヌカ(駿河台大4)も同等の実力を秘めている。 対する日本勢は5000mで現役日本人学生トップの13分25秒87を持つ吉居大和(中大2)が今季不調。本調子なら日本人1位候補の筆頭に挙がるが、そうでないなら今年の箱根駅伝1区区間賞、日本学生ハーフ優勝と上半期に大活躍した鎌田航生(法大4)が有力だ。特に学生ハーフは今大会とまったく同じコースで行われており、持ち味の勝負勘と経験値で優位に進められるか。 その他にも10000mで28分ひとケタのスピードを持つ栗原啓吾(中央学大4)、藤本珠輝(日体大3)、樋口翔太(日大3)、鈴木聖人(明大4)も同等のポテンシャルを秘め、ハーフマラソンで1時間1分台の砂岡拓磨(城西大4)も虎視眈々と狙っているはずだ。 当日はスタート時で気温14~15度、晴れの予報となっているため、ランナーにとっては走りやすい気候ではある。全体トップは予選会史上初の59分台、そしてメクボ・ジョブ・モグス(山梨学大)の持つ学生記録(59分49秒)をも超えてくる可能性も秘めている。日本人トップは昨年同様1時間1分台となりそうだ。本戦初出場に近い駿河台大、慶大&立大の躍進にも注目
出場校全体に目を通すと、今回は前回より5校減の41チームが出場。これは過去10年で2018年(39チーム)に次いで2番目に少ない出場校数だ。昨年は「10名以上が10000m34 分以内もしくは5000m16分30秒以内のトラックでの公認記録を有している大学」に参加資格が与えられたが、今年は「10名以上が10000m34分以内」のみに変更となったことが影響したと見られる。 注目校は本戦初出場を目指す駿河台大だ。至近3大会は18位、12位、15位。今年は6月の全日本大学駅伝選考会で次点の8位と躍進しており、留学生のブヌカ、10000m28分台を持つ町田康誠と清野太成の3年生コンビが中心のチームだ。31歳で元中学教師の今井隆生もチーム内4番手の実力者で、仮に本戦出場を果たせば2017年に出場した渡邊和也(東京国際大、当時30歳)を抜いて戦後最年長箱根ランナーとなる。 他には前回19位の慶大と同28位の立大も飛躍の可能性を秘める。慶大は2017年から、立大は2018年から箱根駅伝に向けた強化を始めており、着実に成果を残している。10000mの上位10人平均タイムはそれぞれ14位、15位につけており、今回はさらに順位を上げてきそうだ。仮に予選会突破となれば、慶大は28年ぶり、立大は54年ぶりとなる。 「本戦連続出場」という観点では、日体大が現在74年連続出場中でシード校を含めてダントツの最長記録だ(歴代最長は中大の87回連続)。それ以外の予選会出場校では神奈川大の12年連続が2番手となり、いかに本戦に出場し続けることが難しいかを物語っている。 箱根駅伝のシード校を目指す強豪校から、久しぶりの本戦返り咲きを狙う名門校、初出場に意気込む新興校まで、さまざまなドラマが渦巻く立川決戦。今年はどんな名勝負が生まれるだろうか。
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