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女子1500m刻んだ歴史 田中と卜部が日本人初出場 田中が日本新で準決勝進出
女子1500m刻んだ歴史 田中と卜部が日本人初出場 田中が日本新で準決勝進出


写真/時事

◇東京五輪(7月30日~8月8日/国立競技場)陸上競技4日目

陸上競技4日目のモーニングセッションで行われた女子1500m予選。日本から、田中希実(豊田自動織機TC)と卜部蘭(積水化学)の2人が出場した。この種目で日本人が出場するのは初めて。

先に登場したのは卜部。ドーハ世界選手権女王のS.ハッサン(オランダ)と同じ予選1組に入った。

卜部は集団の真ん中あたりの位置を確保。トップは400mを66秒34、800mは2分13秒90で通過し、卜部にとっては自己ベストを上回るハイペースになったが、先頭集団の中でしっかりとレースを進めていく。

残り1周を7番目(1100m3分03秒)で通過した。その直後に中長距離3冠を目指すハッサンらが転倒。卜部も巻き込まれそうになったが、うまく対応して、ラスト勝負に挑んだ。

トップは1200mを3秒17秒96で通過。卜部はバックストレートでトップ集団から引き離されたが、懸命に駆け抜ける。最後はキック力の違いを見せつけたハッサンが15人を1周でごぼう抜きして、4分05秒17でトップ通過した。

卜部は自己ベスト(4分10秒52)を大きく更新する日本歴代3位の4分07秒90で9着フィニッシュだった。

「今日は全力で戦って、今の力が世界でどうなのか感じたいと思っていました」と卜部。予選通過(各組6着+3組7着以下のタイム上位6人)を目指していたが、6着の選手とは2.41秒差だった。

「ラスト1周までは自分の行きたい位置で走れたんですけど、最後は先頭集団で勝負できなかったのが素直に悔しいですね。世界大会でリベンジできるように、さらに力をつけていきたいです」

東京出身の卜部にとって東京五輪は日本人選手の中でも特別な大会。難関をクリアして出場したオリンピックを経験して、「世界」で戦う気持ちがさらに強くなったようだ。

写真/時事

続く3組目に登場した田中が快挙を成し遂げる。

3日前の女子5000m予選(2組)で自己ベストの14分59秒93(日本歴代4位)をマークするも、0.38秒差で決勝進出を逃した田中。レース後に「1500mでも自己ベストを狙っていきたい」と話していたとおり、世界の舞台でも自身のスタイルを貫いた。

五輪連覇を狙うF.キピエゴン(ケニア)らがいる中で田中は先頭に立つと、400mを65秒63、800mは2分11秒37で引っ張った。残り600m付近でL.ホール(豪州)に首位を奪われるも、田中は残り1周を3番手(3分00秒)で通過。

バックストレートで抜け出したキピエゴンの背中を追いかけて、田中は2番手で残り200mに入る。最後の直線は動きが硬くなったが、4着でフィニッシュに飛び込み、着順(6着)で準決勝進出を決めた。

タイムは先月行われたホクレン・ディスタンスチャレンジ千歳大会で自身がマークした日本記録(4分04秒08)を大幅に更新する4分02秒33。田中にとって3度目の日本記録樹立だった。

「日本記録を出せば準決勝に行けると思っていたので、自分の目標通りの結果になって良かったです。課題のラスト1周は対応できたとは言い切れないですけど、まずまず粘る走りはできたんじゃないかなと思います」

女子1500mは世界に置いていかれていた種目だが、田中の快走で一気に近づいた。

「1500mにこだわってきて、今までの取り組みが結果として出てきているんじゃないかなと思います。準決勝はどんな結果になってもいいので、とにかく今の自分の力を出し切って、もう一度自己ベストを出すくらいの勢いで走りたいです」

女子1500m準決勝は8月4日の19時00分から。田中らしい攻めの走りを楽しみにしたい。

写真/時事 ◇東京五輪(7月30日~8月8日/国立競技場)陸上競技4日目 陸上競技4日目のモーニングセッションで行われた女子1500m予選。日本から、田中希実(豊田自動織機TC)と卜部蘭(積水化学)の2人が出場した。この種目で日本人が出場するのは初めて。 先に登場したのは卜部。ドーハ世界選手権女王のS.ハッサン(オランダ)と同じ予選1組に入った。 卜部は集団の真ん中あたりの位置を確保。トップは400mを66秒34、800mは2分13秒90で通過し、卜部にとっては自己ベストを上回るハイペースになったが、先頭集団の中でしっかりとレースを進めていく。 残り1周を7番目(1100m3分03秒)で通過した。その直後に中長距離3冠を目指すハッサンらが転倒。卜部も巻き込まれそうになったが、うまく対応して、ラスト勝負に挑んだ。 トップは1200mを3秒17秒96で通過。卜部はバックストレートでトップ集団から引き離されたが、懸命に駆け抜ける。最後はキック力の違いを見せつけたハッサンが15人を1周でごぼう抜きして、4分05秒17でトップ通過した。 卜部は自己ベスト(4分10秒52)を大きく更新する日本歴代3位の4分07秒90で9着フィニッシュだった。 「今日は全力で戦って、今の力が世界でどうなのか感じたいと思っていました」と卜部。予選通過(各組6着+3組7着以下のタイム上位6人)を目指していたが、6着の選手とは2.41秒差だった。 「ラスト1周までは自分の行きたい位置で走れたんですけど、最後は先頭集団で勝負できなかったのが素直に悔しいですね。世界大会でリベンジできるように、さらに力をつけていきたいです」 東京出身の卜部にとって東京五輪は日本人選手の中でも特別な大会。難関をクリアして出場したオリンピックを経験して、「世界」で戦う気持ちがさらに強くなったようだ。 写真/時事 続く3組目に登場した田中が快挙を成し遂げる。 3日前の女子5000m予選(2組)で自己ベストの14分59秒93(日本歴代4位)をマークするも、0.38秒差で決勝進出を逃した田中。レース後に「1500mでも自己ベストを狙っていきたい」と話していたとおり、世界の舞台でも自身のスタイルを貫いた。 五輪連覇を狙うF.キピエゴン(ケニア)らがいる中で田中は先頭に立つと、400mを65秒63、800mは2分11秒37で引っ張った。残り600m付近でL.ホール(豪州)に首位を奪われるも、田中は残り1周を3番手(3分00秒)で通過。 バックストレートで抜け出したキピエゴンの背中を追いかけて、田中は2番手で残り200mに入る。最後の直線は動きが硬くなったが、4着でフィニッシュに飛び込み、着順(6着)で準決勝進出を決めた。 タイムは先月行われたホクレン・ディスタンスチャレンジ千歳大会で自身がマークした日本記録(4分04秒08)を大幅に更新する4分02秒33。田中にとって3度目の日本記録樹立だった。 「日本記録を出せば準決勝に行けると思っていたので、自分の目標通りの結果になって良かったです。課題のラスト1周は対応できたとは言い切れないですけど、まずまず粘る走りはできたんじゃないかなと思います」 女子1500mは世界に置いていかれていた種目だが、田中の快走で一気に近づいた。 「1500mにこだわってきて、今までの取り組みが結果として出てきているんじゃないかなと思います。準決勝はどんな結果になってもいいので、とにかく今の自分の力を出し切って、もう一度自己ベストを出すくらいの勢いで走りたいです」 女子1500m準決勝は8月4日の19時00分から。田中らしい攻めの走りを楽しみにしたい。

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