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2019.09.20

編集部コラム「混成競技のアレコレ」
編集部コラム「混成競技のアレコレ」

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陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。
編集スタッフが週替りで綴って行きたいと思います。
暇つぶし程度にご覧ください!

第9回「混成競技のアレコレ(向永拓史)

みなさん混成競技って知っていますか?

十種競技、七種競技、聞いたことはあると思いますが、種目の順番は? 日本記録ってどのくらい? あまり詳しくは知られていないのかもしれません。

混成競技は2日間にかけて走る、跳ぶ、投げる、のすべてを1人で網羅し、総合得点で順位を決定します。

欧米では、十種競技のチャンピオンは「King of Athlete」、七種競技は「Queen of Athlete」と称され、尊敬を集めるほど人気なのです。

実際に行う種目としては、
●男子
・十種競技
1日目:100m、走幅跳、砲丸投、走高跳、400m
2日目:110mハードル、円盤投、棒高跳、やり投、1500m
・八種競技(高校)
1日目:100m、走幅跳、砲丸投、400m
2日目:110mハードル、やり投、走高跳、1500m
●女子
七種競技(高校から一般と同じ)
1日目:100mハードル、走高跳、砲丸投、200m
2日目:走幅跳、やり投、800m

中学生は四種競技が全中で行われています。

2日間、朝から晩までずーっと競技場にいるんですよ。暑かろうが雨が降ろうが。

おかしいですよね。

最終種目の1500mや800mの前になると逃げ出したくなり、「2度とやりなたくない」と思うらしいです。

でも、全部終わったらクタクタなのに、笑顔になって、みんなで称え合うんです。そして「またやりたい」って思うそうですよ。

変ですよね。

でも、これが本当にカッコイイんです。

と、まぁ混成競技の魅力は実際に見てもらうとして、ここからは得点のアレコレについて紹介します。

混成好きなら、1回くらいは、「これを全部足したら何点?」と考えたことがあるはずです。

まずは、十種競技の世界記録と実際の世界記録を足してみた得点を比べてみます。

世界記録            各種目世界記録
ケヴィン・マイヤー(フランス)
100m  10秒55        9秒58
(963点)       (1202点)
走幅跳  7m80        8m95
(1010点)       (1312点)
砲丸投  16m00        23m12
(851点)        (1295点)
走高跳  2m05        2m45
(850点)        (1244点)
400m  48秒42        43秒03
(889点)        (1164点)
110mH  13秒75        12秒80
(1007点)       (1135点)
円盤投  50m54        74m08
(882点)        (1383点)
棒高跳  5m45        6m16
(1051点)       (1284点)
やり投  71m90        98m48
(918点)        (1331点)
1500m  4分36秒11     3分26秒00
(705点)        (1218点)
合計 9126点      12568点

うーん、どちらもすごいです。では、日本記録同士で比べるとどうでしょう。

日本の、いやアジアの「KING」である右代啓祐(国士舘クラブ)

右代啓祐
100m  11秒24      9秒97
(808点)     (1103点)
走幅跳  7m15      8m40
(850点)     (1164点)
砲丸投  15m19      18m85
(801点)     (1028点)
走高跳  2m03      2m35
(831点)     (1141点)
400m  49秒66      44秒78
(830点)     (1071点)
110mH 14秒90      13秒25
(862点)     (1074点)
円盤投  50m17      62m16
(874点)     (1127点)
棒高跳  4m80      5m83
(849点)     (1174点)
やり投  69m11      87m60
(876点)     (1161点)
1500m  4分32秒62   3分37秒42
(727点)     (1126点)
合計 8308点   11169点

混成競技は1つだけ飛び抜けている選手もいれば、バランスよく得点を取る選手も多く、どの種目でもしっかり稼いでいくと右代選手のように大台に突破します。

続いて女子の日本はこんな感じ。

中田有紀
100mH  13秒97      12秒97
(983点)    (1129点)
走高跳  1m75      1m96
(916点)    (1184点)
砲丸投  11m74      18m22
(644点)    (1078点)
200m  25秒02      22秒88
(885点)    (1091点)
走幅跳  6m41      6m86
(978点)    (1125点)
やり投  43m16      64m36
(728点)    (1140点)
800m  2分19秒67    2分00秒45
(828点)    (1109点)
5962点      7856点
ちなみに、七種競技の世界記録はジョイナー・カーシー(米国)が88年に叩き出した7291点! 日本記録を合計した得点に迫ろうとするほど驚異的なのです。

だから何だって話です。得点を足したところで、特に意味はありません。

でも、ちょっと気になるんです。高校生とかどうなんだろうって。なので、もう少しお付き合いください。
八種&七種の高校記録とインターハイで活躍を続ける、男子(八種競技)は東京高、女子は東大阪大敬愛高、それぞれの高校の最高記録を足してみました。

丸山優真     東京高八種
100m  11秒05      10秒29
(850点)    (1025点)
走幅跳  7m15      7m52
(850点)    (940点)
砲丸投  12m99      16m99
(667点)    (912点)
400m  50秒14      46秒91
(808点)    (963点)
110mH  14秒41      14秒19
(922点)    (950点)
やり投  56m51      67m49
(685点)    (851点)
走高跳  1m93      2m18
(740点)    (973点)
1500m  4分38秒11   3分54秒16
(692点)    (997点)
6214点      7611点

八種競技で高校記録を持つ丸山優真(現・日大)

ヘンプヒル恵    東大阪大敬愛高七種
100mH  13秒57      13秒87
(1040点)     (997点)
走高跳  1m62      1m79
(759点)     (966点)
砲丸投  10m46      15m70
(560点)      (908点)
200m  25秒39      24秒00
(851点)      (981点)
走幅跳  5m81      5m94
(792点)      (831点)
やり投  39m84      57m31
(664点)     (1002点)
800m  2分17秒87   2分02秒74
(853点)     (1074点)
5519点      6759点

七種競技の高校記録を持つのはヘンプヒル恵(現・アトレ)

高校記録級がそろう東大阪大敬愛高を足しても、世界トップの7000点には届かない。世界ってすごいですね。

だから、何だって? 特に理由はないんですけど、こうやって色々と計算してみるのも混成競技の面白さの1つかなぁと思ったり思わなかったり。

混成競技は日本ではまだまだマイナーな種目。でも、混成の選手たちからは混成競技が、そして陸上競技が大好きなのがいつも伝わってくるんです。そして、いつもこんな言葉が出ます。

「もっと混成競技を知ってもらいたい」

自分の自己ベストは混成内なら何点かな? とか、ほんの些細なきっかけでいいので、少しでも混成競技に触れてみてください。

向永拓史(むかえ・ひろし)
月刊陸上競技編集部 新米編集部員
1983年8月30日生まれ。16★cm、★kg(全盛期のマラドーナと同じ)、O型。石川県金沢市生まれ、滋賀県育ち。両親の仕事の都合で多数の引っ越しを経験し、幼少期より「どうせ友達になっても離れる」とひねくれて育つ。運動音痴で絵を描くのが好きな少年だったが、小4の時に開幕したJリーグの影響で三浦知良に心酔し、天才漫画家になる未来を絶たれてしまう。いろいろあって2011年全中以降、陸上競技の取材をすることになり、現在に至る。趣味は一人カラオケで、自己ベストは8時間。

編集部コラム第8回「アナウンス」(小川)
編集部コラム第7回「ジンクス」(船越)
編集部コラム第6回「学生駅伝を支える主務の存在」(松永)
編集部コラム第5回「他競技で活躍する陸上競技経験者」(大久保)
編集部コラム第4回「とらんすふぁ~」(井上)
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編集部コラム第2回「あんな選手を目指しなさい」(向永)
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